2021/07/29

COPD増悪入院中の短期間運動療法は炎症マーカーを悪化させない

Evaluation of Inflammatory Markers in Patients Undergoing a Short-Term Aerobic Exercise Program while Hospitalized due to Acute Exacerbation of COPD

Int J Inflam. 2020; 2020: 6492720.Published online 2020 Apr 28.


【背景】
急性増悪は、COPD患者において、予後不良の重要な要因である。炎症過程の増加を促進しQOL、肺機能、筋力を低下させる。
増悪中の運動療法は、炎症を増加させずに全身症状の悪循環を断ち切ることができると信じられている。

【目的】
入院中の短期間の有酸素運動が、炎症マーカーに影響するかを調査すること。

【方法】
26人の患者が対象(女性69.2%、平均年齢68.4±11.6歳)
入院24時間後;喫煙歴、Chalson Index、QOL、全身炎症マーカー、体組成を評価。
入院48時間後;6MWT、肺機能検査を行い、BODE indexを算出。
入院72時間後;介入群は、1日2回のトレッドミル歩行15分実施。運動前後に炎症マーカー評価のために採決を実施。
退院1ヶ月後;全身炎症マーカー、QOL、体組成、肺機能、6MWT、BODE indexを算出

【結果】
両群とも、重症度と患者特性に違いはなかった。
介入群で、有酸素運動後に炎症プロセスの悪化を示さなかった。
(TNF-α:1.19→1.21、IL-6:2.41→2.66、CRP:3.88→4.07)
IL-6と6MWTに負の相関を認めた。退院1ヶ月後の炎症レベルが低下し、運動耐容能が向上していた。

【考察】
COPD増悪中の有酸素運動は炎症過程を悪化させなかった。

・測定項目
QOL:SGRQ
心理評価:HADS
息切れ:mMRC、6MWTや運動中はmBorgScale
炎症マーカー:TNF-α、IL-6、CRP

・有酸素運動
トレッドミル15分。速度は、6MWTの結果を時速に変換。
Borg<3であれば、傾斜を1ポイントずつ上昇。5分おきに評価
BorgScaleで息切れと下肢疲労感を運動前後に評価。
SpO2<85%以下であれば、酸素投与。


2021/07/24

急性入院中の運動療法は、炎症パラメーターに影響するか。

Effects of Exercise Interventions on Inflammatory Parameters in Acutely Hospitalized Older Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials.

J Clin Med (IF: 3.303; Q4). 2021 Jan 14;10(2):290.


【背景】
このシステマティックレビューとメタアナリシスの目的は、入院した高齢者において、運動療法の炎症パラメーターに対する急性効果を検討すること。

2020年8月までの研究を対象にレビューを実施。
対象となる研究は、急性入院した高齢者に対して、運動と通常ケアの炎症パラメーターへの影響を比較したRCT。
二人のレビュアーが独立して研究を評価。研究の質は、DerSimonian-Laird random-effects inverse-variance modelを持ちいて評価。

5つの研究(275人)が基準を満たした。
運動介入は、レジスタンストレーニングや複合的なプログラムが用いられていた。

結果は、通常ケアと比較して、運動療法は、炎症パラメーター(CRP,IGF-1など)に対して良好な影響を示した。
しかし、炎症パラメーター個別の解析では、CRP、IGF-1が減少傾向にあるが、著明な減少ではないことを明らかにした。

このレビューにおいて、急性入院中の高齢患者に対する運動療法は、わずかに炎症状態を改善させることを示した。
とはいえ、RCTの数が少ないため、今回の結果を慎重に解釈し、今後の研究での結果を注意して確認すべきである。




2021/07/20

TKA術前の不安症状が強いと、術後疼痛の改善が大きい

Do preoperative anxiety and depression influence the outcome of knee arthroplasty?

Reumatol Clin (Engl Ed) (Report missing IFs). May-Jun 2020;16(3):216-221.


