Depression in Japanese Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Cross-Sectional Study
Respir Care. 2013 Jul;58(7):1196-203
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23232738
背景
いくつかの研究で、北米と欧州のCOPD患者で抑うつと身体機能の関係について明らかにされているが、アジアでの研究は少ない。
方法
横断研究で、84人の安定期外来COPD患者(平均年齢72歳)を対象。抑うつの疑いは the short-form Geriatric Depression Scale (SF-GDS)で6点以上で判定した。一般的な身体機能評価とSF-GDSのスコアの関係を検討した。
結果
32人の患者(38.1%)に抑うつの疑いがあった。BMI、気流閉塞、息切れ、運動耐容能、%FEV1.0、mMRC、(BODE index)6MWD、SpO2に相関があった (r 0.42–0.60, P < 0.001)。SF-GDSのスコアも部分的な相関があった(r 0.25–0.51, P < 0.05)。ROC曲線のAUCは 0.72ー0.84 だった。
結語
日本人の外来COPD患者において、身体機能は抑うつと関係していた。
・SF-GDS:15項目の質問からなる抑うつのスクリーニング評価。6点以上は抑うつの疑い。Beck抑うつスコアと相関があり、重度の抑うつを評価できるものとして広く使われている。
・84人の対象、うち15人が女性。平均%FEV1.0は45.9%。
・抑うつありと無しで患者特性の有意差があったのは、長期間酸素療法、GOLDの重症度、BODE index、%FEV1.0、mMRC、6MWD、安静時SpO2
・単相関でみると、BODE index、mMRCが最も強い相関(r=0.6、0.59)
・多変量直線回帰分析と抑うつの疑いのオッズ比は、BODE indexで2.3倍、mMRCで3.6倍
・ROC曲線で抑うつの疑いのカットオフは、mMRCで2.5、6MWDで250m
・1985年から2007年までの抑うつと身体機能の関連を調べた研究をみると、BODE index、息切れは抑うつと相関があり、肺機能は相関しないことが多かった。
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肺機能が低下しても必ずしも抑うつ傾向になるわけではなく、動けなくなったり、自覚症状が強くなることのほうが、抑うつ傾向になるらしい。そうするとBODE indexが最も関連しているっていう結果も納得。
メンタルの評価は、国民性やその国の医療環境などが影響するような印象があるので、日本人を対象にした結果なので、興味深い。