2017/01/31

LCADLのMDC

Minimal Detectable Change of the London Chest Activity of Daily Living Scale in Patients With COPD

 2014 May-Jun;34(3):213-6.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24531202

 

背景

息切れと疲労感はCOPD患者のADLパフォーマンスを制限している。質問表とスケールを使用してADL制限を評価する。The London Chest Activity of Daily Living (LCADL) scaleは他の評価ツールと比べると、より高度に介入を反映させる。しかし、最小有効改善値(MDC)はまだ知られていない。

目的はLCADLのMDCを決定すること。

 

方法

40人の患者(男性20人、66歳、%FEV1.0 44%)を対象に高強度トレーニングを3ヵ月実施。介入前後のLCADL、SGRQを比較。MDCを推定するために、評価の標準誤差と効果量を使用した(ディストリビューションベース)

 

結果

LCADLのセルフケア、ドメスティック(内面?)、レジャー、合計点数がトレーニング後に改善しており、強い傾向として、身体活動ドメインが改善していた。推定されたMDCはセルフケア0.89、ドメスティック2.60、身体0.44、レジャー0.58、合計点数3.88であった。LCADLの変化量とSGRQの変化量の相関は弱かった( r < 0.4 )

 

結語

この研究ではLCADLの各ドメインと合計点数のMDCを示した。合計点数の4点の変化が意味のある変化として示された。

 

・LCADLとは、4つのドメインによる15項目の質問(セルフケア4項目、ドメスティック6項目、身体的2項目、レジャー3項目)がある。各ADL動作を0-5点で息切れの程度を回答。75点満点で点数が高いほど、息切れが強く、ADLがより制限されていると判定。

・運動は週3回、1回1時間の運動を12週間実施。

・MDCの推定のために、効果量(effect size)と評価の標準誤差(standard error of measurement)を使用。中等度の効果量で臨床的に有効な効果と判断し、スコア変化の0.5SDとして計算。評価の標準誤差は。。。√を使って。。

 

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ADL評価表のMDCを一度見てみたかったが、やっぱり統計が分からない。。。

MCIDを出す統計方法を知っている人がいたら教えてほしい。



2017/01/30

酸素療法を長期間行ったことによる影響

A Randomized Trial of Long-Term Oxygen for COPD  with Moderate Desaturation

N Engl J Med 2016;375:1617-27.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27783918

 

背景

COPD患者における安静時と運動時の中等度低酸素血症に対する長期間の酸素療法の効果については明らかになっていない。

 

方法

安定期COPDで中等度の低酸素血症(SpO2 89-93%)のある患者に酸素投与を行わないよりも行ったほうが、結果として亡くなるまでの時間が長くなるかどうかについて検討7か月間無作為化した34人の患者で、運動時の低酸素血症がある安定期COPD患者(6MWTで5分以上SpO2≧80%維持しており、10秒以上SpO2<90%がある)を含んでおり最初の入院までの期間をプライマリーアウトカムとした対象患者を1:1で長期間酸素療法を行うグループと行わないグループに分けた酸素療法グループは、安静時の低酸素血症があり24時間酸素投与の処方をされており、動作中の低酸素血症のみは運動時と睡眠時の処方としている。

 

結果

738人の患者を1-6年間フォローした亡くなるもしくは最初に入院するまでの時間を分析すると酸素療法グループと酸素療法をしないグループで差は無く(hazard ratio, 0.94; 95% confidence interval [CI], 0.79 to 1.12; P = 0.52), 、全ての入院 (rate ratio, 1.01; 95% CI, 0.91 to 1.13)、COPD増悪(rate ratio, 1.08; 95% CI, 0.98 to 1.19)COPD関連入院 (rate ratio, 0.99; 95% CI, 0.83 to 1.17)も差は無かったまた、QOL肺機能6MWDでもグループ間に一貫して差は見られなかった。

 

