2019/01/28

30日以内の早期再入院は死亡リスクを高める。

Early readmission and mortality in acute exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease with community-acquired pneumonia

Chron Respir Dis. 2019 Jan-Dec;16:1479972318809480.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30428701

<背景>
COPD急性増悪は、入院や死亡の重要な要因である。肺炎は、COPD増悪入院に主に関与しており、アウトカム不良と関連している。

<方法>
COPD増悪の診断と市中肺炎の有無を前向きコホートで研究を行った。
2つのグループの最初の入院から6か月後の死亡率と再入院数を調査し、再入院までの期間もしくはICUでの治療による生存率の違いを検討した。

<結果>
308人のCOPD増悪(肺炎合併134人、肺炎無し174人)が対象。
平均年齢72.3 ± 9.5歳。235人(76.3%)が男性。
180日以内の死亡率は、肺炎合併のCOPD増悪の方が高かった。(24.6% vs. 13.2%; hazard ratio (HR): 1.982)
しかし、再入院率は、2つのグループに差はなかった。(51.5% vs. 46.6%; HR: 1.172)
これは、30日以内に再入院した場合、肺炎を合併していない増悪患者よりも肺炎合併COPD増悪患者の生存率が低いことを示している。
ICUでの治療によって、生存率に差はなかった。
多変量回帰分析の結果、肺炎合併COPD増悪患者の180日以内の死亡と関連していたのは、30日以内の再入院、ヘモグロビン、アルブミン。

<考察>
肺炎合併したCOPD増悪は、6か月の間、肺炎のないCOPD患者よりも生存率が低かった。
30日以内の早期再入院は、死亡率の上昇と強く関連していた。



2019/01/21

術前7日のリハで入院日数、術後合併症、医療費が減少

Short-term inpatient-based high-intensive pulmonary rehabilitation for lung cancer patients: is it feasible and effective?

J Thorac Dis. 2017 Nov; 9(11): 4486–4493.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5721074/

<背景>
肺がん手術を実施する患者に対して、術前に入院しての短期間のリハを行うことが、実現可能か、費用対効果があるか、術後呼吸器合併症の減少や在院日数の短縮をもたらすかについて検討した。

<方法>
7日間の入院にて、高強度のリハビリを行った。
吸気筋トレーニングと有酸素、持久力運動を組み合わせて実施した。
対象は地域病院にて胸部外科手術を行った939人の肺がん患者。


<結果>
最終的に、939人の患者が呼吸リハグループ(n=197)と対照群(n=742)に分けられた。
呼吸リハグループの方が、在院日数(14.7日 vs 16.7日)や術後在院日数(6.2日 vs 8.3日)が短かった。
呼吸リハグループにおいて、呼吸器合併症(18.3% vs 26.1%)、肺炎(11.2% vs 17.3%)、無気肺(6.6% vs 12.3%)の発生が少なかった。
多変量解析にて、呼吸器合併症、無気肺、肺炎のリスク因子を分析したところ、呼吸リハ介入は、呼吸器合併症(OR=0.57)と無気肺(OR=0.49)の独立したリスクファクターである

<考察>
吸気筋トレーニングと有酸素運動を含めた、全身的な高強度の呼吸リハを、肺がん手術を行う患者に術前から行うことで、入院費の増加なしに、在院日数と呼吸器合併症の発生を減少させることを示唆した。


2019/01/17

入院中の歩数と再入院の予測

Inpatient walking activity to predict readmission in older adults

Arch Phys Med Rehabil. 2016 September ; 97(9 Suppl): S226–S231.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5325689/

<目的>
高齢の急性期重症患者の入院中の歩行活動と入院中のADLを用いて、30日以内の再入院の予測について比較すること。
加えて、最短で再入院した時点において、介入の目標をサポートできることを目的とした予備的歩行閾値の識別を算出した。

<方法>
前向き、臨床コホート研究。入院中の歩数は、加速度計を用いて測定。ADL機能は、入院から48時間以内に評価。
急性期病院で実施。
参加者は、169人の65歳以上の救急患者
介入はなし。
主なアウトカムは、退院後30日以内に再入院したか(yes or no)

