Short-term respiratory effects of e-cigarettes in healthy individuals and smokers with asthma
Respirology;2017
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/resp.13180/full?platform=hootsuite
<背景>
電子タバコの呼吸に対する即時効果を検討することと、電子タバコが健常喫煙者と比べて喘息様の症状に影響するかを検証した。
<方法>
44人の喫煙者、27人の健常者、27人の喘息患者にコントロールセッションと標準的な電子タバコを使用するセッションを実施。振動測定法でインピーダンス(Z)、抵抗(R)、リアクタンス(X)、FENO(呼気一酸化炭素濃度)を各セッションの前、直後、15分後、30分後に測定した。
<結果>
コントロールセッションでは著明な変化はなかった。電子タバコ使用セッションでは、電子タバコ使用後すぐの呼気で、5Hzのインピーダンス合計が増加、5Hzの抵抗が増加、10Hz、20Hzの抵抗が増加。共振頻度とリアクタンスの範囲が増加。
軽度喘息グループでは、ベースラインと比べて電子タバコ吸入直後に、健常者と比べてそれぞれの気道抵抗が増加。
FeNOは各グループで減少。健常者では15分以内にベースラインに戻っていた。喘息かなjは15分追加してより低い値であり、電子タバコ吸入後30分でベースラインに戻っていた。
<結論>
電子タバコは呼吸メカニズムと炎症効果がある。これは、喫煙者や喘息でより多く見られた。
ーーーーーーーーーーー
電子タバコもタバコ。ニコチンはちゃんと含まれてるし依存できるようにできている。きっと健康被害も出てくる。
再生しない肺を痛めてまで、金払ってタバコ吸いますか?
2017/10/30
2017/10/25
増悪入院中の早期運動療法の安全性、効果
Early Rehabilitation Exercise Program for Inpatients During an Acute
Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
J Cardiopulm Rehabil Prev. 2012 May-Jun;32(3):163-9.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22561417
<目的>
COPD急性増悪中の患者に早期呼吸リハプログラムを行うことが安全で、可能であるかどうかを検討すること。
<方法>
COPD急性増悪で入院中の患者を無作為に低強度運動グループと中等度から高強度運動グループに分けた。通常の理学療法に加えて、運動グループの患者は運動プログラムに参加した。プログラムは週2回、有酸素運動と抵抗運動で構成された。プライマリーアウトカムはイベントの数と分類、プログラムのアドヒアランス。
<結果>
174の運動セッションが行われ、低強度運動グループで1件の深刻な不整脈があり、1時間以内に解決した。12のマイナーなイベントが5人の患者で認められた。患者はスケジュールの80%のセッションに参加でき、グループ間で差は無かった。
運動グループでは、歩行距離が著明に増加していたが、グループ間での差は無かった。
<結論>
急性増悪中のCOPD患者で、運動プログラムを行うことは安全で可能であるという予備的なエビデンスが得られた。より対象者を増やしてプログラムの効果を検討することが求められる。
・介入期間は入院2日目から退院まで。
・コントロールグループは、週1回の理学療法(排痰、可動性評価、機能的運動)
・運動グループは、週2回、15分の運動を通常の理学療法に追加して実施。
・歩行は3分間歩行テストの40-70%で7.5分。上下肢の抵抗運動を2セット。
・コントロールグループ、低強度運動、中等度から高強度運動のいずれのグループでも歩行距離や筋力は改善。高強度でしたほうが、効果も大きかった。
Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
J Cardiopulm Rehabil Prev. 2012 May-Jun;32(3):163-9.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22561417
<目的>
COPD急性増悪中の患者に早期呼吸リハプログラムを行うことが安全で、可能であるかどうかを検討すること。
<方法>
COPD急性増悪で入院中の患者を無作為に低強度運動グループと中等度から高強度運動グループに分けた。通常の理学療法に加えて、運動グループの患者は運動プログラムに参加した。プログラムは週2回、有酸素運動と抵抗運動で構成された。プライマリーアウトカムはイベントの数と分類、プログラムのアドヒアランス。
<結果>
174の運動セッションが行われ、低強度運動グループで1件の深刻な不整脈があり、1時間以内に解決した。12のマイナーなイベントが5人の患者で認められた。患者はスケジュールの80%のセッションに参加でき、グループ間で差は無かった。
運動グループでは、歩行距離が著明に増加していたが、グループ間での差は無かった。
<結論>
急性増悪中のCOPD患者で、運動プログラムを行うことは安全で可能であるという予備的なエビデンスが得られた。より対象者を増やしてプログラムの効果を検討することが求められる。
・介入期間は入院2日目から退院まで。
・コントロールグループは、週1回の理学療法(排痰、可動性評価、機能的運動)
・運動グループは、週2回、15分の運動を通常の理学療法に追加して実施。
・歩行は3分間歩行テストの40-70%で7.5分。上下肢の抵抗運動を2セット。
・コントロールグループ、低強度運動、中等度から高強度運動のいずれのグループでも歩行距離や筋力は改善。高強度でしたほうが、効果も大きかった。
2017/10/23
長期間のメンテナンスプログラムは、呼吸リハの効果を維持するか
Benefits of Long-Term Pulmonary Rehabilitation Maintenance Program in Patients with Severe Chronic Obstructive Pulmonary Disease. Three-Year Follow-up.