【背景】
変形性膝関節症患者の抑うつと慢性疼痛の関連は、複雑で理解するのが困難である。実際に出現する順番を決めるのは、大変な作業になるかもしれない。

【目的】
TKA患者における術前不安と抑うつ症状との関連を分析し、不安や抑うつ症状の変化を評価すること。

【方法】
260人の患者、平均年齢70.8歳
術前と術後1年に
The Knee Society Score (KSS)
 the Visual Analogue Scale (VAS)
 the Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS) 
the Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index (WOMAC:QOL評価)
を実施 

【結果】
術前の不安、抑うつスコアは、どちらも術後に有意な減少を示した(6.55/7.63 to 4.96/5.96、p<.001)
術前スコアと1年後の不安、抑うつスコアを、層別化して比較すると、どちらの症状も統計的に有意な改善を示した。
VASスコアは、術前の不安症状の強い患者で優位に改善していたが、抑うつ症状のある患者では対照的な結果を示した。

【考察】
TKAは、術前の不安、抑うつのレベルを減少させた。
術前不安症状のある患者において、VASで測定した疼痛レベルの減少が大きかった。
術前不安、抑うつ症状は、KSSで測定した機能的な状態の改善には影響しなかった。


2021/07/18

COPD増悪入院中の高負荷レジスタンストレーニングの効果

Impact of resistance training in chronic obstructive pulmonary disease patients during periods of acute exacerbation

Arch Phys Med Rehabil (IF: 3.098; Q1). 2014 Sep;95(9):1638-45.


【目的】
COPD増悪で入院した患者において、全身抵抗運動が運動耐容能、健康関連QOL、筋力に影響するかを検討すること。

【方法】
ランダム化比較試験。大学病院にて実施。
46人の患者をランダムに対照群と介入群に振り分け。29人が完了した。
介入:上下肢の6つの筋群のウェイトリフティングトレーニングを実施(8回を2セット)
開始時の負荷は1RMの80%。
評価:入院2日目、退院時、退位後30日後に評価。
項目は、6MWD、HRQOL、筋力、全身炎症、身体活動レベル(PADL)

【結果】
対照群は下肢筋力の低下を示したが、6MWDは変わらなかった。
トレーニング群は、入院期間中と30日後の下肢筋力と6MWDは改善していた。
トレーニング群は、入院後のHRQOLの影響(impact)の要素の改善を示した。
トレーニング群で、PADLは改善しなかった。
最終的に、入院後トレーニング群においてのみ、血中炎症マーカーが減少していた。

【考察】
入院中のレジスタンストレーニングは、全身炎症の程度に関わらず、6MWD、HRQOL、下肢筋力を改善した。
しかし、大規模ランダム化試験での検証を行うべきである。

・増悪で入院したCOPD患者46人をランダム化

・適格基準:過去30日間入院していない、年齢40-85歳、筋骨格系や神経系に問題が無い、過去6か月呼吸リハに参加していない、その他呼吸器疾患が無い
・増悪の基準:喀痰、咳の増加、息切れの増悪
・除外基準:入院2日前にICUに搬送されている、精神状態の変化、低酸素血症の増悪(PaO2<40mmHg@room air)、呼吸性アシドーシス(pH<7.25)、入院日数5日未満、評価が行えない


・評価のタイミング:入院2日目、退院時、退院1ヶ月後
・入院2日目の評価をベースラインとし、対照群(CG)と加入群(TG)に分けられた。

・対照群の内容
胸部理学療法(分泌物除去のため)、必要であればNPPV
日常の身体活動を行うよう口頭にて指導
薬物治療や酸素療法はGOLDのガイドラインを参考に処方
患者は、退院後に運動プログラムや運動を行うよう指導されなかった。

・介入群の内容
対照群の内容に加えて、全身レジスタンストレーニングを実施
上肢:肩屈曲、外転、肘屈曲、下肢:膝伸展、膝屈曲、股関節屈曲
運動は、入院3日目から開始し、患者ごとに、入院中に最低3セッションは行うようにした。
運動セッションは、毎朝、座位にてウェイト無しで8回を2セット実施
運動負荷は、1RMの80%から開始し、症状に応じて負荷量を調整。患者が耐えられるところまで負荷を漸増した。
中止基準:BorgScale≧7、予測最大心拍数70%未満、めまい、失神、チアノーゼ
酸素はSpO2<88%で吸入し、92-94%になるよう調整

・アウトカム
身体活動:活動量計?を用いて、1日12時間測定。入院後3-4日より測定。退院後、週末を除く連続2日間を測定。
全身炎症:IL-6, IL-8,IL-10, IL-12 p70, IL-1b, TNF-α、CRP



2021/07/15

活動量計を用いた呼吸リハ後、身体活動量は有意な改善を示すか

Long-Term Benefits of Adding a Pedometer to Pulmonary Rehabilitation for COPD: The Randomized Controlled STAR Trial

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis (IF: 2.772; Q1). 2021 Jul 2;16:1977-1988.


