Physical inactivity and arterial stiffness in COPD
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2015 Sep 10;10:1891-7.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26392763
背景
動脈硬化はベッドサイドの心血管リスクの重要な予測因子である。これまでの研究で、健常者と比べてCOPD患者に動脈硬化が多く、運動療法で動脈硬化が軽減できるとされてきた。COPD患者の身体不活動の程度と、運動療法が動脈効果を改善させることから、低い身体活動性が動脈硬化を増加させているのではないかと仮説を立てた。
方法
COPD患者123名(72%男性、平均年齢62歳、平均%FEV1.0 35%)。動脈硬化は、脈波増大係数(augmentation index : AI)で評価。日中身体活動レベル(PAL)は1週間以上活動度計(Sense wear pro)を装着して評価。AIとPALの関連は単変量と多変量解析で、疾患特異的な特性と併存症を評価。
結果
患者分布は、中等度35%、重度32%、最重症33%。22%は現喫煙者。PAL中央値は1.4、平均AIが26%。PALは年齢、性別、血圧、気流閉塞と独立してAIと関連していた。
結語
COPD患者において、PALが高いほど動脈硬化に良好な影響があったので、心血管リスクを減少させるかもしれない。
・スイスのCOPDコホートで40-75歳を対象
・橈骨動脈に10種類の波動を流して、跳ね返りを測定。波動の跳ね返りが速いと、AIが高く、動脈が硬化していると判断。
・PALと歩数を左上腕に装着した加速度計で計測。7日間連続で装着し、データの妥当性を確保するために、4日で最低22.5時間の装着時間とした。
・PALは総消費エネルギーを安静時代謝で割ったものとした。PAL1.70以上は活動的、1.40-1.69は座りがち、1.40未満は非常に不活動と判定
・123人のCOPD患者のデータを解析。AIは性別、BMI、PALと負の相関
・単変量解析にて、収縮期血圧、拡張期血圧、年齢はAIと正の相関
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相関係数はそれほど高くなさそうだが、座ったり、寝ている時間が長い患者は動脈硬化も進行しやすいという結果に。
冠動脈疾患とCOPDのリスクは似ているところが有ると思うので、COPD単独の影響ではなさそうな結果。併存症の程度による身体活動の影響は大きいのかな。