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2021/12/22

サルコペニアと誤嚥性肺炎

Association between sarcopenia and pneumonia in older people

Geriatr Gerontol Int (IF: 2.73; Q3). 2020 Jan;20(1):7-13.


肺炎は、高齢者の主な死亡原因であり、死亡数は上昇している。現在の肺炎管理ガイドラインは、病理思考型戦略による抗菌薬治療が基になっている。
肺炎で入院している高齢患者は、誤嚥性肺炎の発生率が高い。
誤嚥性肺炎の主な原因は、嚥下と咳嗽反射の障害である。
これらの要素は、現在の管理戦略の限界を示しており、新たな治療戦略が必要である。

サルコペニアは、加齢による筋力と筋肉量の減少、身体機能低下である。
近年、嚥下筋の筋力・筋量低下と、嚥下機能障害との関連が示唆されている。

全身性および嚥下筋のサルコペニアによる嚥下障害のことを”サルコペニア嚥下障害”と呼ばれている。
いくつかの研究で、誤嚥性肺炎とサルコペニア嚥下障害の関係が報告されている。

咳嗽反射と咳嗽力は誤嚥性肺炎を予防し、咳嗽力は呼吸筋力によって規定される。

いくつかの研究で、高齢者の肺炎と筋力の関連が報告されている。
サルコペニアは高齢患者の肺炎のリスク因子であり、誤嚥性肺炎で入院した患者で筋肉量が低いと高い死亡率を示す。

動物モデルと人間において、呼吸筋、嚥下筋、骨格筋の筋萎縮は誤嚥性肺炎を引き起こす。

呼吸筋力と肺炎の関係は現在調査中である。

サルコペニアの評価と管理は、高齢肺炎患者の予防と治療の新たな治療戦略となり得るかについての研究は最近始まったばかりである。

【サルコペニア嚥下障害】
オトガイ舌骨筋と舌筋は主な嚥下筋であり、舌圧は主に嚥下筋力の指標として用いられる。
高齢者のオトガイ舌骨筋は、若年者と比べて、筋肉量が少なく、脂肪浸潤が多い。
オトガイ舌骨筋の減少は、嚥下機能の低下を招く。
舌圧が良好であると、経口摂取の機能が良い。

いくつかの報告で、全身筋力と嚥下機能が関連している一方で、舌圧は握力と関連していた。
高齢入院患者において、サルコペニアは嚥下障害のリスク因子である。

サルコペニア嚥下障害を最初に報告した論文(2012年)では、水嚥下テストと上腕周径に軽度の相関を認めた。
嚥下障害は嚥下反射障害だけでなく、全身と嚥下筋の筋力低下も関連している。

【誤嚥性肺炎のリスク因子と予防】
口腔内細菌の誤嚥による下気道感染症が誤嚥性肺炎の原因として最も重要。
高齢者において、不顕性誤嚥が他の病理タイプよりも、肺炎の原因として最も多い。

嚥下障害によって誤嚥は生じるが、咳嗽によって気道外へ除去されれば、肺炎になることは稀である。

サブスタンスPは咳嗽反射と嚥下に影響する神経伝達物質である。アンジオテンシン変換酵素(ACE)はサブスタンスPを分解する。
Yamayaらは、抗菌薬治療は肺炎を予防せず、誤嚥したものの病原菌をへらすことが重要であると示した。
口腔ケアは、肺炎の発生率を減少させる。

ACE阻害薬は、咳嗽と嚥下反射の感度を向上させる。
さらに、脳卒中患者において、ACE阻害薬は肺炎の発症を予防した。

カプサイシンは、サブスタンスPの放出を促進し、嚥下反射を改善させる。

肺炎の再発のリスク因子として、肺がん、COPD、吸入ステロイド、睡眠薬があり、一方、ACR阻害薬は再発リスクを減少させた。

2017/10/05

COPD増悪と嚥下時の呼吸パターンの関係

Breathing–swallowing discoordination is associated with frequent exacerbations of COPD

BMJ Open Resp Res 2017;4:e000202.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28883930

<背景>
呼吸と嚥下の協調性の障害(共同運動不全)は、COPDの急性増悪の著明なリスクファクターになるかもしれない。COPD患者の呼吸と嚥下の共同運動不全を非侵襲的な方法で調査し、量COPD増悪との関連を調べた。

