2016/12/30

不安が強いとより活動的になる?

 Patients With COPD With Higher Levels of Anxiety Are More Physically Active 

 CHEST 2013; 144(1):145–151  

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3747724/

 

背景

身体活動(PA)はこれまでの評価よりも鋭敏にCOPDの死亡率を予測するものである目的は不安と抑うつが活動度計で評価したPAと関係しているかを評価すること。

 

方法

148の安定期COPD患者のデータを前向きに解析PAは1日の歩数を使用不安と抑うつはHADSで評価。息切れはSOBQ、運動耐容能は6MWTを実施

 

結果

不安が強くなると、PAも増加していた:不安が1ポイント増えるごとに、1日の歩数が288歩増えていた抑うつが高いとPAは低かった介入していた期間の不安と抑うつの改善はあり、PAによって不安の高いレベルは緩和され、抑うつにはネガティブな影響をもたらしたかもしれない

 

結語

PAの向上が不安と関係していたことは、知る限りでは珍しい結果であった。しかし、不安のあるCOPD患者がコーピングメカニズムとして休みなく活動的になっていたかについてや、不安症状が強くなることで彼らの身体活動を後押ししたかどうかなどは不明であるどのように臨床的なアウトカムの向上するかや、不安とPAを評価すべきかなどにつて研究が必要である

 

HADSで8点以上は不安抑うつありと判定

・加速度計は右足首に装着。7日間歩行時に装着してもらった。10時間以上の装着で妥当と判定。

2変量相関で、PAと抑うつに相関なし。不安と抑うつは相関あり

HADS不安スコアが8点より高かった患者は低かった患者に比べて平均1681歩多く歩いていてた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

興味深い結果。不安だから動いているという感じ?



COPDで不安と抑うつのリスクファクターに疾患知識は関連するか。

Disease knowledge level is a noteworthy risk factor of anxiety and depression in patients with chronic obstructive pulmonary disease:a cross-sectional study

2014 May 28;14:92.

 

https://bmcpulmmed.biomedcentral.com/articles/10.1186/1471-2466-14-92

 

背景

COPD患者の不安と抑うつ症状のリスクファクターは広く研究されているが、そのほとんどが臨床的につなげられない。この研究の目的は、COPDの知識レベルが、運動耐容能やQOLに加えて、COPDの不安、抑うつおリスクファクターになるかについて検証すること。

 

方法

4施設からCOPD患者を抽出不安抑うつはHADSで疾患知識はthe Bristol COPD Knowledge Questionnaire(BCKQ)で評価

部分的に相関分析を行い、多変量解析で不安、抑うつのリスクファクターを検証。

 

結果

不安、抑うつのある対象者はCOPDの知識に乏しかった。HADSスコアはBCKQと負の相関を示したBCKQスコアは、多変量解析で、不安抑うつのリスクファクターであった(OR 0.944)。BCKQの13項目のうち、疫学と感染の項目が関連していた。

 

結語

患者の疾患知識レベルはCOPD患者の不安抑うつのリスクファクターであった。疫学と感染は中国人の患者にとって、COPD知識の重要な項目であった。

 

BCKQ:13項目(疫学、原因症状、息切れ、感染、運動、喫煙予防接種気管支拡張剤抗生剤経口ステロイド吸入ステロイド)からなる質問表65点満点で、高スコアほど知識レベルが高いと判定

HADS点数との相関があったのは、CAT(r=0.495)mMRC(r=0.309)BCKQ(r=-0.217)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日本でいうとLINQがこの疾患知識を見るのに使えるかもしれない。今回は中国人を対象にしているみたいだが、結果には国民性なんかが関係してきそうだな。



COPD患者の不安、抑うつ、QOLをリハ前後で比べてみた。

Effect of a pulmonary rehabilitation program on the level of anxiety and depression and on the quality of life of patients with chronic obstructive pulmonary disease

 

Rev Port Pneumol. 2014 Nov-Dec;20(6):299-304

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24874610

 

目的

COPD患者の不安抑うつQOLのレベルごとの呼吸リハプログラムの効果を検証すること。

 

方法

週31回60分の呼吸リハを12週間(合計36回)完了した患者評価項目はBAIとBDISGRQ

 

結果

125が対象。平均年齢63.7FEV1.0 1.17L%FEV1.0 43.18%男性61.6%リハ前後の比較では、

BAI:10.15 VS 7.76(P=0.0041)

BDI:12.6 VS 8.96(p=0.00016)

