Comparison of clinical characteristics and outcomes between aspiration pneumonia and community-acquired pneumonia in patients with chronic obstructive pulmonary disease
BMC Pulmonary Medicine (2015) 15:69
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26152178
<背景>
COPD患者は、年齢や多数の併存症などによって、嚥下障害がよくあり、誤嚥性肺炎につながる。COPD患者は、市中肺炎のリスクも高い。目的は、日本の入院患者データベースを用いて、COPD患者において誤嚥性肺炎と市中肺炎の臨床的特性の違いを比較することと、入院中の死亡に影響する要因を見つけること。
<方法>
2010年から2013年の間に日本の1165の病院に誤嚥性肺炎もしくは市中肺炎で入院した40歳以上のCOPD患者を後方視的に収集した。多重ロジスティック回帰分析で全ての原因の死亡に影響する因子を検討した。
<結果>
87330人が対象。誤嚥性肺炎患者は、市中肺炎患者よりも高齢、男性、全身状態不良、重症の肺炎であった。誤嚥性肺炎で病院で死亡した患者は22.7%、市中肺炎は12.2%。
患者背景を補正して、誤嚥性肺炎患者は、市中肺炎患者よりも死亡率が高かった(補正オッズ比1.19)。
サブグループ解析にて、死亡リスクの高さと関連していたのは、男性、低体重、呼吸困難感、身体不活動、肺炎の重症度、いくつかの併存症。
更に、市中肺炎患者では、高齢、意識レベルの低下が高い死亡率と関連。一方の誤嚥性肺炎では関係していなかった。
<結論>
誤嚥性肺炎と市中肺炎では臨床的特性が異なっていた。誤嚥性肺炎患者は市中肺炎患者よりも死亡率が高かった。
・評価項目
息切れ:Hugh-Jones、意識レベル:JCS、ADL:Bathel index、肺炎の重症度:A-DROPスコア
・A-DROPスコア:日本呼吸器学会が作成した肺炎重症度スコアリングシステム。軽症0、中等症1-2、重症3、最重症4-5
詳細はhttp://asunorinsho.aichi-hkn.jp/wp-content/uploads/2015/08/2007_1901_061.pdf
・臨床的アウトカム:全死亡原因による死亡率、ICU在室日数、人工呼吸管理の必要、人工呼吸管理日数、人工呼吸管理を行った患者の死亡率
・誤嚥性肺炎のBMIは18.5。息切れが強い、意識レベル低下、Bathel indexが低いのも特徴。
・誤嚥性肺炎は、ICU在室日数、人工呼吸管理日数のいずれも長い。人工呼吸管理をして死亡した患者は、誤嚥性肺炎の51.8%。市中肺炎は41.4%)
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誤嚥性肺炎は高齢になってくるほど、回復が難しいし、ICUに在室している間や治療中に、経口摂取が難しい状態だったとすれば、なお難しくなる。
日ごろからの健康管理で予防していくことが求められる。
低体重は重症の肺炎や長期予後不良と関連していることが既に報告されている。COPDでは誤嚥性肺炎が短期予後の不良と独立して関連していることが言われている。(考察より)