<方法>
65人の安定期外来COPD患者をリクルート。嚥下障害の有無は明らかになっていない。COPD増悪は、1年前と1年後にモニタリングを実施。
吸気中の嚥下(I-SW pattern)と吸気後すぐの嚥下(SW-I pattern)に分けた。


<結果>
吸気中の嚥下もしくは嚥下後吸気は21.5%。2年間の追跡中、48回の増悪(25人)があった。
I-SWもしくはSW-Iは、増悪の頻度と著明に相関。追跡期間中、フードテストを行って、
I-SWもしくはSW-Iが高かった患者は、将来の増悪を予測した。

<結論>
呼吸と嚥下の協調不全は、COPD増悪の頻度と強く関係していた。呼吸と嚥下の協調性と
高めるためのアプローチが、COPDの新たな治療になるかもしれない。


・京都大学でのスタディ
・平均年齢71.9歳、過去4週間症状の増悪が無いCOPD患者が対象。
・ベースラインで嚥下機能テスト、肺機能検査、呼吸症状(CAT)や逆流性食道炎(FSSG)に関する質問表を回答

・増悪の定義は、過去2日間連続して、2つ以上の主な症状が出現、薬剤の変更があった場合
・嚥下のモニタリング:呼吸のフロー、嚥下音、候咽頭の動きを解析。座位で、4種類の食事形態(ソフトゼリー、ハードゼリー、ピュレ、水)を2回ずつ(計8回)摂取。3gもしくは3mLを噛まずに自力で嚥下を行ってもらう。
嚥下のモニタリングシステム

・嚥下と呼吸パターンについて下の図に示す。Aは正常のパターン、BとCは異常パターン(嚥下と呼吸が共同運動できていない)。
嚥下と呼吸パターン
A:呼気―嚥下ー呼気
B:吸気ー嚥下ー呼気⇒I-SWパターン
C:呼気ー嚥下ー吸気⇒SW-Iパターン
・2年間の追跡期間中の増悪の有無で比較すると、増悪があった患者は、逆流性食道炎の症状が強く、肺機能が低下しており、異常嚥下パターンが多く、嚥下発現までの時間が長かった。
・多変量解析で、増悪の頻度と関連を示したのは、異常嚥下パターンと、吸気予備量はCOPD増悪と独立して関連。
・異常嚥下パターンが最も出現した食事形態は、ピュレと水

・増悪までの日数を比較すると異常嚥下パターンを示している方が、増悪頻度は高かった。
a:全てのフードテストでの異常嚥下の有無で比較
b:ゼリーで異常嚥下が出現したかで比較

・結果は、先行研究を支持するものであった。食事形態で嚥下パターンが変化していたというのは興味深い結果であった。

2017/09/18

誤嚥性肺炎患者と市中肺炎患者の特性の違い

Comparison of clinical characteristics and outcomes between aspiration pneumonia and community-acquired pneumonia in patients with chronic obstructive pulmonary disease

BMC Pulmonary Medicine (2015) 15:69

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26152178

<背景>
COPD患者は、年齢や多数の併存症などによって、嚥下障害がよくあり、誤嚥性肺炎につながる。COPD患者は、市中肺炎のリスクも高い。目的は、日本の入院患者データベースを用いて、COPD患者において誤嚥性肺炎と市中肺炎の臨床的特性の違いを比較することと、入院中の死亡に影響する要因を見つけること。

<方法>
2010年から2013年の間に日本の1165の病院に誤嚥性肺炎もしくは市中肺炎で入院した40歳以上のCOPD患者を後方視的に収集した。多重ロジスティック回帰分析で全ての原因の死亡に影響する因子を検討した。

<結果>
87330人が対象。誤嚥性肺炎患者は、市中肺炎患者よりも高齢、男性、全身状態不良、重症の肺炎であった。誤嚥性肺炎で病院で死亡した患者は22.7%、市中肺炎は12.2%
患者背景を補正して、誤嚥性肺炎患者は、市中肺炎患者よりも死亡率が高かった(補正オッズ比1.19)。
サブグループ解析にて、死亡リスクの高さと関連していたのは、男性、低体重、呼吸困難感、身体不活動、肺炎の重症度、いくつかの併存症。
更に、市中肺炎患者では、高齢、意識レベルの低下が高い死亡率と関連。一方の誤嚥性肺炎では関係していなかった。