SGRQ

symptom:48.53 VS 32.58

Activity:69.15 VS 52.42

Impact:32.92 VS 20.27

Total:46.69 VS 32.07

BDIとSGRQの間に弱い相関があった。同様に、BAISGRQにも弱い相関があった。

 

結語

呼吸リハは不安、抑うつ、QOLを改善させるが、これらの変数には強い相関はなかった。

 

BAIBDI:the Beck scales for Anxiety and Depression21個の設問に4択(0-3)で回答。極小(0-11点)軽度(12-19点)中等度(20-35点)重度(36-63点)で判定。

SGRQは呼吸器疾患特異的QOL指標で、100点満点で評価点数が低いほどQOLが高いと判定症状活動、影響、合計の4つのドメインで判定する。

・リハ前はBAI軽度が多く(57.6%)リハ後にはその割合が増えていた(73.6%)

・BDIも同様の傾向にあった(55.2%→80.0%)

・ただ、QOLとの相関はあまり強くなかった(r=0.2-0.5)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

身体機能のパラメーターと比較してるのかと思ったら、違った。残念。

リハすれば良くなるのはエビデンスもあるし、当然といえば当然の結果かな。不安、抑うつがQOLに関係するという報告もあるようだが、QOLって概念はそんな単純なものではないと思う。



2016/12/28

運動中の間質性肺疾患患者の呼吸筋疲労

Respiratory Muscle Fatigue following Exercise in Patients with Interstitial Lung Disease

http://www.karger.com/Article/FullText/338787

Respiration 2013;85:220–227

 

背景

間質性肺疾患(ILD)において運動の結果として呼吸筋疲労が生じるかどうかについてや動的肺活量の変化がどの程度あるのかについてあまり知られていない。

 

目的

ILD患者の呼吸筋疲労がどの程度あるのかと、運動中の換気パターンを評価すること。

 

方法

16ILD患者(11人女性)を対象に漸増症候限界自転車エルゴで吸気予備能の変化を呼気終末肺気量(EELV)で評価。横隔膜圧(TwPdi)と食道内圧(TwT10Pga)を磁気刺激への反応を疲労の評価として使用した

 

結果

TwPdiは運動前後で変わりなくTwT10Pgaも同様であったEELVは2.18Lから1.91Lへ減少していた(p=0.04)TwT10Pgaの低下は最大酸素摂取量脈拍の増加、運動中のEELVの減少と相関していた

 

結語

腹部筋の疲労が運動中に何人かのILDで見られEELVの減少によって、呼気筋活動の上昇と関連していることが分かった

 

・呼吸筋力の評価方法は、食道と胃にバルーンを留置し、最大吸気圧と呼気圧、鼻腔圧、咳をした時の食道圧などを測定。

・横隔膜の強さ(transdiaphragmatic pressure at bilateral phrenic nerve twitch (TwPdi)磁気信号の強さで評価

・腹部筋の強さ(gastric pressure at twitch T10 nerve roots (TwT10Pga)は刺激を加えてからの腹筋の反応で評価

・運動テストは、運動負荷試験のような形を実施。1ごとに10wずつ増加し、呼気ガス検査を使用。運動前後に血ガスを採取

・1ごとに動的肺気量、EELVを測定するために吸気予備能(IC)を評価

・平均年齢59BMI27%FEV1.0 76%%TLC 74%Pimax 77cmH2OPemax 84cmH2O

・運動中のパラメーターで疲労群と疲労無し群の有意差は、最大EELV%EELV変化ΔTwT10Pga

・全肺気量(TLC)のうちそれぞれの項目がどれくらいを占めていたかa呼気終末肺気量(EELV)b予備吸気量(IRV)c吸気終末肺気量(EILV)d1回換気量(TV)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

運動時間が長くなると、吸気後の肺気量が増えていて(図c)、予備吸気量が減っている(b)=吐き切れていない;動的肺過膨張のような状態?1回換気量は増えてはいるけど、もしかしたら必要な量は確保できていないのかもしれない。

呼吸補助筋じゃなくて、主動作筋を評価するとは、かなり過酷な評価だな。



2016/12/26

間質性肺疾患における不安と抑うつに影響するものは?

