2016/10/31

在宅での呼吸リハの効果

Home-based rehabilitation for COPD using minimal resources: a randomised, controlled equivalence trial

Thorax 2016;0:1–9

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27672116

 

背景

呼吸リハは、COPDケアの重要な部分であるが、病院での伝統的なプログラムの理解について乏しい今回在宅で最小限の資源を利用した呼吸リハビリが病院ベースの呼吸リハビリのアウトカムと同等であるかについて検討した

 

方法

12か月のフォローで検討。安定期COPD患者を無作為に、標準的な外来通院モデルと1回の訪問と週1回の電話を7回実施する新しい在宅モデルに分け8週間介入したプライマリーアウトカムは6MWDの変化量

 

結果

166が参加。外来リハが86、在宅リハが80Intention to treat解析において、リハ終了時の6MWDは悪い結果出ないことが明らかとなり、信頼区間(CI)の優位は除外されなかった。12カ月時点のCIで劣勢は除外されなかった。グループ間での息切れ関連QOLは在宅でのプログラム完了時の優位は除外されず12カ月でも同等であった。

 

結語

在宅モデルの呼吸リハビリで、最小限の資源だけで、短期的にであるが、外来と同等の臨床アウトカムが得られた。どちらのモデルも、12カ月時点で、効果は保持されていた。在宅呼吸リハは、外来通院出来ないCOPD患者に考慮できる。

 

・呼吸リハの内容は有酸素運動、筋トレ、自己管理教育。Living with COPDという冊子を渡した

・外来リハは週28週間実施最低30分の歩行や自転車での有酸素運動。筋トレは階段や起立など。自宅でも週3回は実施するよう推奨した。

・在宅リハは、PTが1回自宅に訪問し、運動目標吸入手技の評価最初の運動アドバイスを実施最低30分の通常歩行で有酸素運動を推奨歩行距離を加速度計で記録筋トレは自宅環境でできるもの(階段起立ペットボトルでの上肢運動)とした。週1回の電話での励ましをPTが電話で計7回実施毎週の運動目標を日誌につけた。

・アウトカムはベースライン、リハ終了時、12カ月後に評価。評価項目は6MWTCRQ自己効力感(PRISE)HADS身体活動量

・平均年齢69歳、%FEV1.0 50%程、BMI28、6MWD 400mmMRC11日の歩数3836歩

6MWDの変化

   :在宅リハ後+29m1年後-4.74m

  :外来リハ後+10m1年後+0.41m

・最初の入院までの期間は外来の方が有意に早かった。

 

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低負荷の運動でも継続すれば短期効果は期待できる。大きくは無いが。

その後中断してしまうと、効果は無くなってしまうのはこれまでも言われている通りの結果。

ただ、継続するのが難しい。



2016/10/29

COPD患者の歩行分析

Gait mechanics in patients with chronic obstructive pulmonary disease

Respir Res. 2015 Feb 28;16:31.

 

https://respiratory-research.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12931-015-0187-5

 

背景

COPDは肺外の障害に関連している。この研究の目的は、COPD患者と健常者の歩行バイオメカニクスを安静時安静時以外で比較すること。

 

方法

COPD患者17名と年齢性別をマッチさせた健常者21名ゆっくりと10m歩行を実施疲労を予防するために1分の安静を5回のトライアルのにとった(REST condition)COPD患者は自分のペースでトレッドミル歩行を行い、呼吸困難感か下肢疲労を自覚するまで実施すぐに歩行分析トライアルを途中休憩をせずに5回実施(NO REST condition)統計モデルは年齢性別喫煙歴で分けて検討

 

結果

COPD患者はmid-stanceにおいて、足関節の力を健常者よりも吸収していた。NO REST状態において歩行速度歩幅最大股関節屈曲が増加し底屈(plantarflexion)モーメント膝absorptionが減少していたCOPD患者において最大足関節背屈(dorsiflextion)モーメントが特に相互作用していたが、健常者では増加していた疾患重症度による分類では、これらの違いは見られなかったがRESTと比べてNO RESTで足幅が減少していた。

 

結語

COPD患者では足関節で歩行分析上の違いがあった。これは、NO RESTでの最大足関節背屈上昇の吸収だけでなく、RESTからNO RESTで実施した場合の最大足関節背屈力上昇の欠如していることでも見られたさらに、広い足幅はCOPD患者の転倒リスクと関係しており転倒の危険を増加させる根拠となるかもしれない

