2018/05/28

脳卒中後の歩行速度のMCID(20日目から60日目までの変化)=0.16m/s

Meaningful Gait Speed Improvement During the First 60 Days Poststroke: Minimal Clinically Important Difference

Physical Therapy, Volume 90, Issue 2, 1 February 2010, Pages 196–208

https://academic.oup.com/ptj/article/90/2/196/2737809#.Wvm2omzYT9A.twitter

<背景>
脳卒中患者の歩行速度の回復に際して、機能回復と活動障害の軽減が報告される。しかし、歩行速度の臨床的に意味のある最小限の改善と脳卒中後の機能の有意味な変化の関連については明らかになっていない。

<対象>
目的は、脳卒中後20-60日の患者における、快適歩行速度(comfortable gait speed:CGS)とmodified Rankin Scale(mRS)の改善の関連について調査した。

<方法>
283人の初回脳卒中患者が対象。快適歩行速度とmRSは脳卒中後20日と60日に評価した。
mRSが1以上改善していた場合、活動制限の意味のある改善が得られたと判定。

<結果>
平均CGSは、20日目で0.18m/s、60日目で0.39m/s。
全ての患者のうち、47.3%はmRS1以上の改善が得られた。
mRSをアンカーとした場合の推定MCIDは、0.16m/sであった。

<考察>
亜急性期脳卒中患者の歩行速度のMCIDを推定し、重要な歩行速度の改善は0.16m/sであった。
亜急性期脳卒中患者で、0.16m/s以上の歩行速度の改善が得られた患者は、活動制限の有意味な改善が得られていた。
この値は、目標設定としても有効で、患者の進捗状況の説明としても利用できる。

<limitation>
mRSは歩行の活動制限に特異的なものではないため、CGSのMCID推定は、感度73.9%、特異度57.0%で、mRSの改善が得られていた。


・歩行速度の先行研究;
0.4m/s未満⇒屋内歩行
0.4m/s以上0.8m/s未満⇒屋外(地域内)の歩行
0.8m/s以上⇒制限なしに屋外(地域)を歩ける
・歩行速度の評価方法:10m歩行速度を快適な歩行速度で測定。1人の介助者がバランスや安定性のアシストをしてよい。補助具や装具などは、最もよく使う者を使用してよい。
・20日から60日の間、患者は地域において標準的なリハビリテーションを行う。

・対象者の年齢平均63.5歳、男性51.9%、
・脳梗塞が80.9%、右半球損傷47.3%、左半球損傷38.5%
・20日目の平均歩行速度0.18m/s、60日の平均歩行速度0.39m/s


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脳卒中で研究するときに、患者選択をどういう風にしたらいいのか難しい。
損傷半球?損傷部位?梗塞か出血か?など。。。

2018/05/24

急性期の患者への酸素投与は控えめが良い

Mortality and morbidity in acutely ill adults treated with liberal versus conservative oxygen therapy (IOTA): a systematic review and meta-analysis

The Lancet . May 01, 2018

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)30479-3/fulltext

<背景>
酸素療法は急性期疾患の患者に対してよく行われるが、このエビデンスの信頼性に関しては明らかになっていない。
このレビューでは、酸素療法を保守的(控えめ)に行うことと、積極的に行うことの効果と安全性について検討した。

<方法>
RCTで急性期患者に対して酸素療法の保守的と積極的投与を比較している論文を抽出。
慢性呼吸器疾患、精神疾患、体外生命装置、高圧酸素療法、手術待機患者は除外
主なアウトカムは、死亡率(入院において、30日後、フォロー期間最後まで)、罹患率(活動制限のある期間、院内肺炎のリスク、院内感染、入院期間)

<結果>
25本のRCT、16037人の患者が対象。疾患は、敗血症、重症疾患、脳卒中、外傷、心筋梗塞、心停止で、緊急手術を行われている患者。
保守的酸素投与と比較して、積極的酸素投与(ベースラインの中央値SpO2 96%)は、入院中、30日後、フォロー期間最後の死亡率が増加していた。
罹患アウトカムは両グループとも似ていた。

<解釈>
急性期の成人患者において、積極的酸素療法が患者の重要なアウトカムの改善無く、制帽率を高めるという高いエビデンスを示した。
酸素療法は、SpO2が94-96%の範囲を超えると不都合な結果となるかもしれない。この結果は、酸素療法の保守的な投与を支持する。

