2016/06/26
6分間足踏みテストの妥当性
2016/06/18
COPDのフレイルと呼吸リハ
Physical frailty and pulmonary rehabilitation in COPD: a prospective cohort study
http://thorax.bmj.com/content/early/2016/06/06/thoraxjnl-2016-208460.short
Thorax 2016;0:1–8.
背景
フレイルティは高齢患者においてアウトカムの悪化と関係している重要な症候群である。COPDとフレイルティの関係や管理については知られていない。
目的
安定期と増悪期のCOPDでフレイルティの患者が同程度いるのか、呼吸リハのアウトカムや完遂への影響について検討すること。
方法
816人の外来COPD患者(平均年齢70歳、%FEV1.0 48.9%)が対象。フレイルティの基準は体重減少、疲労(抑うつ)、低身体活動、歩行速度低下、虚弱。呼吸リハを完遂できない予測因子を多変量回帰分析にて検討し、アウトカムは年齢と性別を補正して、共分散分析で検討した。
結果
209人の患者(25.6%)がフレイルであった。年齢、GOLDのstage、mMRCスコアが高いほど、フレイルの割合が多かった。フレイルの患者は、呼吸リハを完遂できないオッズ比が2倍で、増悪や入院の頻度が高い。しかし、フレイルでリハを完遂した患者は、一貫して、MRC、運動能力、活動レベル、健康状態が良かった。リハビリを完遂した115人中71人(61.3%)のフレイル患者は、フレイルティの診断に当てはまらなかった。
考察
フレイルティは、COPD患者の4分の1に存在し、呼吸リハプログラムを完遂しない予測因子であった。しかし、フレイル患者はリハビリで改善し、短期間で改善することが出来た。
フレイルティの診断基準
抑うつをCES-D、活動レベルは質問紙表、歩行速度は4m歩行速度で評価している。このうち、3つ以上当てはまればフレイル、2つ以下当てはまればプレフレイルとするらしい。
リハ内容は、週2回の外来と少なくとも1回の自宅での運動を8週間。1時間の運動と45分の教育セッション。
有酸素運動(VO2peakの80%)と下肢筋トレ(1RMの60%)、起立、膝伸展、上肢はダンベルで。
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読んでいると、サルコペニア思い出したがちょっと違うらしい。
↓ここに説明があった。
https://www.pt-ot-st.net/index.php/topics/detail/401/3
つまり、サルコペニアは筋肉量の減少のみで、フレイルは疲労感や移動能力など身体機能全般の衰弱を指すということか。
これだけ高負荷で運動すると痩せそうな気もするけど、これくらいしないと改善しないのかも。
2016/06/17
COPDの新たな予後予測指標 B-AE-D index
Prognostic assessment in COPD without lung function: the B-AE-D indices
Eur Respir J 2016; 47: 1635–1644
http://erj.ersjournals.com/content/47/6/1635.long
いくつかの複合的なマーカーは、COPDのリスク評価が目的である。しかし、パラメーターやスコアは複雑で、適用することが複雑。目的は、肺機能から独立したシンプルなCOPDのリスクインデックスの有効性を検証すること。
PROMISE study(n=530)のデータを使用。インデックスは、少なくとも2年間のCOPD関連の死亡と、全原因の死亡について評価した。妥当性は、安定期と増悪期のCOPD患者で検討している(n=2988)。
複合的な臨床的、統計的アプローチを使用し、BMI(B)、急性増悪の頻度(AE)、修正MRC(D)、コぺプチン(C)を用いて、簡単かつ適切であることを確認した。それぞれのパラメーターは0,1,2点で点数付けし、B-AE-DもしくはB-AE-D-Cで計算した。B-AE-DもしくはB-AE-D-Cは少なくともBODE、ADO、DOSEと同じように、2年間の全原因の死亡を予測している。どちらのインデックスもCOPD特異的である。B-AE-Dの妥当性はCOCOMICSとCOMICで確認されている。
B-AE-D indexに、可能であればコぺプチンを追加し、簡単かつ正確にCOPD関連リスクの評価が可能になる。
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新たな予後予測の指標の検討。BMI、去年の増悪の頻度、mMRC、コぺプチンを使って、簡易版(simplified)と最適化版(optimised)の2種類を作って検討している。
予測の精度は、ほかの指標(BODE indexやADO index)と変わらないという結果。最適化版のほうが詳しい分、予測精度は高い。
予後予測にはだいたいBMIと息切れのスケールが入っているので、やはり重要な因子なのだろう。
コぺプチンって何のことやら…
コペプチン(Copeptin、CT-pro AVP)は、抗利尿ホルモン(ADH)であるバソプレシン(AVP)の前駆体が作られる過程で産生される物質であり、AVPの代替マーカーである。心不全の予後予測に有用という報告もあるようだ。
貼り付け元 <https://www.m3.com/open/overseasAcademy/report/article/10141/>
2016/06/15
COPD患者の呼吸リハでバランストレーニングを実施した効果
A Randomized Controlled Trial of Balance Training During Pulmonary Rehabilitation for Individuals With COPD
CHEST 2013; 144(6):1803–1810
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23975185
背景
