【菌血症:bacteremia】
本来無菌状態の血液中に細菌が存在する状態のこと
一過性で続発症が無いこともあれば、転移もしくは全身性に影響することもある
・原因
尿道カテーテル、褥瘡や膿瘍の外科的治療、静脈カテーテルなど
・症状
頻呼吸、悪寒、発熱、低血圧、腹痛、下痢など「敗血性ショック」を示唆する。
敗血症性ショックは菌血症患者の25-40%に発現。
無症状で経過することも。
・検査
血液培養で菌を同定
【敗血症:sepsis】
定義(sepsis-3):感染に対する制御不能な宿主反応に起因した生命を脅かす臓器障害
→国際的な定義は3度の変更がされてきた。
日本版ガイドラインの定義は、”感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態”
診断基準:SOFA(sequential(sepsis-related )organ failure assessment) scoreが2点以上急上昇したもの
ICU外で感染が疑われる場合は、quick SOFAで評価。2項目以上当てはまれば予後不良の可能性
【敗血症性ショック】
定義:「急性循環不全により細胞障害および代謝異常が重度となり,死亡率を増加させる可能性のある状態
診断は、輸血負荷しても、平均血圧65mmHgを維持するために循環作動薬が必要で、血清乳酸菌>2mmol/L
【出典】
MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com
敗血症.com:http://xn--ucvv97al2n.com/index.html
敗血症ガイドライン2016
2020/01/30
2020/01/27
入院中1日20分の運動で、ADL維持できた
Effect of a Simple Exercise Program on Hospitalization-Associated Disability in Older Patients: A Randomized Controlled Trial
JAMDA(2019) 1-7
https://www.jamda.com/article/S1525-8610(19)30836-9/addons
<目的>
入院関連活動障害(Hospitalization-associated disability:HAD,退院時に基本的ADLの1つ以上で介助が必要な状態)は、高齢患者で良く見られる状態である。
急性に入院した超高齢者において、単純な入院運動プログラムが、HADの発生を減少させることが出来るかを評価した。
<方法>
無作為化ランダム試験。ベースライン(入院2週間前)、入院時、退院時、退院3か月後に評価。
計268人の患者、平均年齢88歳が対象。無作為に対照群125人と介入(運動)群143人に分けられた。
両群とも通常ケアを受けた。介入群は、1日20分以内の簡単な運動(歩行、椅子起立)を実施。
ADL機能はKatz indexで評価(primary outcome)。退院時と退院3か月後のHAD、SPPB、活動耐久性、転倒数、再入院、3か月間の死亡率を評価(secondary outcome)。
<結果>
入院期間の中央値7日。介入群は、ベースラインと入院時のHADの発生リスクが低かった。
入院時と比較して、退院時のADL機能は改善傾向にあった。
その他のエンドポイントでは、グループ間に有意差はなかった。
<結論>
入院した超高齢患者に対する簡単な運動介入は、HADの発生リスクを減少させる。
・主病名
呼吸器、循環器、腎臓/泌尿器、中枢神経、消化器
入院2週間前に歩行できていない、ADLで介助が必要な患者は除外。(ベースラインはインタビューで評価)
・運動内容
椅子起立:必要に応じてひじ掛けなどを使用可能。頻度は、1日1-3セッション、平日のみ。セッションの数は患者の状態に応じて徐々に増加させる。セッション間には30分の休憩を設ける。運動量は、1-3セット。1セット10回繰り返し。セット間は2分の休憩を設ける。
歩行:頻度は起立と同じで1日1-3セッション。患者の状態に応じて3-10分の歩行、必要に応じて休憩可能。
・結果
ADL機能(Katz index)は、入院時vs退院時、入院時vs退院後3ヶ月後で介入群の方が有意に改善
ベースラインvs退院後3ヶ月は、対照群、介入群ともADL低下(退院後3ヶ月経過後も
入院前のADLまでは回復していない)
・考察
入院中の運動介入は安全で有効である。
入院中の歩行は入院前の活動に依存する。
急性期入院中に、歩行、バランス、レジスタンストレーニングを中央値5日行うことはh
活動、認知機能へ有効である。
歩行と起立運動は、主にフレイルの高齢患者に有効かもしれない。
JAMDA(2019) 1-7
