2017/09/29

運動後の脈拍の回復時間が運動療法で短縮した

Cardiopulmonary Rehabilitation Enhances Heart Rate Recovery in Patients With COPD

2012 Dec;57(12):2095-103

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22710548

<背景>
自律神経の機能障害は、COPDの進行を早め、アウトカムの悪化と関連している。心拍数の回復は、簡単で妥当な自律神経の指標である。COPD患者の自律神経の機能障害の回復に運動療法は効果的であるかを検討した。

<方法>
45人の安定期COPD患者を対象に、36回の運動療法を中心としたリハビリテーションを実施。最大運動負荷試験をベースラインとリハプログラム終了後に実施。安静時、運動中、運動後の心拍数を記録。心拍数の回復は、最大運動時の心拍数と終了後1分の心拍数で計算。

<結果>
39人がプログラムを完了。心拍数の回復は16.2 ±8.0beats/minから18.4 ±8.4 beats/minへ改善(p=.01)。
安静時心拍数は、88.0 ±10.7 beats/minから83.3± 10.5 beats/minへ減少(p=.04)。
有酸素運動時の最大心拍数は109.0 ±12.5 beats/minから105.5 ±11.7 beats/minへ減少(p=.04)。
酸素摂取量は、9.7±2.4 mL/kg/minから10.4 2.6 mL/kg/minへ改善。VO2/tスロープは、–0.32 ±0.16 mL/kg/min2 から –0.38± 0.19 mL/kg/min2へ上昇。
換気の指標も同様に改善していた。

<結論>
運動療法は、心拍数の回復を改善し、控えめながら、自律神経系の機能障害は改善した。運動耐容能とVO2/tスロープで示した筋肉の酸化能も改善した。

・ジゴキシン、βブロッカー、カルシウム拮抗薬などを投薬されている患者は除外
・運動能力は、自転車エルゴで症候限界運動負荷試験を実施
・50回転を30秒維持できた負荷を最大負荷として採用

・筋の酸素化能は、回復時間の最初の1分で酸素摂取量(VO2)が減少したところを指標とした(VO2/t-slope)
・脈拍数は、最後の10秒間の平均を最大心拍数として採用。
・心拍数の回復は、最大脈拍と運動終了後1分の脈拍の差を用いた。安静時からATまでの心拍の変化は、AT時の心拍数-安静時心拍数で算出。

・運動の内容は、週3回を12週間(36セッション)実施。負荷は、最大負荷の60%で時間は30分。負荷量は徐々に増大。最後の4週は最大負荷の80%。

・平均年齢66.3歳、BMI27.1、%FEV1.0 45.7%、%FVC 78.3%
リハ前後での心拍数の回復
リハ後の方が、回復幅が大きい

運動介入をすると、安静時の脈拍や無酸素性閾値の脈拍が有意に減少。
VO2/t スロープは、リハ後の方が大きい。
つまり、運動後1分間の、最大酸素摂取量は増大している。
・VO2/tスロープは、酸素負債を意味しており、筋機能が改善したことによって改善した。筋機能の改善は、自律神経にも影響している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
運動によって、自律神経系の調整がとれることで心拍数も低くなった。
ということは、1回拍出量が増えたのかな?

運動療法により、酸素摂取量が増大しており、筋の酸素消費量が抑えられていたとすれば、酸素負債は、筋の酸素消費量が影響しているということ?

2017/09/25

IPF急性増悪の予測因子:冠動脈疾患、GAP stage、好酸球

Risk factors for an acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis

Respiratory Research (2016) 17:79

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4940941/

<背景>
特発性肺線維症(IPF)の急性増悪は、罹患率や死亡率に最も影響する原因である。しかし、急性増悪は、いまだに予測できない。この研究の目的は、IPFの急性増悪のリスクファクターを検討すること。

<方法>
後方視的にIPF患者を収集。急性増悪の診断は、ATS/ERS/JRS/ALATによるの2011年のステートメントを基に行った。

<結果>
65人が対象。フォロー期間は中央値2-6年。フォロー中、24人(36.9%)が急性増悪を経験。カプラン-マイヤー曲線で、急性増悪の罹患率を調べると、1年後9.6%、2年後19.2%、3年後31.0%であった。急性増悪は、生存率にも影響していた。log-rankテスト
では、ベースラインで冠動脈疾患、GAP index≧3、血清乳酸脱水素酵素≧180U/ml、血清サーファクタントプロテインD≧194.7ng/ml、気管支肺胞洗浄のサンプルで好中球≧1.77%、好酸球≧3.21%、免疫抑制剤の使用は、増悪と関連していた。Cox解析で、免疫抑制剤の治療の有無で補正すると、ベースラインの冠動脈疾患、GAP stage≧2、好酸球≧3.21%、が、IPFの急性増悪を予測した。

<結論>
ベースラインの冠動脈疾患、高いGATstage、高い好酸球の割合は、IPFの急性増悪の発生と関連していた。


・長崎大学と産業医科大学で行われたスタディ
・急性増悪の定義は、1)IPFと診断されている、2)30日以内で呼吸困難の悪化、3)HRCTで新たなすりガラス影の出現、4)感染、肺塞栓、気胸、心不全が否定される。