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Mar 1;195(5):622-629.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27611807
<背景>
COPDにおいて、呼吸リハの効果は減衰していく傾向にある。メンテナンステクニックが最初の呼吸リハを完了した後の効果を維持することに貢献するかどうかは、議論の余地がある。
<目的>
短期間の呼吸リハ後の長期間のメンテナンスプログラム(3年)がアウトカムに影響するかどうかを検討すること。
<方法>
多施設で無作為に選択された143人の中等症から重症のCOPD患者が対象。8週間の外来呼吸リハでフォローして、メンテナンスプログラムを3年間実施。患者は、無作為に介入グループと標準モニタリングもしくはコントロールグループに分けられた。アウトカムは、BODE index、6MWD、健康関連QOLを12か月、24ヵ月、36ヵ月に評価。
<結果>
138人(96.5%)が8週間のプログラムを完了。この時点で、全てのアウトカムはすべて著明に改善。フォローアップ期間中、6MWDの変化の大きさはグループ間で異なっており、最初の1年は介入グループで僅かに改善しており、その後はわずかに減少。BODE indexはベースラインと24カ月を比べると変化していた。3年時点で、介入グループのアドヒアランス率は66%、コントロールグループでは17%であった。
<結論>
標準的な介入と比較して、2年まではBODE indexと6MWDにおいてメンテナンスプログラムの効果を示した。この効果は、2年以降は消失していた。
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Mar 1;195(5):622-629.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27611807
<背景>
COPDにおいて、呼吸リハの効果は減衰していく傾向にある。メンテナンステクニックが最初の呼吸リハを完了した後の効果を維持することに貢献するかどうかは、議論の余地がある。
<目的>
短期間の呼吸リハ後の長期間のメンテナンスプログラム(3年)がアウトカムに影響するかどうかを検討すること。
<方法>
多施設で無作為に選択された143人の中等症から重症のCOPD患者が対象。8週間の外来呼吸リハでフォローして、メンテナンスプログラムを3年間実施。患者は、無作為に介入グループと標準モニタリングもしくはコントロールグループに分けられた。アウトカムは、BODE index、6MWD、健康関連QOLを12か月、24ヵ月、36ヵ月に評価。
<結果>
138人(96.5%)が8週間のプログラムを完了。この時点で、全てのアウトカムはすべて著明に改善。フォローアップ期間中、6MWDの変化の大きさはグループ間で異なっており、最初の1年は介入グループで僅かに改善しており、その後はわずかに減少。BODE indexはベースラインと24カ月を比べると変化していた。3年時点で、介入グループのアドヒアランス率は66%、コントロールグループでは17%であった。
<結論>
標準的な介入と比較して、2年まではBODE indexと6MWDにおいてメンテナンスプログラムの効果を示した。この効果は、2年以降は消失していた。
2017/10/21
NPPVをエルゴを用いた運動療法中に行った効果:RCT
Non-invasive ventilation during cycle exercise training in patients with chronic respiratory failure on long-term ventilatory support:A randomized controlled trial
Respirology. 2017 Sep 22.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28940820
<背景>
慢性呼吸不全患者の運動中における非侵襲的換気(NIV)の役割は、明らかになっていない。目的は、運動中のNIVが運動療法のみと比べて、6MWDや自転車運動時間が増加するかを検討すること。
<方法>
全ての患者は、無作為に、運動+NIVと運動のみに分け、3週間以上自転車トレーニングを20セッション行った。アウトカムは、6MWD、漸増と定常負荷での自転車運動時間、呼吸筋機能、QOL(MRF-28)、息切れ(MRC)、安静時下肢疲労感。
