Thorax 2026;0:1–8.
https://thorax.bmj.com/content/early/2026/04/10/thorax-2025-223734
【abstact】
呼吸リハの効果は、6−12ヶ月で減少する。これまでの維持プログラムは、労働を要するものであり2次医療機関の利用についてのみ述べられていた。
身体活動の自己管理プログラム(SPACE)の介入効果を検証した。
COPD患者を1:1の割合でSPACEグループと通常ケアグループに分けた。
自宅での運動と4回のグループセッションを12ヶ月以上行った。
プライマリーアウトカム:12ヶ月後のISWT
セカンダリーアウトカム:最大運動耐容能、感情、患者の主体性、身体活動、医療コスト、HRQOL
116人の患者をリクルート。平均年齢71.8歳
SPACE完了率は83%
12ヶ月後のアウトカム(プライマリー、セカンダリー)に両グループ間に差はなかった。
経済評価では、12ヶ月後のHRQOLは良好であり、QALYのグループ差は0.0871であり、国民健康サービス(NHS)のコストは患者一人当たり139ユーロ(約2万5千円程)減少した。
運動耐容能は両グループとも維持されていた。
介入グループは12ヶ月後のHRQOLが改善しており、費用対効果に優れていた。
【intro】
・COPDにおける呼吸リハ(PR)は身体的、精神的に高い効果を示すことが明らかとなっている
・しかし、重要な効果は、患者がライフスタイルを変容しなければ維持することはできない
・維持プログラムとは、"PRプログラムよりも低い頻度で行う監視下の運動"と定義され、その効果は、ATSやBTSからも情報提供がなされている。
・ATSから出された2つのsystematic reviewにおいて、多くの維持プログラムは労働的な介入であった(頻繁な対面訪問や電話など)。通常ケアよりもこれらの方法は優れているとされているが、期間や方法の統一がなされていなかった(heterogeneous)
・今後の維持プログラムは、行動変容テクニックに基づいて行われるべきであると述べられている
・SPACE for COPD(Self-management Programme of Activity, Coping and Education)は、モチベーションを高めるようなインタビュー手法を用いて患者の行動変容をサポートする
・先行研究において、この手法は人員的、コスト的にも"軽い"介入である
・この研究の目的は、通常ケアと比較して、SPACE for COPDがISWTを主なアウトカムとした際に効果はあるのか、費用対効果はどうかについて検証することである。
【Methods】
・前向き、2施設、検者盲検試験。維持プログラムvs通常ケア
・期間は、COVID-19パンデミックの時期に行われた。
・適格基準:BTSで標準化された呼吸リハを過去4週間以内に完了している(セッションの75%に参加)、COPDの臨床的に診断されている、18歳以上
・除外基準:日常生活活動に支障をきたす疾患がある、英語がネイティブでない。
・通常ケアの内容:運動の継続に関して書面でアドバイスを行い、希望に応じて地域活動への参加を紹介。
・維持プログラム:通常ケアに加えて実施された。目標設定シートと、12ヶ月のうち、等間隔で実施される4回のグループプログラムに参加。
グループは5−10人で構成し、2人の専門家がファシリテートする。
グループセッションは1回2時間。COVID-19パンデミックであり、電話やビデオ通話を用いて行った。
4セッションの内容は、モチベーションを高めるインタビュー、共感、自己肯定感の支持と抵抗感の役割について
・費用対効果分析
健康サービスソースの使用、個別の支出、社会的コストを患者の自己申告と病院の記録で収集。維持プログラムのコストを推定した。
健康リソースの利用はEQ-5D−5Lの違いを比較し、QALYを用いて費用対効果分析を実施
・統計
一般線形回帰モデルを使用しESWTとセカンダリーアウトカムを推定。
【Results】
・呼吸リハを行って退院した677人のうち、116人をランダム化。
・ESWTとISWTはどちらのグループも12ヶ月間維持できていた(Tab.2)。
・EQ-5D-5Lは、ベースラインと6ヶ月後の変化は2グループに差はなかった。介入群の方は、12ヶ月後の結果が良好であった。12ヶ月後のQALYsの平均変化は、−0.0871。
・費用対効果
医療機関の使用は、介入群の方が、12ヶ月間有意に少なかった。処方コストもSPACEグループの方がわずかに低かった。
全体の医療コストは、介入グループの方が通常ケアよりも139ユーロ低かった。
SPACE for COPDを受けたグループの方が、医療コストが低く健康アウトカムが良好であった。
【Discussion】
・自己管理や増悪の症状に気づくことができ、4回のセッションをかかりつけ医の受診と置き換えて考えていた可能性がある。その結果費用を抑えられたのではないか。
・運動療法を行っていないにも関わらず、運動耐容能は維持できていた。参加者は、PRを完了しており、運動と活動の必要性について理解できていたのではないか。通常ケアグループも研究期間中に活動を行っていたため、ESWTの結果に差が出なかったかもしれない。