https://www.jamda.com/article/S1525-8610(19)30836-9/addons
<目的>
入院関連活動障害(Hospitalization-associated disability:HAD,退院時に基本的ADLの1つ以上で介助が必要な状態)は、高齢患者で良く見られる状態である。
急性に入院した超高齢者において、単純な入院運動プログラムが、HADの発生を減少させることが出来るかを評価した。
<方法>
無作為化ランダム試験。ベースライン(入院2週間前)、入院時、退院時、退院3か月後に評価。
計268人の患者、平均年齢88歳が対象。無作為に対照群125人と介入(運動)群143人に分けられた。
両群とも通常ケアを受けた。介入群は、1日20分以内の簡単な運動(歩行、椅子起立)を実施。
ADL機能はKatz indexで評価(primary outcome)。退院時と退院3か月後のHAD、SPPB、活動耐久性、転倒数、再入院、3か月間の死亡率を評価(secondary outcome)。
<結果>
入院期間の中央値7日。介入群は、ベースラインと入院時のHADの発生リスクが低かった。
入院時と比較して、退院時のADL機能は改善傾向にあった。
その他のエンドポイントでは、グループ間に有意差はなかった。
<結論>
入院した超高齢患者に対する簡単な運動介入は、HADの発生リスクを減少させる。
・主病名
呼吸器、循環器、腎臓/泌尿器、中枢神経、消化器
入院2週間前に歩行できていない、ADLで介助が必要な患者は除外。(ベースラインはインタビューで評価)
・運動内容
椅子起立:必要に応じてひじ掛けなどを使用可能。頻度は、1日1-3セッション、平日のみ。セッションの数は患者の状態に応じて徐々に増加させる。セッション間には30分の休憩を設ける。運動量は、1-3セット。1セット10回繰り返し。セット間は2分の休憩を設ける。
歩行:頻度は起立と同じで1日1-3セッション。患者の状態に応じて3-10分の歩行、必要に応じて休憩可能。
・結果
ADL機能(Katz index)は、入院時vs退院時、入院時vs退院後3ヶ月後で介入群の方が有意に改善
ベースラインvs退院後3ヶ月は、対照群、介入群ともADL低下(退院後3ヶ月経過後も
入院前のADLまでは回復していない)
・考察
入院中の運動介入は安全で有効である。
入院中の歩行は入院前の活動に依存する。
急性期入院中に、歩行、バランス、レジスタンストレーニングを中央値5日行うことはh
活動、認知機能へ有効である。
歩行と起立運動は、主にフレイルの高齢患者に有効かもしれない。
2020/01/25
線維性間質性肺炎で呼吸リハの反応性
Cardiorespiratory adaptation during 6-Minute Walk Test in fibrotic idiopathic interstitial pneumonia patients who did or did not respond to pulmonary rehabilitation.
Eur J Phys Rehabil Med. 2019 Feb;55(1):103-112.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29904044
<背景>
線維性特発性間質性肺炎(f-IIP)患者において、呼吸リハは6MWTを改善させる。
しかし、呼吸リハに反応しない患者が多く存在する。
目的は、6MWT中の心肺反応の呼吸リハプログラムの影響と、呼吸リハで改善しなかった患者の特徴を調査すること。
<方法>
観察研究。フランスの病院でリクルートされ、8週間の自宅での呼吸リハを実施。
対象は、f-IIP19人、IPF12人、線維性非特異的間質性肺炎7人。
対象者は、呼吸リハの前後で6MWT、肺機能検査を実施。
ガス交換、心拍数、SpO2は6MWT中に評価。
QOL(SF-36)、息切れ(BDI/TDI)、不安/抑うつ(HADS)、を質問表で評価。
<結果>
呼吸リハ後の6MWTで30mの改善があったものを反応群(n=9)、改善が無かったものを非非反応群(N=10)として検証。酸素摂取量、呼吸数、歩行距離は、反応群でのみ優位に改善。SF-36、BDI/TDI、HADSスコアは、反応群と非反応群で違いは無かった。
非反応群は、有意にIPF患者が多く、6MWT中に著名な酸素化低下を認めた。
<考察>
呼吸リハ後に6MWTの改善が乏しかったのは、IPF患者、ガス交換能が改善していない、動脈血酸素飽和度が大きいことと関係していた。
f-IIP患者の多く、特にIPF患者であることや運動中の著明な低酸素を認める場合は、呼吸リハで反応に乏しいことと関係していた。また、