COPD患者の重要な2つ目の機能障害であるバランス能力の低下の推奨度は増加している。本研究の目的は、呼吸リハに参加していたCOPD患者にバランスと身体機能の評価実施し、バランストレーニングの効果を示すことである。
方法
患者は無作為に介入群とコントロール群に分けられた。コントロール群は6週間の呼吸リハのみ実施。バランス評価は、Berg Balance Scale(BBS)、 the Balance Evaluation Systems Test (BESTest)、 the ActivitiesSpecifi c Balance Confi dence (ABC) scaleを使用。身体機能は the 36-Item Short Form Health Survey (PF-10)と30秒椅子起立テストを使用し、自己記入の身体機能と下肢筋力を測定した。
結果
39人のCOPD患者が参加(平均%FEV1.0は37.5%)。バランストレーニングのコンプライアンスは82.5%で、事故は報告されていない。コントロール群と比べて、BBS,BESTest,PF-10,30秒椅子立ちの結果は、介入群のほうが優位に改善していた。両群間では、ABC scaleの改善に差はなかった。
考察
今回の結果は、中等症から重症のCOPD患者の呼吸リハにおいて、バランストレーニングを行うことは、バランス能力や筋力、自己記入の身体機能の改善に効果的であることが示された。
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バランストレーニングの内容は、静的バランスと動的バランス(片足立ちや継ぎ足、リーチ)、動作(起立、低い椅子~起立、床からの起立、階段)、歩行(平行棒内、後ろ歩きなど)、筋力(下腿toe raise、大腿スクワット、体幹)
これだけできれば、COPDでも改善するだろう。活動量も上がるし。
そもそも呼吸器疾患とバランス機能の障害は直接の関係があるんだろうか。。学生の頃から思ってるけど、バランスって難しい。
2016/06/12
COPDと間質性肺炎に対するネーザルハイフローの効果
Effects of Nasal High Flow on Ventilation in Volunteers, COPD and Idiopathic Pulmonary Fibrosis Patients
Respiration 2013;85:319–325
背景
空気のハイフローは大きなネーザルカニューラにより供給され、慢性呼吸器不全患者の症状を改善させると言われている。小児科の患者において、ネーザルハイフロー(nHF)換気は、フェイスマスクの非侵襲的換気と比べて同等の効果が得られている。
目的
呼吸のパラメーターが変化するかを検討すること。
方法
呼吸サイクル中と平均圧の圧の幅をIPFとCOPDで測定した。一回換気量と分時換気量を得るために、ポリソムノグラフィを使用した。採血は8時間のnHFの前後で血ガス分析を行った
結果
nHFは、持続呼吸と比較すると、健常者とCOPD、IPFにおいて圧の上昇する幅と平均圧は大きかった。COPDにおいて、nHFは一回換気量を増大させたが、IPFでは、一回換気量は増えなかった。興味深いことに、健常者で一回換気量は減少していた。呼吸数と分時換気量はすべてのグループで減少していた。PaCO2はIPFとCOPD患者で減少していた。
考察
nHFは、閉塞性と拘束性の呼吸器疾患患者の呼吸パラメーターに著しく効果があった。圧の上昇幅と平均圧と呼吸数の減少は、吸気努力によってもたらされるが、nHFは換気努力の増加を助け、呼吸仕事量の減少をもたらすかもしれない。上気道死腔のCO2のウォッシュアウト効果に対して、nHFは有益となるかもしれない。
2016/06/08
GOLDのグレード評価は妥当か?
Comparisons of health status scores with MRC grades in COPD:implications for the GOLD2011 classification
ERJ2013;42:647-654
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23258783
ABSTRACT
2011年のGOLDにおいて、COPD患者の症状と将来の増悪リスクを評価するものとして、2つの評価のカットオフ(CAT>10点、mMRC≧2点)を用いての評価を推奨した。これらの2つのカットオフが同等であるかについて、CATとmMRC、SGRQ、Short-form Health Survey(SF-12)、Functional Assessment of Chronic Illness Therapy (FACIT) Fatigue scoreとの関係を後方的に検討した。
1817人のCOPDのデータがあり、mMRCと全ての健康状態スコアは強い関係が示された。mMRC grade1は、健康状態の低下と強く関係しており(SGRQ39.4±15.5、CAT15.7±7.0)、grade0では、わずかながらスコアの改善がみられた(SGRQ28.5±15.1、CAT11.7±6.8)。grade2以上に分類された57%の患者は症状スコアが低かった(groups AandC)。mMRCのカットオフ(>1)を使用すると、CATのようにGOLDの分類と似た結果であった。
mMRCは健康状態のスコアとの明確な関係を示した。mMRCが悪いと健康状態の悪化と関係していた。カットオフであるmMRC>1、CAT≧10は症状の低い患者と決定づける同等の値である。GOLDの枠組みは再考が必要かもしれない。
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リハには直接関係は無いかもしれないけど、増悪のリスクや治療の変更の参考になるかもしれない分類。CATとmMRCがこの点数でいいのかという論文。
肺癌開胸術後の在宅リハ(運動療法)の効果
Home-based exercise: promising rehabilitation for symptom relief, improved functional status and quality of life for post-surgical lung cancer patients.