 

10mの歩行レーンを5回歩行3Dマーカーを装着しハイスピードカメラで動作を撮影床反力のデータも収集。すべての患者はトライアル間に最低1分間の休憩をとった。

・すべての患者は自己のペースでトレッドミルに乗り、呼吸困難か下肢疲労感が現れるまで歩行した。その後すぐに、10mコースを5回続けて休みなく歩行した(NO REST)

COPD患者はmid-stanceにおいて最大股関節吸収が主な影響だった

RESTにおいて、最大膝衝撃吸収力は立位早期において増加しており、最大股関節屈曲角度の増加最大膝関節屈曲モーメント最大底屈モーメントはNO RESTと比べて減少していた

・歩行速度と歩幅はNO RESTで非常に大きかった。

COPD患者は背屈モーメントが弱かった

 

roading response あたりの膝伸展モーメントがCOPDで小さい?

 

COPDでinitial contact時の足関節背屈が小さい?

 

足関節背屈モーメントの大きさ。COPDの方が有意に小さい?

 

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疲労が蓄積されると、背屈が小さくなることで、転倒しやすいということになるらしい。足幅が広いのはバランス能力の低下に起因するのだろうか→http://ameblo.jp/kzk1028/entry-12191441471.html

しかし、歩行分析に関する論文を初めて読んだが、難しい。

学生の時に、主観すぎる評価だと思ってから苦手になったままここまで来てしまった。この訳し方であってるのか?



2016/10/25

COPD患者の身体活動を阻害するものと促進するもの

Barriers to and enablers of physical activity in patients with COPD following a hospital admission: a qualitative study

 

International Journal of COPD 2014:9 115–128

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3904833/

 

背景

COPDは気流閉塞、息切れの増強を特徴としており、入院につながる共通したものである。入院は退院している患者の身体活動性の減少を招く身体活動性はCOPDの症状の増強と再入院の減少死亡率の減少と関係しているこの研究ではCOPD患者の視点から、入院中のCOPD患者の身体活動性の障壁と可能にするもの(促進因子)を調査した

 

方法

インタビューを含む質的な記述式デザイン研究を、COPD増悪で入院している患者28人に実施

 

結果

参加者の身体活動性には、多くの問題といくつかの促進因子があった。主な障壁は健康因子(併存症COPDの症状身体疾患)環境因子(天気転居財政)個人因子。主な促進因子は専門家の介入、道具社会サポート日課と課外活動個人目標とモチベーション身体活動と"調子が良い"という効果

 

結語

COPD患者で呼吸リハを行っている患者の身体活動性の障壁と促進因子を調査した呼吸リハを繰り返し参加しているCOPD患者にとって、身体活動を妨げる大きな障壁が明らかになった。それらの障壁に反して、いくつかの促進因子もあり、専門家によるCOPDの対処と、身体活動と呼吸リハへの参加と活動への勧めが必要とされている入院は身体活動性を推進する介入の機会を作れるかもしれず、死亡率の減少と同様に再入院も減少する助けとなるかもしれない

 

・記述式の方法で入院から2か月後COPD患者を対象に実施

・南オーストラリアの病院で参加者を集めた

・22が男性、6が女性。軽症2人中等症5人重症21人

・平均年齢71.86、平均入院期間6.61日退院後1か月以内に20人が少なくとも1回再入院した。

・障壁に関して、"自己""健康""環境"に分類

"自己"は加齢によるもの呼吸リハや身体活動性に対してのネガティブな経験病院では酸素療法をしながら歩けるが、自宅で治療を行うときに何も出来なくなること

・"促進"は"アクセス""社会""個人"

 

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よっぽど疾患の理解をしていて、意志の強い人でないと一人で身体活動性を維持していくことは難しい。

肥満の人にただ痩せろと言っても出来ないように。

専門家が方法をレクチャーして、その後の継続のための社会資源などサポート体制を整えて退院とすれば、少しは長続きするのかもしれない。

その社会資源の選択肢が限られているのが現状だろう。



2016/10/20

COPD増悪した患者の活動性変化に影響するのは何か?

