2017/09/22

フレイルは90日以内の再入院を予測する

Frailty is a predictive factor of readmission within 90 days of hospitalization for acute exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease: a longitudinal study

2017 Oct;11(10):383-392.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28849736


<背景>
再入院は、COPD急性増悪後の患者に多く見られる。フレイルはCOPD患者の再入院の予測因子であるが、多面的にフレイルを評価してCOPD患者のリスクを階層的に検証したものはない。

<目的>
入院後90日以内の新たな増悪による入院患者のリスクファクターとして多面的にフレイルを検証することと、フレイルが再入院リスクの高い患者を同定できるかを検証すること。
中等症から重症のフレイル患者は、再入院リスクが高いと予想。
第二の目的は、フレイルが、再入院リスクが高い患者を正確に見つけるかを検討すること。

<方法>
フレイル、患者背景、疾患関連因子は、急性増悪で入院中のCOPD患者102人が対象。ベースラインのデータは、これまでの研究と同様の結果であった。再入院データは、電カルから収集。フレイルと再入院の関係は、二変量解析と多重ロジスティック回帰モデルで検討。再入院リスクが高い患者でフレイルかどうかは、ROC曲線のAUCで評価。


<結果>
重症のフレイル患者は、フレイルの無い患者よりも再入院が多かった(45% vs 18%。年齢、疾患関連因子を補正した多変量モデルの最終レベルでは、重症フレイルは独立した90日以内の再入院リスクであった。年齢と過去1年間の増悪入院の回数、入院日数はも同様に関連していた。加えて、フレイルはAUCが増大し再入院の予測がされた。

<結論>
多面的なフレイルは、急性増悪で入院しているCOPD患者の早期再入院を予測した。フレイルは、再入院リスクが高い患者を正確に予測する。フレイルの患者に対して集中的に介入することが、再入院率を減少させるかもしれない。

・スペインの病院で1年間調査。
・認知機能低下(MMSE<20)、ターミナル期。
・すべての患者は、傾向ステロイドを最低7日間投与され、ネブライザーで気管支拡張薬を吸入している。抗生剤は、増悪と判断されたときに投与。

・フレイルの測定は、入院後48-96時間以内にthe Reported Edmonton Frail Scale(REFS)で測定。http://www.albertahealthservices.ca/assets/about/scn/ahs-scn-bjh-hf-frail-scale.pdf
・REFSは0-18点で点数をつけ、高得点ほど重症のフレイルと判断。
0-7点:フレイル無し、8-9点:軽症、10-11点:中等症、12-18点重症

・新たな増悪での30-90日以内の再入院した患者を選択(0-29日までは増悪から完全に回復していないとして除外)。
ベースライン特性。
中等度から重度のフレイル患者は、過去1年の入院回数が多く、併存症が多く、mMRCが高い。

再入院の有無で比較。
・102人中32人が90日以内に再入院した。再入院した患者は、高齢、非喫煙者、昨年の入院回数が多い、NPPVが必要、併存症が多い、mMRCが高い、ADL介助。


再入院したグループのフレイル重症度。重症が圧倒的に多い。


多重ロジスティック分析。再入院を予測する因子。
・重症のフレイルがあると再入院が7.2倍(フレイルのみで解析)
・その他の要因を含めて解析すると(Final model)、重症のフレイルは5.19倍、昨年の入院回数は4.44倍。
⇒フレイルは再入院を予測する独立した要因である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
フレイル状態だと身体活動量も低そう。身体活動量も含めると、フレイルとどちらの方が関連が強いのか気になる。
喫煙者の方が再入院が少なかったという結果は意外。