J Thorac Dis. 2014 Jun;6(6):632-40
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24976984
背景
開胸術後の非小細胞肺癌患者(NSCLC)の症状の重症度による癌性疲労感(CRF)は、機能状態やQOL低下の発生頻度や他の症状の重症度を高めるかも知れない。このパイロット研究の目的は、術後NSCLC患者が退院した後の在宅でのリハビリテーション介入が、CRFや機能の状態、他の症状やQOLへの影響を調べること。
方法
7人の術後患者がthe Brief Fatigue Inventory (BFI)の測定、CRFの重症度、the M.D. Anderson Symptom Inventory、術前後の症状の重症度を6週間介入したうちの各週末に評価された。加えて、医学的アウトカム(QOL)はSF-36を使用。術前後と3週間後、6週間目に行った。
結果
参加者の平均年齢は65歳。平均6つの合併症あり。退院後4日以内に介入を開始した。参加者のCRF重症度スコアは軽度減少した。介入後の機能的状態とQOLは術前のレベル近くまで改善した。
考察
NSCLC術後の運動介入はCRFの改善、他の症状の重症度、機能的状態、QOLの予備的な改善を示した。今後、RCTでの検討が求められる。
COPD患者の認知機能に対する効果:有酸素運動+筋トレ vs 有酸素運動のみ
effects of combined training vs aerobic training on cognitive functions in COPD: a randomized controlled trial
International Journal of COPD 2016:11 711–718
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27110107
目的
本研究の目的は、高強度有酸素運動(AT)と高強度有酸素運動に抵抗運動を合わせた運動(CT)がCOPD患者の認知機能へ影響するかを調べることである。
方法
28人の男性COPD患者(平均68.35歳)が対象となり、ATとCTの2つに無作為化された。両グループは4週間身体のコンディショニングを行い、週に5回トレーニングを行った。CTグループは30分のセッションを2回行った(1回の有酸素運動と1回の筋力運動)。ATグループは、30分のトレッドミルでの有酸素運動を2回行った。身体機能と認知機能のテストは、トレーニング前後で行った。
結果
運動は認知機能(長期記憶、言語の流暢さ、注意能力、失行、推理力)が改善した。さらに、CTグループではATグループよりも長期記憶、失行、推理力が著しく改善していた。
考察
CTは、認知機能低下と併存疾患の予防戦略になりえるかもしれない。
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運動負荷を漸増的にしており、最大が90%HRmaxなので、対象が若くないと難しいかもしれない。運動の認知機能に対する効果はまだ一定したコンセンサスはなさそうだが、した方がいい事は多い。
身体活動量の臨床的有効最少改善値(MID)
The Minimal Important Difference in Physical Activity in Patients with COPD
PLoS One. 2016 Apr 28;11(4)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27124297
背景
身体活動(PA)の変化は、最小重要変化量(MID)の枠組みが無いため、判断するのが難しい。COPD患者におけるPAのMIDを決定することと、最初のCOPD関連入院までの時間を評価することで、このMIDの臨床的妥当性を検討した。
方法
PAは、74人の患者でを対象にリハ前後の3か月に1週間測定した。加えて、級内相関係数を30人の患者で測定し、2週間連続してPAを測定した。1日の歩数をアウトカムとして採用した。ディストリビューション法とアンカー法でMIDを計算し採択した。増悪による最初の入院までの時間はMIDを超えた患者と越えなかった患者で比較した。
結果
MIDは、599歩(標準誤差)、1029歩(経験則の効果量)、1072歩(コーエンの効果量)、1131歩(標準偏差0.5倍)。アンカー法では、十分な数が集まらなかったため、MIDを推定出来なかった。最初の入院までの時間は、標準誤差のカットオフ値を使用すると、MIDを超えた患者と越えなかった患者で著しく異なっていた。
考察
呼吸リハ後のMIDは1日600から1100歩の間であった。この変化の臨床的な重要性は、600歩以上の改善があった患者で、入院のリスクが減少することである。
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対象の肺機能が記載されていないので、どの程度の重症度か分からないが、6MWDで400m以上歩けているので結構動ける患者が対象と思われる。
リハ後3か月でベースラインより600歩以上増えていたら、リハビリの効果があった(MID)と言えるという話。
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