結語

安定期COPD患者で安静時もしくは運動時に中等度の低酸素のある患者において、長期間の酸素投与は酸素をしなかった患者よりも死亡や入院までの時間は長くなかったまた、その他のアウトカムに関しても有効な結果は無かった

 

・酸素流量は、ポータブルシステムで2L/分で処方少なくとも2分間歩行する際はSpO290%以上維持できるように調整した。酸素グループはSpO2の上昇に関係なく酸素吸入を継続し、酸素をしないグループは低酸素になるような事は避けた

・アウトカムは、プライマリーアウトカムに加えて、COPD増悪酸素療法のアドヒアランス、安静時低酸素の進行動作時低酸素の進行QOL(Quality of Well-Being Scale 、SGRQ)SF-36HADS、 the Pittsburgh Sleep Quality Index(睡眠の質)

 

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有名なNew England Journalだったので読んでみたが、長くて途中で断念。。

プライマリーアウトカムの結果から、SpO2が90%前後で推移している状態で、酸素を導入しても、入院や死亡までの期間には差がなかったと。

ただ、酸素を吸入しないグループに"あまり低酸素にならないように"と活動性を制限しているようにも思えるので、酸素だけの影響ではないのかもしれないと、予想。



2017/01/26

間質性肺炎患者の6MWTのMCID

Validation of test performance characteristics and minimal clinically important difference of the 6-minute walk test in patients with idiopathic pulmonary fibrosis

Respiratory Medicine (2015) 109, 914-922

 

http://www.resmedjournal.com/article/S0954-6111(15)00119-5/abstract

 

背景

6MWDは特発性肺線維症(IPF)患者において、妥当で反応性の良いアウトカムである。目的は、IPFのコホートにおける6MWDの特性を確認することとMCIDを推定すること。

 

方法

CAPACITYトライアルの第3層において、ベースラインで6MWTを実施した患者で無作為にプラセボグループに分けられた者6MWDとその他の評価(肺機能、息切れ、QOL)をベースラインと24週間の介入後に実施

 

結果

338人の患者で比較。ベースラインの6MWDは肺機能QOLと強い相関を示した(妥当性)ベースラインの6MWDと比較した6MWDの変化量は、肺機能とQOLの変化量と強い相関を示した(反応性)UCSD-SOBQで評価した息切れは、6MWDと最も強い相関を示したディストリビューションベースの標準誤差を用いたMCIDは37m効果量を用いたMCIDは29.2m入院もしくは死亡のイベントアンカーとしたMCIDは21.7mであった。

 

結語

6MWDは臨床的エンドポイントとして妥当性と反応性があり、機能的な状態と短期間の進行に関する臨床的に有効な情報を提供する。これらの結果は、IPF患者の独立したコホートにおいて結果が確認された。

 

・対象は40-80歳で48ヶ月以内にIPFと診断されている患者

6MWTはベースラインから24週ごとに72週目まで測定

6MWTの妥当性はベースラインの6MWDと肺機能、息切れ、HRQOLとの相関で評価

・反応性はベースラインから48までの6MWDの変化とFVCの変化DLCOUCSD-SOBQSGRQの変化を評価した。

・更に、ベースラインから24週までの6MWDの変化と1年間の死亡リスクも評価

・平均年齢66.5歳、平均6MWD404m%FVC74.7%酸素療法実施者21%

・変化量で、6MWDと相関していたのはUCSD-SOBQ(息切れ)

・1年後の死亡リスクは、ベースラインでの6MWDよりも24週後の変化で50m以上減少していた時の方が反映していた

 

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今後、入院しないためには、24週後(半年後)に約20mの減少が無いようにしていきましょう。という説明かな。

この研究では、運動介入やリハビリテーションは行っていなかった。リハ介入したら、歩行距離の減少は最小限に止められるのではないだろうか。というより、止められてほしいところ。