<結果>
26人の患者(15.8%)が退院後30日以内に再入院した。入院中の歩行活動は、ADL機能よりも、30日以内の再入院と強く関連していた(OR: 0.90; CI: 0.82-0.98)
正確な予測モデルは、歩行活動にADLを少し加えたものであった。
歩行の最低閾値は1日275歩以上歩くと、30日以内の再入院リスクは減少した。

<考察>
歩行活動は、ADLよりも再入院を強く予測した。
入院患者の活動をモニタリングすることは、ADLを評価することよりも、早期再入院に関する有益な情報を提供する。
今後の研究で、これらの結果を再現することが必要であり、入院後の活動をモニタリングすることで、さらに再入院リスクに関する理解が進むだろう。


・対象患者:市中から入院した65歳以上で、入院2週間前まで、補助具の有無に関わらず、室内移動可能であった。
足首に歩数計が着用できる。
疾患は、循環器疾患、呼吸器、感染症、胃腸、内分泌疾患。
筋骨格疾患、神経疾患は除外。
199人中、データをすべて収集できたのは164人。

・歩行活動の評価
病院での24時間の歩数を測定。
入院中の平均歩数を計算。
2軸の歩数計(StepWatch Activity Monitor)を使用。臥位での下肢運動はカウントされない。
入浴や検査のときのみ外せるが、それ以外は24時間装着。

・ADL機能
Katz ADL scaleを使用。ADL動作ごとの困難さや自立度のレベルを評価。
評価のタイミングは入院後48時間以内。
入院前2週間の状態に関しても同様に評価。

患者特性
再入院の方が、高齢、ADL低下、心疾患、呼吸器疾患が多い、平均歩数が少ない
在院日数は、4-6日


再入院の予測カットオフ
カットオフとして最も良さそうなのは、475歩か


2019/01/12

COPD患者の身体活動量の変化の予測

Determinants and outcomes of change in physical activity in COPD

ERJ Open Res. 2018 Jul; 4(3): 00054-2018.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6073048/


<背景>
身体活動量の変化を決定づけるものや身体活動促進のアウトカムについては明らかになっていない。
身体活動介入の無作為化試験の追加分析として、身体活動変化の予測因子の評価と身体活動の増加の効果について、COPD患者で測定した。


<結果>
身体活動はオムロンの万歩計のみ、もしくは万歩計+ウェブサイトでの目標設定、フィードバック、やる気や教育的なメッセージ、社会サポートを3ヵ月行うと、94人のCOPD患者で活動量が増加した。
再評価項目として、FEV1.0、6分間歩行距離、抑うつ、社会サポート、全身炎症マーカー(CRPとIL-6)も収集
データは、1日の歩数が増えた”反応群”と歩数が減少した”非反応群”に分けられた
直線回帰モデルで身体活動の変化の予測因子反応への影響を評価した。

反応群(n=62)、非反応群(n=32)。平均FEV1.0 1.89L(63%,predicted)。
ベースラインの歩数抑うつの診断社会サポート酸素療法季節は、歩数の変化を予測した。
反応群は、非反応群と比較して、身体活動量(2038歩/日)、FEV1.0(308mL)、6MWD(43.6m)が増加し、CRP(7.84mg/L)、IL-6(2.73ng/mL)は減少した


<まとめ>
抑うつの既往、社会サポート、酸素療法、季節は、身体活動の変化を予測し、ルーチンで運動カウンセリングの際には評価すべきである。
身体活動の増加は、肺機能、運動耐容能、全身炎症の改善と関連していた。

患者特性(ベースライン)
・平均年齢69歳、BMI28、FEV1.0 1.89L(61%)、6MWT388m、mMRC0-2が78%
・歩数は平均2689歩(反応群:2252歩、非反応群3833歩)

☆ベースラインの状態から、活動量の変化の予測
ベースラインの歩数が1000歩増える⇒423歩減少する
抑うつがある⇒865歩減少
酸素療法をしている⇒803歩減少

COPD増悪後、早期リハ介入は死亡率や入院日数を減少する

Lower mortality after early supervised pulmonary rehabilitation following COPD exacerbations: a systematic review and meta-analysis

BMC Pulmonary Medicine (2018) 18:154

https://bmcpulmmed.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12890-018-0718-1