<結論>
誤嚥性肺炎と市中肺炎では臨床的特性が異なっていた。誤嚥性肺炎患者は市中肺炎患者よりも死亡率が高かった。


・評価項目
息切れ:Hugh-Jones、意識レベル:JCS、ADL:Bathel index、肺炎の重症度:A-DROPスコア
・A-DROPスコア:日本呼吸器学会が作成した肺炎重症度スコアリングシステム。軽症0、中等症1-2、重症3、最重症4-5
詳細はhttp://asunorinsho.aichi-hkn.jp/wp-content/uploads/2015/08/2007_1901_061.pdf
・臨床的アウトカム:全死亡原因による死亡率、ICU在室日数、人工呼吸管理の必要、人工呼吸管理日数、人工呼吸管理を行った患者の死亡率

・誤嚥性肺炎のBMIは18.5。息切れが強い、意識レベル低下、Bathel indexが低いのも特徴。
・誤嚥性肺炎は、ICU在室日数、人工呼吸管理日数のいずれも長い。人工呼吸管理をして死亡した患者は、誤嚥性肺炎の51.8%。市中肺炎は41.4%)

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誤嚥性肺炎は高齢になってくるほど、回復が難しいし、ICUに在室している間や治療中に、経口摂取が難しい状態だったとすれば、なお難しくなる。
日ごろからの健康管理で予防していくことが求められる。

低体重は重症の肺炎や長期予後不良と関連していることが既に報告されている。COPDでは誤嚥性肺炎が短期予後の不良と独立して関連していることが言われている。(考察より)


2017/09/15

脳卒中後の患者に呼吸筋トレーニングをして咳流速が速くなるか。

Does Respiratory Muscle Training Improve Cough Flow in Acute Stroke? Pilot Randomized Controlled Trial

Stroke. 2015 Feb;46(2):447-53.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25503549

<背景>
咳は誤嚥を予防する。今回、呼吸筋トレーニングが、呼吸筋力や咳の機能を向上させ、急性期脳卒中患者の肺炎を減少させることができるのではないかどうかを検討した。

<方法>
単盲検無作為化試験で実施。受傷から2週間以内の82人の脳卒中患者が対象(平均年齢64歳)。参加者は治療グループか参加者かの分類はマスクし、呼気筋トレーニング(27人)、吸気トレーニング(26人)、シャムトレーニング(25人)に分け、4週間実施。
プライマリーアウトカムは自立での最大咳流速の変化量。ITT解析でANCOVAを使用し、ベースラインの補正をした。

<結果>
平均最大吸気圧(+14 cmH2O)と呼気圧(+15 cmH2O)、最大咳流量(+74 L/min)が、ベースラインと28日後を比べて著明に改善。カプサイシンを付加した最大咳流量は、変わらなかった。呼吸筋トレーニングと対照グループで、違いは無かった。
グループ間で90日以内の肺炎の発生も違いが無かった。

<結論>
呼吸筋機能と咳流速は、急性脳卒中後に改善した。
呼吸筋トレーニングは、これらの改善には関与しなかった。


・呼吸筋トレーニングはThreshold IMT; Threshold PEPを使用し、4週間実施。10回の呼吸を5セット、間に1分間の休みをはさみながら実施。負荷量は最大吸気・呼気圧の50%。毎週呼吸筋力を測定し、負荷の設定を調整。
シャムトレーニングは、呼吸筋力の10%で実施。
・日誌に、トレーニングの記録や日々の状態などを記入し毎週トレーニング時に見せた。

・咳流速は、ニューモタコグラフ(呼吸流量計)で測定。
自発の咳流速はマスクを密着させて測定。
反射の咳は、カプサイシンを含んだ液体をネブライザーで吸入し咳を誘発。


ベースラインの咳流速(自発)は、470L/min前後。咳流速(反射)は300L/min前後。

これまでの研究結果。
PImaxは1本だけ咳流速が増加したと報告があるが、
ほとんど有意な改善が無かったという結果になっている。

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咳流速には、呼吸筋力はそれほど関連していないのかもしれない。
ベースラインで400L/min以上あるので、改善の余地が少なかった?