<結果>
42人の患者が参加。トレーニング方法で6MWDの変化に違いはなかった。持続運動時間はNIVグループの方が改善していた。息切れは両グループで改善、呼吸筋機能と下肢疲労感はNIVグループでのみ改善。MRF-28は運動のみのグループのみ改善。
<結論>
長期間NIVと長期間酸素療法(LTOT)をしている慢性呼吸不全患者において、運動療法にNIVを付加することで運動持続時間は延長したが、6MWDは改善しなかった。
Respirology. 2017 Sep 22.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28940820
<背景>
慢性呼吸不全患者の運動中における非侵襲的換気(NIV)の役割は、明らかになっていない。目的は、運動中のNIVが運動療法のみと比べて、6MWDや自転車運動時間が増加するかを検討すること。
<方法>
全ての患者は、無作為に、運動+NIVと運動のみに分け、3週間以上自転車トレーニングを20セッション行った。アウトカムは、6MWD、漸増と定常負荷での自転車運動時間、呼吸筋機能、QOL(MRF-28)、息切れ(MRC)、安静時下肢疲労感。
<結果>
42人の患者が参加。トレーニング方法で6MWDの変化に違いはなかった。持続運動時間はNIVグループの方が改善していた。息切れは両グループで改善、呼吸筋機能と下肢疲労感はNIVグループでのみ改善。MRF-28は運動のみのグループのみ改善。
<結論>
長期間NIVと長期間酸素療法(LTOT)をしている慢性呼吸不全患者において、運動療法にNIVを付加することで運動持続時間は延長したが、6MWDは改善しなかった。
2017/10/17
身体活動性の標準的な評価の方法
Standardizing the Analysis of Physical Activity in Patients With COPD Following a Pulmonary Rehabilitation Program
CHEST 2014; 146(2):318-3 27
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4122275/
<背景>
身体活動の測定方法は多く存在する。この研究では、呼吸リハ後の身体活動のアウトカムについて統計的に力がある方法を分析した。
<方法>
身体活動性はアームバンド型加速度計を使用して57人のCOPD患者で測定。期間は呼吸リハの前後3か月。アウトカムの選択は、1日の歩数(STEPS)、中等度の身体活動時間(TMA)、平均METs、活動時間(ACT)、週末の影響、評価の日数、後処理の方法、日照時間の影響(DT)、検出力が0.8で十分とした。
<結果>
STEPSとACT(1.6-2.3METsの活動)は、最も感度の高いアウトカムであった。週末を除外すると、STEPS (83 vs 56)とTMA (160 vs 148)とMETs(251 vs 207)のサンプルサイズは減少した。
平日4日 (STEPS and TMA)もしくは5日(METS) は最も少ないサンプルサイズであった。装着時間が8時間未満を除外するとSTEPSのサンプルサイズは減少した。日照時間の違いは重要な交絡因子である。
<結論>
呼吸リハでフォローしている身体活動性の変化は、平日4日間、少なくとも日中に8時間装着していることが最良の測定であり、日照時間の違いは、解析の共変数として考慮すべきである。
・外来リハに通っている安定期COPD患者を対象に、慣習的なリハと慣習的なリハ+カウンセリングのグループに無作為に分かれて実施
・アウトカムは、肺機能、6MWT、身体活動性
・STEPS;1日の総歩数、TMA;中等度(3METs以上)の身体活動時間、METs;日中の平均METsレベル
・平均年齢66歳、%FEV1.0 46%、平均6MWD427m
CHEST 2014; 146(2):318-3 27
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4122275/
<背景>
身体活動の測定方法は多く存在する。この研究では、呼吸リハ後の身体活動のアウトカムについて統計的に力がある方法を分析した。
<方法>
身体活動性はアームバンド型加速度計を使用して57人のCOPD患者で測定。期間は呼吸リハの前後3か月。アウトカムの選択は、1日の歩数(STEPS)、中等度の身体活動時間(TMA)、平均METs、活動時間(ACT)、週末の影響、評価の日数、後処理の方法、日照時間の影響(DT)、検出力が0.8で十分とした。
