2019/11/23

ICUでのアクティブモビライゼーションの効果systematic review

The effects of active mobilisation and rehabilitation in ICU on mortality and function: a systematic review

Intensive Care Med (2017) 43:171–183

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27864615

<背景>
ICUにおける早期アクティブモビライゼーションとリハビリは重症患者の長期的な機能低下を防ぐ。
このレビューは、ICUでのモビライゼーションが死亡率、身体機能、活動性、筋力、QOL、退院後180日の生存率、在院日数、人工呼吸期間、退院先への影響について検証した。

<方法>
PRISMAチェックリストにそってシステマティックレビューとRCTのメタアナリシスを行った。

<結果>
14の研究が質を満たしており、1753人が対象。
モビライゼーションは、短期・長期的な予後へ影響していなかった。
メタアナリシスでは、ICU退室時のMRCーSUMスコアで評価した筋力が改善。
退院時補助具なしでの歩行ができていた(OR2.13)。
退院後180日の良好な生存率。
身体機能、QOL、在院日数、人工呼吸期間、退院先への影響はなかった。

<考察>
ICUでのモビライゼーションは死亡率へ影響ていなかったが、活動状態、筋力、退院後180日の生存率は改善するかもしれない。

2019/11/07

肺がん化学療法中の呼吸リハの効果

Pulmonary Rehabilitation in Advanced Lung Cancer Patients During Chemotherapy

Adv Exp Med Biol (IF: 2.126) 2015;861:57-64.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26017725

<背景>
目的は、肺がんで化学療法中の患者に対する呼吸リハビリが、運動耐容能、息切れ、QOLを改善するかを検討すること。

<方法>
20人の患者が対象。パフォーマンスステータス(PS)0-2
12人が無作為に呼吸リハを実施し、8人は身体的リハビリを行わない対照群に割り付けられた。
どちらの患者も科学療法を実施。データはリハビリの前と8週間後に解析。
入院リハビリプログラムは、スキーストックを使用した運動療法と呼吸筋トレーニングを実施。

<結果>
活動性は改善傾向を示し(6MWD:527.3 ± 107.4 vs. 563.9 ±64.6 m; p > 0.05)、%FEV1.0(66.9 ± 13.2 vs. 78.4 ± 17.7 %predicted; p = 0.016)、息切れは著明に改善。
包括的QOL評価は改善傾向を示した。

<考察>
進行した肺がん患者で化学療法中の患者に呼吸リハを実施することは、息切れやQOL、活動性の改善があることを示唆した。

・2週間のリハサイクル(化学療法に合わせて)を4回実施。
最初の6MWDの結果によって2グループに分けた
・グループA:6MWD>200m
ノルディックウォーキングを使用した運動。1日1回、45分を最低週5日実施。
最大心拍数(220-年齢)の70%を目標、運動中SpO2>88%、息切れmMRC<3
有酸素運動と呼吸練習を1日1回30分、週5回
・グループB:6MWD<200m
呼吸筋トレーニングと上下肢筋力トレーニング

非結核性抗酸菌症に対する胸部理学療法の効果

Effects of Chest Physical Therapy in Patients with Non-Tuberculous Mycobacteria

Int J Respir Pulm Med. 2017;4(1). pii: 065.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28804763

<背景>
非結核性抗酸菌症(NTM)に対する抗菌薬治療は遷延し、毒性(toxicity)と関連している。
胸部理学療法が、抗菌薬治療を行っていないNTM患者の状態を改善することと関連しているかどうかを評価した。

<方法>
後方視的研究。77人が2006年から2014年にフォローされた。ベースラインは最初の喀痰培養陽性となった時点とした。症状、肺機能、放射線レポートを検討。
参加者は、24ヵ月以上フォローされ、指定された時点で結果の解析を行った。

<結果>
参加者の半分がベースラインで胸部理学療法を実施した。参加者全体において、咳は、抗菌薬治療を行っていないにもかかわらず、ベースラインと比較して、12ヵ月(p = 0.001)と24ヵ月時点 (p = 0.003)で改善していた。
呼吸リハを行った患者は、6ヶ月(p = 0.01)、9ヵ月(p = 0.02)、12か月(p = 0.02)、24か月 (p = 0.002)で減少していた。
参加者全体において、喀痰は、24ヵ月時点(p = 0.01)で改善していた。
呼吸リハを行った患者において、全肺気量が上昇していた (p = 0.005).

<考察>
遷延した抗菌薬治療を行っていないNTM患者において、呼吸リハは臨床的な改善を示した。今後、非薬物治療の状況でのアウトカムの前向き研究や抗菌薬開始を決める手段となるかについての検討が求められる。

・対象:21歳以上、少なくとも1回喀痰培養検査にて抗酸菌陽性がある。
・除外基準:喀痰培養にて抗酸菌が陰性、妊娠中、抗菌薬治療を研究期間中に行っている。
・胸部理学療法は、Flutter®, Acapella®, Vest®を治療者の裁量にて実施(排痰のみ!?)。



排痰についてアプローチしているが、介入しない方と比べて大きな違いは無い?
(フラッターやアカペラってエビデンスある?)

