International Journal of COPD 2017:12 2813–2821
https://www.dovepress.com/articles.php?article_id=34957
<目的>
不安と抑うつは、COPD患者と介護者(carers)で多く罹患しており、数々のリスクファクターと関係している。しかし、いくつかの研究でしか、これらのプライマリーケアや患者と介護者の不安、抑うつの関係について報告していない。
目的は、患者、介護者、両者の不安と抑うつの関連要因を検討すること。
<方法>
前向きに119人のCOPD患者と彼らの介護者を集めた。患者と介護者はHADS8点以上を不安、抑うつありと判断。階二乗検定で患者と介護者の不安、抑うつ症状の関係を検討し、階二乗検定と独立t検定でこれらの症状と関連している変数を同定。
<結果>
不安症状のある患者は46.4%(52人)、抑うつ症状のある患者は42.9%(48人)。
介護者の不安症状は46%(52人)、抑うつ症状は23%(26%)
不安、抑うつ症状のある患者と介護者は、著明に関係していた。
不安や抑うつ症状のある患者は、身体的併存症、増悪頻度が多いこと、息切れや疲労感が強い、支配感(mastery)が弱いこと、若年期の抑うつ症状と関連していた。
介護者の不安症状は、女性、離婚/死別、若年の抑うつ、高学歴、身体併存症の多さと関係。
介護者の不安と抑うつ症状は、サポートの要求が満たされておらず、介護の期間が長く、支配感が弱かった。
不安抑うつ症状がある患者と介護者では、患者の疲労感が関係していた。
<結論>
COPD患者と介護者の不安と抑うつ症状は、強く関係していた。高い罹患率は、死亡率やQOL、ヘルスケアサービスの利用に影響し、お互いに関連しているため、進行したCOPDでは患者と介護者の不安と抑うつ症状のスクリーニングが推奨される。
・自宅に訪問して面接方式でデータ収集を実施
・患者はCRDQを回答、介護者はthe Family Appraisal of Caregiving Questionnaire(介護者のストレスや精神状態を評価するもの)を回答
・患者と介護者は両方ともHADSを回答し、8点以上を陽性と判断
・介護者は家族だけでなく、友人なども含まれており、必ずしも同居しているわけではない
・患者の特性(不安あり):CRDQの点数が低く、身体的併存症が多い
・患者の特性(抑うつあり):若い(平均66歳)、CRDQの点数が低い、身体的併存症が多い、不安症状の並存が多い
・介護者の特性(不安あり):女性、独身、ケアの満足度、サポートに満足していない、抑うつ症状の並存が多い
・介護者の特性(抑うつあり):若い(平均60歳)、ケアの満足度、サポートに満足していない、不安症状の並存が多い
患者の疲労感が強い(点数が低い)と、関連していたのは、 患者が不安もしくは抑うつ状態であることと、 患者も介護者も不安もしくは抑うつ状態であること(dyad AD)。 |
逆に、患者か介護者のどちらかに症状があると、患者の活動耐久性に影響し、結果としてデコンディショニングや疲労を招く。