2016/11/21

重症COPD患者が歩行中にNPPVを装着すると効果あるのか?

Noninvasive ventilation during walking in patients with severe COPD: a randomised cross-over trial

Eur Respir J 2007; 29: 930–936

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17331969

 

背景

 非侵襲的陽圧換気(NPPV)を重症COPDですでに長期間NPPVを使用している患者に対して、運動誘発性低酸素血症の是正や運動能力改善のために歩行中にNPPVが有効ではないかと仮設した

 20人のCOPD患者で、軽度の運動にて呼吸困難があり、26MWTを歩行器と酸素療法のどちらかを無作為に実施在宅で使用している制限NPPVの有り無しで実施

 動脈血酸素分圧はNPPVをしながら歩いた後に1.39±1.43kPaへ著明に増加したが、NPPVが無いと1.43±1.06まで低下NPPVと歩行した時に呼吸困難感(borg scale)は、6から4へ軽減し歩行距離は209mから252mへ増加

  慢性高二酸化炭素血症の患者において、高強度NPPVを安静時と同じ設定で用いて歩行することで、酸素化の改善、呼吸困難感の軽減、歩行距離の増加が得られた。したがって、NPPVを歩行中に使用することは歩行中の低酸素血症の予防になり、今後緩和ケアにおいて役割を果たすかもしれない。

 

・患者は、GOLD stage4で高二酸化炭素血症の安定期COPD患者を選択

NPPVは圧制限アシスト/コントロールモードを使用セッティングはPaCO2が最大レベルまで低下するように設定

・評価項目:肺機能6MWT(歩行器使用)Borg scale動脈血ガス(6MWT前後で採血)

・歩行器にNPPVを置いた状態で、NPPVとO2吸入を同時にするか、O2吸入のみかで、6MWTを実施連続した2日間の14時から16時の間で、NPPVを外して6時間以上時間を空けて実施。(下図)

・平均年齢65.1歳、BMI28.2%FEV1.0 27.0%

6MWT前後の血ガスでNPPV+O2の方がテスト後のPaO2が有意に高く(テスト前よりも改善)、呼吸困難感も軽減していたPaCO2に差は無かった

 

PaO2の比較。a)はO2吸入のみ  b)はNPPV+O2

 

歩行距離の比較

NPPVを付加したほうが長く歩けていた。

 

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以前から、NPPVを運動中に使う事には注目していたが、実際にできるレベルの患者が少ないことが多い。まず、導入で躓くと動くなんてもってのほかだし。

問題としては、運動時の換気増大に伴う設定と、動くときのマスクの固定。

写真は、鼻マスクのように見えるが固定でもしているのだろうか。。

これだけの結果が得られるなら大いに試す価値あると思う。