臨床において、呼吸リハ後に患者が回復していない場合は、運動の方法の検討やこれらの患者の運動様式の変化をすべきである。
Eur J Phys Rehabil Med. 2019 Feb;55(1):103-112.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29904044
<背景>
線維性特発性間質性肺炎(f-IIP)患者において、呼吸リハは6MWTを改善させる。
しかし、呼吸リハに反応しない患者が多く存在する。
目的は、6MWT中の心肺反応の呼吸リハプログラムの影響と、呼吸リハで改善しなかった患者の特徴を調査すること。
<方法>
観察研究。フランスの病院でリクルートされ、8週間の自宅での呼吸リハを実施。
対象は、f-IIP19人、IPF12人、線維性非特異的間質性肺炎7人。
対象者は、呼吸リハの前後で6MWT、肺機能検査を実施。
ガス交換、心拍数、SpO2は6MWT中に評価。
QOL(SF-36)、息切れ(BDI/TDI)、不安/抑うつ(HADS)、を質問表で評価。
<結果>
呼吸リハ後の6MWTで30mの改善があったものを反応群(n=9)、改善が無かったものを非非反応群(N=10)として検証。酸素摂取量、呼吸数、歩行距離は、反応群でのみ優位に改善。SF-36、BDI/TDI、HADSスコアは、反応群と非反応群で違いは無かった。
非反応群は、有意にIPF患者が多く、6MWT中に著名な酸素化低下を認めた。
<考察>
呼吸リハ後に6MWTの改善が乏しかったのは、IPF患者、ガス交換能が改善していない、動脈血酸素飽和度が大きいことと関係していた。
f-IIP患者の多く、特にIPF患者であることや運動中の著明な低酸素を認める場合は、呼吸リハで反応に乏しいことと関係していた。また、
臨床において、呼吸リハ後に患者が回復していない場合は、運動の方法の検討やこれらの患者の運動様式の変化をすべきである。
2020/01/19
術前6MWD≦450mは術後肺炎と関連
Preoperative six-minute walk distance is associated with pneumonia after lung resection.
Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2018 Feb 1;26(2):277-283.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29049742
<目的>
肺切除術患者の術前身体機能と術後肺炎の関連についてあまり知られていない。
術前6分間歩行距離(6MWD)と術後肺炎の関係について検討した。
<方法>
名古屋大学病院にて肺切除術を行った患者を後方視的に検討。術前肺機能、6MWTを評価。
ロジスティック回帰モデルとROC曲線で臨床的変数と6WMD、FEV1.0、DLCOを比較。
<結果>
321人の患者が対象。うち、283人は初発の肺がん、38人が転移性肺がん
肺炎は13人の患者で発症し、術後入院期間が延長していた。
肺炎発症した患者の術前6MWDは肺炎の無い患者よりも著明に短い(425 vs 500 m, P = 0.002)
ROC曲線にて、6MWD ≤ 450 mが術後肺炎を予測するカットオフであった(感度69.2%、特異度71.1%)
ロジスティックモデルにて、術後肺炎と関連していたのは、6MWD<450m、%FEV1.0<80%、%DLCO<80%、血清アルブミン<3.5g/dl、術中出血量>200g
<考察>
術前6MWDは術後肺炎の発症と関連していた。
・周術期リハは、全患者に同様のリハを提供。モビライゼーション、歩行、呼吸練習、筋力トレーニング。
・術前1-14日実施(中央値1日)
・術後合併症は、術後30日間の発症を調査。術後合併症は、the Clavien–Dindo classificationで評価。
・肺炎は術後3-9日に発症。術後入院期間が延長していた。
・6MWD≦450mは肺炎発症リスクが5倍であった。
・低アルブミンが術後呼吸器合併症の予測因子であることは知られており、筋肉量の減少によって筋機能の異常が栄養不良の原因かもしれない。
Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2018 Feb 1;26(2):277-283.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29049742
<目的>
肺切除術患者の術前身体機能と術後肺炎の関連についてあまり知られていない。
術前6分間歩行距離(6MWD)と術後肺炎の関係について検討した。
<方法>