Determinants of change in physical activity during moderate-to-severe COPD exacerbation

 

International Journal of COPD 2016:11 251–261

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26893555

 

背景

COPDの増悪中の身体活動性に関するデータは乏しい目的は増悪中のCOPD患者(eCOPD)の身体活動性の変化を評価すること。

 

方法

16の救急病院で前向きに2008年から2010年まで調査評価項目は社会背景呼吸困難FEV1.0%併存症健康関連QOL増悪の要因、安定期と増悪時の身体活動性

 

結果

2487人の患者を調査入院中と自宅退院後7日間の身体活動の変化の要因は、ベースラインでの活動性が低いことと最初の24時間後に評価を行っていたこと。

年齢、QOL独居入院期間増悪治療に抗コリン薬やステロイドを使用していることは入院した患者の身体活動性の変化と関連していた入院しなかった患者の変化の予測因子はベースラインのFEV1.0%と救急で来た時の安静時呼吸困難だった

 

結語

増悪で救急に来た患者を評価すると、身体活動性のレベルと変化は非常に変わりやすかった。増悪に関連した因子(入院24時間後の身体活動性薬剤入院期間)と安定期の状態(身体活動性が低いQOLFEV1.0%)が中等度から重度の増悪中の身体活動性の変化の予測因子であった。

 

・救急から入院した患者に、入院後の初日と退院時にインタビューで身体活動性に関して質問

・身体活動性は歩行に注目した。増悪前の歩行状態に関して質問を6つ(ベッドから椅子まで、屋内のみ2,300m屋外を歩く買い物に行く日常的に歩いている:週3回と規定スポーツをしている)した。この身体活動性スケールはHADOscoreを基にしており、妥当性がありSGRQと良い相関関係に

・入院後24時間と退院後1週間後の活動性の質問はベッドサイド、座位、浴室まで、部屋の中、部屋の外へ制限あり、制限なしに部屋の外へ

・アウトカムは、入院後と退院時の身体活動性の変化。退院した患者は、救急から退院した1週間後と自宅退院した24時間後の身体活動性

・平均年齢72.6歳男性90.3%HOTやNPPV使用者38.1%過去の入院は年1回独居12.6%、誰かと同居83.6%

ベースラインでの活動性は"買い物""日常的に歩いている"がともに30%程

・増悪したあと、両方とも活動性は増加。しかし、入院した16%は入院中何も活動せず17%は病室内の歩行だけであった

 

 

・身体活動性の変化の関連因子を多変量解析で算出するとこれまでの活動レベル、年齢、QOL入院期間吸入薬だった

 

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活動性を活動範囲で評価している。

救急に来て、入院した後、24時間で浴室くらいまで(数十m程度?)歩ければその後の活動性は向上していたらしい。

やはり早期離床ということにつながるのかな。



2016/10/19

The Glittre-ADL testはCOPD患者の身体活動量や身体機能を反映するか?

The Glittre-ADL test reflects functional performance measured by physical activities of daily living in patients with chronic obstructive pulmonary disease

Braz J Phys Ther. 2016 May-June; 20(3):223-230

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27074287

 

背景

The Glittre-ADL test(Glittre)は日常生活活動(PADL)を多面的に評価するもので、妥当性と信頼性のある評価であるが、COPD患者にとっては面倒であると知られているしかし、この評価がCOPD患者の機能的パフォーマンスを反映できるかどうかは知られていない

 

目的

GlittreCOPD患者の機能的状態を反映するか

Glittreを実施するに要した時間と疾患重症度によるPADLの変化

 

方法

38人のCOPD患者が対象(65歳%FEV1.0 41.3%) 身体測定肺機能検査GlittrePADL

 

結果

Glittreは座位時間(r=0.50)、歩行(r=-0.46)、歩数(r=-0.53)、歩行強度(r=-0.66)、歩行時エネルギー消費(r=-0.50)、総エネルギー消費(r=-0.33)と相関。

GlittreのパフォーマンスはGOLDのステージで差はなかったが、歩行や座位時間は重症や最重症患者では特に低かった

 

結語

Glittreは歩行座位時間と実際のPADLと相関していた。疾患の重症度は機能的容量よりも日常生活活動のレベルと関連していた

 

 

・対象COPD患者のGOLDステージは2-4

The Glittre-ADL testとは

 おもり(女性2.5kg男性5.0kg)バックパックに入れて運ぶ10mのコースで、中間地点の2段の段差(17cm×27cm)を渡るその後1kgのおもりを3つシェルフから肩の高さまでもち上げもう片方は腰の高さに持つ目標物を回ってシェルフの一番下と一番上に再度戻す来た道を戻り最初の地点に座る座ったらすぐに、次のセットを開始する

