2016/11/27

呼吸リハ後の生存率:運動耐容能とその変化の影響

survival after pulmonary rehabilitation in patients with COPD: impact of functional exercise capacity and its changes

 

International Journal of COPD 2016:11 2671–2679

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27822029

 

背景

6分間歩行距離(6MWD)の呼吸リハでの変化がCOPD患者の生存に影響するかは十分明らかになっていない。この研究ではCOPD患者の5年生存率をベースラインの6MWDと呼吸リハ後の6MWDの変化から求めた

 

 患者は12週間の外来呼吸リハに参加し5年間追跡を完了し生存を確認した。生存についてはベースラインの6MWD(6MWDi)とリハ後の6MWD(Δ6MWD)4つのグループに分けて分析したカプラン-マイヤーとログランク解析を使用Cox回帰モデルは死亡率の交絡因子を特定した

 

423人の患者が対象(平均%FEV1.0 43%年齢65歳6MWDi381m)生存率はグループ1からグループ4になるにつれて徐々に低下6MWDiが350m以上で、Δ6MWDが30m以上改善していると、生存と強く関係していた。グループ1と比べると死亡リスクはグループ2、3、4で増加していた。

 

6MWDが短く呼吸リハ後に30m以上の改善が少ないCOPD患者は5年後の生存率が悪いことと関係していた

 

・ベルギーの大学病院で外来呼吸リハを行っているCOPD患者が対象

6MWDで4グループに分けて検証(グループ1: 6MWDi≧350 m かつ Δ6MWD ≧30 m、グループ2:6MWDi ≧350 m かつ Δ6MWD <30 m、グループ3:6MWDi <350 m かつ Δ6MWD ≧30 m、グループ4:6MWDi <350 m かつ Δ6MWD <30 m).

6MWDi のカットオフを350mにしたのは、COPDの死亡との関連で感度特異度が最も良かったから、Δ6MWDの30mは、MIDで示されているから。

・評価項目は肺機能、漸増心肺負荷試験、6MWT筋力CRDQ併存症

・呼吸リハプログラムは、6か月のプログラムで前半3か月を強化プログラム後半3カ月はメンテナンスプログラムとした

・呼吸リハの反応性は前半3か月の変化を対象

・前半3か月は、週3回の高強度の有酸素運動と抵抗運動を上下肢に実施。その後の3か月は頻度を週2回にして継続するようにした

・ベースラインの特性で、3か月のリハを完了したものは、運動耐容能(6MWDm運動負荷試験)、筋力が異なっていた肺機能筋力、運動耐容能、QOLがベースラインで高いと6MWDも良好であった

・メンテナンスプログラムに移行した患者の割合は、グループ1と3が多かった。

・グループ1から4になるに従って、徐々に生存率が低下していた

・単変量解析にて、死亡の予測と関連していたのは、6MWDiと30m以上の変化その他の運動評価が強く影響していた

・多変量解析では、年齢、肺機能、最大酸素摂取量、筋力と運動負荷の変化、6MWDiΔ6MWDが死亡率と強く関係していた

 

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複合的な評価(BODE indexやADO index)と比べると、どっちが生存予測として優れているんだろうか。



2016/11/21

重症COPD患者が歩行中にNPPVを装着すると効果あるのか?

Noninvasive ventilation during walking in patients with severe COPD: a randomised cross-over trial

Eur Respir J 2007; 29: 930–936

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17331969

 

背景

 非侵襲的陽圧換気(NPPV)を重症COPDですでに長期間NPPVを使用している患者に対して、運動誘発性低酸素血症の是正や運動能力改善のために歩行中にNPPVが有効ではないかと仮設した

 20人のCOPD患者で、軽度の運動にて呼吸困難があり、26MWTを歩行器と酸素療法のどちらかを無作為に実施在宅で使用している制限NPPVの有り無しで実施

 動脈血酸素分圧はNPPVをしながら歩いた後に1.39±1.43kPaへ著明に増加したが、NPPVが無いと1.43±1.06まで低下NPPVと歩行した時に呼吸困難感(borg scale)は、6から4へ軽減し歩行距離は209mから252mへ増加