名古屋大学病院にて肺切除術を行った患者を後方視的に検討。術前肺機能、6MWTを評価。
ロジスティック回帰モデルとROC曲線で臨床的変数と6WMD、FEV1.0、DLCOを比較。
<結果>
321人の患者が対象。うち、283人は初発の肺がん、38人が転移性肺がん
肺炎は13人の患者で発症し、術後入院期間が延長していた。
肺炎発症した患者の術前6MWDは肺炎の無い患者よりも著明に短い(425 vs 500 m, P = 0.002)
ROC曲線にて、6MWD ≤ 450 mが術後肺炎を予測するカットオフであった(感度69.2%、特異度71.1%)
ロジスティックモデルにて、術後肺炎と関連していたのは、6MWD<450m、%FEV1.0<80%、%DLCO<80%、血清アルブミン<3.5g/dl、術中出血量>200g
<考察>
術前6MWDは術後肺炎の発症と関連していた。
・周術期リハは、全患者に同様のリハを提供。モビライゼーション、歩行、呼吸練習、筋力トレーニング。
・術前1-14日実施(中央値1日)
・術後合併症は、術後30日間の発症を調査。術後合併症は、the Clavien–Dindo classificationで評価。
・肺炎は術後3-9日に発症。術後入院期間が延長していた。
・6MWD≦450mは肺炎発症リスクが5倍であった。
・低アルブミンが術後呼吸器合併症の予測因子であることは知られており、筋肉量の減少によって筋機能の異常が栄養不良の原因かもしれない。
2020/01/13
ICUでのモビライゼーションとリハビリの効果-systematic review-
The effects of active mobilisation and rehabilitation in ICU on mortality and function: a systematic review.
Intensive Care Med. 2017 Feb;43(2):171-183.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27864615
<目的>
ICUでの早期離床とリハビリテーションは、疾患の長期身体機能の低下を予防するために用いられる。
このレビューでは、ICUでの自動運動(active mobilization)やリハビリの、死亡率、身体機能、筋力、QOL、退院後180日の生存率、ICUと在院日数、人工呼吸日数、退院先への影響について調査した。
<方法>
PRISMA チェックリストを基に、RCTのレビューとメタアナリシスをじっし
<結果>
14件の研究、1753人の患者が質を満たしていた。
自動運動とリハビリは、予後(短期と長期)に影響しなかった。
メタアナリシスでは、自動運動とリハビリはICU退室時の筋力(MRC-SUMスコア)を著明に改善し、退院時に介助無しで歩行できる可能性が高く、退院後180日の生存率が高かった。
身体機能、QOL、在院日数、人工呼吸日数、退院先への影響は認められなかった。
<考察>
ICUでの自動運動とリハビリは予後に影響しなかったが、活動状態、筋力、退院後生存率は改善させるかもしれない。
Intensive Care Med. 2017 Feb;43(2):171-183.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27864615
<目的>
ICUでの早期離床とリハビリテーションは、疾患の長期身体機能の低下を予防するために用いられる。
このレビューでは、ICUでの自動運動(active mobilization)やリハビリの、死亡率、身体機能、筋力、QOL、退院後180日の生存率、ICUと在院日数、人工呼吸日数、退院先への影響について調査した。
<方法>
PRISMA チェックリストを基に、RCTのレビューとメタアナリシスをじっし
<結果>
14件の研究、1753人の患者が質を満たしていた。
自動運動とリハビリは、予後(短期と長期)に影響しなかった。
メタアナリシスでは、自動運動とリハビリはICU退室時の筋力(MRC-SUMスコア)を著明に改善し、退院時に介助無しで歩行できる可能性が高く、退院後180日の生存率が高かった。
身体機能、QOL、在院日数、人工呼吸日数、退院先への影響は認められなかった。
<考察>
ICUでの自動運動とリハビリは予後に影響しなかったが、活動状態、筋力、退院後生存率は改善させるかもしれない。
2020/01/06
身体活動と炎症反応の関係
The effects of physical activity on serum C-reactive protein and inflammatory markers: a systematic review.