このサーキットを5回なるべく早く行う。

図式化するとこんな感じらしい。

 

SpO2と修正Borgを開始時とそれぞれのセットの終了後に測定

 

・身体活動量は加速度計を平日の2日間連続して12時間装着通常通りの生活をしてもらった。

・平均BMI27.7Glittreタイム4.69分歩数6557歩

 

・Glittreで時間がかかると、歩行時間、歩行強度、エネルギー消費が減少し、座位時間が増えている=活動性の低下

・重症度ごとでみると、Glittreはあまり差がない。実際の活動量は重症になるほど減少している。

 

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ADLテストの結果が不良だと、日中の活動レベルも低い。ただ、重症度ごとに見るとADLテストの結果よりも実際の活動量を計測したほうが、差が明らかになっている。

相関係数もそれほど高くないし、このADL評価では活動性の評価は十分には出来ないと言っていいのか?

解釈が難しい。。。

 

日本で使う問診票と身体活動量の関係はあるのだろうか。



2016/10/18

身体機能を簡単に評価できるツールはどれか。

a simple and rapid test of physical performance in chronic obstructive pulmonary disease

International Journal of COPD 2016:11 1785–1791

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4976811/

 

背景

COPDにおいて身体的パフォーマンスの障害は共通しているが、臨床においてルーチンで実施することは難しい

Timed Up and Go(TUG)testとその他の簡単に実施できる評価を6分間歩行距離(6MWD)と比較した。

 

対象

併存症のあるCOPD患者を対象520人の患者と150人の対照群にTUGと6MWDを使用して準最大の身体的パフォーマンスを評価その他の評価は肺機能身体組成、握力、CATSGRQ修正MRCスケール

 

結果

患者と対照群の年齢、性別、BMI性別の割合は似ていた患者においてTUGが対照群よりも優れており、逆に6MWDは%FEV1SGRQ-activitySGRQ-totalCATに関連

TUGは患者と対照群で異なっていたTUGは身体的パフォーマンスを評価するのに妥当なテストであり簡便であるので臨床的にも有効だろう。

 

 

TUGとその他の評価の相関関係を調べると年齢性別6MWDなどすべての評価と相関関係にった。

TUGの正常のカットオフから6MWDを予測すると、360mであった(感度90%、特異度80%AUC0.826)

 

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TUGなら距離も短いし6MWTよりも実施のハードルは低いから確かに簡単だ。

動作時の低酸素や疲労感など、得られる情報量は少ないと思うが。



2016/10/12

入院中の高齢者の活動量は低い

Physical activity by elderly patients undergoing inpatient rehabilitation is low: an observational study

 

Aust J Physiother. 2008;54(3):209-13

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18721125

 

目的

入院でリハビリを行った高齢者と地域の高齢者で、身体活動に違いがあるのかを調べた。

 

対象

25の高齢者(81歳)はリハビリを実施し年齢と性別を一致させた地域高齢者(80歳)を集めた。

アウトカムは姿勢活動記録を使って立位で過ごしている時間と頻度を週末を含む連続3日以上記録。

 

結果

入院患者は平均活動時間が1.3時間で、地域高齢者は平均5.5時間と大きい差があった。入院患者の立位時間はセラピーが行われる平日にく(1.6時間)、一般的にセラピーのない週末は1.1時間と少なかった地域高齢者は平日(5.9時間)と休日(4.8時間)に大きな差はなかった平均立位時間は入院患者の方が有意に少なかった

 

結語

入院でリハビリを行っている患者は地域の高齢者よりも活動時間が少なかった。

 

・入院患者の主病名は神経疾患(28%)、筋骨格疾患(36%)、心血管・呼吸器疾患(8%)その他(28%)

・活動時間は、姿勢活動記録計を装着し、総活動時間÷装着日数で算出

・歩行速度(0.62m/s vs 1.19m/s)や歩幅(0.8m vs 1.2m)が入院患者の方が遅く、短い。

・入院患者はフレーム歩行器を76%が使用しており、地域高齢者は88%が何も持たずに歩行

・入院患者が入院前の活動量を質問紙表で調べると、地域高齢者よりも低い活動量であった。また、活動レベルも低かった。

 

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疾患が混在しているし歩行器使用者が多いが、要するに普段から活動量が低い高齢者が入院しているということと、入院しても地域高齢者には及ばなかったということだと思う。