  慢性高二酸化炭素血症の患者において、高強度NPPVを安静時と同じ設定で用いて歩行することで、酸素化の改善、呼吸困難感の軽減、歩行距離の増加が得られた。したがって、NPPVを歩行中に使用することは歩行中の低酸素血症の予防になり、今後緩和ケアにおいて役割を果たすかもしれない。

 

・患者は、GOLD stage4で高二酸化炭素血症の安定期COPD患者を選択

NPPVは圧制限アシスト/コントロールモードを使用セッティングはPaCO2が最大レベルまで低下するように設定

・評価項目:肺機能6MWT(歩行器使用)Borg scale動脈血ガス(6MWT前後で採血)

・歩行器にNPPVを置いた状態で、NPPVとO2吸入を同時にするか、O2吸入のみかで、6MWTを実施連続した2日間の14時から16時の間で、NPPVを外して6時間以上時間を空けて実施。(下図)

・平均年齢65.1歳、BMI28.2%FEV1.0 27.0%

6MWT前後の血ガスでNPPV+O2の方がテスト後のPaO2が有意に高く(テスト前よりも改善)、呼吸困難感も軽減していたPaCO2に差は無かった

 

PaO2の比較。a)はO2吸入のみ  b)はNPPV+O2

 

歩行距離の比較

NPPVを付加したほうが長く歩けていた。

 

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以前から、NPPVを運動中に使う事には注目していたが、実際にできるレベルの患者が少ないことが多い。まず、導入で躓くと動くなんてもってのほかだし。

問題としては、運動時の換気増大に伴う設定と、動くときのマスクの固定。

写真は、鼻マスクのように見えるが固定でもしているのだろうか。。

これだけの結果が得られるなら大いに試す価値あると思う。



2016/11/15

COPD患者の握力と肺機能(%FEV1.0)の関係

hand grip strength is associated with forced expiratory volume in 1 second among subjects with COPD: report from a population-based cohort study

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5065095/

 

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2016; 11: 2527–2534.

 

 

背景

冠動脈疾患と骨格筋の機能障害はCOPDの共通した併存症である。握力は、全身の筋力と関連しており冠動脈疾患とすべての原因の死亡率と関連しているこの研究の目的はCOPDの有無に分けて握力を測定し、握力とCOPD重症度との関連と心疾患の影響を評価すること。

 

対象と方法

スウェーデン北部のCOPD研究のデータを使用COPDの有無や2005年からの年間の検討を収集2009-2010年に、441人のCOPDと570人の非COPDにインタビュー、肺機能、握力測定を実施。

 

結果

COPDと非COPDで握力は似ていたが、心疾患を合併している方が握力が弱かった。GOLDのグレードで比較すると男女ともGOLD3-4は非COPDよりも握力が弱い。

COPDにおいて、握力は%FEV1.0と関係していたが身長性別年齢喫煙歴を補正したとき心疾患とは関連無くこれは男女とも似ていた

 

結語

COPDでGOLD3-4の患者は非COPDよりも握力が弱かったCOPDにおいて握力は%FEV1.0と関連していたが、心疾患とは関係なくこれは男女ともに同じ傾向にあった。

 

・北部スウェーデンでCOPD993人と非COPD993人を対象に実施

・インタビューはmMRC喫煙習慣呼吸器疾患併存症を聴取

・握力測定は座位で肘90屈曲位にて実施。3行い最大値を採用。

・対象の平均年齢68歳前後現喫煙者は非COPDで20%程度COPDで40-60%

・握力は、女性平均が26男性平均は45

GOLDの重症度別に比較すると非COPDとgrade12は大差ないが、grade3,4は有意に低下

・男女ともCOPDに関わらず、心疾患があると握力が低下していた多変量回帰モデルでは握力は%FEV1.0と関連していた(p=0.02)

 

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握力以外の身体機能評価が無くて、握力が%FEV1.0と関連していたとのことだが、下肢筋力や6MWDの評価が加わると結果が違ってくるように思う。単純に握力が弱い=肺機能低下ではなくほかの要因が影響ありそうだが、果たして。



2016/11/13

呼吸リハを行った間質性肺炎患者の身体活動性とQOLの効果

Physical Activity and Quality of Life Improvements of Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis Completing a Pulmonary Rehabilitation Program