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呼吸器疾患は除外されているとこは注意

2018/05/20

ICUでの運動:4種類の運動強度を比較

Comparison of exercise intensity during four early rehabilitation techniques in sedated and ventilated patients in ICU: a randomised cross-over trial

Crit Care. 2018; 22: 110.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5923017/

<背景>
ICUにおいて、離床(out-of-bed rehabilitation)はしばしば遅れており、ベッド上での運動は一般的に低強度である。リハビリテーションの大部分はベッド上でおこなわれているため、運動は高強度で行われる。この研究の目的は、ICUで鎮静、挿管管理されている患者に対して、4種類のベッド上での運動を行い、どれが最も効果的であるかを明らかにするために、身体的な効果を比較すること。

<方法>
無作為化、単盲検、プラセボ対照交差試験で実施。
4種類の運動は他動的ROM、他動的自転車エルゴメーター、大腿四頭筋電気刺激、機能的電気刺激(FES)サイクリング。
それぞれの運動は人工呼吸管理で鎮静管理されている患者に10分間実施。
心拍出量をドップラーサウンドで評価。
2つ目の目的は運動中の右心機能、肺動脈圧と収縮期血圧、外側広筋の微小循環を評価すること。

<結果>
19人の患者が対象。FESサイクリングが唯一心拍出量の増加を認め、平均1L/min(15%上昇していた。
筋酸素摂取量の増加を伴っており、筋活動の出現を示唆している。
FESサイクリングは、このように早期リハ介入の内容として効果的である。
他動的な方法では、筋肉や全身の効果は無かった。

<結論>
多くのベッド上での運動は低強度で低い筋活動レベルである。FESサイクリングは、心拍出量と十分な筋活動を提供できる唯一の運動であった。
今後、FESサイクリングの機能的な長期効果を検討していくべきである。


・FESサイクリング(RehaMove®):膝伸展筋の筋活動に同調して電気刺激を加えながら時エルゴを行う。
今回は、ペダルの回転数は20回/minで設定

・4種類の運動を間に30分ずつ休憩をはさみ、循環機能がベースラインに戻ったのを確認してから次の運動を実施。実施する順番は無作為にLatin square designで決定

・主なアウトカムは、ベースラインと3分ごとの心拍出量。

・対象患者の平均年齢は65.3歳
・主な疾患:肺炎4名、敗血症1名、COPD増悪1名、心不全3名、薬物過服用5名、術後敗血症5名
・併存症:慢性呼吸器疾患6名、肥満9名、慢性心不全5名、がん1名、慢性腎不全3名、糖尿病7名
・人工呼吸使用期間中央値:4日(平均PS15cmH2O、平均PEEP7cmH2O、FiO2 35%)


各運動中の心拍出量
FESサイクリングのみ上昇

それぞれの運動終了後のヘモグロビン
赤:酸化ヘモグロビン
青:還元ヘモグロビン
緑:全ヘモグロビン
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ベッド上でも方法によっては、負荷をかけて運動できるということか。
それがいいのか悪いのか。。。

2018/05/17

BDNFは、脳卒中3か月後の上肢運動機能の予測因子

Association Between Brain-Derived Neurotrophic Factor Genotype and Upper Extremity Motor Outcome After Stroke.

Stroke. 2017 Jun;48(6):1457-1462.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28495829

<背景>
上肢運動機能アウトカムの予測のための内在的な因子の検討は、脳卒中リハの個別の治療計画のデザインを援助する。
目的は、亜急性期脳卒中患者の上肢アウトカムにおける、内在的な遺伝子要因を含めた予測因子を明らかにすること。

<方法>
97人の亜急性期脳卒中患者が対象。上肢機能は、受傷3か月後のFugl-Meyer assessment scoreで評価。
3か月後の上肢運動機能の予測は、ベースラインの患者特性、上肢機能障害の程度、皮質脊髄路の機能的・構造的な整合性、脳由来神経栄養因子(BDNF)を含めて障害の改善可能性の因子を検討した。
多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、それぞれの因子を同定した。

<結果>
3ヶ月後の上肢アウトカムの独立した予測因子は、ベースラインの上肢運動障害の程度、年齢、脳卒中のタイプ、全脳卒中患者の皮質脊髄路の整合性。
しかし、ベースラインでの重度の上肢機能障害があるグループ(Fugl-Meyer assessment <25)は、BDNFの対立遺伝子の数が、3か月後の上肢機能を予測する独立した予測因子であった。

<結論>
BDNFは、ベースラインで重度の上肢運動麻痺のある脳卒中患者において、上肢アウトカムの予測因子となり得るかもしれない。

2018/05/14

半側空間無視からの回復の予測因子:fMRIの結果から

Predictors and signatures of recovery from neglect in acute stroke.