J Am Coll Cardiol. 2005 May 17;45(10):1563-9
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15893167
身体活動は、冠動脈疾患の発生の減少と関係しているが、この間に存在する機序については明らかにされていない。
最近、循環器疾患の病理における炎症について興味深い報告がいくつかある。
身体活動の役割は、炎症の過程における効果から、結果になっているかもしれない。
pubmedで1975年から2004年までの文献で、運動、身体活動、フィットネスとCRP、炎症、炎症マーカー、サイトカインの関係について検索。
レビューは、19文献が運動による急性炎症反応について報告、18文献が活動レベル、運動による効果を炎症のプロセスによって比較
短期間の運動で炎症反応が示された一方、交差比較した縦断的運動介入研究では、長期間の抗炎症効果を報告。
この抗炎症反応は、習慣的な身体活動の有効性に寄与するかもしれない。
<激しい運動後の急性反応>
42キロのマラソン後、一過性に白血球とCRP値が上昇。また、IL-1やクレアチニンキナーゼ(CK)も上昇しており、これは、筋損傷による炎症反応にようるものと示唆される。
これらは、運動後、2-6日でベースラインへ戻る。
運動後の急性反応は、活動量と筋損傷の程度を表している。
運動後の反応は、運動の種類や筋肉動員量によるかもしれない。肘屈曲運動を用いた等張性(遠心性)運動を100回やっても、血清CK値は上昇しなかった。
激しい運動後の急性反応は、運動療法によって減少する。運動後の急性反応のメディエーターの機序は明らかになっていない。
運動は、抗炎症メディエーターの上昇にも寄与する。
運動による筋損傷は、IL-6の最初の反応であると考えられる。最近の研究で、筋損傷と独立して筋肉への運動刺激がIL-6を産生することが示唆されている。
筋損傷によるIL-6反応は遅く、筋収縮によるIL-6産生量よりも少ない。
<通常の身体活動によってCRPレベルが低下する機序>
どのような運動が炎症を減少しCRP値を抑えるのかについてはよくわかっていない。
身体活動は、いくつかの交絡因子によって、CRP値の低さと独立して関連している。
同様に、教育レベル、インスリン感受性、アルコール摂取、フルーツと野菜の摂取が、CRP値と逆に関連している(負の相関?)
J Am Coll Cardiol. 2005 May 17;45(10):1563-9
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15893167
身体活動は、冠動脈疾患の発生の減少と関係しているが、この間に存在する機序については明らかにされていない。
最近、循環器疾患の病理における炎症について興味深い報告がいくつかある。
身体活動の役割は、炎症の過程における効果から、結果になっているかもしれない。
pubmedで1975年から2004年までの文献で、運動、身体活動、フィットネスとCRP、炎症、炎症マーカー、サイトカインの関係について検索。
レビューは、19文献が運動による急性炎症反応について報告、18文献が活動レベル、運動による効果を炎症のプロセスによって比較
短期間の運動で炎症反応が示された一方、交差比較した縦断的運動介入研究では、長期間の抗炎症効果を報告。
この抗炎症反応は、習慣的な身体活動の有効性に寄与するかもしれない。
<激しい運動後の急性反応>
42キロのマラソン後、一過性に白血球とCRP値が上昇。また、IL-1やクレアチニンキナーゼ(CK)も上昇しており、これは、筋損傷による炎症反応にようるものと示唆される。
これらは、運動後、2-6日でベースラインへ戻る。
運動後の急性反応は、活動量と筋損傷の程度を表している。
運動後の反応は、運動の種類や筋肉動員量によるかもしれない。肘屈曲運動を用いた等張性(遠心性)運動を100回やっても、血清CK値は上昇しなかった。
激しい運動後の急性反応は、運動療法によって減少する。運動後の急性反応のメディエーターの機序は明らかになっていない。
運動は、抗炎症メディエーターの上昇にも寄与する。
運動による筋損傷は、IL-6の最初の反応であると考えられる。最近の研究で、筋損傷と独立して筋肉への運動刺激がIL-6を産生することが示唆されている。
筋損傷によるIL-6反応は遅く、筋収縮によるIL-6産生量よりも少ない。
<通常の身体活動によってCRPレベルが低下する機序>
どのような運動が炎症を減少しCRP値を抑えるのかについてはよくわかっていない。
身体活動は、いくつかの交絡因子によって、CRP値の低さと独立して関連している。
同様に、教育レベル、インスリン感受性、アルコール摂取、フルーツと野菜の摂取が、CRP値と逆に関連している(負の相関?)