2017/01/24

吸気筋力トレーニングの動的肺過膨張への効果

Effects of inspiratory muscle training on dynamic hyperinflation in patients with COPD

 

International Journal of COPD 2012:7 797–805

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3516469/

 

背景

動的肺過膨張はCOPD患者で臨床的に重要な症状である。多くの患者は呼吸筋や骨格筋力の低下、息切れ、機能的運動耐容能が吸気筋トレーニングによって改善するかもしれない目的はCOPD患者において、吸気筋トレーニングの運動耐容能、息切れ、吸気割合?(Inspiratory Faction:IF)の効果を分析すること。

 

方法

10COPD患者(stage ⅡとⅢ)に8週間の吸気筋力と持久力トレーニングを実施10人のはコントロールグループとした。最大吸気圧(PImax)と抵抗呼吸時間(tlim)を吸気筋耐容能として評価トレーニング前後に漸増症候限界運動テストエルゴメーターった。持続時間はペダルを漕いでいた時間と定義

 

結果

吸気筋トレーニングにおいて、Pimaxが統計的に優位に改善しており、tlimも348秒から467秒まで改善した。IFが著しく向上していると、動的肺過膨張も減少しており、両方の運動テストにて認められた。更に、呼吸数と分時換気量は著しく軽減している呼吸パターンが示された。息切れの感覚も軽減していた。漸増エルゴメーター中の最大仕事量も維持されており、運動持続時間は597.1秒から733.6秒に著しく増加コントロールグループの運動テスト中の変化は大きくなかった。

 

結語

本研究でCOPD患者にIMTを行った結果、運動能力、息切れ、IFが改善した。

 

 

・吸気割合(IF)=IC/TLC

・吸気筋トレーニングは、11、8週間実施。持続運動の15分後に実施。トレーニングデバイスはRespifitというのを使用1分間に10回呼吸Pimaxの60%負荷で実施2週間ごとに負荷を上げた。

・その他、個別に運動療法を実施。

・結果、吸気トレーニングを行ったほうが、8週間後のIFが優位に改善

・吸気量も負荷が高くなっても大きかった。

 

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吸気筋力のトレーニングで、吸気予備量が増えたと解釈して良いのかな。呼吸筋疲労の程度ってどのくらいなんだろうか?



2017/01/21

ESWTのMID

Changes in the endurance shuttle walk test in COPD patients with chronic respiratory failure after pulmonary rehabilitation: the minimal important difference obtained with anchor- and distribution-based method

. 2015; 16(1): 27.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4336738/

 

背景

定常負荷シャトルウォーキングテスト(ESWT)はCOPDの呼吸リハ後の運動耐容能の変化を反映できる最少有効改善値(MID)は推定されていない目的は重症COPDと慢性2型呼吸不全患者のESWTのMIDを推定すること

 

方法

対象データは、呼吸リハに加えてNPPVを実施した55人の安定期重症COPD患者(stage4)MIDの推定は、ESWTの時間パーセンテージ距離の変化をアンカーとディストリビューションで推定した。6MWD最大運動負荷(Wpeak)CRQをアンカーにし、ディストリビューションとしてCohen's効果量を用いた

 

結果

アンカーベースによるESWTのMIDは186-199秒76-82%154-164m.ディストリビューションベースでのMIDは144秒61%137mであった。

 

結語

186-199秒76-82%154-164mESWTのMIDとして推奨されたさらに大規模な対象群においてこのカットオフがCOPD患者において妥当であるかを調査する必要がある



COPDの運動強度:より高負荷の方が効果が大きいか?