Ann Neurol. 2016 Apr;79(4):673-86.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26873402

<目的>
空間無視は、脳卒中後に、自発的に改善するか残存するかのどちらかである。後者は、アウトカム不良と関連している。この研究の目的は、急性期脳卒中の空間無視からの改善の良し悪しの予測因子と神経学的な相関を検討すること。

<方法>
神経学的なテストに加えて、機能的MRI画像と機能的接続性を34人の無視がある患者と改善した患者で評価。
受傷後、2-3日(acute phase1)、8-10日(acute phase2)、4-6ヵ月(chronic phase)に評価した。

<結果>
phase1の回復の過程は、右頭頂部と左前頭前野と左頭頂葉の機能的接続の強さによって予測された。
phase2の期間中は、空間無視からの回復は、左前頭前野と右頭頂葉の活動の向上と関連しており、急性期の回復が乏しかった患者は、どの機関でもこの効果が得られなかった
空間無視の改善の程度は、右脳の注意中枢の活性化と関係していた;左脳の機能的な部分のより強い活性化は、無視された片側の空間の追跡が出来ることと関連していた。

<考察>
機能的な興奮と障害部位と反対側の機能的な部位特異的な早期動員(活性化?)が急性期脳卒中の改善を示した。
重症脳卒中によって引き起こされた空間無視は、障害された側の保たれている脳内ネットワークの調整によって、障害された側と反対側の機能的な回復をサポートしている。
最初の機能的な接続は、回復過程を予測し、回復の弱い患者の発見を助けることになることで、早期に集中的なリハを行うことができるかもしれない。

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無視された空間に沢山注意を向けて、それが持続できるように介入していくことが必要ということ・・?

2018/05/13

COPDの運動耐容能に心肺機能はどれほど影響するか

Determinants of functional, peak and endurance exercise capacity in people with chronic obstructive pulmonary disease.

Respir Med. 2018 May;138:81-87.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29724398

<背景>
COPDの運動制限は、多様な要因がある。心肺機能の影響に関しては明らかになっていない。

<方法>
運動耐容能の異なる要素の可能性を検討するために、6MWD、最大酸素摂取量(peak VO2)、最大運動負荷、亜最大持続運動負荷テストの運動時間を行った。

<結果>
516人のCOPD患者(56%男性、平均年齢64歳、%FEV1.0 49%)。患者は、運動耐用能が低下していた。心肺機能の測定では、エコー検査を行い、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(N-terminal pro-brain natriuretic peptide:NT-proBNP)は、運動耐容能と著明に相関していた。
重回帰分析にて、年齢と性別を補正した結果、6MWDの72%が関係しており、TUGでは32%が優位に関連していた。
peak VO2は、1秒量の30%と関係していた。
大腿四頭筋力は、全ての運動テストにおいて、明らかに決定要因となっていた。

<考察>
心肺機能は、運動耐容能と関連していたが、優先的な要因ではなかった。運動耐容能変数の異なる構成要素の決定因子は多岐にわたるが、強い関係が示されたのは、大腿四頭筋力と機能的・持久的な運動パフォーマンスと、肺機能と最大運動耐容能であった。

・2012年から2014年までオランダで行われた、”COPD患者の健康状態への循環器疾患の影響”に関する研究のデータを使用。安定期COPD患者が対象。
・評価項目:喫煙歴、mMRC、併存症(charlson Comorbidity Index)、体組成、肺機能、呼吸筋力、安静時の心エコー、運動耐容能(6MWT、症候限界運動負荷試験、持久力試験(Sub-maximal constant work rate cycle test))、大腿四頭筋力、CAT、SGRQ、HADS

・心エコー検査にて、対象患者の53.4%に1つ以上の指摘があった。EF<50%が16.4%.

