Noninvasive ventilation during walking in patients with severe COPD: a randomised cross-over trial
Eur Respir J 2007; 29: 930–936
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17331969
背景
非侵襲的陽圧換気(NPPV)を重症COPDですでに長期間NPPVを使用している患者に対して、運動誘発性低酸素血症の是正や運動能力改善のために、歩行中にNPPVが有効ではないかと仮設した。
20人のCOPD患者で、軽度の運動にて呼吸困難があり、2回6MWTを歩行器と酸素療法のどちらかを無作為に実施。在宅で使用している圧制限NPPVの有り無しで実施。
動脈血酸素分圧はNPPVをしながら歩いた後に1.39±1.43kPaへ著明に増加したが、NPPVが無いと、1.43±1.06まで低下。NPPVと歩行した時に、呼吸困難感(borg scale)は、6から4へ軽減し、歩行距離は209mから252mへ増加。
慢性高二酸化炭素血症の患者において、高強度NPPVを安静時と同じ設定で用いて歩行することで、酸素化の改善、呼吸困難感の軽減、歩行距離の増加が得られた。したがって、NPPVを歩行中に使用することは、歩行中の低酸素血症の予防になり、今後、緩和ケアにおいて役割を果たすかもしれない。
・患者は、GOLD stage4で高二酸化炭素血症の安定期COPD患者を選択。
・NPPVは圧制限アシスト/コントロールモードを使用。セッティングは、PaCO2が最大レベルまで低下するように設定。
・評価項目:肺機能、6MWT(歩行器使用)、Borg scale、動脈血ガス(6MWT前後で採血)
・歩行器にNPPVを置いた状態で、NPPVとO2吸入を同時にするか、O2吸入のみかで、6MWTを実施。連続した2日間の14時から16時の間で、NPPVを外して6時間以上時間を空けて実施。(下図)
・平均年齢65.1歳、BMI28.2、%FEV1.0 27.0%、
・6MWT前後の血ガスで、NPPV+O2の方が、テスト後のPaO2が有意に高く(テスト前よりも改善)、呼吸困難感も軽減していた。PaCO2に差は無かった。
PaO2の比較。a)はO2吸入のみ b)はNPPV+O2
歩行距離の比較
NPPVを付加したほうが長く歩けていた。
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以前から、NPPVを運動中に使う事には注目していたが、実際にできるレベルの患者が少ないことが多い。まず、導入で躓くと動くなんてもってのほかだし。
問題としては、運動時の換気増大に伴う設定と、動くときのマスクの固定。
写真は、鼻マスクのように見えるが固定でもしているのだろうか。。
これだけの結果が得られるなら大いに試す価値あると思う。