・年齢は、中央値69歳。13人は非喫煙者、42人は元喫煙者、10人は現喫煙者。生存年数は、最初に診察してから中央値で4.5年。
・ベースラインの%VCは増悪群で69.2%、非増悪群で81.0%(有意差なし)。%TLCは増悪群66.1%、非増悪群75.9%(有意差あり)

増悪を起こすまでの年数。5年以内に約半数が増悪している。


急性増悪をおこせば、生存率は極端に下がる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
感染予防策を徹底することくらいしか対策は無いかも。
これだけだと、リハでできることが全然ないことになる。
これに身体機能を加えるとどんな結果になるだろうか。

2017/09/22

フレイルは90日以内の再入院を予測する

Frailty is a predictive factor of readmission within 90 days of hospitalization for acute exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease: a longitudinal study

2017 Oct;11(10):383-392.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28849736


<背景>
再入院は、COPD急性増悪後の患者に多く見られる。フレイルはCOPD患者の再入院の予測因子であるが、多面的にフレイルを評価してCOPD患者のリスクを階層的に検証したものはない。

<目的>
入院後90日以内の新たな増悪による入院患者のリスクファクターとして多面的にフレイルを検証することと、フレイルが再入院リスクの高い患者を同定できるかを検証すること。
中等症から重症のフレイル患者は、再入院リスクが高いと予想。
第二の目的は、フレイルが、再入院リスクが高い患者を正確に見つけるかを検討すること。

<方法>
フレイル、患者背景、疾患関連因子は、急性増悪で入院中のCOPD患者102人が対象。ベースラインのデータは、これまでの研究と同様の結果であった。再入院データは、電カルから収集。フレイルと再入院の関係は、二変量解析と多重ロジスティック回帰モデルで検討。再入院リスクが高い患者でフレイルかどうかは、ROC曲線のAUCで評価。


<結果>
重症のフレイル患者は、フレイルの無い患者よりも再入院が多かった(45% vs 18%。年齢、疾患関連因子を補正した多変量モデルの最終レベルでは、重症フレイルは独立した90日以内の再入院リスクであった。年齢と過去1年間の増悪入院の回数、入院日数はも同様に関連していた。加えて、フレイルはAUCが増大し再入院の予測がされた。

<結論>
多面的なフレイルは、急性増悪で入院しているCOPD患者の早期再入院を予測した。フレイルは、再入院リスクが高い患者を正確に予測する。フレイルの患者に対して集中的に介入することが、再入院率を減少させるかもしれない。

・スペインの病院で1年間調査。
・認知機能低下(MMSE<20)、ターミナル期。
・すべての患者は、傾向ステロイドを最低7日間投与され、ネブライザーで気管支拡張薬を吸入している。抗生剤は、増悪と判断されたときに投与。

・フレイルの測定は、入院後48-96時間以内にthe Reported Edmonton Frail Scale(REFS)で測定。http://www.albertahealthservices.ca/assets/about/scn/ahs-scn-bjh-hf-frail-scale.pdf
・REFSは0-18点で点数をつけ、高得点ほど重症のフレイルと判断。
0-7点:フレイル無し、8-9点:軽症、10-11点:中等症、12-18点重症

・新たな増悪での30-90日以内の再入院した患者を選択(0-29日までは増悪から完全に回復していないとして除外)。
ベースライン特性。
中等度から重度のフレイル患者は、過去1年の入院回数が多く、併存症が多く、mMRCが高い。

再入院の有無で比較。
・102人中32人が90日以内に再入院した。再入院した患者は、高齢、非喫煙者、昨年の入院回数が多い、NPPVが必要、併存症が多い、mMRCが高い、ADL介助。


再入院したグループのフレイル重症度。重症が圧倒的に多い。


多重ロジスティック分析。再入院を予測する因子。
・重症のフレイルがあると再入院が7.2倍(フレイルのみで解析)
・その他の要因を含めて解析すると(Final model)、重症のフレイルは5.19倍、昨年の入院回数は4.44倍。
⇒フレイルは再入院を予測する独立した要因である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
フレイル状態だと身体活動量も低そう。身体活動量も含めると、フレイルとどちらの方が関連が強いのか気になる。
喫煙者の方が再入院が少なかったという結果は意外。

2017/09/18

誤嚥性肺炎患者と市中肺炎患者の特性の違い

Comparison of clinical characteristics and outcomes between aspiration pneumonia and community-acquired pneumonia in patients with chronic obstructive pulmonary disease

BMC Pulmonary Medicine (2015) 15:69

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26152178

<背景>
COPD患者は、年齢や多数の併存症などによって、嚥下障害がよくあり、誤嚥性肺炎につながる。COPD患者は、市中肺炎のリスクも高い。目的は、日本の入院患者データベースを用いて、COPD患者において誤嚥性肺炎と市中肺炎の臨床的特性の違いを比較することと、入院中の死亡に影響する要因を見つけること。