<背景>
運動を含めた多元的なプログラムからなる監視下の呼吸リハは、COPD管理の重要なもののひとつである。
今回、COPD急性増悪で入院後から4週間以内に開始した早期リハの死亡率への影響についての、通常ケアや通常の増悪後のケアと比較したレビューとメタアナリシスを行った。
セカンダリーアウトカムは、入院日数、COPD関連の再入院、健康関連QOL、運動耐容能、ADL、転倒リスクや脱落数

<方法>
MEDLINE, EMBASE and Cocharne Libraryで無作為化比較試験を検索。

<結果>
13の無作為化試験(801人の患者)があった。
メタアナリシスでは、早期リハ後と長期間フォローアップしすると臨床的に同程度の死亡率が減少していた。
早期リハは、4.27日在院日数を減少させ、再入院も減少させる。
早期リハは、HRQOL、歩行距を改善させるが、ドロップアウト(脱落)には影響しなかった。
いくつかの研究では、無作為化やブランドに関しては、不明瞭なバイアスのリスクがあったため、アウトカムの強さは欠如している。

<考察>
COPD急性増悪で入院した患者に対して、早期リハ介入をすることは、死亡率、入院日数、再入院率を減少させる。
長期的な死亡率への影響に関しては、統計的な有意差は無かったが、HRQOL、運動耐容能の改善が12か月間維持されていた。
したがって、COPD関連の増悪入院において、早期から監視下での呼吸リハを行うことが死亡率を減少させるという中等度のエビデンスを示した。
呼吸リハは、入院中もしくは退院後4週間以内に開始することを推奨する。


治療終了時の死亡率の比較


2019/01/06

進行肺がん患者への身体活動介入の影響

Impact of physical activity on fatigue and quality of life in people with advanced lung cancer: a randomized controlled trial.

Ann Oncol (IF: 13.926) 2017 Aug 1;28(8):1889-1897.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28459989

<背景>
身体活動は、がんサバイバーの疲労感とQOLを改善させる。
目的は、2カ月の身体活動介入が、進行した肺がん患者の疲労感とQOLを改善させるかについて検討すること。

<方法>
参加者は、パフォーマンスステータス(PS)≦2の進行した肺がん患者で、6か月以上の余命があり、6分間歩行可能である。疾患のステージやPSで分類し、通常ケア(栄養と身体活動の教育指導)と介入群(通常ケアに加えて、毎週身体活動介入と行動変容セッションを行う)に無作為化された。
ベースライン、2,4,6カ月に評価を実施。
プライマリーエンドポイントは2か月の疲労感(Functional Assessment of Cancer Therapy-Fatigue (FACT-F)。6つのFACT-Fのサブスケールの変化を検討した。

<結果>
112人の患者が対象。通常ケア55人(49.5%)、介入群56人(50.4%)。
平均年齢64歳、106人(96%)非小細胞がん、106人stage4
2,4,6か月で、参加者の減少数は、グループ間で変わりなかった。
2,4,6か月での疲労感は、グループ間で変わりなかった。
QOL(症状、身体機能、生存)も明らかな違いは無かった。

<考察>
介入のアドヒアランスは良好であったが、介入グループは、対照グループと比較して、十分な身体活動の向上は得られず、同様に疲労感とQOLも変わりなかった。


・身体活動介入の内容
週8回の介入セッション
個別の運動や興味によって個別に運動を実施
目標は、週1時間以上、3METSの娯楽活動を増やすこと
加速度計と運動日誌を渡された

2019/01/03

がん生存者の疲労感軽減に対する運動の効果(高強度vs中等度-低強度)

Randomized controlled trial of the effects of high intensity and low-to-moderate intensity exercise on physical fitness and fatigue in cancer survivors: results of the Resistance and Endurance exercise After ChemoTherapy (REACT) study

BMC Med (IF: 9.088) 2015 Oct 29;13:275.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26515383

<背景>
国際的なガイドラインにて、全てのがん生存者の標準的ケアの一部として、運動療法は推奨されている。しかし、現在、運動強度については明らかになっていない。
したがって、今回の目的は、化学療法を含む最初のがん治療を完了したがん生存患者に対して、高強度(HI)と中等度から低強度(LMI)の抵抗運動と持久力運動について待機リスト群(WLC)と比較して、身体機能と疲労感に対する効果を評価した。