Respir Care. 2014 Dec;59(12):1872-9

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25185149

 

背景

呼吸リハはCOPD患者には効果的であるがIPF患者において特に身体活動性や健康関連QOLにおいて明らかではない。

 

目的

呼吸リハが、IPF患者の身体活動性(the International Physical Activity Questionnaire (IPAQ))QOL( the St George respiratory questionnaire for IPF (SGRQ-I) )症状( the Borg dyspnea index (BDI))が改善するかを検討すること。

 

方法

対象は、IPFと診断されている患者を無作為に3か月の呼吸リハ(n=11)とコントロール(n=10)に分類リハは、週2回90分の運動療法(計24回)を実施コントロールグループは通常通りの身体活動を維持した。全対象者に運動後のBDIを評価するための6MWTを実施

SGRQ-Iと5点満点の健康に関する自己評価をベースランと介入3か月フォローアップの3か月後に実施毎週IPAQを記録

 

結果

リハグループで3か月のリハプログラム期間を通して高い身体活動性を記録したSGRQ-Iの症状スコアはリハグループで-9±22点の改善し、コントロールグループは悪化していた。3か月のフォローアップ中リハグループの自己評価の身体活動レベルは14428METsでコントロールグループは16923METSであり、リハグループの活動とかなりの逆転が示された6MWT後のBDIスコアは大きな変化は無かった

 

結語

3か月のリハプログラムは症状と身体活動レベルを大きく改善させる

 

・リハプログラムは、教育、運動、筋力トレーニングを実施。

・教育内容:薬剤の使用呼吸法、運動、栄養、肺生理学心理的な対処方法コントロールグループには教育の内容を読めるようにした。

・運動療法:30分の持久力トレーニング20分の柔軟性の運動、25分の筋力トレーニング持久力トレーニングは20分のトレッドミルと10分の自転車エルゴ。負荷はHRmaxの70-80%

・運動中SpO2が88%以上維持できるように酸素療法を実施

・筋トレは上下肢の大きな筋肉をターゲットに実施。黄色のセラバンドから始めて、赤から緑へと段階的に負荷を増量

・自宅でもセラバンドの運動を週2回行うようにした

・対象:年齢70歳前後。6MWD350m程度。

・自己申告の身体活動性(IPAQ)の結果では、リハ期間は介入グループで高い身体活動を記録したが、介入後3か月間は低下していた

 

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間質性肺炎でもしっかりとしたプログラムを実施できれば活動性は上がるが、今回は、継続性については不明。

疾患に限らず、いかに継続して活動性を保てるかについて、これからのリハ職や医療者は考えないといけないのだろう。



2016/11/11

COPD患者のNPPV:高強度と低強度の設定どちらが良い?

High-intensity versus low-intensity non-invasive ventilation in patients with stable hypercapnic COPD: a randomised crossover trial

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20388753

Thorax 2010;65:303-308

 

背景

従来型の低強度で非侵襲的陽圧換気(NPPV)を実施し、安定期高CO2のCOPD患者への生理的硬効果と臨床的効果は限定的である

 

目的

高強度でNPPVを実施することが夜間低換気のコントロールにおいて低強度NPPVよりも優れているかを明らかにすること。

 

方法

無作為化クロスオーバー試験。高強度(平均IPAP28.6mbar)と低強度(平均IPAP14.6mbar)に分けて、6週間17人の安定期重症高CO2血症のCOPD患者に実施。

高強度はControlled Ventilation 低強度はAssisted Ventilation

 

結果

2人は拒否し、2人はドロップアウトしたため、13の患者が対象。高強度NPPVは平均治療効果が96ml.高強度NPPVの夜間PaCO2の治療効果は9.2mmHg. 日中NPPVの使用は低強度と比て高強度NPPVで改善していた(平均使用時間3.6時間/日)加えてベースラインと比較して高強度NPPVでのみ動作時息切れ日中PaCO2FEV1VC、the Severe Respiratory Insufficiency Questionnaire Summary Scoreが改善していた。

 

結語

高強度NPPVは重度高CO2血症COPD患者に許容でき、従来よりも良い結果をしめした。夜間低換気のコントロールにおいて低強度NPPVが広く使用されている高強度NPPVはこれらの患者の新たな治療オプションとなりえる。

