2016/12/04

持続運動 vs 抵抗運動:COPD患者の大腿四頭筋の筋機能障害に効果があるのは?

effect of endurance versus resistance training on quadriceps muscle dysfunction in COPD: a pilot study

 

International Journal of COPD 2016:11 2659–2669

 

背景

運動は、COPDの下肢筋機能障害の対策として重要であるリハビリテーションの2つの主な方法である持続運動と抵抗運動は、どちらも筋力、運動耐容能、健康関連QOLを改善させるかもしれないが大腿四頭筋への効果は徹底的に議論されていない

 

方法

30人のCOPD患者(%FEV1.0 56%)を無作為に8週間の持続運動(ET)か抵抗運動(RT)を行った。外側広筋生検を筋の形態と代謝、血管形成因子を評価するために、トレーニングの前後に実施。症状の程度、運動耐容能(6MWT自転車エルゴ)血管機能も評価した。

 

結果

どちらのトレーニング様式も症状、運動耐容能を改善させ、2つのグループに差は無かった。タイプⅡaの筋線維の割合は、持続運動後に減少しており、抵抗運動で筋線維の変化は見られなかった。どちらのトレーニング様式でも筋毛細血管、血管形成因子、血管機能に差は無かった。持続運動後、筋タンパクの要素であるホスホフルクトキナーゼが減少しており、クエン酸シンターゼの含量が上昇していたが、抵抗運動後には変化が見られなかった。

 

結語

持続運動も抵抗運動も症状と運動耐容能は改善していた。持続運動は、より大腿四頭筋フェノタイプの酸化を引き起こし、COPDの筋機能障害を防ぐ

 

・デンマークの患者を対象。年齢40-80歳重症心不全や不安定虚血性心疾患、悪性腫瘍は除外

・介入頻度は、8週間、週3回35分間のトレーニング

ETはボルグスケールで14-15のレベルで実施サイクリングもしくはトレッドミル歩行を行いそれぞれの負荷は徐々に上げていくように指示

・RTはマシンを使用し、主な上下肢の筋群(チェストプレスローイングレッグプレスレッグエクステンション)を4セット実施。負荷は1RMの30%から開始し1RMの40%へ増強した。回数は15-20回30秒持続して実施それぞれのセット間に20秒の休憩と、運動種目に60秒の休憩をはさんだ

・症状の評価としてCAT、運動耐容能の評価として6MWT、運動負荷試験、体組成の評価を実施

Figure2A,B:どちらのトレーニング様式でもTypeⅠ線維の割合に著しい変化は無かった:赤がミオシン重鎖、緑がTypeⅠ線維。

対照的にTypeⅡa線維はET後に減少していたがRT後は変わりなかった(Figure2D)

・運動様式別の評価を比較

・CATや運動耐容能はどちらの運動でも改善。脂肪量はETでのみ有意に減少

・下肢の血流量:AはRTBはETCはすべての患者トレーニング後の方が血流量は増大しており、ETの方が有意に改善。

 

 

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TypeⅠ線維:赤筋、遅筋。収縮速度は遅いが、持久性がある。ヒラメ筋に多い。

TypeⅡa線維:速筋。TypeⅠとⅡbの中間。人には少ない

TypeⅡb線維:白筋、速筋。収縮速度は速く、出力は大きいが、疲れやすい。腓腹筋に多い。

高齢者はTypeⅡ線維が減少しやすく、COPDではTypeⅠが減少しやすい特徴があったような。。