2018/06/02

脳卒中患者のFIM点数のMCID(FIM合計22点の改善)

Determination of the Minimal Clinically Important Difference in the FIM Instrument in Patients With Stroke

Arch Phys Med Rehabil. 2006 Jan;87(1):32-9

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16401435

<目的>
脳卒中患者のFIMのMCIDを明らかにすること。

<方法>
退院後9ヶ月間前向きに調査。脳卒中患者113名が対象。メインアウトカムは入院時と退院時のFIMの点数(合計、motor、cognitive)。臨床的な変化に関しては、-7点から7点の15点のリッカートスケールを用いて、評価。3以上をMCIDのカットオフとした。
MCID(3点以上の改善)に関連したFIMの変化は、ROC曲線にて同定した。
ベイズ分析(Bayesian analysis)で、MCIDを推定した。

<結果>
MCIDに相当するFIMの点数変化は、合計で22点、motorは17点、cognitiveは3点
MCIDの正確さは、入院時のFIMをベースにカテゴライズした方が良好であった。
より大きなFIMスコアの変化は、入院時のFIMスコアが低い患者におけるMCIDと関連していた。

<考察>
臨床的に有効な改善であるかについてのアセスメントを補助する結果が得られた。

【先行研究】
・これまでに推定されていたMCIDは、the Fugl-Meyer Assessment、Motor Activity Logをアウトカムにして、ベースラインの10%改善すれば、臨床的に有意な改善であると判断されていた。
・modified Rankin Scaleが1レベル改善することをアウトカムにすると、moter FIMのMCIDは11点であった。→mRSは、小さな変化を反映しにくいため、この方法で推定することは重要な結果であった。

・113人の患者が対象。4人の専門家が担当(脳卒中リハに特化しており、3-14年の経験がある者)。
・それぞれの患者には退院後、より短い期間での臨床的な変化を評価した。(平均期間7.5日、69%が1週間以内)。機能的な改善の程度を15段階のリッカートスケールで評価。
・改善の程度は、運動機能と認知機能に分けて点数付けをしてもらう。
・FIMは入院時(48時間以内)と退院時の点数

・MCIDの推定は、リッカートスケールで3(いくらか改善した)以上と未満、5(だいぶ改善した)以上と未満に分けて、ROC曲線でFIM改善値のカットオフを算出。

・対象患者内訳
:113名、うち65人男性。平均年齢63.9歳。入院日数29.8日。
52人(46%)左片麻痺、38人(34%)右片麻痺、6人(5%)両側麻痺。11人は麻痺無し、6人は麻痺側が不明。
・対象患者全員が、退院時のFIMが改善していた。運動FIMは1人、認知FIMは4人が減少していたため、解析から除外。
・入院時FIMと退院時FIMに高い相関が認められた
・3点以上の改善が得られた場合のカットオフは、FIM22点の改善。(AUC0.85、感度76%、特異度77%)


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リッカートスケールで評価するときの評価基準や評価方法がよく分かりにくい。
”いくらか良くなった”と感じるためには、FIMで22点の改善が必要という結果。アンカーのアウトカムでMCIDが違うようなので、解釈の際に注意しないといけない。