 

・患者は無作為に高強度→低強度か低強度→高強度のどちらかに割り当てられた

・入院中にNPPV導入に成功したら退院し6週間自宅にてNPPVを使用

・次に、モードを変更し、再び6週間自宅にて実施

・評価は、肺機能、Pimax6MWTHRQOL酸素療法中の動脈血

NPPVは加温加湿器付きを使用IPAPを40mbarまで上がるように設定

・高強度NPPVはアシストコントロールモードを使用高強度NPPVはPaCO2が下がるような最大圧までIPAPを段階的に上げていく。

・低強度NPPVはプレッシャーサポートを使用し、IPAP14-16mbarバックアップの呼吸数は8回/分とした。

I:E比は1:2でセットしたが、患者の耐久性を見ながら修正していった。

・高強度NPPV:IPAP 28.6mbarEPAP 4.5mbar

・低強度NPPV:IPAP 14.6mbarEPAP 4.0mbar

・夜間PaCO2は高強度にしたほうがPaCO2の低下が大きい

 

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NPPVの設定の単位が見慣れない単位でどの程度の強度なのかイメージしにくい。とりあえず圧をしっかりかけたほうが、換気が保たれていたらしい。睡眠の質はどうなんだろうか。

NPPVの名称やモードや単位など会社によって違って、いつも混乱する。大人の事情がからむみたいだが、そろそろ統一してくれないだろうか。



2016/11/08

COPDで入院後の死亡率予測に身体活動性の評価が有用

Physical activity assessed in routine care predicts mortality after a COPD hospitalisation

ERJ Open Res 2016; 2: 00062-2015

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5005157/

 

 

 COPDで入院した後の身体不活動と死亡リスクの関係については明らかになっていない。

 大規模コホートのデータで後ろ向きに調査。患者は、2011年1月から2011年12月の間に入院していた患者を含む退院後12カ月の全原因死亡率をプライマリーアウトカムとした。身体活動性は中等度から活発に活動した時間(MVPA)とし入院に先立って外来患者にルーチンに評価した

 1727人(73%)の患者が不活動(MVPAが0分/週)412人(17%)は十分でない活動(MVPA:1-149分/週)231人(10%)は活動的(MVPA : 150分以上/週)だった。Cox回帰モデルでMVPAカテゴリー別に死亡リスクを評価

 2370人のうち、464人(20%)が死亡不活動の患者と比較して不十分な活動の患者は28%、活動的な患者は47%死亡リスクが低くCOPD関連入院では顕著に現れていた。

 MVPAのどのレベルもCOPD関連入院後の死亡リスクの低下と関連していた臨床において身体活動をルーチンに評価することで、COPD関連入院後の死亡リスクが高い患者を識別するだろう。

 

・対象は40以上で、入院12カ月前から吸入療法を行っており、健康プランに継続して参加している。身体活動のデータを持っている。

・身体活動性の計測:患者に2つの質問をした。

1:平均して週に何日中等度から活発な活動(早歩きのような)を行っていた

2:平均してこのレベルの運動を何分行っていたか。

・回答は、1.の質問には0-7日2.の質問には0-120分の10分刻み150分以上

・評価項目:年齢性別結婚歴人種経済状況教育歴世帯併存症入院日数喫煙歴

3440人をリクルート解析サンプルには2370人が対象

・活動性が高まると、死亡リスクは軽減。BMI<18.5はHR 2.14BMI>30はHR 0.49併存症3つ以上はHR 2.43

・死亡かフォロー終了までの時間も、活動性が低いと短い。

 

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ある程度の強度のある運動をしないと、活動性の改善にはなっていない。動くことだけでなく、動き方が重要なのかもしれない。

早歩き程度の運動を週に何回、合計何分してましたか?って聞かれてピンとくるものなんだろうか。。



2016/11/07

COPDで身体的併存症がある患者の身体活動レベル

Physical comorbidities affect physical activity in chronic obstructive pulmonary disease: A prospective cohort study

Respirology (2014) 19, 866–872

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24909412

 