2019/11/02

肺葉切除後の肺合併症の発生、リスク因子の検討

Risk factors and short-term outcomes of postoperative pulmonary complications after VATS lobectomy

J Cardiothorac Surg (IF: 1.47) 2018 Apr 12;13(1):28.


<背景>
術後肺合併症(PPCs)は、胸腔鏡での肺切除の悪いアウトカムと関連している。
VATSでの肺葉切除は現在最もよく行われている開胸術に代わる術式である。しかし、PPCs発生のリスク因子は依然としてある。
VATS肺葉切除後のPPCs関連の短期間のアウトカムについてはあまり知られておらず、いくつかのリスク要因によってPPCsを予防できるかもしれない。

<方法>
VATSにて肺葉切除を行った患者を4年間収集。再手術や肺感染症によるVATSは除く。
全患者は理学療法を必要であれば術後1日目から実施。
PPCsはMelbourne Group Scaleで判断。
アウトカムは入院日数、集中治療在室日数、病院での死亡率。

<結果>
285人が研究に参加。137人は男性。中央値年齢69歳、平均%FEV1.0 87%.
PPCsが発生した患者は、21人(7.4%)で、入院日数(4 vs. 3 days)、集中治療室入室が多く(23.8% vs. 0.5%) 、病院での死亡率が高かった(14.3% vs. 0%) 。
PPCになった患者は、より多くの理学療法時間を要し、救急コール、特異的な呼吸療法が必要であった。
現喫煙者とCOPDは単変量解析にてPPCの発生と関連していた。
しかし、現喫煙のみが多変量解析にて独立した予測因子であった。

<考察>
VATS肺葉切除を行った患者は、PPC発生リスクを持っており、これは理学療法が多く必要で、入院日数が長い事と関連していた。
現喫煙は術後のPPCの合併症を引き起こす唯一の予測因子であった。
このように、術前から禁煙をすることが、緊急に必要である。


術後1日目に離床。全患者に対して、評価を実施。

肺合併症が発生するまでの時間
術後3日目ごろまでがピーク

肺合併症を起こした患者の術前の状態

術後初回の離床が出来なかった要因
多いのは低血圧。続いて痛みなど。、

COPD急性増悪後のリハビリの効果

Efficiency and safety of pulmonary rehabilitation in acute exacerbation of chronic obstructive
pulmonary disease.

Med Sci Monit. 2015 Mar 18;21:806-12.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25783889

<背景>
COPD患者の呼吸リハは息切れ、運動耐容能、健康関連QOLを改善させる。
しかし、中国での呼吸リハ実施は稀である。
COPD急性増悪後の呼吸リハの効果と安全性について評価した。


<方法>
COPD急性増悪で入院した患者を無作為に呼吸リハと通常ケアに分けた。
呼吸リハの内容は、入院中1日2回、退院まで実施
リハ前後の6分間歩行、CAT、CRQ−SAS、ADL−Dスコアを評価。
呼吸困難感をBorgScaleで期間中評価した。

<結果>
101人の患者が参加。94人が介入完了。(呼吸リハ66人、通常ケア28人)
呼吸リハ群で6MWD、安静時SpO2、運動時Borgが著明に改善。
健康関連QOL、CATスコア、ADLスコア、BODE indexも改善。
運動中の有害事象は報告されなかった。

<考察>
今回の研究では、COPD急性増悪患者に対する早期呼吸リハ介入は、安全で有効な手段であることを示した。

市中肺炎で入院した患者の入院中の歩数とフレイルの影響

Reduced Step Count and Clinical Frailty in Hospitalized Adults With Community-Acquired Pneumonia.

 2019 Oct 1. pii: respcare.06992.


<背景>市中肺炎(CAP)で入院した高齢者において、施設での歩行量の増加は入院期間を減少させるかもしれない。


https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31575707

いくつかのデータで、これらの患者における歩行について述べられている
CAPで入院した高齢者において、歩行時間と歩行していない時間を調査し、患者背景や臨床データが歩数に影響するか、入院期間に影響するかを調査することを目的とした。

<方法>
入院期間中の歩数と歩行時間をStepWatchActivity monitorを用いて計測。
患者背景の詳細、臨床データ、治療、入院期間は電子カルテから収集。
フレイルは7点のClinical Frailty Scaleで計算。疾患重症度はCURB−65スコアを利用。
退院後30日での医療機関使用については電話インタビューを実施。

<結果>
200人が研究に参加。このうち24時間以上活動量計を測定できたのは121人。
歩数の中央値は926歩(457−1706)。
時間は1日66分以上、通常の活動時間は3分、1分間の最大歩数は56歩。
歩行時間の平均93%は歩行していない時間であった(An average of 93% (89–96) of waking hours was spent in non-walking time.)
多変量モデルにて、フレイルは、歩数が少ないことの予測因子であった。(RR0.59)
1日の歩数が500歩増えると入院期間が11%減少した。

<考察>
CAPで入院した患者はあまり歩いておらず、ほとんどは低強度で短時間の歩行であった。
軽症フレイルと比較すると、中等度から重度のフレイルがあると歩数が59%減少してい。
歩数が多いと、入院期間がより短かった。