A Randomized Trial of Long-Term Oxygen for COPD with Moderate Desaturation
N Engl J Med 2016;375:1617-27.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27783918
背景
COPD患者における安静時と運動時の中等度低酸素血症に対する長期間の酸素療法の効果については明らかになっていない。
方法
安定期COPDで中等度の低酸素血症(SpO2 89-93%)のある患者に酸素投与を行わないよりも行ったほうが、結果として亡くなるまでの時間が長くなるかどうかについて検討。7か月間、無作為化した34人の患者で、運動時の低酸素血症がある安定期COPD患者(6MWTで5分以上SpO2≧80%維持しており、10秒以上SpO2<90%がある)を含んでおり、最初の入院までの期間をプライマリーアウトカムとした。対象患者を1:1で長期間酸素療法を行うグループと行わないグループに分けた。酸素療法グループは、安静時の低酸素血症があり24時間酸素投与の処方をされており、動作中の低酸素血症のみは運動時と睡眠時の処方としている。
結果
738人の患者を1-6年間フォローした。亡くなるもしくは最初に入院するまでの時間を分析すると、酸素療法グループと酸素療法をしないグループで差は無く(hazard ratio, 0.94; 95% confidence interval [CI], 0.79 to 1.12; P = 0.52), 、全ての入院 (rate ratio, 1.01; 95% CI, 0.91 to 1.13)、COPD増悪(rate ratio, 1.08; 95% CI, 0.98 to 1.19)、COPD関連入院 (rate ratio, 0.99; 95% CI, 0.83 to 1.17)も差は無かった。また、QOL、肺機能、6MWDでもグループ間に一貫して差は見られなかった。
結語
安定期COPD患者で安静時もしくは運動時に中等度の低酸素のある患者において、長期間の酸素投与は、酸素をしなかった患者よりも死亡や入院までの時間は長くなかった。また、その他のアウトカムに関しても有効な結果は無かった。
・酸素流量は、ポータブルシステムで2L/分で処方。少なくとも2分間歩行する際はSpO290%以上を維持できるように調整した。酸素グループはSpO2の上昇に関係なく、酸素吸入を継続し、酸素をしないグループは、低酸素になるような事は避けた。
・アウトカムは、プライマリーアウトカムに加えて、COPD増悪、酸素療法のアドヒアランス、安静時低酸素の進行、動作時低酸素の進行、QOL(Quality of Well-Being Scale 、SGRQ)、SF-36、HADS、 the Pittsburgh Sleep Quality Index(睡眠の質)
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有名なNew England Journalだったので読んでみたが、長くて途中で断念。。
プライマリーアウトカムの結果から、SpO2が90%前後で推移している状態で、酸素を導入しても、入院や死亡までの期間には差がなかったと。
ただ、酸素を吸入しないグループに"あまり低酸素にならないように"と活動性を制限しているようにも思えるので、酸素だけの影響ではないのかもしれないと、予想。