背景

肥満、筋骨格系、神経疾患のような身体の併存症の存在するCOPDは多いが、これらの併存症が身体活動性に影響するかはあまり知られていない。

この研究の主な目的は、COPDと身体的併存症を持つ患者(COPD+PC)と併存症のないCOPD患者(COPD)と健常者の身体活動レベルを比較すること。

 

方法

各グループ25ずつが対象。加速度計(Sense wear pro3 Armband)を7日間装着した。

 

結果

低強度の身体活動(1.5-3.0METs)と中強度の身体活動(3.0-6.0METs)の身体活動がCOPD+PCグループではCOPDよりも非常に少なかった

午前6時から10時までの昼間にCOPD+PC患者はほとんど座って過ごしていたこれはCOPDや健常者グループよりも長かった

 

結語

COPD+PC患者は併存症のないCOPDや健常者よりも低い身体活動レベルであった。

 

・身体的な併存症の基準は、肥満:BMI≧32腰痛や下肢の疾患:1カ所以上の関節置換術可動域制限末梢血管疾患や神経疾患:脳卒中など。

・除外基準は、過去12カ月に呼吸リハを行っている、英語の読み書きができない。

・評価項目は、身体活動性、肺機能、息切れ(mMRC)、運動耐容能(6MWT)身体機能(Duke Activity Status Index (DASI))健康関連QOL(SGRQ)

・患者特性は、COPD+PCが最もBMIが高く歩行時に補助具を使用している割合が56%と最多

COPD+PC:mMRCが4.26MD189mSGRQ5点

・身体活動性とアウトカムの相関係数は、6MWDと歩数(0.71)COPDのみにおける3METs以上の活動時間と6MWD(0.46)その他は有意差なし

1日3METs以上の活動時間はCOPD+PCで25分COPDで104分健常者で114分

 

 

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COPDだけであればそれほど活動性は落ちていなかったという結果。

脳卒中なら片麻痺の程度にもよるし、歩行補助具を半分が使用しているという事で、COPDによる活動制限というよりも、併存症の状態による活動制限のような気もする。



2016/11/05

COPD患者の身体不活動と動脈硬化

Physical inactivity and arterial stiffness in COPD

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2015 Sep 10;10:1891-7.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26392763

 

背景

動脈硬化はベッドサイドの心血管リスクの重要な予測因子である。これまでの研究で、健常者と比べてCOPD患者に動脈硬化が多く、運動療法で動脈硬化が軽減できるとされてきた。COPD患者の身体不活動の程度と、運動療法が動脈効果を改善させることから、低い身体活動性が動脈硬化を増加させているのではないかと仮説を立てた

 

方法

COPD患者123名(72%男性平均年齢62歳平均%FEV1.0 35%)動脈硬化は脈波増大係数(augmentation index : AI)で評価日中身体活動レベル(PAL)は1週間以上活動度計(Sense wear pro)を装着して評価AIとPALの関連は単変量と多変量解析で、疾患特異的な特性と併存症を評価

 

結果

患者分布は、中等度35、重度32%最重症33%22%は現喫煙者PAL中央値は1.4平均AIが26%PALは年齢性別血圧気流閉塞と独立してAIと関連していた。

 

結語

COPD患者において、PALが高いほど動脈硬化に良好な影響あったので、心血管リスクを減少させるかもしれない。

 

・スイスのCOPDコホートで40-75歳を対象

・橈骨動脈に10種類の波動を流して、跳ね返りを測定。波動の跳ね返りが速いと、AIが高く動脈が硬化していると判断

PALと歩数を左上腕に装着した加速度計で計測7日間連続で装着しデータの妥当性を確保するために4日で最低22.5時間の装着時間とした。

PALは総消費エネルギー安静時代謝で割ったものとした。PAL1.70以上は活動的1.40-1.69は座りがち1.40未満は非常に不活動と判定

123人のCOPD患者のデータを解析AIは性別BMIPALと負の相関

・単変量解析にて、収縮期血圧、拡張期血圧、年齢はAIと正の相関

 

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相関係数はそれほど高くなさそうだが、座ったり、寝ている時間が長い患者は動脈硬化も進行しやすいという結果に。

冠動脈疾患とCOPDのリスクは似ているところが有ると思うので、COPD単独の影響ではなさそうな結果。併存症の程度による身体活動の影響は大きいのかな。