【目的】
Stay Active after Rehabilitation (STAR) studyでは、3週間の入院呼吸リハを行ったCOPD患者で加速度計を用いた行動介入を行い、PR後6週と6ヶ月後の患者の活動レベル(中等度強度の身体活動、安静時間)、QOL、症状、その他心理的、臨床的変数を調査。

【方法】
リハを行ったCOPD患者は、3軸加速度計 (ActiGraph wGT3X) を呼吸リハ実施2週間前(T0)、リハ後6週(T3)、6か月(T4)に7日間装着。
加えて、3週間の入院PR(対照群)と、ランダムに介入群に分けられた患者は、歩数計を用いた行動変容プログラムを基にした介入を実施。
行動変容テクニック:個別の目標設定、セルフモニタリング、フィードバック
効果は、intention-to-treat approachにて解析。

【結果】
327人の患者(69% male, age: 58 years, FEV1 (%): 53.5, 6MWD:447.8 m))をランダムに振り分け。
介入群167人、対照群160人
両グループともPR後の歩数は増加していた。
介入群は、T3とT4の時点での歩数が対照群よりもより多かったが、統計的な有意差は見られなかった。
両グループの患者は、中等度から高度の変化を示していたが、介入群の方に有利な結果は得られなかった。

【考察】
今回の結果は、活動量計を用いた3週間の入院呼吸リハは、歩数、中等度強度活動時間の増加や安静時間の減少に有効ではなかった。
しかし、両グループとも呼吸リハ後6週と6か月での身体活動の増加を示しており、その他のアウトカム(QOL等)でも改善が見られた。

・単施設でのランダム化比較試験。評価のタイミングは5回
T0:リハ開始2週間前、T1:リハ開始時、T2:リハ終了時、T3:リハ後6週、T4:リハ後6か月
・全患者が、3週間の入院呼吸リハを実施。
・介入群は、加速度計を用いた活動量向上プログラム(45分を2セッション)に参加。
・対照群は、加速度計を用いずに、同様の時間の活動量関連の教育プログラムを受講。

2021/07/08

脛骨プラトー骨折後の理学療法 systematic review2020

Physiotherapy after tibial plateau fracture fixation: A systematic review of the literature

SAGE Open Med (IF: 0; Q4). 2020 Oct 14;8:2050312120965316.


【背景】
脛骨プラトー骨折は整形外科手術でよく見かける障害である。患者の生活にネガティブな影響を及ぼすことが報告されており、QOLの低下、長期間の作業(work)の継続、活動レベルを低下させる。

【目的】
興味深いことに、これらの患者の術後リハビリに関する報告は十分ではない。
このレビューの目的は、この領域の文献を紹介し、4つの主な疑問に対しての答えを提示する事:術後ROM運動、不動、荷重状態、リハビリの継続

【方法】
pubmed、Google scholarで検索し、採用基準を満たした39文献が対象

【結果】
この対象の文献は希少性があり、議論の的になっている。早期ROMは、術後できるだけ早期から行うべきである。
プレート固定後の不動は、患者のその他メリットとの相関は無いようである。
荷重状況は、最も議論されている内容であり、多くの最近の報告では、早期からの荷重が多い。
脛骨プラトー骨折は、患者の生活へ大きな影響を与え、大腿四頭筋力強化と固有感覚運動に焦点をおいたリハビリの継続が推奨される。

【考察】
今回のレビューでは、脛骨プラトー骨折の理学療法についての文献について焦点を当てた。
早期ROM運動と早期荷重は推奨されるべきである。
不動(固定)は、効果をもたらさないかもしれない。
より良い臨床アウトカムのために、リハビリの継続を考慮すべきである。


<ROMに関して>
ROMexの重要性は明白であるが、タイミングやROMの種類に関しては、様々な意見がある。
他動、自動、自動介助での運動を術後2日後もしくは傷が治ったらすぐに開始している。
Sinhaらは、ROMexを早期から行った患者で、術後の疼痛コントロール(術後5-14日)が良好であったと報告している。
Blokkerらは、術後すぐROMをした場合と、術後2週間後から開始した場合に、長期的なアウトカムに効果は見られなかったと報告している。
CPMの使用は、患者のアウトカムや合併症の予防に対しての十分な効果は不明確である。
術式によってプロトコルは異なっている。円形フレーム(創外固定?)を膝をまたぐように使用している場合、リングを除去するまでROMの開始が遅れていた。
円形フレームが膝をまたいでいない場合は、できるだけ早期から膝関節のROMexを推奨する。

