2016/12/26

間質性肺疾患における不安と抑うつに影響するものは?

Dyspnoea and comorbidity contribute to anxiety and depression in interstitial lung disease

Respirology (2014) 19, 1215–1221

 

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/resp.12360/abstract

 

背景

間質性肺疾患(ILD)患者の不安の罹患率についてはあまり知られておらず抑うつの要因も明らかでない。目的はILD患者の不安と抑うつの罹患率と予測因子を明らかにすること。

 

方法

124人のILD患者(平均64歳48人がIPF)が対象不安と抑うつはHADSで評価し、確診、疑い、ボーダーラインに分けた関連を調べたのは患者背景肺機能6MWTmMRC

 

結果

不安があったのは31%、臨床的に著しい不安は12%抑うつは、23%にあり、臨床的に著しいのは7%だった。不安の独立した予測因子は高いmMRC歩行中のSpO2の最低値抑うつの独立した予測因子は高いmMRC併存症の数が多いこと。

 

結語

不安と抑うつはILD患者の少数に顕著に存在していた呼吸困難感と併存症は介入するために重要なものかもしれない

 

 

HADS(the Hospital Anxiety and Depression Scale):14問の自己記入式評価表不安と抑うつそれぞれのスコアが算出され各21点満点で評価11点以上は不安抑うつが顕著にあり、8-10点は不安抑うつの可能性あり、7点以下は不安抑うつ無しと判定( by Zigmond and Snaith)

・対象患者の疾患内訳:IPF48人過敏性肺炎12人膠原病11人サルコイドーシス11人肺リンパ脈管筋腫7人非特異的間質性肺炎6人

FVC2.56L%FVC72%6MWD427m

・不安スコアで、確診にあたるのはごく少数。抑うつも同様(下図)

aが不安、bが抑うつ。

no case:不安、抑うつ無し、borderline:疑いあり、case:確診

 

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各疾患とも確診に至ったのは、2,3人程度。疑いを含めても半分にも満たない結果ということで、間質性肺疾患患者は、不安抑うつ傾向は少数であったとのこと。

多変量解析での結果、呼吸困難と併存症ということは、自覚症状が強くなっていたり、痛みや体の不調を多く自覚するようになると、不安抑うつ傾向が強くなるということかな。

"病は気から"とは良く言ったものだなと良くも悪くも最近よく思います。