Pulmonary Rehabilitation in COPD: Effect of 2 Aerobic Exercise Intensities on Subject-Centered Outcomes—A Randomized Controlled Trial

 

Respir Care. 2015 Nov;60(11):1603-9.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26221044

 

背景

運動療法は呼吸リハの重要な内容であるが、どの程度の運動強度が患者のアウトカムに効果があるかは疑問のままである。目的は、2つの運動強度行い、QOL症状管理、運動耐容能への効果を比較すること

 

方法

34人の軽症から最重症のCOPD患者を無作為に、運動強度が最大負荷の60%と80%のグループに均等に分けた介入方法は外来呼吸リハで、週3回を8週間実施。アウトカムはSGRQMahlerの息切れインデックス、LCADL6MWT定常負荷と漸増負荷の運動テスト。

 

結果

対象は無作為に60%負荷(グループ117名)と80%負荷(グループ217名)に分けられた両グループともすべてのアウトカムが改善していた変化量の平均に差がなかったのはSGRQ、息切れインデックス、LCADL6MWT定常負荷運動テスト、漸増負荷運動テスト。1例のみ運動によって心血管症状イベントが発生した。

 

結語

有酸素運動強度は少なくとも60%負荷でCOPD患者のアウトカムにポジティブな効果をもたらし80%負荷にしても追加効果は無かった

 

・介入方法:20セッションの外来リハでの運動と教育セッションで構成

有酸素運動は週3、トレッドミルもしくはエルゴメーターで決められた負荷(60% or 80%)で30分間実施

筋力トレーニングは週2回1RMの50%負荷で1セット8回を3セット実施

柔軟性トレーニングは週37つの大関節を5秒間ストレッチした。

教育セッションは5種類(病態薬剤呼吸法、運動、排痰法)のスキルトレーニングをグループオリエンテーションで実施

・平均年齢66FEV1.0 1.6L%FEV1.0 55.7%

・各評価の変化量:すべて有意差無し

 

 

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高負荷にすればするほど効果が大きいというわけではなかった。対象を増やしたらどうなるだろうか。

高負荷の運動は、若い対象だからできることだし、運動のアドヒアランスを得るにはやはり低負荷の方がいいと思う。個人差はあるけど。



2017/01/18

夜間NIVを装着し、日中運動療法を行った時の効果。

Randomized trial of non-invasive ventilation combined with exercise training in patients with chronic hypercapnic failure due to chronic obstructive pulmonary disease

 

Respir Med. 2014 Dec;108(12):1741-51

 

http://www.resmedjournal.com/article/S0954-6111(14)00355-2/abstract

 

背景

非侵襲的換気(NIV)と運動がCOPD患者の管理の効果を向上させるかもしれない。

 

目的

COPDによる慢性呼吸不全患者に対して、2つの介入方法で、運動とNIVを併用した効果を比較した。

 

方法

45人の重症患者をランダムに3グループに分けた。運動のみ、NIV

のみ、併用。介入期間は12週間主な評価指標は、運動耐容能。次いで、ガス交換能、骨格筋力、BODE indexQOL、全身炎症反応

 

結果

3グループとも介入後の運動耐容能は向上していた。加えて、骨格筋力と6MWDはNIV後に向上していた併用したグループとNIVのみのグループで準最大努力(

運動耐容能)と酸素消費に違いがあった。呼吸機能の変化は、NIVと併用後に改善し、有意差があったBODE index、息切れの程度QOLは3つすべてのグループで向上。インターロイキン8のレベルと腫瘍因子はNIV後に減少し、インターロイキン8CRPサーファクタントタンパクDはトレーニング後に減少併用後にはこれらすべてのマーカーが減少してしたグループ間に有意差は無かった

 

結語

換気と運動の併用は、それぞれ分けて行った結果よりも良い効果がもたらされた

加えて、運動耐容能、BODE index、息切れ、QOLはすべてのグループで改善した。

 

・運動療法のみのグループ:毎週3回を12週間継続抵抗運動と筋力トレーニングを実施

NIVのみのグループ:NIVはbi-levelでネーザルマスクを着用IPAP10cmH2OEPAP4cmH2OSTモードIPAPは最大20cmH2Oまで上昇可能装着時間は夜間6-8時間