・多重線形回帰分析の結果


2018/05/07

脳卒中後、画一的な運動療法の効果は徐々に減少していく

Locomotor Training and Strength and Balance Exercises for Walking Recovery After Stroke: Response to Number of Training Sessions

Physical Therapy, Volume 97, Issue 11, 1 November 2017, Pages 1066–1074

https://academic.oup.com/ptj/article/97/11/1066/4082915?searchresult=1

<背景>
エビデンスに基づいたガイドラインが、脳卒中後の歩行能力の改善における、運動セッションの効果的な回数を含めて、リハビリテーションの実施内容として求められている。

<目的>
2つの介入方法(歩行トレーニングと筋力とバランス練習)で改善の反応のあるトレーニングの回数を検討した

<対象>
カリフォルニアとフロリダの6つのリハビリテーションサイトで自宅にいる患者347人
少なくとも3m(10feet)アシスト付きで歩けて、介入セッションの必要な回数を行えた患者

<介入方法>
36回介入(週3回を12週間)、1回90分。
歩行練習(免荷トレッドミル歩行とグラウンド歩行)もしくは筋力とバランス練習を実施

<評価>
10m歩行速度、6MWTをトレーニングの前と12回目、24回目、36回目の介入時に評価

<結果>
脳卒中後2-6か月後の参加者において、36回目の歩行速度と歩行耐久性の改善が得られた
。しかし、介入方法や重症度に関わらず25-36回のセッションにおいて、改善度合いは徐々に減少していた。

<結論>
地域で生活している2-6か月後の脳卒中患者は、36回の歩行練習もしくは筋力、バランス練習によって、歩行速度と歩行距離が改善することを示した。
しかし、24回目以降の改善はわずかとなる傾向であった。
個別の改善の軌跡を追跡することが、計画的な治療において必要である。

2018/05/06

週1回の中等度強度の歩行はBDNF濃度を上昇させる

A single session of moderate intensity walking increases brain-derived neurotrophic factor (BDNF) in the chronic post-stroke patients.

Top Stroke Rehabil. 2018 Jan;25(1):1-5.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29078742

<背景>
短期間の有酸素運動は血中の脳伝達由来因子(BDNF)を上昇させる。しかし、BDNFの濃度を上昇させる運動の種類や強度について決めることが必要である。

<目的>
軽度と中等度の有酸素運動の効果を、慢性期脳卒中患者を対象に、BDNFレベルを検討すること。

<方法>
対象患者は、認知機能(MMSE)、抑うつ評価(Hamilton Depression Scale)、疲労感(Fatigue Severity Scale)、運動耐容能(6MWT)を実施。血液サンプルは、それぞれのセッションの前後で採取。
運動は、ターゲットゾーン(軽度:最大HRの50-63%、中等度:最大HRの64-76%)の歩行を30分、週1回を2週間続けて実施した。

<結果>
中等度の有酸素運動を30分行うと慢性期脳卒中患者のBDNFレベルが向上し、軽度では見られなかった。

<結論>
脳卒中からの回復の要因として、運動が有効であるというメカニズムの可能性を示唆しており、将来の研究の基礎を提供し、臨床応用としての特異的な指標を明らかにした。

2018/05/03

COPDにおける認知機能障害:評価と介入

Cognitive impairment in COPD: should cognitive evaluation be part of respiratory assessment?

Breathe 2017 13: e1-e9;

http://breathe.ersjournals.com/content/13/1/e1

認知機能障害は、COPD患者にで多く存在しており、患者の状態や治療アウトカムに多くの多面的な影響をもたらす状態である。
これは複数の病態生理学の要因が重なり合っており、最も共通しているのは、呼吸が満足に行えないことによる酸素飽和度が低い事の結果である。
臨床的なアウトカムに認知機能障害の影響があるにもかかわらず、認知機能障害が同時に存在しているかのスクリーニングは、呼吸器の治療の成功を妨げているかもしれないが、いまだ無視されている。
呼吸器の治療計画を進めるときには、認知機能障害は特別に考慮すべきである。認知機能が障害されている患者は、より多くのサポートを必要としており、個別の認知機能に有益な呼吸ケアプランが必要である。
多面的なアプローチとしての呼吸リハは、認知機能障害のあるCOPD患者へ優先的に行うべきである。