この1時間の活動とは、病院で3単位リハをしてそれ以外はベッドで寝ているという生活が想像できる。

考察にあるが、リハプログラムから日中の活動レベルを上げるという患者の主体的な行動に結びついていないことを示唆しているとのこと。んー、確かに…

リハのためのリハを生活の中に浸透させていくか、大きな課題だと思う。

入院中にどのくらい活動していたら再入院しにくいのだろう。



2016/10/11

嚢胞性肺線維症の排痰にNIVを使用した

Non-invasive ventilation used as an airway clearance treatments improves lung function during an acute exacerbation of cyctic fibrosis:a randomised trial

J Physiother. 2015 Jul;61(3):142-7

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26096013

 

目的

嚢胞性肺線維症の急性増悪時に非侵襲的換気(NIV)は気道クリアランスの付属として有効かを検討すること。

 

対象

40の成人嚢胞性肺線維症で、中等度から重度の患者。急性増悪で入院している。

 

介入

包括的な入院ケア(コントロールグループ)と同様のケアに気道クリアランス中のNIVを追加(介入グループ)を比較。介入は入院2日目から退院時まで実施。

アウトカムは肺機能、日中症状の程度、疲労感をthe Schwartz Fatigue Scaleで評価(7点から63点高得点ほど疲労が強い)QOL、運動耐容能、入院期間次回入院までの時間

 

結果

介入グループはFEV1.0が大きく改善していたが、統計的な有意差はなかったしかし退院時のFEV1.0はコントロールグループよりも良好であった疲労感も介入グループの方が良好

症状の程度やQOL、運動耐容能、入院期間、次回入院までの時間は両グループで変わりなかった。

 

結語

嚢胞性肺線維症の急性増悪で入院している患者にNIVを使用すると、FEV1.0と疲労感が改善した

 

・介入は、すべての患者にACBT(Active Cycle of Breathing Technique)を指導PTが徒手パーカッションやバイブレーション体位ドレナージ呼気陽圧呼吸などを追加して伝えるかを決めた

入院時にNIVに適応するためのセッションに参加2日目に機械を渡され理学療法中と安静時にNIVを実施

・症状の評価(呼吸困難と痰の量)VASを使用呼吸筋力も測定している。QOLは嚢胞性肺線維症特異的QOL評価(CFQ)を使用

・NIV併用した方がFEV1.0の改善が大きい

 

・吸気筋力は有意な改善

・再入院までの期間はほぼ同じような傾向。

 

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以前、気管支拡張症+COPD+喘息という方がいた。NPPVを使用してから喘息症状はほぼ無くなり、閉塞した気道を開くことで自己排痰もできるようになった。

今回は疲労感の軽減に有意差があったが、排痰をするということは非常にエネルギーを使うことを再確認。

NPPV併用することで痰量が増えて、かつ増悪も予防できればいいのだが。



2016/10/07

市中肺炎で入院した患者に運動療法は有効か?

Inpatient rehabilitation improves functional capacity,peripheral muscle strength and quality of life in patients with community-acquired pneumonia : a randomised trial

J Physiother. 2016 Apr;62(2):96-102


目的
市中肺炎で入院した患者は、運動をベースにしたリハビリプログラムが機能的アウトカム、症状、QOLを改善させ、入院期間を呼吸理学療法よりも短縮させるかについて検討。

対象
49人の成人市中肺炎で入院した患者

介入
介入グループ(n=32)はウォームアップストレッチ骨格筋力トレーニング、一定のスピードで15分の歩行を実施コントロールグループはパーカッション、圧振動(vibrocompression)呼吸運動、自由速度歩行を実施
介入は8日間継続した。

アウトカム評価
プライマリーアウトカムはGlittre ADLテスト(いくつかの課題を完了するまでの時間を評価)セカンダリーアウトカムはISWTの距離筋力QOL、息切れ、肺機能CRP入院期間

結果
介入グループの方が、Glittre ADLテストISWTQOL(SF-36)、息切れ(MRC)筋力でより大きく改善していた肺機能CRP入院期間は差がなかった

結語
機能的アウトカムは標準的な呼吸理学療法で改善していた。運動療法は機能的能力に有益な効果をもたらす。

・対象は18以上、入院から48時間以内、覚醒良好、急性期を脱している者。認知症、慢性呼吸器疾患、骨関節疾患は除外。
1日50分の運動セッションを8日間実施ウォームアップ5分ストレッチ5分筋トレ25分有酸素運動15分
・筋トレは最大筋力の70%で8回を3セット1分休憩をはさみながら実施歩行もISWTの70%で実施
・予測最大心拍数の70%もしくは、ボルグスケールで4-6ので実施
・年齢:51-59歳BMI23-35