・併用グループ:上記の内容を併用日中運動し、夜間はNIVを装着して寝る

・評価項目は、最大運動負荷試験、筋力(1RM)6MWTBODE index、肺機能検査

mMRCCRDQバイオマーカーはCRPIL-6IL-8TNF-α、SP-D

・6MWDの比較。併用するとより大きく改善していた。各グループとも前後で比較すると有意差あり。

・PaCO2は運動のみでは改善せず。

・運動持続時間は運動療法のみが最も改善。VO2は併用した方が大きく改善。NIVのみは低下している。

 

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夜間NIVを装着することで、呼吸筋疲労の軽減にもなり、睡眠の質も改善。すると、日中の活動レベルも向上し、良い影響をもたらす。というサイクルにはまれば、NIVや運動のコンプライアンスも高まる気がする。

リハもそうだけど、導入が一番難しくて一番重要だとよく思う。



2017/01/16

間質性肺炎の6MWTのMID

The 6 minute walk in idiopathic pulmonary fibrosis: longitudinal changes and minimum important difference

 

Thorax 2010;65:173-177.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19996335

 

背景

IPFにおける6MWTの反応性についての理解は不十分で、最小有効改善値(MID)は知られていない

 

目的

6MWDの変化を知らべて、MIDを推定すること。

 

方法

対象は、6MWTSGRQFVCの評価を6か月と12か月に行っているIPF患者で、6MWDの縦断的な変化を比較できたデータを使用。アンカーベースとディストリビューションベースの方法で6MWDのMIDを推測したSGRQとFVCは臨床的なアンカーとして使用

 

結果

123の患者が対象となり、6MWDは期間を通して著しい変化はなかった6MWDのMIDは28mと推定され、範囲は10.8mから58.5mであった。

 

結語

IPF患者グループで中等度の身体機能の障害がある患者において、12か月を通して6MWDに変化は無かった。6MWDのMIDは28m以内に存在しているた。更なる介入でより6MWDのMIDを洗練していくことが必要である

 

・平均年齢65.1歳FVC2,6L%FVC67.8%ベースラインの平均6MWDは372.9m

・対象選択基準は、過去3以内にIPFと診断されている、ベースの6MWDが150-499mである

除外基準は%FVC<50%もしくは>90%%DLCO<30%PaO2<55mmHg重度の肺高血圧症

・6MWDは12か月を通してほとんど変化していなかった。

・ベースラインと6か月後、12か月後に評価できたデータをFVCの変化SGRQの変化と比較してMIDを推定すると約28m

 

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重症COPDとのMCIDも確か25mくらいだった気がする。酸素療法をしていない患者を対象としているし、60歳代と若い患者層だけど、参考にできる数値だと思う。

リハの有無についての記載が見当たらなかったけど1年間歩行距離を維持しているのはすごいなと。



2017/01/15

トレッドミル歩行中の動的肺過膨張

Dynamic hyperinflation during treadmill exercise  testing in patients with moderate to severe COPD

J Bras Pneumol. 2012;38(1):13-23

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22407036

 

目的

中等症から重症のCOPD患者における、トレッドミル運動テスト中の動的肺過膨張の起こる特徴程度パターンを検討すること。

 

方法

対象は30人のCOPD患者最大速度の70-80%の速度で症候限界まで心配運動負荷試験を行い、低酸素血症にならなかった患者吸気予備量(IC)で動的肺過膨張の評価を実施

 

結果

30人中19の患者に動的肺過膨張があり、動的過膨張のなかった患者よりも肺機能の低下が大きかった。動的過膨張のなかったグループと、運動耐容能との相関はなかった。一方、運動中の症候限界、IC、息切れの程度は動的過膨張のあるグループと相関があった動的過膨張のあるグループにおける動的過膨張のパターンは7人が漸増12人は一定のパターンだった。漸増パターンの患者は一定パターンの患者より呼吸困難や耐久時間(分)のが高く、運動耐容能が低かった

 

