2020/01/06

身体活動と炎症反応の関係

The effects of physical activity on serum C-reactive protein and inflammatory markers: a systematic review.

 2005 May 17;45(10):1563-9

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15893167


身体活動は、冠動脈疾患の発生の減少と関係しているが、この間に存在する機序については明らかにされていない。

最近、循環器疾患の病理における炎症について興味深い報告がいくつかある。
身体活動の役割は、炎症の過程における効果から、結果になっているかもしれない。

pubmedで1975年から2004年までの文献で、運動、身体活動、フィットネスとCRP、炎症、炎症マーカー、サイトカインの関係について検索。


レビューは、19文献が運動による急性炎症反応について報告、18文献が活動レベル、運動による効果を炎症のプロセスによって比較


短期間の運動で炎症反応が示された一方、交差比較した縦断的運動介入研究では、長期間の抗炎症効果を報告。


この抗炎症反応は、習慣的な身体活動の有効性に寄与するかもしれない。


<激しい運動後の急性反応>

42キロのマラソン後、一過性に白血球とCRP値が上昇。また、IL-1やクレアチニンキナーゼ(CK)も上昇しており、これは、筋損傷による炎症反応にようるものと示唆される。
これらは、運動後、2-6日でベースラインへ戻る。
運動後の急性反応は、活動量と筋損傷の程度を表している。
運動後の反応は、運動の種類や筋肉動員量によるかもしれない。肘屈曲運動を用いた等張性(遠心性)運動を100回やっても、血清CK値は上昇しなかった。



激しい運動後の急性反応は、運動療法によって減少する。運動後の急性反応のメディエーターの機序は明らかになっていない。

運動は、抗炎症メディエーターの上昇にも寄与する。
運動による筋損傷は、IL-6の最初の反応であると考えられる。最近の研究で、筋損傷と独立して筋肉への運動刺激がIL-6を産生することが示唆されている。
筋損傷によるIL-6反応は遅く、筋収縮によるIL-6産生量よりも少ない。

<通常の身体活動によってCRPレベルが低下する機序>
どのような運動が炎症を減少しCRP値を抑えるのかについてはよくわかっていない。
身体活動は、いくつかの交絡因子によって、CRP値の低さと独立して関連している。
同様に、教育レベル、インスリン感受性、アルコール摂取、フルーツと野菜の摂取が、CRP値と逆に関連している(負の相関?)