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肺炎以外の基礎疾患は除外していて急性期を脱している患者ってことは、要するに肺炎で入院した患者の廃用に対しての運動療法の効果ってことに近いんじゃないか?
そりゃ60歳以下の人にこれだけ高負荷で運動できれば、改善するのは当然だろうな。


2016/10/06

間質性肺炎における6分間歩行テストのMCID

Validation of test performance characteristics and minimal clinically important difference of the 6-minute walk test in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.

Respir Med. 2015 Jul;109(7):914-22.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25956020

 

背景

6分間歩行テスト(6MWT)はIPF患者のアウトカム評価として妥当で反応性のある評価である。

 

目的

IPF患者の独立コホートで、6分間歩行距離(6MWD)のパフォーマンス特性を明らかにし、臨床的最小有効改善値(MCID)を推定すること。

 

方法

無作為に第3相試験に割り当てられた患者で、ベースラインの6MWDを記録している患者を対象とした。6MWDと他のパラメーター(肺機能呼吸困難健康関連QOL)をベースラインと24週に測定妥当性と反応性はSpearmanの相関係数を使用MCIDの推定には、ディストリビューションベースとアンカーベースを使用

 

結果

338の患者が対象。ベースラインの6MWDは肺機能QOLと相関ベースラインの6MWDと比較すると6MWDの変化(反応性)は肺機能とQOLの変化と強い相関があった。呼吸困難(USCD-SOBQで評価)は6MWDと強い相関を示したディストリビューションベースで標準誤差を使用したMCIDは37m効果量を使用したMCIDは29.2m。アンカーベースでのMCID(アンカーは入院や死亡など健康イベント)は21.7m

 

結語

6MWDは妥当で反応性があり、機能的状態や短期間の進行など、臨床的に有益な情報を提供するこれらの結果はIPF患者の独立コホートにおいてこれまでに報告されている。

 

・これまでの報告されているIPF患者のMCIDは10-58mと幅がある。大規模研究の結果は24-45m

・評価項目:肺機能(FVCDLCOA-aDO2)呼吸困難(UCSD-SOBQ)SGRQ

・反応性はベースラインと48週後を比較6MWDのベースラインからの変化と24週1年後の死亡リスクを評価

・対象の平均年齢66.5歳男性が72.5%平均6MWD404.6m平均%FVC74.7%、安静時A-aDO2 17.8mmHg酸素療法使用者71名(21%)

・各パラメーターと平均6MWD:それぞれのパラメーターが低下すると6MWDは短縮傾向にある

・各パラメーターの変化と6MWDの変化:パラメーターが改善していても歩行距離はわずかにでも短縮している

 

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半年や1年後には肺機能やQOLが維持できていても歩行距離は低下している傾向なので、改善というよりも今の運動機能を維持していくことが最大の目標であり難関であると思う。

酸素療法をほとんど開始していない対象でこの結果なのだから、酸素を開始する前に発見して早く対策していく必要があると再確認。



2016/10/05

IPFでのSF-36とSGRQ(健康関連QOL)の妥当性とMID

The SF-36 and SGRQ:Validity and first look at minimum important differences in IPF

 

背景

健康関連QOL(HRQOL)は薬剤試験において重要なアウトカムである。IPF患者でSF-36とSGRQがどのように表出されるのかあまり知られていない

 

目的

SF-36とSGRQの妥当性を評価し最小有効改善値(MID)を推定すること。

 

方法

臨床試験に参加しているIPF患者を対象にSF-36SGRQBDITDIをベースラインと6カ月後に評価疾患重症度ごとにHRQOLスコアの変化を比較し臨床的アンカー(FVCDLCO呼吸困難)によって6カ月後の変化を比較したそれぞれのドメインでアンカーベース分布ベースの方法を使用してMIDを推定した

 

結果

この縦断研究においてSF-36,SGRQの妥当性を支持したドメインスコアの平均変化はアンカーによって状態か改善した患者とそうでない患者に大きな差があったMIDはSF-36で2-4点SGRQで5-8点と推定された

 

