2017/10/05

COPD増悪と嚥下時の呼吸パターンの関係

Breathing–swallowing discoordination is associated with frequent exacerbations of COPD

BMJ Open Resp Res 2017;4:e000202.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28883930

<背景>
呼吸と嚥下の協調性の障害(共同運動不全)は、COPDの急性増悪の著明なリスクファクターになるかもしれない。COPD患者の呼吸と嚥下の共同運動不全を非侵襲的な方法で調査し、量COPD増悪との関連を調べた。

<方法>
65人の安定期外来COPD患者をリクルート。嚥下障害の有無は明らかになっていない。COPD増悪は、1年前と1年後にモニタリングを実施。
吸気中の嚥下(I-SW pattern)と吸気後すぐの嚥下(SW-I pattern)に分けた。


<結果>
吸気中の嚥下もしくは嚥下後吸気は21.5%。2年間の追跡中、48回の増悪(25人)があった。
I-SWもしくはSW-Iは、増悪の頻度と著明に相関。追跡期間中、フードテストを行って、
I-SWもしくはSW-Iが高かった患者は、将来の増悪を予測した。

<結論>
呼吸と嚥下の協調不全は、COPD増悪の頻度と強く関係していた。呼吸と嚥下の協調性と
高めるためのアプローチが、COPDの新たな治療になるかもしれない。


・京都大学でのスタディ
・平均年齢71.9歳、過去4週間症状の増悪が無いCOPD患者が対象。
・ベースラインで嚥下機能テスト、肺機能検査、呼吸症状(CAT)や逆流性食道炎(FSSG)に関する質問表を回答

・増悪の定義は、過去2日間連続して、2つ以上の主な症状が出現、薬剤の変更があった場合
・嚥下のモニタリング:呼吸のフロー、嚥下音、候咽頭の動きを解析。座位で、4種類の食事形態(ソフトゼリー、ハードゼリー、ピュレ、水)を2回ずつ(計8回)摂取。3gもしくは3mLを噛まずに自力で嚥下を行ってもらう。
嚥下のモニタリングシステム

・嚥下と呼吸パターンについて下の図に示す。Aは正常のパターン、BとCは異常パターン(嚥下と呼吸が共同運動できていない)。
嚥下と呼吸パターン
A:呼気―嚥下ー呼気
B:吸気ー嚥下ー呼気⇒I-SWパターン
C:呼気ー嚥下ー吸気⇒SW-Iパターン
・2年間の追跡期間中の増悪の有無で比較すると、増悪があった患者は、逆流性食道炎の症状が強く、肺機能が低下しており、異常嚥下パターンが多く、嚥下発現までの時間が長かった。
・多変量解析で、増悪の頻度と関連を示したのは、異常嚥下パターンと、吸気予備量はCOPD増悪と独立して関連。
・異常嚥下パターンが最も出現した食事形態は、ピュレと水

・増悪までの日数を比較すると異常嚥下パターンを示している方が、増悪頻度は高かった。
a:全てのフードテストでの異常嚥下の有無で比較
b:ゼリーで異常嚥下が出現したかで比較

・結果は、先行研究を支持するものであった。食事形態で嚥下パターンが変化していたというのは興味深い結果であった。