2017/09/15

脳卒中後の患者に呼吸筋トレーニングをして咳流速が速くなるか。

Does Respiratory Muscle Training Improve Cough Flow in Acute Stroke? Pilot Randomized Controlled Trial

Stroke. 2015 Feb;46(2):447-53.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25503549

<背景>
咳は誤嚥を予防する。今回、呼吸筋トレーニングが、呼吸筋力や咳の機能を向上させ、急性期脳卒中患者の肺炎を減少させることができるのではないかどうかを検討した。

<方法>
単盲検無作為化試験で実施。受傷から2週間以内の82人の脳卒中患者が対象(平均年齢64歳)。参加者は治療グループか参加者かの分類はマスクし、呼気筋トレーニング(27人)、吸気トレーニング(26人)、シャムトレーニング(25人)に分け、4週間実施。
プライマリーアウトカムは自立での最大咳流速の変化量。ITT解析でANCOVAを使用し、ベースラインの補正をした。

<結果>
平均最大吸気圧(+14 cmH2O)と呼気圧(+15 cmH2O)、最大咳流量(+74 L/min)が、ベースラインと28日後を比べて著明に改善。カプサイシンを付加した最大咳流量は、変わらなかった。呼吸筋トレーニングと対照グループで、違いは無かった。
グループ間で90日以内の肺炎の発生も違いが無かった。

<結論>
呼吸筋機能と咳流速は、急性脳卒中後に改善した。
呼吸筋トレーニングは、これらの改善には関与しなかった。


・呼吸筋トレーニングはThreshold IMT; Threshold PEPを使用し、4週間実施。10回の呼吸を5セット、間に1分間の休みをはさみながら実施。負荷量は最大吸気・呼気圧の50%。毎週呼吸筋力を測定し、負荷の設定を調整。
シャムトレーニングは、呼吸筋力の10%で実施。
・日誌に、トレーニングの記録や日々の状態などを記入し毎週トレーニング時に見せた。

・咳流速は、ニューモタコグラフ(呼吸流量計)で測定。
自発の咳流速はマスクを密着させて測定。
反射の咳は、カプサイシンを含んだ液体をネブライザーで吸入し咳を誘発。


ベースラインの咳流速(自発)は、470L/min前後。咳流速(反射)は300L/min前後。

これまでの研究結果。
PImaxは1本だけ咳流速が増加したと報告があるが、
ほとんど有意な改善が無かったという結果になっている。

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咳流速には、呼吸筋力はそれほど関連していないのかもしれない。
ベースラインで400L/min以上あるので、改善の余地が少なかった?