<結果>
STEPSとACT(1.6-2.3METsの活動)は、最も感度の高いアウトカムであった。週末を除外すると、STEPS (83 vs 56)とTMA (160 vs 148)とMETs(251 vs 207)のサンプルサイズは減少した。
平日4日 (STEPS and TMA)もしくは5日(METS) は最も少ないサンプルサイズであった。装着時間が8時間未満を除外するとSTEPSのサンプルサイズは減少した。日照時間の違いは重要な交絡因子である。
<結論>
呼吸リハでフォローしている身体活動性の変化は、平日4日間、少なくとも日中に8時間装着していることが最良の測定であり、日照時間の違いは、解析の共変数として考慮すべきである。
・外来リハに通っている安定期COPD患者を対象に、慣習的なリハと慣習的なリハ+カウンセリングのグループに無作為に分かれて実施
・アウトカムは、肺機能、6MWT、身体活動性
・STEPS;1日の総歩数、TMA;中等度(3METs以上)の身体活動時間、METs;日中の平均METsレベル
・平均年齢66歳、%FEV1.0 46%、平均6MWD427m
B:4日間以上の測定では、級内相関係数(ICC)はほぼ変わらない。 |
午前7時から午後8時の間が最も活動している時間 この期間の間に、歩数の84%が含まれている |
2017/10/11
COPDでネーザルハイフロー使用時の生理学的変化
Nasal high flow oxygen therapy in patients with COPD reduces respiratory rate and tissue carbon dioxide while increasing tidal and end-expiratory lung volumes: a randomised crossover trial
Thorax. 2016(Research Letter)
http://thorax.bmj.com/content/early/2016/04/04/thoraxjnl-2015-207962
COPD患者は、長期間の酸素療法(LTOT)を1日15時間以上行うとアウトカムが改善する。乾燥した冷たいガスを吸入することで、粘膜線毛運動によるクリアランスが障害されるため、加湿したネーザルハイフロー(NHF)は、増悪の頻度を減少させ、肺機能の改善や、QOLの改善をもたらすかもしれない。
この無作為化試験では、長期間酸素療法を実施している30人の男性にNHFを実施して、短期間の身体的反応を評価した。
LTOT(2-4L/min)はネーザルカニューラを使用し、NHF(AIRVOという機種)は30L/minと比較。
結果(NHFvsLTOT)
経皮的二酸化炭素分圧(TcCO2):43.3 vs 46.7 mm Hg,p<0.001
経皮的酸素分圧(TcO2):97.1vs 101.2 mm Hg, p=0.01
I:E比:0.75 vs0.86, p=0.02
呼吸数:15.4vs 19.2 bpm, p<0.001
一回換気量:0.50 vs 0.40, p=0.003
呼気終末肺容量(EELV):174% vs 113%,p<0.001
主観的な呼吸困難とインターフェイスの手軽さは、LTOTの方が好まれた。
NHFはTcCO2、IE比、呼吸数を減少させ、呼気終末肺容量、一回換気量を増大させた。
これは、酸素療法が必要な患者にNHFの長期間の使用でアウトカムが改善する可能性を示す結果となった。
・NHFは30L/minの流速でFiO2が保てるように使用。
・LTOTを20分間吸入しベースラインとして記録。最初に無作為化された方法で、LTOTもしくはNHFを20分間行い、その後20分間のウォッシュアウト期間としてLTOTを20分実施。その後、2回目(NHFもしくはLTOT)を20分実施。
・NHFの効果を患者が実感するのにどのくらいの時間が必要かは明らかになっていない。しかし、最近の研究では、家で長期間使用した実際の装着時間は1日1.6時間とされている。
・経皮的二酸化炭素分圧が減少したのは、1回換気量が増大したことと、死腔の洗い出し効果によるものと考えられる。
・呼吸数の減少は呼吸仕事量の減少が関連していると考えられる。これは、解剖学的死腔に陽圧を加えることで、換気と血流がマッチするためと考えられる。
・NHFの方が、呼吸困難が強かったのは、新しいデバイスに対する対象者の一時的な不安によるものと考えられる。
ーーーーーーーーーー
有意差はあるが、若干の差にも思える。
洗い出し効果は本当にCO2の減少するのか、そもそも本当にあるのか。。