Dyspnoea and comorbidity contribute to anxiety and depression in interstitial lung disease

Respirology (2014) 19, 1215–1221

 

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/resp.12360/abstract

 

背景

間質性肺疾患(ILD)患者の不安の罹患率についてはあまり知られておらず抑うつの要因も明らかでない。目的はILD患者の不安と抑うつの罹患率と予測因子を明らかにすること。

 

方法

124人のILD患者(平均64歳48人がIPF)が対象不安と抑うつはHADSで評価し、確診、疑い、ボーダーラインに分けた関連を調べたのは患者背景肺機能6MWTmMRC

 

結果

不安があったのは31%、臨床的に著しい不安は12%抑うつは、23%にあり、臨床的に著しいのは7%だった。不安の独立した予測因子は高いmMRC歩行中のSpO2の最低値抑うつの独立した予測因子は高いmMRC併存症の数が多いこと。

 

結語

不安と抑うつはILD患者の少数に顕著に存在していた呼吸困難感と併存症は介入するために重要なものかもしれない

 

 

HADS(the Hospital Anxiety and Depression Scale):14問の自己記入式評価表不安と抑うつそれぞれのスコアが算出され各21点満点で評価11点以上は不安抑うつが顕著にあり、8-10点は不安抑うつの可能性あり、7点以下は不安抑うつ無しと判定( by Zigmond and Snaith)

・対象患者の疾患内訳:IPF48人過敏性肺炎12人膠原病11人サルコイドーシス11人肺リンパ脈管筋腫7人非特異的間質性肺炎6人

FVC2.56L%FVC72%6MWD427m

・不安スコアで、確診にあたるのはごく少数。抑うつも同様(下図)

aが不安、bが抑うつ。

no case:不安、抑うつ無し、borderline:疑いあり、case:確診

 

---------------------------------------------

各疾患とも確診に至ったのは、2,3人程度。疑いを含めても半分にも満たない結果ということで、間質性肺疾患患者は、不安抑うつ傾向は少数であったとのこと。

多変量解析での結果、呼吸困難と併存症ということは、自覚症状が強くなっていたり、痛みや体の不調を多く自覚するようになると、不安抑うつ傾向が強くなるということかな。

"病は気から"とは良く言ったものだなと良くも悪くも最近よく思います。



2016/12/20

咳介助の方法で効果的なのは徒手介助か、機械介助か

Effect of manually assisted cough and mechanical insufflation on cough flow of normal subjects, patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD), and patients with respiratory muscle weakness

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1746077/

Thorax 2001;56 438:438–444

 

背景

効果的な咳はアシストテクニックによって改善することが示唆されている。徒手的介助による咳と、吸気の機械介助による咳を検討した。

 

方法

生理的な動作と患者自身による徒手的なアシストと、機械的な吸気を29の患者に調査した。(9人健常者8人COPD4人脊柱側彎症による呼吸筋力低下(RMW)8人脊柱側彎症でない呼吸筋力低下)

 

結果

ピークカフフロー(PCF)と咳の呼気量は、健常者における徒手的介助、機械吸気のみ、徒手的介助と機械介助の併用で、増加はなかった。

平均的なPCFは脊柱側彎症のないRMWの患者において徒手的介助もしくは、機械介助の併用で、84L/min144L/minの上昇があり特にこれらのテクニックによる咳の呼出相の改善に反映された徒手的な咳介助と機械的介助の併用はそれぞれのテクニックのみのグループよりもピークの呼気フローが高かった

脊柱側彎症のようなイレギュラーな胸郭と固定化された吸気圧には、効果的な徒手的介助と機械介助はこの対象には困難で、改善は見られなかった。

COPD患者において、徒手介助のみと機械介助の併用はピーク呼気フローでは、144L/min135L/minへ減少

 

結語

徒手的咳介助と機械介助は、脊柱側彎のないRMWの患者において、分泌物の喀出の介助となるべきである

 

・徒手的咳介助の方法:最大咳呼出中に胸郭を圧迫し続ける

・機械的咳介助の方法:20cmH2O-20cmH2Oのを加える

この旧型のカフマシーンを使用した様子。

COPD患者のFEV1.0は平均44%

・典型的な咳のフローとボリューム

A:健常者、B:COPD、C:脊柱側弯症

BとCはかなり低い。咳になってるんだろうか?

