2017/10/11

COPDでネーザルハイフロー使用時の生理学的変化

Nasal high flow oxygen therapy in patients with COPD reduces respiratory rate and tissue carbon dioxide while increasing tidal and end-expiratory lung volumes: a randomised crossover trial

Thorax. 2016(Research Letter)

http://thorax.bmj.com/content/early/2016/04/04/thoraxjnl-2015-207962

COPD患者は、長期間の酸素療法(LTOT)を1日15時間以上行うとアウトカムが改善する。乾燥した冷たいガスを吸入することで、粘膜線毛運動によるクリアランスが障害されるため、加湿したネーザルハイフロー(NHF)は、増悪の頻度を減少させ、肺機能の改善や、QOLの改善をもたらすかもしれない。
この無作為化試験では、長期間酸素療法を実施している30人の男性にNHFを実施して、短期間の身体的反応を評価した。

LTOT(2-4L/min)はネーザルカニューラを使用し、NHF(AIRVOという機種)は30L/minと比較。

結果(NHFvsLTOT)
経皮的二酸化炭素分圧(TcCO2):43.3 vs 46.7 mm Hg,p<0.001
経皮的酸素分圧(TcO2):97.1vs 101.2 mm Hg, p=0.01
I:E比:0.75 vs0.86, p=0.02
呼吸数:15.4vs 19.2 bpm, p<0.001
一回換気量:0.50 vs 0.40, p=0.003
呼気終末肺容量(EELV):174% vs 113%,p<0.001
主観的な呼吸困難とインターフェイスの手軽さは、LTOTの方が好まれた。


NHFはTcCO2、IE比、呼吸数を減少させ、呼気終末肺容量、一回換気量を増大させた。
これは、酸素療法が必要な患者にNHFの長期間の使用でアウトカムが改善する可能性を示す結果となった。


・NHFは30L/minの流速でFiO2が保てるように使用。
・LTOTを20分間吸入しベースラインとして記録。最初に無作為化された方法で、LTOTもしくはNHFを20分間行い、その後20分間のウォッシュアウト期間としてLTOTを20分実施。その後、2回目(NHFもしくはLTOT)を20分実施。


・NHFの効果を患者が実感するのにどのくらいの時間が必要かは明らかになっていない。しかし、最近の研究では、家で長期間使用した実際の装着時間は1日1.6時間とされている。

・経皮的二酸化炭素分圧が減少したのは、1回換気量が増大したことと、死腔の洗い出し効果によるものと考えられる。

・呼吸数の減少は呼吸仕事量の減少が関連していると考えられる。これは、解剖学的死腔に陽圧を加えることで、換気と血流がマッチするためと考えられる。

・NHFの方が、呼吸困難が強かったのは、新しいデバイスに対する対象者の一時的な不安によるものと考えられる。


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有意差はあるが、若干の差にも思える。
洗い出し効果は本当にCO2の減少するのか、そもそも本当にあるのか。。