Thorax. 2016(Research Letter)
http://thorax.bmj.com/content/early/2016/04/04/thoraxjnl-2015-207962
COPD患者は、長期間の酸素療法(LTOT)を1日15時間以上行うとアウトカムが改善する。乾燥した冷たいガスを吸入することで、粘膜線毛運動によるクリアランスが障害されるため、加湿したネーザルハイフロー(NHF)は、増悪の頻度を減少させ、肺機能の改善や、QOLの改善をもたらすかもしれない。
この無作為化試験では、長期間酸素療法を実施している30人の男性にNHFを実施して、短期間の身体的反応を評価した。
LTOT(2-4L/min)はネーザルカニューラを使用し、NHF(AIRVOという機種)は30L/minと比較。
結果(NHFvsLTOT)
経皮的二酸化炭素分圧(TcCO2):43.3 vs 46.7 mm Hg,p<0.001
経皮的酸素分圧(TcO2):97.1vs 101.2 mm Hg, p=0.01
I:E比:0.75 vs0.86, p=0.02
呼吸数:15.4vs 19.2 bpm, p<0.001
一回換気量:0.50 vs 0.40, p=0.003
呼気終末肺容量(EELV):174% vs 113%,p<0.001
主観的な呼吸困難とインターフェイスの手軽さは、LTOTの方が好まれた。
NHFはTcCO2、IE比、呼吸数を減少させ、呼気終末肺容量、一回換気量を増大させた。
これは、酸素療法が必要な患者にNHFの長期間の使用でアウトカムが改善する可能性を示す結果となった。
・NHFは30L/minの流速でFiO2が保てるように使用。
・LTOTを20分間吸入しベースラインとして記録。最初に無作為化された方法で、LTOTもしくはNHFを20分間行い、その後20分間のウォッシュアウト期間としてLTOTを20分実施。その後、2回目(NHFもしくはLTOT)を20分実施。
・NHFの効果を患者が実感するのにどのくらいの時間が必要かは明らかになっていない。しかし、最近の研究では、家で長期間使用した実際の装着時間は1日1.6時間とされている。
・経皮的二酸化炭素分圧が減少したのは、1回換気量が増大したことと、死腔の洗い出し効果によるものと考えられる。
・呼吸数の減少は呼吸仕事量の減少が関連していると考えられる。これは、解剖学的死腔に陽圧を加えることで、換気と血流がマッチするためと考えられる。
・NHFの方が、呼吸困難が強かったのは、新しいデバイスに対する対象者の一時的な不安によるものと考えられる。
ーーーーーーーーーー
有意差はあるが、若干の差にも思える。
洗い出し効果は本当にCO2の減少するのか、そもそも本当にあるのか。。
2017/10/09
患者と介護者の不安、抑うつ症状の関連
Associations between the psychological health
of patients and carers in advanced COPD
International Journal of COPD 2017:12 2813–2821
https://www.dovepress.com/articles.php?article_id=34957
<目的>
不安と抑うつは、COPD患者と介護者(carers)で多く罹患しており、数々のリスクファクターと関係している。しかし、いくつかの研究でしか、これらのプライマリーケアや患者と介護者の不安、抑うつの関係について報告していない。
目的は、患者、介護者、両者の不安と抑うつの関連要因を検討すること。
<方法>
前向きに119人のCOPD患者と彼らの介護者を集めた。患者と介護者はHADS8点以上を不安、抑うつありと判断。階二乗検定で患者と介護者の不安、抑うつ症状の関係を検討し、階二乗検定と独立t検定でこれらの症状と関連している変数を同定。
<結果>
不安症状のある患者は46.4%(52人)、抑うつ症状のある患者は42.9%(48人)。
介護者の不安症状は46%(52人)、抑うつ症状は23%(26%)
不安、抑うつ症状のある患者と介護者は、著明に関係していた。
不安や抑うつ症状のある患者は、身体的併存症、増悪頻度が多いこと、息切れや疲労感が強い、支配感(mastery)が弱いこと、若年期の抑うつ症状と関連していた。
介護者の不安症状は、女性、離婚/死別、若年の抑うつ、高学歴、身体併存症の多さと関係。
介護者の不安と抑うつ症状は、サポートの要求が満たされておらず、介護の期間が長く、支配感が弱かった。
