2017/10/09

患者と介護者の不安、抑うつ症状の関連

Associations between the psychological health of patients and carers in advanced COPD

International Journal of COPD 2017:12 2813–2821

 https://www.dovepress.com/articles.php?article_id=34957

<目的>
不安と抑うつは、COPD患者と介護者(carers)で多く罹患しており、数々のリスクファクターと関係している。しかし、いくつかの研究でしか、これらのプライマリーケアや患者と介護者の不安、抑うつの関係について報告していない。
目的は、患者、介護者、両者の不安と抑うつの関連要因を検討すること。

<方法>
前向きに119人のCOPD患者と彼らの介護者を集めた。患者と介護者はHADS8点以上を不安、抑うつありと判断。階二乗検定で患者と介護者の不安、抑うつ症状の関係を検討し、階二乗検定と独立t検定でこれらの症状と関連している変数を同定。

<結果>
不安症状のある患者は46.4%(52人)、抑うつ症状のある患者は42.9%(48人)。
介護者の不安症状は46%(52人)、抑うつ症状は23%(26%)
不安、抑うつ症状のある患者と介護者は、著明に関係していた。
不安や抑うつ症状のある患者は、身体的併存症、増悪頻度が多いこと、息切れや疲労感が強い、支配感(mastery)が弱いこと、若年期の抑うつ症状と関連していた。
介護者の不安症状は、女性、離婚/死別、若年の抑うつ、高学歴、身体併存症の多さと関係。
介護者の不安と抑うつ症状は、サポートの要求が満たされておらず、介護の期間が長く、支配感が弱かった。
不安抑うつ症状がある患者と介護者では、患者の疲労感が関係していた。

<結論>
COPD患者と介護者の不安と抑うつ症状は、強く関係していた。高い罹患率は、死亡率やQOL、ヘルスケアサービスの利用に影響し、お互いに関連しているため、進行したCOPDでは患者と介護者の不安と抑うつ症状のスクリーニングが推奨される。


・自宅に訪問して面接方式でデータ収集を実施
・患者はCRDQを回答、介護者はthe Family Appraisal of Caregiving Questionnaire(介護者のストレスや精神状態を評価するもの)を回答
・患者と介護者は両方ともHADSを回答し、8点以上を陽性と判断
・介護者は家族だけでなく、友人なども含まれており、必ずしも同居しているわけではない

・患者の特性(不安あり):CRDQの点数が低く、身体的併存症が多い
・患者の特性(抑うつあり):若い(平均66歳)、CRDQの点数が低い、身体的併存症が多い、不安症状の並存が多い

・介護者の特性(不安あり):女性、独身、ケアの満足度、サポートに満足していない、抑うつ症状の並存が多い
・介護者の特性(抑うつあり):若い(平均60歳)、ケアの満足度、サポートに満足していない、不安症状の並存が多い

患者の疲労感が強い(点数が低い)と、関連していたのは、
患者が不安もしくは抑うつ状態であることと、
患者も介護者も不安もしくは抑うつ状態であること(dyad AD)。
・患者と介護者の不安と抑うつが強いことが患者の疲労感と関連していた。これは、疲労感が強いことで、患者が活動的になれず、介護者の負担増えると、患者自身の独立心を減少させ、お互いの精神状態を低下させるためと考えられる。
逆に、患者か介護者のどちらかに症状があると、患者の活動耐久性に影響し、結果としてデコンディショニングや疲労を招く。