<固定に関して>
関節内固定術を行った際にのみニーブレースが使用される。
使用期間は、10日から6週。
文献での報告の頻度は少なく、1/3の研究でのみ使用が推奨されていた。
Chauhanらが最初にランダム化試験を行ったが、検出力が弱く、臨床的、画像的なアウトカムに違いはなかった。
Polatらの報告では、術後6週以上固定すると、最終的なアウトカムが不良であったとしており、術後2週以上の固定は行わないとしている。

<荷重に関して>
最も議論されているところである
レントゲンの状態を指標に全荷重に向けて進めていく
最も多いプロトコルは、部分荷重4-6週であった。
Thewlisらは、部分荷重を行っている患者の歩行分析にて、アウトカムへの影響は認めなかったとしている。
Kalmetらは、部分荷重と荷重制限を比較したところ、合併症や患者報告アウトカムに違いが無かったとしている。
部分荷重の患者の方が、全荷重までの期間が速かった。
Polatらは、全荷重が12週以上遅れると、アウトカム不良であったとしており、部分荷重6週、全荷重6-12週を推奨している。

<リハビリの実施>
Krausらは、治療2年後のスポーツ活動レベルが著明に低下していたと報告。
疼痛、膝関節硬化、不安定性、再発などにより、患者の5人に1人以下しか、受傷前の活動レベルに戻れない。
これらは、患者の満足度と活動レベル向上のためにリハビリの継続が必要であることを示している。
歩行に関して、ElsoeとLarsenは、フレーム除去後1年、歩行パターンの非対称性が増していたと報告。
この非対称性は患者の健康関連QOLと関連していた。
早期にリハビリを開始することが必要であり、機能障害の回避や長期アウトカム改善のために、大腿四頭筋力強化と固有感覚運動に重点をおいたリハビリの継続が求められる。
Sinhaらは、等尺性の大腿四頭筋運動を術後2日目から開始している。

<今後の課題>
今回、プラトー骨折の理学療法の文献をレビューしたが、ランダム化比較試験が少なく、対象者の少ない文献が多かった。
Falzaranoらは、脛骨遠位ピロン骨折後の歩行パターンについて検討し、異なる固定タイプの結果、骨折治療と四肢アライメントが同様の期間で復元したと報告した。
脛骨近位部骨折やプラトー骨折でも固定の種類と歩行パターンのアウトカムの違いについての検討も興味深いのではないか。

2021/07/06

肺切除術後、COPD併存の有無によるリハビリの効果 入院3週間介入

Effectiveness of pulmonary rehabilitation in patients with chronic obstructive pulmonary disease after lobectomy due to non-small cell lung cancer — a single-center retrospective study

Adv Respir Med. 2021; 89: 247–253


【背景】
肺切除は身体機能やQOLを障害するかもしれない。非小細胞肺がん(NSCLC)で手術可能な患者において、葉切除はよく行われる。
COPDは、NSCLCkなじゃでよく併存症として存在する。
葉切除を行ったNSCLCでCOPDが併存している術後呼吸リハ(PR)の効果とCOPDのない患者との比較は行われていない。
目的は、肺切除あり+COPDあり患者、肺切除無し+COPDあり患者、肺切除あり+COPD無し患者でのPRの効果を比較すること。

【方法】
手術wお行った37人のNSCLC患者(21人がCOPDあり、16人がCOPD無し)とCOPDありの患者の29人を対象
後方視研究
3週間のPRを実施。
 内容:呼吸練習、身体活動、リラクセーション、教育、心理サポート、栄養カウンセリング
評価は、肺機能、6MWT、SGRQを使用。
各グループでPR前とPRを行った3週後の結果を比較。

【結果】
すべてのグループで6MWT(歩行距離)は向上
 COPD(+) L(+) (Δ = 62.52 ± 14.58 m)
 COPD(–) L(+) (Δ = 73.67 ± 11.58 m)
 COPD(+) L(–) (Δ = 59.93 ± 10.02 m) (p < 0.001 for all).
同様にQOLも著しく改善
グループ間で明らかな違いはなあった

【考察】
この研究の結果から、COPDあり+肺切除ありの患者も、COPDのみや肺切除のみの患者と同様に、術後PRの効果が得られることが分かった。

2021/07/03

肺がん術後の入院中の身体活動レベル 

In-hospital physiotherapy improves physical activity level after lung cancer surgery: a randomized controlled trial

Physiotherapy (IF: 2.478; Q1). 2019 Dec;105(4):434-441.