・認知機能障害を表すいくつかの症状
”年齢的に考慮しても記憶の喪失が多い”
”同じことを何度も質問したり、同じストーリーを何度も繰り返す”
”家族や場所を認識できない”
”判断や行動を誤る”
”気分や行動の変化が意識できず、孤立したり、非道徳的である”
”対象までの距離を判断できない”
”タスクを完了できない、実行機能(計画、統合、推理)の損失”
・COPDにおける認知機能障害は増加しており、肺機能の低下がリスクファクターである。
・平均して、COPD患者の36%に認知機能障害があるとされている。

<認知機能の評価>
・広く用いられているのは、MMSE、the Addenbrooke’s Cognitive Examination (ACE)、the Montreal Cognitive Assessment (MoCA:日本版はMoCA-J)、 the Clock Drawing Test (CDT)、the Mini-Cog test 。
・ボーダーラインスコアの患者は軽度認知障害(mild cognitive impairment (MCI))として認知障害のファーストステージであることが明らかにされる

<肺機能と認知機能>
・低い肺機能は認知機能障害と関連していることが報告されている。
・特に、記憶と学習、注意、精神運動速度、空間認知機能、実行機能、言語スキルに影響がある。
・脳に十分な酸素が供給されないことにより、脆弱な中枢神経を損失するきっかけになりえるため、動脈の低酸素は認知機能障害に大きく関与する。
・さらに、PaCO2の上昇に気づかないことがある。PaCO2の上昇は、反応時間の低下、記憶の遅延、情報処理速度の低下、注意や集中力の欠如と関連している。

<認知機能障害のリスクファクター>
・全身炎症や酸化ストレス、身体活動の低下、末梢血管障害、高血圧と低血圧、脳血管の狭窄と関連した頭蓋内圧の上昇、併存症、喫煙、体質


<呼吸ケアの一部としての認知機能障害の治療>
・運動や教育の多面的な介入が推奨される。
・加えて、社会と繋がる機会やサポートを受けて他の患者とモチベーションを共有する機会を提供する。
・呼吸リハは、不安や抑うつを改善するが、認知機能障害にも有益が期待できる。
・3週間のリハプログラムで視覚的注意、言語記憶などが改善したと報告がある。
・さらに、酸素療法が認知機能の進行を遅らせる、もしくは改善するかもしれないとも報告されている。(長期間酸素療法を行っていないCOPD患者は、行っている患者と比べて、認知機能が悪かった)

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入院での介入だけで改善するのは難しい。
外来や患者会の紹介も介入の方法で、患者同士のコミュニティを作り、継続的なサポートができる体制が求められる。

2018/05/01

ICUで集中的にリハを行うと入院期間が減少する

Enhancing rehabilitation of mechanically ventilated patients in the intensive care unit: a quality improvement project.

J Crit Care. 2015 Feb;30(1):13-8.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25316527

<目的>
機械換気の期間延長は、身体的、心理社会的な影響と関連している。早期リハ戦略のエビデンスは高まっているにも関わらず、ヨーロッパにおける理解や実施はさまざまである。
目的は、ICU患者を交えて、機械換気を行っている患者の早期リハとリハプログラムの向上の影響を評価すること。

<方法>
ICU在室日数や入院日数が延長するリスクが高い患者に対して、集中的に早期リハを強化して実施した。ベースラインのデータは、少なくとも5日間侵襲的換気を行っている患者(n=290)と早期リハチームが発足した後に少なくとも5日間機械換気を行っている患者(n=292)を比較した。
メインアウトカムはICU退室時の活動レベル(the Manchester Mobility Score)、平均ICU在室日数とICU退室後の入院日数、呼吸器装着日数、入院中の死亡率。

<結果>
ICUリハチームの発足は、ICU退院時の活動度の著明な向上と関連し、ICU在室日数、呼吸器装着日数、入院日数、死亡率を減少させた。

<結論>
早期にリハを強化した戦略は、このヨーロッパのICUにおいて退院時の活動度を向上させ、ICU在室日数、入院日数、呼吸器装着日数を減少させた。

・イギリス、バーミンガムでのスタディ
・ICUに10:1の割合でPTを配置。平日8時から17時まで勤務しており、時間外でも可能な限り介入。週末は、限られた内容であるが、リハを提供。
・PTは入院後24時間以内に介入。PT不在時は看護師がモビライゼーションを実施。

介入プロトコル
上:介入の除外基準
下:端座位を制限する基準

活動レベルの評価