不安抑うつ症状がある患者と介護者では、患者の疲労感が関係していた。
<結論>
COPD患者と介護者の不安と抑うつ症状は、強く関係していた。高い罹患率は、死亡率やQOL、ヘルスケアサービスの利用に影響し、お互いに関連しているため、進行したCOPDでは患者と介護者の不安と抑うつ症状のスクリーニングが推奨される。
・自宅に訪問して面接方式でデータ収集を実施
・患者はCRDQを回答、介護者はthe Family Appraisal of Caregiving Questionnaire(介護者のストレスや精神状態を評価するもの)を回答
・患者と介護者は両方ともHADSを回答し、8点以上を陽性と判断
・介護者は家族だけでなく、友人なども含まれており、必ずしも同居しているわけではない
・患者の特性(不安あり):CRDQの点数が低く、身体的併存症が多い
・患者の特性(抑うつあり):若い(平均66歳)、CRDQの点数が低い、身体的併存症が多い、不安症状の並存が多い
・介護者の特性(不安あり):女性、独身、ケアの満足度、サポートに満足していない、抑うつ症状の並存が多い
・介護者の特性(抑うつあり):若い(平均60歳)、ケアの満足度、サポートに満足していない、不安症状の並存が多い
・患者と介護者の不安と抑うつが強いことが患者の疲労感と関連していた。これは、疲労感が強いことで、患者が活動的になれず、介護者の負担増えると、患者自身の独立心を減少させ、お互いの精神状態を低下させるためと考えられる。
逆に、患者か介護者のどちらかに症状があると、患者の活動耐久性に影響し、結果としてデコンディショニングや疲労を招く。
International Journal of COPD 2017:12 2813–2821
https://www.dovepress.com/articles.php?article_id=34957
<目的>
不安と抑うつは、COPD患者と介護者(carers)で多く罹患しており、数々のリスクファクターと関係している。しかし、いくつかの研究でしか、これらのプライマリーケアや患者と介護者の不安、抑うつの関係について報告していない。
目的は、患者、介護者、両者の不安と抑うつの関連要因を検討すること。
<方法>
前向きに119人のCOPD患者と彼らの介護者を集めた。患者と介護者はHADS8点以上を不安、抑うつありと判断。階二乗検定で患者と介護者の不安、抑うつ症状の関係を検討し、階二乗検定と独立t検定でこれらの症状と関連している変数を同定。
<結果>
不安症状のある患者は46.4%(52人)、抑うつ症状のある患者は42.9%(48人)。
介護者の不安症状は46%(52人)、抑うつ症状は23%(26%)
不安、抑うつ症状のある患者と介護者は、著明に関係していた。
不安や抑うつ症状のある患者は、身体的併存症、増悪頻度が多いこと、息切れや疲労感が強い、支配感(mastery)が弱いこと、若年期の抑うつ症状と関連していた。
介護者の不安症状は、女性、離婚/死別、若年の抑うつ、高学歴、身体併存症の多さと関係。
介護者の不安と抑うつ症状は、サポートの要求が満たされておらず、介護の期間が長く、支配感が弱かった。
不安抑うつ症状がある患者と介護者では、患者の疲労感が関係していた。
<結論>
COPD患者と介護者の不安と抑うつ症状は、強く関係していた。高い罹患率は、死亡率やQOL、ヘルスケアサービスの利用に影響し、お互いに関連しているため、進行したCOPDでは患者と介護者の不安と抑うつ症状のスクリーニングが推奨される。
・自宅に訪問して面接方式でデータ収集を実施
・患者はCRDQを回答、介護者はthe Family Appraisal of Caregiving Questionnaire(介護者のストレスや精神状態を評価するもの)を回答
・患者と介護者は両方ともHADSを回答し、8点以上を陽性と判断
・介護者は家族だけでなく、友人なども含まれており、必ずしも同居しているわけではない
・患者の特性(不安あり):CRDQの点数が低く、身体的併存症が多い
・患者の特性(抑うつあり):若い(平均66歳)、CRDQの点数が低い、身体的併存症が多い、不安症状の並存が多い
・介護者の特性(不安あり):女性、独身、ケアの満足度、サポートに満足していない、抑うつ症状の並存が多い
・介護者の特性(抑うつあり):若い(平均60歳)、ケアの満足度、サポートに満足していない、不安症状の並存が多い
患者の疲労感が強い(点数が低い)と、関連していたのは、 患者が不安もしくは抑うつ状態であることと、 患者も介護者も不安もしくは抑うつ状態であること(dyad AD)。 |