結語

IPFにおいて、SF-36とSGRQは重症度の変化にたいする有意な妥当性を示した更なる検証プロセスと、SF-36とSGRQのMIDの精度を高めること、これらの評価よりもよりよい疾患特異的な指標の特定が必要である

 

・N=158。対象平均年齢65歳、BMI29.18、ベースラインFVC2.64L、%FVC66.97%

・SF-36とは、8つの小項目と2つのサマリースコアからなる。点数が高いほうがQOLが高い

・SGRQとは、3つの小項目と合計スコアで表す。点数が低いほうがQOLが高い

 

・DLCOの変化量とSF-36の変化量。PCS:身体的QOLのサマリースコア、MCS:精神的QOLのサマリースコア

・DLCOの改善が大きいほどQOLの改善も大きい

 

・DLCOの変化とSGRQの変化

・DLCOが減少した方がSGRQは低い

 

・FVCの変化とSF-36の変化

・FVCの改善が大きいとSF-36の改善も大きい

 

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COPDにおけるSGRQのMIDは4点と一般的に言われている。

重症度毎に、MCIDも変わっていくようなので、IPFでも今後出てくるかも。

SGRQの図は肺機能の改善とQOLの改善が一致していないが。。



2016/10/04

間質性肺炎に対する運動療法の効果

Exercise Training-Based Pulmonary Rehabilitation Program Is Clinically Beneficial for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Respiration 2014;88:378–388

背景
特発性肺線維症(IPF)慢性で荒廃している間質性肺疾患で、いくつかの治療法がある。IPFは拘束性の肺で、呼吸困難低酸素血症、運動耐容能低下QOL低下が特徴である。
この研究の目的は、IPF患者の運動療法による臨床的アウトカムの効果を検討すること。

方法
32人のIPF患者を対象としたRCT。運動療法グループ(n=15)は12週間参加週2回1回60分の運動を中心とした呼吸リハプログラムを実施対照群は(n=17)通常の薬物療法のみを継続した。心配運動負荷試験6分間歩行距離(6MWD)30秒椅子立ちテスト肺機能検査呼吸困難QOLをベースラインと12週間後に評価

結果
運動療法グループと対照群で著しく差があった変化は⊿6MWD:81m、⊿VO2:2.6ml/kg/min⊿負荷:22W⊿有酸素閾値(AT):3.1ml/kg/min⊿%FVC:6%
。その他の評価も改善していた。

結語
運動療法は運動耐容能、肺機能、呼吸困難、QOLを改善させる。短期間の治療が臨床的に効果的であったため、IPFの標準的治療として考慮すべきである

・運動は6週間1ブロックの漸増プログラムを実施
・第1ブロックは、インターバルトレーニングを実施。5-8分のウォームアップ(ストレッチや深呼吸)後メインの運動を30分(有酸素インターバルトレーニング)実施トレッドミルや自転車エルゴ、段差昇降
5分の運動と1分の休憩を5セット繰り返す。運動時間が15分になるように設定している
・自転車エルゴの運動強度は、運動負荷試験の最大負荷の50-60%6MWDの平均歩行速度の70-80%。自覚症状で、修正ボルグスケールで3-5のレベル(ややきつい程度)
・それぞれのセッションの間に、35mのコースで自分のペースで5-8分歩行
・筋トレは10、ダンベルなどを使用して上下肢とも実施。1セット12-15分中等度の負荷(修正ボルグ3-5)で実施セッションのに1分間の休憩
・第2ブロックは有酸素運動を連続20分実施。エルゴの負荷は最大負荷の60-70%トレッドミルは平均歩行速度の80-90%まで増加
・段昇降を3-5分筋トレやストレッチの負荷も増加。修正ボルグで4-6のレベルを実施

・対象特性:有意差は無い


・ベースラインからの変化量:運動能力が上がり、息切れが軽減し、QOLも改善した

・運動能力の変化

・6MWDの変化量:IPFのMCIDを25mとしている。


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動作時酸素吸入をしているのが3割程度いるけど、これだけ負荷をかけて運動できればIPFでもかなり改善する。
しかし、この運動量を維持していくのは周りのサポート無しには継続できないように思う。


2016/10/03

呼吸リハに身体活動性のカウンセリングを加えると活動量は増えるのか

Physical Activity Counselling during Pulmonary Rehabilitation in Patients with COPD:A Randomised Controlled Trial

PLOSONE December23,2015

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26697853

 