結語

動的肺過膨張は、中等症から重症のCOPD患者の歩行中に必ず生じる症状ではなかった動的肺過膨張の出現した患者で漸増パターンは、一定パターンよりも運動耐容能に影響が大きかった

 

・最初に肺機能と漸増心肺負荷試験(トレッドミル)を実施。最大運動負荷の70-80%の速度でテストを実施する。

・テスト中2分ごとに息切れ、下肢疲労感を修正Borgスケールで聴取

・動的肺過膨張は安静時のICと比較して、減少していることで判断。動作中のICはTLCからの推定

・平均年齢67.4歳、FEV1.0 1.1L,%FEV1.0 43%FVC 2.3LIC 1.7L

最大運動時のVO2 1436L/min,SpO2 91%、息切れ7下肢疲労感5

・動的肺過膨張があるグループは、無いグループよりも最大運動時間が短く、息切れと下肢疲労感が強かった。

ICとの相関があったのは最大運動時間(r=0.54)呼吸困難(r=0.57)呼吸困難間と相関があったのは最大運動時間(r=-0.48)

・動的過膨張には2パターンり、最大運動時間や自覚症状に有意差がある。漸増するほうがややパラメーターが低かった。

 

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動的肺過膨張はCOPDの運動制限の原因の1つだけど、あるポイントからあまり過膨張しなくなる患者がいたのは興味深い結果。呼吸法の使い方とか普段から活動性が高くて、動くことに慣れてるとか?



2017/01/13

身体活動性と全身の循環動態、下肢筋の酸素化能の関係

ntensity of daily physical activity is associated with central hemodynamic and leg muscle oxygen availability in COPD

 

J Appl Physiol 115: 794–802, 2013

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23845982

 

COPDにおいて日中身体活動性は、動的肺過膨張や骨格筋弱化の程度と関係している。中心血行動態、酸素運搬能、骨格筋酸素耐容能が身体活動性の低下と関係しているかについては明らかになっていない。

 

19人のCOPD患者を対象にトレッドミル歩行テストを実施スピードは7日間連続して3軸加速度計で測定した歩行強度を参考にした

 

屋内でのトレッドミル歩行中患者個々の平均歩行強度は、循環動態(心電図のインピーダンス、全身の血液の流れやすさ酸素運搬能大腿四頭筋酸素飽和度)のベースラインからの変化と相関していた加えて平均歩行強度は体重で補正した大腿四頭筋力最大換気時の分時換気量と相関していた

 

 

COPDにおいて、換気制限と骨格筋の低下に加えて日中身体活動性は中心の血行動態と骨格筋の酸素容量と関係していた

 

・19のうち、stage2は8stage3が11。評価は、BMI、肺機能検査、mMRC徐脂肪体重6MWTSGRQ日中活動量

・中心血行動態は、ポータブル心電図(Physio flow)で測定。

・大腿四頭筋の酸素化能は近赤外線分光法で測定。

・評価1:漸増トレッドミル歩行。1.4km/hから開始し、3分ごとに0.8km/hずつ加速

・評価2:屋外歩行での活動性

・評価3:トレッドミル歩行呼気ガス分析を行う。

・歩行強度と循環動態(A:動脈血酸素飽和度 B:大腿四頭筋酸素飽和度 C:動静脈酸素較差)

 

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身体活動性には呼吸器だけでなく、(当然ながら)全身の状態が関係している。

循環器の評価も勉強しないと。



2017/01/12

フロア歩行とトレッドミル歩行の比較

Comparison of Corridor and Treadmill Walking in Patients with Severe Chronic Obstructive Pulmonary Disease
 