逆に、患者か介護者のどちらかに症状があると、患者の活動耐久性に影響し、結果としてデコンディショニングや疲労を招く。
2017/10/05
COPD増悪と嚥下時の呼吸パターンの関係
Breathing–swallowing discoordination is associated with frequent exacerbations of COPD
BMJ Open Resp Res 2017;4:e000202.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28883930
<背景>
呼吸と嚥下の協調性の障害(共同運動不全)は、COPDの急性増悪の著明なリスクファクターになるかもしれない。COPD患者の呼吸と嚥下の共同運動不全を非侵襲的な方法で調査し、量COPD増悪との関連を調べた。
<方法>
65人の安定期外来COPD患者をリクルート。嚥下障害の有無は明らかになっていない。COPD増悪は、1年前と1年後にモニタリングを実施。
吸気中の嚥下(I-SW pattern)と吸気後すぐの嚥下(SW-I pattern)に分けた。
<結果>
吸気中の嚥下もしくは嚥下後吸気は21.5%。2年間の追跡中、48回の増悪(25人)があった。
I-SWもしくはSW-Iは、増悪の頻度と著明に相関。追跡期間中、フードテストを行って、
I-SWもしくはSW-Iが高かった患者は、将来の増悪を予測した。
<結論>
呼吸と嚥下の協調不全は、COPD増悪の頻度と強く関係していた。呼吸と嚥下の協調性と
高めるためのアプローチが、COPDの新たな治療になるかもしれない。
・京都大学でのスタディ
・平均年齢71.9歳、過去4週間症状の増悪が無いCOPD患者が対象。
・ベースラインで嚥下機能テスト、肺機能検査、呼吸症状(CAT)や逆流性食道炎(FSSG)に関する質問表を回答
・増悪の定義は、過去2日間連続して、2つ以上の主な症状が出現、薬剤の変更があった場合
・嚥下のモニタリング:呼吸のフロー、嚥下音、候咽頭の動きを解析。座位で、4種類の食事形態(ソフトゼリー、ハードゼリー、ピュレ、水)を2回ずつ(計8回)摂取。3gもしくは3mLを噛まずに自力で嚥下を行ってもらう。
・嚥下と呼吸パターンについて下の図に示す。Aは正常のパターン、BとCは異常パターン(嚥下と呼吸が共同運動できていない)。
・2年間の追跡期間中の増悪の有無で比較すると、増悪があった患者は、逆流性食道炎の症状が強く、肺機能が低下しており、異常嚥下パターンが多く、嚥下発現までの時間が長かった。
・多変量解析で、増悪の頻度と関連を示したのは、異常嚥下パターンと、吸気予備量はCOPD増悪と独立して関連。
・異常嚥下パターンが最も出現した食事形態は、ピュレと水
・増悪までの日数を比較すると異常嚥下パターンを示している方が、増悪頻度は高かった。
・結果は、先行研究を支持するものであった。食事形態で嚥下パターンが変化していたというのは興味深い結果であった。
BMJ Open Resp Res 2017;4:e000202.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28883930
<背景>
呼吸と嚥下の協調性の障害(共同運動不全)は、COPDの急性増悪の著明なリスクファクターになるかもしれない。COPD患者の呼吸と嚥下の共同運動不全を非侵襲的な方法で調査し、量COPD増悪との関連を調べた。
<方法>
65人の安定期外来COPD患者をリクルート。嚥下障害の有無は明らかになっていない。COPD増悪は、1年前と1年後にモニタリングを実施。
吸気中の嚥下(I-SW pattern)と吸気後すぐの嚥下(SW-I pattern)に分けた。
<結果>
吸気中の嚥下もしくは嚥下後吸気は21.5%。2年間の追跡中、48回の増悪(25人)があった。
I-SWもしくはSW-Iは、増悪の頻度と著明に相関。追跡期間中、フードテストを行って、
I-SWもしくはSW-Iが高かった患者は、将来の増悪を予測した。
<結論>
呼吸と嚥下の協調不全は、COPD増悪の頻度と強く関係していた。呼吸と嚥下の協調性と
高めるためのアプローチが、COPDの新たな治療になるかもしれない。
・京都大学でのスタディ
・平均年齢71.9歳、過去4週間症状の増悪が無いCOPD患者が対象。
・ベースラインで嚥下機能テスト、肺機能検査、呼吸症状(CAT)や逆流性食道炎(FSSG)に関する質問表を回答
・増悪の定義は、過去2日間連続して、2つ以上の主な症状が出現、薬剤の変更があった場合