2017/03/27

誤嚥性肺炎の既往がある高齢者に発声練習をした

Independent exercise for glottal incompetence to improve vocal problems and prevent aspiration pneumonia in the elderly:  A randomized controlled trial

 

2016 Oct 14

 

http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0269215516673208?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed

 

目的

声門閉鎖不全の高齢者に発声練習を行った効果を検討すること

 

方法

60歳以上誤嚥もしくは嗄声がある、内視鏡で声帯萎縮による声門閉鎖が不十分であるとされた者が対象

無作為に介入グループとコントロールグループに分けた。

介入グループはDVDで発生の方法について説明を受けた。

最大表音時間を声門閉鎖の指標として評価。6か月間の肺炎の発症患者数を2グループ間で比較した。

 

結果

543人の患者が対象259人は介入グループ284人はコントロールグループ

介入グループの60、コントロールグループの75人はトライアルを完了できなかった

介入グループは199人(平均73.9歳)、コントロールグループは209人(平均73.3歳)が6か月間のトライアルを完了

介入グループは最大表音時間が著しく延長。

介入グループのうち2人は肺炎で入院コントロールグループは18人が入院し、有意差がった。

 

結語

発声練習は、声帯の内転運動を引き起こし、声門閉鎖不全を改善した。肺炎による入院数を減少させた。

 

・国立病院機構グループの10施設で行われた研究。

・選択基準は60歳以上、嗄声がある、声門閉鎖不全による誤嚥、声帯萎縮

・除外基準は、外科手術、発生ができない、ポリープや腫瘍、急性感染症など

 

・発声練習の方法

1.椅子に座り、両手でシートの横をつかむ

2.1-10まで大きな声で数える声を出しているシートをしっかりと引上げ、息を吸うときはリラックスする

3.朝晩に2セットずつ1日合計4セット行う。1セットあたり30秒で行う。

・ポイント

発声と椅子を引き上げる動作を同調させること。

発声中は同じ力で引き揚げ続けること。

それぞれの数時はおよそ0.3-0.5秒で発声し、次の数を言うまではリラックスする。

このような短時間の発声で、候咽頭窩の収縮と上肩甲骨の安定が得られる。

 

・発声時間の評価

「あー」と息継ぎなしにどれだけ長く発声できるかで、5グループに分けたA5秒以下、B5-10秒C10-15秒D15-20秒E20秒以上

 

・各グループ6カ月のトライアル後発声時間が有意に延長している。

 

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日本人の高齢者を対象にした報告。

よく話をすることがある人は、もしからしたら、誤嚥しにくいのかも。

 



2016/04/09

誤嚥性肺炎のリスクファクターは?

高齢者の誤嚥性肺炎のリスクファクター
PLoS One. 2015; 10(10): e0140060

背景
誤嚥性肺炎は市中肺炎や院内肺炎の多くを占めており、高齢者の死亡原因を導いている。しかしながら、高齢者の誤嚥性肺炎の発生に関するリスクファクターは十分に検討されていない。本研究の目的は、高齢者の誤嚥性肺炎のリスクファクターを決定することである。

方法と主な結果
日本の高齢者医療・介護センターの全国的な調査データを使用して検討した。本研究の対象は9930人の患者が含まれ(年齢中央値86歳女性76%)2グループに分けられた:過去3か月間で誤嚥性肺炎の既往がある患者と無い患者人口統計的臨床状態ADL、主な疾患のデータは誤嚥性肺炎の有無による2グループで比較した。259人(全体の2.6%)が誤嚥性肺炎のグループ
単変量解析で、高齢は誤嚥性肺炎のリスクファクターではなかった喀痰吸引日常的な酸素療法摂食サポートに依存、尿道カテーテルがリスクファクターであった。
多重ロジスティック回帰分析では、誤嚥性肺炎と関連していたものは、喀痰吸引、過去3か月の嚥下機能の悪化、脱水、認知症であった

考察
誤嚥性肺炎のリスクファクターは喀痰吸引と嚥下機能の悪化、脱水、認知症であった。これらの結果は、繰り返す誤嚥性肺炎の臨床的管理の向上に役立つかもしれない。

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n数が誤嚥性肺炎群が259人肺炎無し群が9671人と差が大きすぎて、統計的に大丈夫なのかとも思うけど、結果には納得
誤嚥予防のためには、吸引しなくても痰が出せるようにして、絶食にはせず、水分を取って、認知症予防。
患者背景にはちょっと疑問だが…