Validation of test performance characteristics and minimal clinically important difference of the 6-minute walk test in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.
Respir Med. 2015 Jul;109(7):914-22.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25956020
背景
6分間歩行テスト(6MWT)はIPF患者のアウトカム評価として妥当で反応性のある評価である。
目的
IPF患者の独立コホートで、6分間歩行距離(6MWD)のパフォーマンス特性を明らかにし、臨床的最小有効改善値(MCID)を推定すること。
方法
無作為に第3相試験に割り当てられた患者で、ベースラインの6MWDを記録している患者を対象とした。6MWDと他のパラメーター(肺機能、呼吸困難、健康関連QOL)をベースラインと24週毎に測定。妥当性と反応性はSpearmanの相関係数を使用。MCIDの推定には、ディストリビューションベースとアンカーベースを使用。
結果
338人の患者が対象。ベースラインの6MWDは肺機能、QOLと相関。ベースラインの6MWDと比較すると、6MWDの変化(反応性)は肺機能とQOLの変化と強い相関があった。呼吸困難(USCD-SOBQで評価)は6MWDと強い相関を示した。ディストリビューショべンベースで標準誤差を使用したMCIDは37m、効果量を使用したMCIDは29.2m。アンカーベースでのMCID(アンカーは入院や死亡など健康イベント)は21.7m。
結語
6MWDは妥当で反応性があり、機能的状態や短期間の進行など、臨床的に有益な情報を提供する。これらの結果はIPF患者の独立コホートにおいてこれまでに報告されている。
・これまでの報告されているIPF患者のMCIDは10-58mと幅がある。大規模研究の結果は24-45m
・評価項目:肺機能(FVC、DLCO、A-aDO2)、呼吸困難(UCSD-SOBQ)、SGRQ
・反応性はベースラインと48週後を比較。6MWDのベースラインからの変化と24週、1年後の死亡リスクを評価
・対象の平均年齢66.5歳、男性が72.5%、平均6MWD404.6m、平均%FVC74.7%、安静時A-aDO2 17.8mmHg、酸素療法使用者71名(21%)
・各パラメーターと平均6MWD:それぞれのパラメーターが低下すると6MWDは短縮傾向にある
・各パラメーターの変化と6MWDの変化:パラメーターが改善していても歩行距離はわずかにでも短縮している
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半年や1年後には肺機能やQOLが維持できていても歩行距離は低下している傾向なので、改善というよりも今の運動機能を維持していくことが最大の目標であり難関であると思う。
酸素療法をほとんど開始していない対象でこの結果なのだから、酸素を開始する前に発見して早く対策していく必要があると再確認。