<方法>
277人のがん患者を無作為に12週間のHI(n = 91),、LMI(n = 95)、WLC(n = 91)に分けた。
介入は、運動の種類、期間、頻度は同じにし、強度のみ変えた。
評価は、ベースライン(初期治療後4-6週後)と介入後。
プライマリーアウトカムは最高酸素摂取量(peakVO2)、筋力(握力、30秒椅子立ち)、自己記入の疲労感 (Multidimensional Fatigue Inventory; MFI)。
セカンダリーアウトカムは、健康関連QOL、身体活動性、日常機能、身体組成、気分、睡眠障害。
多変量直線回帰分析にて、介入効果を検証。

<結果>
HIの71%、LMIの70%の患者は、運動セッションの80%以上に参加した。
HIとLMIは、WLCと比べてPeak VO2が大きく改善。
Peak VO2の改善は、HIの方がLMIよりも大きかったが、統計的な有意差は無かった(P = 0.08)
握力と30秒椅子立ちテストには有意な介入効果は無かった。
HIとLMIは、全身的また身体的な疲労感を著明に軽減し、活動時の疲労感(MFIのサブスケール)を軽減したが、運動強度による著明な違いは無かった。
WLCと比較して、HI後の全体的なQOLと不安が著明に改善し、HIとLMI後の身体機能の改善があり、LMI後の仕事への問題が少なかった。

<考察>
がん治療が終了した後の短期間ではあるが、高強度と中等度から低強度の運動は、安全で効果的であった。
運動強度とPeak VO2の関係については、高強度の方が優れているかもしれない。
HIとLMIは、全身的、身体的疲労感の軽減に同程度の効果があった。


・運動の内容
【筋トレ】
主動作筋をターゲットにして6種類の抵抗運動を10回2セット。
強度は、高強度は1RMの70%から開始し、12週間で1RMの85%まで徐々に増やした。
LMIは1RMの40%から開始し、1RMの55%までを目標に徐々に増やした。
4週間ごとにPTが筋力を測定し、運動負荷を調整した。

【持久力】
心肺機能の改善を目的として2種類の持久運動を実施
最初の4週間:自転車8分2セット。負荷はランプテストから最大運動耐用能から2つの負荷を交互に実施。
HIは、推定耐容能の65%負荷で30分と30%負荷で60分
LMIは、推定耐容能の45%負荷で30分と30%負荷で60分
5週目以降は、インターバルセッションを追加。
運動負荷はカルボーネンの予測心拍数(HRR)で設定。
HI=HRRの80%以上、LMI=HRRの40-50%

【理学療法士の介入】
運動の監視
モチベーションカウンセリングなどで運動制限を可能な限り除外し、活動的なライフスタイルを推奨。
患者は、週3回、1回30分の中等度強度の活動を行うよう運動指導した。
合わせて、自宅での管理された運動を週2回実施し、週3回がん生存者の身体活動ガイドラインに基づいて活動した。



2019/01/02

ガンの発生、進行、転移に対する運動の効果の機序(systematic review)

Efficacy and Mechanisms of Aerobic Exercise on Cancer Initiation, Progression, and Metastasis: A Critical Systematic Review of In Vivo Preclinical Data

Cancer Res; 76(14) July 15, 2016

http://cancerres.aacrjournals.org/content/76/14/4032.article-info

運動-腫瘍学の新たな分野の主な目的は、有酸素運動ががんの発生、進行、転移に対する効果や生理学的メカニズムを確立する事。

自己報告の運動と様々ながんの発生には強い相関がある。同じ用に、新たなデータは、がんと診断された後の運動は、胸部、大腸、前立腺の早期がんのアウトカムを改善させるかもしれないことを示唆した。

間違いなく、がんの管理の治療管理としての運動は次のステップへと発展しており、最適な量の検討や行動の機序の解明が求められている。

現在のエビデンスを評価するために、がんの予防と進行に対する運動の効果についてのシステマティックレビューを作成した。

評価内容は、腫瘍アウトカム(発生、進行、潜伏時間、転移)、反応性、行動メカニズムを評価した。

合計53の文献が該当。現在のエビデンスは、研究デザインやエンドポイント、効果についての方法が異質であり、悩まされた。

最後に、方法とデータの標準的な報告と高い質の研究を行うための方法のフレームワークを作成した。

比較対照試験が求められる。