・側弯症のない呼吸筋力低下患者の結果。

徒手介助(MAC)機械介助(MI)徒手+機械介助(MI+MAC)での喉咽頭圧

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

10年以上前の報告だが、咳の強さを高めるなら徒手+機械。単独の方法なら徒手介助の方が効果的であったとのこと。

カフマシーンの設定がもう少し高ければ結果は違うかもしれない。

COPDに限らず、咳の力が落ちてしまった患者の誤嚥性肺炎予防のツールとしてもっと普及していいと思うが。



2016/12/16

身体活動性評価の標準化

 Standardizing the Analysis of Physical Activity in Patients With COPD Following a Pulmonary Rehabilitation Program  

 

CHEST  2014; 146(2):318-3 27 

 

背景

身体活動性の評価方法は広く妥当性がある。この研究では、呼吸リハ後の身体活動性アウトカムの統計的な優位性における分析方法の違いの影響について検討。

 

方法

身体活動性は57COPD患者にアームバンド活動性モニターを呼吸リハの前後3か月装着

アウトカムは、1の歩数(STEPS)中等度以上の活動時間(TMA)平均METs(METs)活動時間(ACT)

週末の影響、評価日数、後処理(ポストプロセッシング)日照時間の影響

 

結果

STEPSとACT(1.6-2.3METs)が最も感度の良いアウトカムだった。

週末を除くと、サンプルサイズが減少した:STEP(83 vs 56)TMA(160 vs 148)METs(251 vs 207)平日4日(STEPSTMA)か5日(METS)で最も低いサンプルサイズになる。

1日8時間未満の装着時間を除くとSTEPSのサンプルサイズが減少(56 vs 51)

日照時間の違いは、重要な交絡因子だった

 

結語

呼吸リハでフォローしている身体活動性の変化を最も評価できるのは、平日の4日で、日中最低8時間装着しており、共変量解析として日照時間の違いを考慮すべきである

 

・安定期COPD に外来リハのみかカウンセリングを加えたものを無作為に実施

身体活動性は連続7日間装着してもらう。

・中等度の身体活動は3METs以上の活動を指す

・57COPDが対象。平均%FEV1.0は46%GOLDステージではⅢが51%いる。平均6MWTは427m

・各活動量の指標で、サンプルサイズが最も小さく、ICCが最も高いは4-5日間

・活動強度が最も高いのはAM7からPM8時

・16の患者は冬に始め、19は春、16が夏、6は秋に開始。日照時間が平均最大20分異なるため、データにも影響があった。

 

------------------------------

統計手法が難しい。。。

とりあえず、平日4日間のデータで良いのだろうということは分かったけど、表を解読できなかった。

後日ゆっくり読み進めていきたい。



2016/12/12

慢性心不全患者の6MWTのMCID

Clinically Meaningful Change Estimates for the Six-Minute Walk Test and Daily Activity in Individuals With Chronic Heart Failure

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23997688

Cardiopulmonary Physical Therapy Journal,Vol 24  No 3 September 2013

 

目的

このスタディでは慢性心不全(CHF)の外来患者における6MWTと日常活動性のMDDとMCIDの推定値を示すこと

 

方法

22の安定期心不全患者、NYHA classⅡとⅢ、ベースラインに2回6MWTを間に30分の休憩を挟んで実施

日常活動性の測定のために3軸加速度計を7日間装着

通常の治療の7週間後、再び加速度計を7日間装着し、クリニックに戻すときに、 心疾患と6MWTに関するthe Global Rating of Change Scale (GRS) を記入

6MWTのMDDは2つのベースライン6MWTで算出日常生活のMDDは2つの方法で算出1)ベースラインモニター中の妥当性2)GRSで変わっていないと答えた患者のベースラインの妥当性

6MWTと日常活動性のMCIDはGRSで改善したと答えた患者の平均と95%信頼区間で算出

 

結果

6MWTのMDDは32.4m日常活動性のMDDは5909VMU/hr(vector magnitude units)

日常活動性のMCIDは1337VMU/hr6MWTのMDDとMCIDは良好な配置にあり、推定MCIDは約32m.

しかし、算出したMCIDはMDDで表した測定誤差以下であり、提示されたMDIDはこの対象において少なく見積もれているか、日常活動性が疾患全体の変化以上に強いのかもしれない。

 

・ the minimum detectable difference(MDD):臨床的に意味のある変化を示し、測定誤差を反映する。測定機器による測定誤差を除いた本当に達成された変化を示している。評価の再現性や妥当性を用いる。

・the minimum clinically important difference (MCID):臨床的に意味のある変化を示し実感した変化を反映する。患者が実際に効果を感じた最小の改善値を示す。

GRS

"最後に会ってから、あなたの心疾患の状態をどのように感じているか丸印をつけてください"

 

