effect of endurance versus resistance training on quadriceps muscle dysfunction in COPD: a pilot study
International Journal of COPD 2016:11 2659–2669
背景
運動は、COPDの下肢筋機能障害の対策として重要である。リハビリテーションの2つの主な方法である持続運動と抵抗運動は、どちらも筋力、運動耐容能、健康関連QOLを改善させるかもしれないが、大腿四頭筋への効果は徹底的に議論されていない。
方法
30人のCOPD患者(%FEV1.0 56%)を、無作為に8週間の持続運動(ET)か抵抗運動(RT)を行った。外側広筋生検を筋の形態と代謝、血管形成因子を評価するために、トレーニングの前後に実施。症状の程度、運動耐容能(6MWT、自転車エルゴ)、血管機能も評価した。
結果
どちらのトレーニング様式も症状、運動耐容能を改善させ、2つのグループに差は無かった。タイプⅡaの筋線維の割合は、持続運動後に減少しており、抵抗運動で筋線維の変化は見られなかった。どちらのトレーニング様式でも筋毛細血管、血管形成因子、血管機能に差は無かった。持続運動後、筋タンパクの要素であるホスホフルクトキナーゼが減少しており、クエン酸シンターゼの含量が上昇していたが、抵抗運動後には変化が見られなかった。
結語
持続運動も抵抗運動も症状と運動耐容能は改善していた。持続運動は、より大腿四頭筋フェノタイプの酸化を引き起こし、COPDの筋機能障害を防ぐ。
・デンマークの患者を対象。年齢40-80歳。重症心不全や不安定虚血性心疾患、悪性腫瘍は除外
・介入頻度は、8週間、週3回、35分間のトレーニング。
・ETはボルグスケールで14-15のレベルで実施。サイクリングもしくはトレッドミル歩行を行い、それぞれの負荷は徐々に上げていくように指示
・RTはマシンを使用し、主な上下肢の筋群(チェストプレス、ローイング、レッグプレス、レッグエクステンション)を4セット実施。負荷は1RMの30%から開始し、1RMの40%へ増強した。回数は15-20回、30秒持続して実施。それぞれのセット間に20秒の休憩と、運動種目の間に60秒の休憩をはさんだ。
・症状の評価としてCAT、運動耐容能の評価として6MWT、運動負荷試験、体組成の評価を実施
・Figure2A,B:どちらのトレーニング様式でもTypeⅠ線維の割合に著しい変化は無かった:赤がミオシン重鎖、緑がTypeⅠ線維。
対照的にTypeⅡa線維はET後に減少していたが、RT後は変わりなかった(Figure2D)
・運動様式別の評価を比較
・CATや運動耐容能はどちらの運動でも改善。脂肪量はETでのみ有意に減少
・下肢の血流量:AはRT、BはET、Cはすべての患者。トレーニング後の方が、血流量は増大しており、ETの方が有意に改善。
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TypeⅠ線維:赤筋、遅筋。収縮速度は遅いが、持久性がある。ヒラメ筋に多い。
TypeⅡa線維:速筋。TypeⅠとⅡbの中間。人には少ない
TypeⅡb線維:白筋、速筋。収縮速度は速く、出力は大きいが、疲れやすい。腓腹筋に多い。
高齢者はTypeⅡ線維が減少しやすく、COPDではTypeⅠが減少しやすい特徴があったような。。