2020/01/02
市中肺炎患者への早期リハは死亡率を減少
Early Rehabilitation and In-Hospital Mortality in Intensive Care Patients With Community-Acquired Pneumonia.
Am J Crit Care. 2018Mar;27(2):97-103
<背景>
市中肺炎は、最も多い感染症であり、致命的になり得る。
ICUでの早期リハビリの有効性については、知られているが、市中肺炎でICUへ入院した患者への早期リハビリと死亡率の関係については知られていない。
<目的>
市中肺炎で、ICUに入室した患者への早期リハビリと病院での死亡率の関係を調査
早期リハビリによる在院日数や入院費への影響を調査
<方法>
日本で、2011年から2014年に市中肺炎で入院した患者を国立入院患者データベースを使用して後ろ向きに収集。
スコアマッチ分析で2群を比較。
入院2日以内の介入を早期リハとした。
<結果>
8732人が対象。スコアマッチ分析にて972組の早期リハと非早期リハのペアができた。
早期リハは、入院中の死亡率を著明に減少(17.9% vs 21.9%)
ICU在室日数、入院期間、総入院費に違いはなかった。
<考察>
入院2日以内の早期リハ介入は、市中肺炎でICUに入院した患者の院内死亡率を減少させた
誤嚥性肺炎患者の筋肉量の低下は死亡率を予測
Muscle Mass Loss Is a Potential Predictor of 90-Day Mortality in Older Adults with Aspiration Pneumonia.
J Am Geriatr Soc. 2017 Jan;65(1):e18-e22.
<目的>
筋肉量低下と誤嚥性肺炎の関係について調査した
<方法>
前向き研究
急性期総合病院
誤嚥性肺炎で入院した患者151人が対象、平均年齢85.9歳
四肢骨格筋量(Appendicular skeletal muscle index;ASMI)で筋肉量を評価
データは、年齢、性別、BMI、MNA−Short Form、Bathel Index、Charlson index、肺炎重症度(CURBー65、AーDROP)アウトカムは、30日と90日での死亡率
<結果>
軽症から最重症の誤嚥性肺炎患者が対象
カプラン−マイヤー曲線にて、ASMIが最も低い患者は、男女とも最も死亡率が高かった。
多変量ロジスティック解析にて、ASMIとAーDROPが90日後の死亡を独立して予測。
AーDROPのみが30日後の死亡率を唯一予測。
Cox回帰分析でも、ASMIが独立して死亡と関係していた(HR 2.19)
<考察>
筋肉量の低下は、誤嚥性肺炎患者の長期予後を予測できる可能性がある。筋肉量の減少を予防することが、高齢者の誤嚥性肺炎からの回復に有効かもしれない。
J Am Geriatr Soc. 2017 Jan;65(1):e18-e22.
<目的>
筋肉量低下と誤嚥性肺炎の関係について調査した
<方法>
前向き研究
急性期総合病院
誤嚥性肺炎で入院した患者151人が対象、平均年齢85.9歳
四肢骨格筋量(Appendicular skeletal muscle index;ASMI)で筋肉量を評価
データは、年齢、性別、BMI、MNA−Short Form、Bathel Index、Charlson index、肺炎重症度(CURBー65、AーDROP)アウトカムは、30日と90日での死亡率
<結果>
軽症から最重症の誤嚥性肺炎患者が対象
カプラン−マイヤー曲線にて、ASMIが最も低い患者は、男女とも最も死亡率が高かった。
多変量ロジスティック解析にて、ASMIとAーDROPが90日後の死亡を独立して予測。
AーDROPのみが30日後の死亡率を唯一予測。
Cox回帰分析でも、ASMIが独立して死亡と関係していた(HR 2.19)
<考察>
筋肉量の低下は、誤嚥性肺炎患者の長期予後を予測できる可能性がある。筋肉量の減少を予防することが、高齢者の誤嚥性肺炎からの回復に有効かもしれない。
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