【目的】
肺がんで手術を行った患者にはルーチンで理学療法が処方されている。ルーチンで用いられてはいるが、術後身体機能の回復への影響はあきらかになっていない。
この研究の目的は、理学療法介入が、術後入院中の身体活動レベルや運動耐容能を改善するかを検討すること。

【方法】
単盲検ランダム化試験。大学病院の胸部外科にて実施。
94人の肺がん疑いもしくは確定した患者が対象。
介入内容は、離床、歩行、肩の運動、呼吸練習
対照群は理学療法介入を行わない。
アウトカムは、 Actigraph GT3X+ accelerometerで評価した入院中の身体活動量、6MWT、肺機能、息切れスコア

【結果】
術後3日間の活動量は、介入グループで、より多くの活動を行っていた(1日の歩数:2010歩vs1629歩。1時間当たりの歩数:49歩vs37歩)
6MWT(術前比:71%vs79%,p=.13)と肺機能(%FEV1.0:69%vs69%)、息切れスコア(mMRC:2vs2)に違いはなかった

【考察】
入院中に理学療法介入を行った患者では、術後3日間の身体活動レベルが高いことを示した。
しかし、6MWTや肺機能では違いは見られなかった。
術後早期の期間の身体活動レベルを向上させることの臨床的重要性についてはさらなる検討が必要である。

・スウェーデンの大学病院でのトライアル。過去に胸部外科手術を経験した患者は除外。
・介入内容
 離床:手術日は座位、術後1日目から15m以上1-2セット歩行し、病棟内を歩行。できるだけ日中は歩行するよう指導。
 ROM:肩挙上、深呼吸しながら屈曲、水平外転、胸郭回旋。術後1日目から1日2回実施。それぞれの運動は5回ずつ行う。
 呼吸練習:深呼吸10回を呼気陽圧の有りと無し、歩行中に実施。併せて自己排痰(ハフィングや咳の仕方)も指導
・介入頻度:術後1-2日は1セッション20-30分実施。以後は患者の状態に応じて介入(十分動けていれば少ない時間で介入)。

・対照群は、理学療法介入や特別な治療は行われていない。

・いずれのグループも術前リハは行っていない。

術後4.5日で退院している



全患者の術後2日目と3日目の活動量


術後3日間の活動量の平均



5回起立タイムと膝伸展筋力に関連があるか(r=-0.5)

Sit-to-stand test: Performance and determinants across the age-span

Isokinet Exerc Sci (IF: 0.474; Q3). 2010;18(4):235-240. 


起立テスト(STS)は下肢筋力の評価として妥当であり、高齢者の評価で広く用いられている。
この研究の目的は、
1)青年と成人で5回起立テストを検討すること
2)等尺性膝伸展筋力(筋力とトルク)、年齢、性別、体重とパフォーマンスの関係を検討する事

対象
地域に在住している111人の女性と70人の男性(14-85歳)
5回起立テストは標準的なひじ掛けのない椅子を使用
膝伸展筋力はベルトで固定してハンドヘルドダイナモメーターで測定、膝伸展トルクはBiodex ダイナモメーターを使用

結果
5回起立の平均タイムは6秒(20-29歳)から10.8秒(80-85歳)の範囲であった
50-85歳の集団において、5回起立タイムと膝伸展筋力(r = -0.388 to -0.634)と年齢(r = 0.561 and 0.466)と性別 (r = 0.182 and 0.276)が、相関を示した。

多変量回帰モデルにおいて、膝伸展筋力は5回起立パフォーマンスの最も優れた説明変数であったが、年齢も影響していた。

体重と身長、性別は5回起立パフォーマンスの説明変数には含まれなかった。

今回の結果から、5回起立タイムは下肢筋力を反映するが、パフォーマンスは年齢やその他の要因の影響を考慮して解釈すべきである。

※5回起立テストの方法
43㎝のひじ掛けの無い椅子を使用
できるだけ素早く5回起立を繰り返す
"go"の掛け声とともに開始し、5回目に立った後座るまでの時間を計測((SPPB原法では5回目の立位までのため注意)
2回実施し、より速いタイムを採用


年齢別5回起立テストの平均


5回起立時間と膝伸展筋力(体重で割った値)に曲線的な関係がみられた

膝伸展筋力、トルクと5回起立時間に中等度の相関