・嚥下のモニタリング:呼吸のフロー、嚥下音、候咽頭の動きを解析。座位で、4種類の食事形態(ソフトゼリー、ハードゼリー、ピュレ、水)を2回ずつ(計8回)摂取。3gもしくは3mLを噛まずに自力で嚥下を行ってもらう。
嚥下のモニタリングシステム |
・嚥下と呼吸パターンについて下の図に示す。Aは正常のパターン、BとCは異常パターン(嚥下と呼吸が共同運動できていない)。
嚥下と呼吸パターン A:呼気―嚥下ー呼気 B:吸気ー嚥下ー呼気⇒I-SWパターン C:呼気ー嚥下ー吸気⇒SW-Iパターン |
・多変量解析で、増悪の頻度と関連を示したのは、異常嚥下パターンと、吸気予備量はCOPD増悪と独立して関連。
・異常嚥下パターンが最も出現した食事形態は、ピュレと水
・増悪までの日数を比較すると異常嚥下パターンを示している方が、増悪頻度は高かった。
a:全てのフードテストでの異常嚥下の有無で比較 b:ゼリーで異常嚥下が出現したかで比較 |
・結果は、先行研究を支持するものであった。食事形態で嚥下パターンが変化していたというのは興味深い結果であった。
2017/10/02
IPFの身体活動減少と相関するものは?
Clinical Correlates of Reduced Physical Activity in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Respiration 2016;91:497–502
https://www.karger.com/Article/FullText/446607
<背景>
特発性肺線維症(IPF)の身体活動性(PA)についてあまり知られていない。
<目的>
IPFの身体活動レベルを調査すること、肺機能や運動耐容能、症状、QOLと身体活動との関連について調査すること。
<方法>
臨床的に安定しているIPF患者を対象。身体活動は加速度計を使用して1週間計測。その他の評価項目は、肺機能(FVC,DLCO)、6MWT、息切れ(mMRC)、疲労感(MFI-20)、QOL(SF-12,SGRQ)
<結果>
48人のIPFを2施設で確保。
単変量解析では、全ての変数が、1日の歩数と関連していた。1日の歩数とmMRC,MFI-20,SF-12,6MWDは肺機能の低下と独立して関連している。多変量解析にて、6MWDもしくはMFI-20は、1日の歩数を独立して予測した。
<結論>
疲労感と運動耐容能は、IPF患者のPAを独立して予測し、この評価をIPF患者のPAを評価するときに、測定すべきであることが示唆された。
・対象の特性;年齢67.1歳、男性75%、BMI27.9、ステロイド内服27.1%、抗線維化薬無内服47.9%、%FVC75.4%、長期酸素療法22.9%、6MWD355m、%DLCO43.1%、1日の歩数5017歩
Respiration 2016;91:497–502
https://www.karger.com/Article/FullText/446607
<背景>
特発性肺線維症(IPF)の身体活動性(PA)についてあまり知られていない。
<目的>
IPFの身体活動レベルを調査すること、肺機能や運動耐容能、症状、QOLと身体活動との関連について調査すること。
<方法>
臨床的に安定しているIPF患者を対象。身体活動は加速度計を使用して1週間計測。その他の評価項目は、肺機能(FVC,DLCO)、6MWT、息切れ(mMRC)、疲労感(MFI-20)、QOL(SF-12,SGRQ)
<結果>
48人のIPFを2施設で確保。
単変量解析では、全ての変数が、1日の歩数と関連していた。1日の歩数とmMRC,MFI-20,SF-12,6MWDは肺機能の低下と独立して関連している。多変量解析にて、6MWDもしくはMFI-20は、1日の歩数を独立して予測した。
<結論>
疲労感と運動耐容能は、IPF患者のPAを独立して予測し、この評価をIPF患者のPAを評価するときに、測定すべきであることが示唆された。
・対象の特性;年齢67.1歳、男性75%、BMI27.9、ステロイド内服27.1%、抗線維化薬無内服47.9%、%FVC75.4%、長期酸素療法22.9%、6MWD355m、%DLCO43.1%、1日の歩数5017歩
歩数と各評価の関係 |
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6MWDで300mを下回ると、活動量は一気に低下していた。肺機能の低下をなるべく防ぎながら体力を維持していくことが最大の目標になりそう。
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