Phys Ther. 1990 Jul;70(7):439-42

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2356220
与えられた時間で最大距離を歩くことは、COPD患者の運動耐容能を評価する簡便な方法としてよく使われている。一般的には、患者はフロアか、トレッドミルを自分ペースで歩行するこの2つのテスト方法で行ったCOPD患者の運動能力の違いについての情報は少ないしたがって、11人の重症COPD患者を対象に12分のフロア歩行と12分のトレッドミル歩行を比較した
2分6分12分での歩行距離と歩行速度はトレッドミル歩行よりもフロア歩行のほうが高かった心拍数は、大きな違いはなくテスト終了後の呼吸困難感の減少も同じだった。フロア歩行が、運動能力のテストとして簡便で十分な方法であることを示している心拍数の反応では、フロア歩行がトレッドミルよりも出現しやすい可能性があるこれは、トレッドミル上よりもフロア歩行のほうがより馴染みのある運動だからである。したがってフロア歩行は、運動耐容能を評価するための良い方法であり、運動療法として効果的である。

 

方法

フロア歩行は100mのコースを周回する。12分間でできるだけ遠くまで歩くように指示必要であればペースを落としたり止まったりしてもよい
トレッドミル歩行は水平な位置で行い、自分のペースで歩行スタートストップスピードアップ、ダウンはボタン操作して良い
終了後の呼吸困難感をVASで評価


結果
歩行距離はフロア歩行のほうが長かった(971m vs 1053m)
心拍数は有意差なし
VASでテスト前は有意差ありだが、テスト後は有意差なしだが、フロア歩行のほうが呼吸困難感を強く感じていた

 
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30年近く前のアメリカのPTジャーナル。指摘したいことはたくさんだけど、この視点の検討はしてみたい。この手の報告誰か知りません?
負荷量が統一できればと思うんですが。。


2017/01/09

肩甲帯の筋トレでCOPD患者のADLは改善するか。

Evaluation of effects of shoulder girdle training  on strength and performance of activities  of daily living in patients with chronic obstructive pulmonary disease

 

International Journal of COPD 2013:8 187–192

 

背景

COPD患者は上肢を使ったADL制限を生じている肩甲帯のトレーニングとADLの影響についての情報は少ない目的は肩甲帯のトレーニングとして上肢の対角線の運動が上肢筋力の向上とADLの改善につながるかを検討すること。

 

方法

35の中等症から重症のCOPD患者を対象年齢は36-80歳漸増上肢テストと、8種類のADL動作を8週間のリハ前後で実施

 

結果

上肢筋力は向上した。上肢テストの最大負荷で、呼吸数は33から27に減少。息切れのBorgは2から0.5に減少ADL動作中のこれらのパラメータは変化なかった

 

結語

肩甲帯トレーニングは上肢筋力を向上させたが、ADLパフォーマンスの改善は見られなかった

 

・漸増上肢テスト:2分間運動できる最大の重さ(ダンベル)を決めるPNFテクニックの対角線の動き行う。

ADL動作:歯磨き洗顔髪を結うシャツを着るシャツを脱ぐ靴を履く靴を脱ぐ、髭剃り(男性)orワックスをつける(女性)

・上肢トレーニング:1セッション最低30分最大負荷の50%で実施。固有感覚神経筋促通手技(PNF)の基本原理をもとにトレーニング

PNFの動きは他の関節運動と比べて複数の関節と筋肉を使った運動である。

・この運動を両上肢1分ずつ実施回数は患者の能力に応じて設定

 

・上肢テスト前後での息切れは改善。

 

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いくらPNFが肩甲帯の関節や筋を動員する運動だからといって、それだけをしていても症状やADLは改善しなかった。

"運動の特異性"を考慮したプログラムじゃないと時間の無駄になるということかな。再認識。



日本人COPD患者の抑うつ傾向の実態と身体機能との関係

Depression in Japanese Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Cross-Sectional Study

 

Respir Care. 2013 Jul;58(7):1196-203

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23232738

 

背景

いくつかの研究で、北米と欧州のCOPD患者で抑うつと身体機能の関係について明らかにされているが、アジアでの研究は少ない

 