・自覚症状と日常活動:よくなったと感じていると、活動性が高い

 

・6MWTの変化と日常生活の変化

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

人数が少ないし方法も聞いたことが無い方法なので、信頼できるのか分からないが、重症COPDのMCIDと近い数字ではあるので、目安には使えるかな?どこかで大規模研究されてそうな気もするけど。

活動量の単位って統一できないものなのか。



2016/12/08

身体活動性の変化がCOPD増悪入院の回数に与える影響

Influence of changes in physical activity on frequency of hospitalization in chronic obstructive pulmonary disease

 

Respirology.2014 Apr;19(3):330-8

 

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/resp.12239/abstract;jsessionid=0483FC693A4C620570D18599E76863BA.f01t04

目的

COPD患者の通常の身体活動(PA)がCOPD増悪入院の割合に影響するかを評価すること。

 

方法

543人の救急病院で治療した患者を前方視的に集めた。PAは冠者の自己申告1週間のうち少なくとも3日間の歩いた推定距離(km/day)を調査入院は病院のデータベースから収集すべての患者は参加してから少なくとも2年のフォローを行ったものを解析に加えた反応変数は研究に参加した後の3年以内のCOPD増悪入院の数

 

結果

391人の患者が生存平均%FEV1.0は52%低いPA患者は入院率が上昇((odds ratio 2.134)

 

結語

COPD患者で低い活動レベルもしくはPAが減少している患者はCOPD増悪による入院をする割合が高くなっていたPAのより高いレベルへの変化もしくは、少なとも3-6km/dayの歩行のような低い活動強度は、COPD増悪入院の割合を減少させる

 

・ベースラインのインタビューで昨年のPAの種類について質問。週3回は家から出るように指示週2回以下は、通常のPAではない(non-regular PA)と判定

1日の活動量で5グループに分類

2回いかの外出:nr-PA、1日3以下:低PA3-6:中等度PA6以上:高度PAスポーツや仕事そしている:非常に高いPA

PAの変化は研究参加時とその2年後を比較PAの変化は7つのカテゴリーに分類

・5年間フォローした。高いPA患者は若く呼吸困難感が少なく、気流閉塞が少なく6MWTで長距離をけていた

・単変量解析にて、高いレベルのPAを維持もしくは上昇COPD増悪入院のオッズは減少

PAの減少もしくは低いレベルでの維持は入院率を高める

・多変量解析にてPAの変化(7つのカテゴリー)は独立してCOPD増悪入院と関連

・入院に関与するPAレベルの変化のオッズ:ベースライン低活動レベル+2年後低活動レベルは1.9倍ベースライン高活動レベル+2年後低活動レベルは2.1倍

 

------------------------------

あまり見慣れない図表だったので、難しかった。とりあえず、身体活動性を維持できていれば入院リスクは少なく、より高いレベルを維持できればなおリスクは低い、と解釈。

そもそも、身体活動"性"と身体活動"量"の言葉の使い分けが知りたい。



2016/12/04

持続運動 vs 抵抗運動:COPD患者の大腿四頭筋の筋機能障害に効果があるのは?

effect of endurance versus resistance training on quadriceps muscle dysfunction in COPD: a pilot study

 

International Journal of COPD 2016:11 2659–2669

 

背景

運動は、COPDの下肢筋機能障害の対策として重要であるリハビリテーションの2つの主な方法である持続運動と抵抗運動は、どちらも筋力、運動耐容能、健康関連QOLを改善させるかもしれないが大腿四頭筋への効果は徹底的に議論されていない

 

方法

30人のCOPD患者(%FEV1.0 56%)を無作為に8週間の持続運動(ET)か抵抗運動(RT)を行った。外側広筋生検を筋の形態と代謝、血管形成因子を評価するために、トレーニングの前後に実施。症状の程度、運動耐容能(6MWT自転車エルゴ)血管機能も評価した。

 

結果

どちらのトレーニング様式も症状、運動耐容能を改善させ、2つのグループに差は無かった。タイプⅡaの筋線維の割合は、持続運動後に減少しており、抵抗運動で筋線維の変化は見られなかった。どちらのトレーニング様式でも筋毛細血管、血管形成因子、血管機能に差は無かった。持続運動後、筋タンパクの要素であるホスホフルクトキナーゼが減少しており、クエン酸シンターゼの含量が上昇していたが、抵抗運動後には変化が見られなかった。

 