<方法>
2010年から2013年の間に日本の1165の病院に誤嚥性肺炎もしくは市中肺炎で入院した40歳以上のCOPD患者を後方視的に収集した。多重ロジスティック回帰分析で全ての原因の死亡に影響する因子を検討した。

<結果>
87330人が対象。誤嚥性肺炎患者は、市中肺炎患者よりも高齢、男性、全身状態不良、重症の肺炎であった。誤嚥性肺炎で病院で死亡した患者は22.7%、市中肺炎は12.2%
患者背景を補正して、誤嚥性肺炎患者は、市中肺炎患者よりも死亡率が高かった(補正オッズ比1.19)。
サブグループ解析にて、死亡リスクの高さと関連していたのは、男性、低体重、呼吸困難感、身体不活動、肺炎の重症度、いくつかの併存症。
更に、市中肺炎患者では、高齢、意識レベルの低下が高い死亡率と関連。一方の誤嚥性肺炎では関係していなかった。

<結論>
誤嚥性肺炎と市中肺炎では臨床的特性が異なっていた。誤嚥性肺炎患者は市中肺炎患者よりも死亡率が高かった。


・評価項目
息切れ:Hugh-Jones、意識レベル:JCS、ADL:Bathel index、肺炎の重症度:A-DROPスコア
・A-DROPスコア:日本呼吸器学会が作成した肺炎重症度スコアリングシステム。軽症0、中等症1-2、重症3、最重症4-5
詳細はhttp://asunorinsho.aichi-hkn.jp/wp-content/uploads/2015/08/2007_1901_061.pdf
・臨床的アウトカム:全死亡原因による死亡率、ICU在室日数、人工呼吸管理の必要、人工呼吸管理日数、人工呼吸管理を行った患者の死亡率

・誤嚥性肺炎のBMIは18.5。息切れが強い、意識レベル低下、Bathel indexが低いのも特徴。
・誤嚥性肺炎は、ICU在室日数、人工呼吸管理日数のいずれも長い。人工呼吸管理をして死亡した患者は、誤嚥性肺炎の51.8%。市中肺炎は41.4%)

-----------------------------
誤嚥性肺炎は高齢になってくるほど、回復が難しいし、ICUに在室している間や治療中に、経口摂取が難しい状態だったとすれば、なお難しくなる。
日ごろからの健康管理で予防していくことが求められる。

低体重は重症の肺炎や長期予後不良と関連していることが既に報告されている。COPDでは誤嚥性肺炎が短期予後の不良と独立して関連していることが言われている。(考察より)


2017/09/15

脳卒中後の患者に呼吸筋トレーニングをして咳流速が速くなるか。

Does Respiratory Muscle Training Improve Cough Flow in Acute Stroke? Pilot Randomized Controlled Trial

Stroke. 2015 Feb;46(2):447-53.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25503549

<背景>
咳は誤嚥を予防する。今回、呼吸筋トレーニングが、呼吸筋力や咳の機能を向上させ、急性期脳卒中患者の肺炎を減少させることができるのではないかどうかを検討した。

<方法>
単盲検無作為化試験で実施。受傷から2週間以内の82人の脳卒中患者が対象(平均年齢64歳)。参加者は治療グループか参加者かの分類はマスクし、呼気筋トレーニング(27人)、吸気トレーニング(26人)、シャムトレーニング(25人)に分け、4週間実施。
プライマリーアウトカムは自立での最大咳流速の変化量。ITT解析でANCOVAを使用し、ベースラインの補正をした。

<結果>
平均最大吸気圧(+14 cmH2O)と呼気圧(+15 cmH2O)、最大咳流量(+74 L/min)が、ベースラインと28日後を比べて著明に改善。カプサイシンを付加した最大咳流量は、変わらなかった。呼吸筋トレーニングと対照グループで、違いは無かった。
グループ間で90日以内の肺炎の発生も違いが無かった。

<結論>
呼吸筋機能と咳流速は、急性脳卒中後に改善した。
呼吸筋トレーニングは、これらの改善には関与しなかった。


・呼吸筋トレーニングはThreshold IMT; Threshold PEPを使用し、4週間実施。10回の呼吸を5セット、間に1分間の休みをはさみながら実施。負荷量は最大吸気・呼気圧の50%。毎週呼吸筋力を測定し、負荷の設定を調整。
シャムトレーニングは、呼吸筋力の10%で実施。
・日誌に、トレーニングの記録や日々の状態などを記入し毎週トレーニング時に見せた。

・咳流速は、ニューモタコグラフ(呼吸流量計)で測定。
自発の咳流速はマスクを密着させて測定。
反射の咳は、カプサイシンを含んだ液体をネブライザーで吸入し咳を誘発。


ベースラインの咳流速(自発)は、470L/min前後。咳流速(反射)は300L/min前後。

これまでの研究結果。
PImaxは1本だけ咳流速が増加したと報告があるが、
ほとんど有意な改善が無かったという結果になっている。

ーーーーーーーーーーー
咳流速には、呼吸筋力はそれほど関連していないのかもしれない。
ベースラインで400L/min以上あるので、改善の余地が少なかった?