背景

呼吸リハプログラムはCOPD患者の日常身体活動レベルをわずかであるが向上させる。このRCTでは中等度から最重症のCOPD患者において、日常身体活動レベルが呼吸リハ中の活動に特化したカウンセリングプログラムの付加価値があるかについて検討した

 

方法

80人の患者(平均年齢66歳%FEV1.0 45%)6カ月の包括的な呼吸リハプログラムに無作為に分けたこの介入群は、8つのセッションからなる活動カウンセリングプログラムを受講した。プライマリーアウトカムは一日の歩行時間と少なくとも中等度の活動強度で過ごした時間

 

結果

ベースラインの歩行時間は両群とも似ていた(33分 vs 29分)しかし、中等度以上の活動時間は介入群が多少高かった(17分 vs 12分)介入時間の相互作用は日中活動レベルにもたらされた両方のグループで日中歩行時間と中等度以上の活動時間に著しい変化はなかった

 

結語

今回の研究で8つの活動特異的なカウンセリングはCOPD患者の活動レベルの向上への付加価値がなかった。

 

 

・呼吸リハは両グループとも6カ月実施。運動を中心に実施。教育プログラムも実施している。運動は上下肢の筋トレ、持久力持久力トレーニングを実施

・運動の頻度は、最初の3ヶ月は週3回次の3ヶ月は週2回時間は40-60分から初めて最終的には60-90分に延長

・運動負荷は中等度から高強度にて実施

・カウンセリングは20-30分実施最初は行動変容への意欲や自己効力感を評価カウンセリングセッション中活動度計で活動レベルをフィードバックし、行動変容のモチベーションになるように使用した

・最初の評価でモチベーションが高かった患者には、アクションプランの介入やゴールセッティングを実施。モチベーションが低い患者には、モチベーションを向上させるようなインタビュー形式を採用。

・結果、ベースラインと比べて、3か月後の歩数と2METs以上の活動時間は有意に改善その後6カ月ではベースラインに戻っている

 

・活動時間は、ベースラインで比較的歩いていた患者は歩数は若干多く増えている

 

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一般的な呼吸リハプログラムにカウンセリングを加えてもあまり効果はなかった。これによると、呼吸リハの効果は半年もすれば無くなっていることになる。

カウンセリングに時間を割くよりも、活動的になる環境づくりを考えたほうが早いのかもしれない。



ICUにおける高頻度胸壁オシレーションの効果

What Is the Best Pulmonary Physiotherapy Method in ICU?

Can Respir J. 2016;2016:4752467

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27445542

 

目的

高頻度胸壁オシレーション法はICU入室患者に有効か検証すること。

 

背景

30人の患者が対象コントロールグループ(15人)は通常通りの呼吸リハを実施研究グループ(15人)は通常の呼吸リハに加えて高頻度胸壁オシレーション法( high frequency chest wall oscillation :HFCWO)を実施APACHEⅡ乾燥した痰の重さ、肺崩壊指数(lung collapse index)血ガスを24時間48時間72時間後に測定し気管内培養菌は最初と72時間後に評価人工呼吸期間とICU入室期間を評価

 

結果

APACHEⅡスコアは両グループで差がなかった乾燥した痰の重さは72時間時点で研究グループの方が多かった。肺崩壊指数は研究グループで48時間後と72時間後に減少していたPaO2は研究グループで72時間後に有意に増加していた。陽性培養は72時間後に20%に減少していた。人工呼吸期間とICU入室期間に差はなかった

 

結語

HFCWOは非常に高価な道具であるが技術と併用することで、通常の呼吸リハ以上に、無気肺や入院を要する肺炎を予防出来るかもしれない。挿管期間とICU入室期間に差はなかったしかし、更なるコントロール研究がICUでの使用のためには必要である

 

・高頻度胸壁オシレーション法とは、気道の痰を柔らかくし、咳のような効果を作り出す。専門家に依存せずに、標準的な機械療法を行うことが重要

・患者は3日以上ICUにて挿管していた患者

・コントロール群は通常のリハ(胸壁パーカッション体位ドレナージ)3時間ごとに気道誤嚥を確認

・介入群は、通常の呼吸リハに加えて72時間HFCWOを実施7-10Hzの振動を胸部に巻いたパッドに与え、3mmHgを1日4回15分間実施

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HFCWOはスマートベストのことのようだ

http://www.tokibo.co.jp/products/phc_rse/detail/138.html

あまりこの機械を慢性期にて使用して効果があったという報告が無いからなあ。。。