結語

持続運動も抵抗運動も症状と運動耐容能は改善していた。持続運動は、より大腿四頭筋フェノタイプの酸化を引き起こし、COPDの筋機能障害を防ぐ

 

・デンマークの患者を対象。年齢40-80歳重症心不全や不安定虚血性心疾患、悪性腫瘍は除外

・介入頻度は、8週間、週3回35分間のトレーニング

ETはボルグスケールで14-15のレベルで実施サイクリングもしくはトレッドミル歩行を行いそれぞれの負荷は徐々に上げていくように指示

・RTはマシンを使用し、主な上下肢の筋群(チェストプレスローイングレッグプレスレッグエクステンション)を4セット実施。負荷は1RMの30%から開始し1RMの40%へ増強した。回数は15-20回30秒持続して実施それぞれのセット間に20秒の休憩と、運動種目に60秒の休憩をはさんだ

・症状の評価としてCAT、運動耐容能の評価として6MWT、運動負荷試験、体組成の評価を実施

Figure2A,B:どちらのトレーニング様式でもTypeⅠ線維の割合に著しい変化は無かった:赤がミオシン重鎖、緑がTypeⅠ線維。

対照的にTypeⅡa線維はET後に減少していたがRT後は変わりなかった(Figure2D)

・運動様式別の評価を比較

・CATや運動耐容能はどちらの運動でも改善。脂肪量はETでのみ有意に減少

・下肢の血流量:AはRTBはETCはすべての患者トレーニング後の方が血流量は増大しており、ETの方が有意に改善。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

TypeⅠ線維:赤筋、遅筋。収縮速度は遅いが、持久性がある。ヒラメ筋に多い。

TypeⅡa線維:速筋。TypeⅠとⅡbの中間。人には少ない

TypeⅡb線維:白筋、速筋。収縮速度は速く、出力は大きいが、疲れやすい。腓腹筋に多い。

高齢者はTypeⅡ線維が減少しやすく、COPDではTypeⅠが減少しやすい特徴があったような。。



2016/12/01

併存症のある外来COPD患者に標準的リハを行った効果

Efficacy of standard rehabilitation in COPD outpatients with comorbidities

Eur Respir J 2010; 36: 1042–1048

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20413540

 

前向き研究では、多くの併存症を確認している。特異的な併存症や併存症の数が増えることが独立して呼吸リハを実施するCOPDのアウトカムの低下と関連しているかどうかを評価した。

 

316人の外来患者(平均年齢68歳)を対象。アウトカムは併存症MCIDの確立されている評価(6MWD:54mMRC:-1SGRQ;-4点)

 

62%の患者に併存症があり。高血圧(35%)脂質異常症(13%)糖尿病(12%)冠動脈疾患(11%)が最も頻度が多かった。

これらの患者のうち45%が、すべてのアウトカムでMCIDを達成ロジスティック回帰モデルで、ベースラインの6MWD(OR0.99p=0.001)MRC (OR 12.88、p1=0.001)、動脈血CO2分圧( (OR 1.08、p=0.034)が、6MWDとMRCの改善した患者の割合と相関していた。骨粗鬆症の存在は6MWDの改善度合いを減少させていた (OR 0.28、p=0.006)。

 

外来呼吸リハを行っているCOPD患者で、併存症が多く存在していることが分かった患者の身体障害と骨粗鬆症の存在のみがリハアウトカムの低下と独立して関連していた

 

4つのイタリアのリハセンターの患者を対象最近増悪した患者など安定していない患者は除外

・併存症は The Charlson index を入院時に記録。年齢で補正せず、COPDはスコアに含めない

3つのグループに分類 0:関連した疾患が無い1:1つの関連した疾患がある、2:2つ以上の疾患がある

・呼吸リハは、外来にて週31セッション3時間のものを、21セッション(7週間)実施内容は標準的な活動(骨格筋トレーニング教育胸部理学療法心理面、栄養カウンセリング)を行い理学療法士がプログラムのすべての活動中均等に指導を行った

・アウトカム:6MWTmMRCSGRQをリハ前後で比較その他評価は肺機能動脈血ガス

・結果、併存症スコアは平均2.6点6MWDは併存症が多くなると若干短くなっている。

・併存症の割合a)は1つの併存症b)は慢性併存症の集計

・多変量解析でMCIDに影響する因子

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

併存症があってもMCIDを得られる程度の効果があった。この対象はベースラインが高かったため、MCIDに届かない患者が多く、頭打ちの可能性もあるかな。