方法

横断研究で、84の安定期外来COPD患者(平均年齢72歳)を対象抑うつの疑い the short-form Geriatric Depression Scale (SF-GDS)で6点以上で判定した。一般的な身体機能評価とSF-GDSのスコアの関係を検討した

 

結果

32人の患者(38.1%)に抑うつの疑いがあった。BMI気流閉塞、息切れ、運動耐容能、%FEV1.0mMRC(BODE index)6MWDSpO2に相関があった (r 0.42–0.60, P < 0.001)SF-GDSのスコアも部分的な相関があった(r 0.25–0.51, P < 0.05)ROC曲線のAUCは 0.72ー0.84 だった。

 

結語

日本人の外来COPD患者において、身体機能は抑うつと関係していた

 

SF-GDS:15項目の質問からなる抑うつのスクリーニング評価6点以上は抑うつの疑い。Beck抑うつスコアと相関があり、重度の抑うつを評価できるものとして広く使われている

・84の対象、うち15が女性。平均%FEV1.0は45.9%

・抑うつありと無しで患者特性の有意差があったのは、長期間酸素療法、GOLDの重症度BODE index%FEV1.0mMRC6MWD、安静時SpO2

・単相関でみると、BODE indexmMRCが最も強い相関(r=0.60.59)

・多変量直線回帰分析と抑うつの疑いのオッズ比は、BODE indexで2.3倍mMRCで3.6倍

ROC曲線で抑うつの疑いのカットオフはmMRCで2.56MWDで250m

・1985から2007年までの抑うつと身体機能の関連を調べた研究をみると、BODE index、息切れは抑うつと相関があり、肺機能は相関しないことが多かった。

 

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肺機能が低下しても必ずしも抑うつ傾向になるわけではなく、動けなくなったり、自覚症状が強くなることのほうが、抑うつ傾向になるらしい。そうするとBODE indexが最も関連しているっていう結果も納得。

メンタルの評価は、国民性やその国の医療環境などが影響するような印象があるので、日本人を対象にした結果なので、興味深い。



2017/01/04

COPD患者の健康関連アウトカムへの不安の影響

The influence of anxiety on health outcomes in COPD

Thorax . 2010 March ; 65(3): 229–234

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20335292

 

背景

心理学的な機能は慢性肺疾患患者の健康アウトカムに重要な要因である。COPDにおける不安の役割を明確にし、COPD大規模コホートで不安とCOPDの関係を検討した

 

方法

1202人のCOPD患者とコントロール群302人で検討不安はHADSで評価

 

結果

COPDは多変量解析にて不安と関係していたまた不安が運動パフォーマンスの悪さや自己報告の機能制限と関係していた。不安のあるCOPD患者は、Coxハザード解析にて将来のCOPD増悪リスクと強く関係していた

 

結語

COPDは不安のリスクが高い不安が強くなると健康アウトカム悪化した。全体的なスクリーニングと不安の治療がアウトカムを改善させるかについては更なる検討が必要

 

HADSのカットオフは8点11-14点は中等度15-21点は重度と判定

・健康状態の評価はSF-12の身体的サマリースコア(PCS)を使用健康関連QOlはthe Airways Questionnaire 20 revised(AQ-20R)で評価高スコアほどQOLが悪化していると判定

・運動能力は6MWT自己報告の機能制限は10個の動作に関する質問からなり、動作の難しさについて評価

・健常者に比べてCOPDのほうが不安の割合が高かったCOPD重症度(BODE index)が高いと不安の高リスクと関係していた肺機能との関連は明確ではなかった

・カプラン-マイヤー曲線で、ベースラインで不安が高いと将来の増悪リスクが高かった不安の重症度と増悪リスクには関係が認められた

 

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HADSで評価したなら、抑うつスコアの結果も知りたいところだけど。肺機能単独よりもBODEのような複合的な評価との関連という結果は、肺機能が低下する以外の要因の影響があるかもということかな。