2019/02/26

非小細胞肺がん(NSCLC)患者の身体活動パターン

Patterns of sedentary behaviour and physical activity in people following curative intent treatment for non-small cell lung cancer.

Chron Respir Dis. 2016 Feb;13(1):82-5.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26721792


治癒を目的とした非小細胞肺がん患者(non-small cell lung cancer (NSCLC))と健常者において、座っている時間と身体活動のパターンを比較することを目的とした。

対象者は、NSCLCの外科手術を行った患者を6-10週フォロー、健常者は2つの活動量計を7日間装着。

覚醒時間の分類は、座位時間(1.5METs未満)、軽度の身体活動(1.5以上3.0METs未満)、中等度から高度の身体活動(3.0METs以上)に分けた。
1日の歩数も記録。
データは、NSCLC患者20例(13人女性、平均68歳)と健常者20例(13人女性、平均69歳)から収集。
NSCLCグループは、覚醒時間のうち、30分以上連続して座っている時間が占める割合が多かった(49% vs. 42%; p = 0.048)。
さらに、NSCLCグループは軽度身体活動の時間の割合が低く (21 ± 9% vs. 26 ± 8%; p = 0.04) 、10分以上連続して軽度の活動をしている時間の割合が低かった(13% vs. 19%; p = 0.025)。
NSCLCグループはまた、1日の歩数が少なかった(8863 ± 3737 vs. 11,856 ± 3024 steps/day; p = 0.009)
中等度から高度の身体活動は両グループとも似た結果であった。

NSCLC患者は、軽度の身体活動を犠牲にして、多くの時間を座って過ごしている。

覚醒時間のうちどのくらいの時間(割合)を占めていたか
座っている時間は、およそ60%。

・対象者は、NSCLCで手術を行い6-10週フォローした患者、もしくは、補助的な化学療法として4-8週の化学療法を行った患者が対象。

2019/02/21

COPD増悪の重症度は、その後の活動量に影響しない

No impact of exacerbation frequency and severity
on the physical activity decline in COPD: a longterm
observation

International Journal of COPD 2019:14 431–437

https://www.dovepress.com/articles.php?article_id=44118

<背景>
COPD増悪は、日常の身体活動(PA)の低下と関連している。
増悪頻度と重症度は増強効果があるかもしれない。
減少したPAが増悪前のレベルまで戻るのか、それとも活動行動に長期にわたってネガティブな影響を及ぼし続けたのかは明らかになっていない。

<方法>
COPD患者に毎年、PAの評価として、1週間以上、1日の歩数を記録。
増悪頻度と重症度は記録した。
単変量、多変量混合効果モデルを用いて、1日の歩数の変化(独立変数)と増悪の関係について検討した。

<結果>
181人のCOPD患者が対象(年齢64歳、65%男性、%FEV1.0 46%)
273回の増悪が観察期間(中央値2.1年)に発生した
増悪の頻度や重症度はどちらも、PAの減少と関係していた。
年齢、性別などの交絡因子を補正し、階層化すると、増悪がPA減少を促進するということは表さなかった。

<考察>
急性増悪期間中のPA減少は、基本的な活動行動の変化を導くような現象では無かった。


患者特性


増悪の重症度とその後の歩数の変化
重症であれば、低下は早いが、中等症レベルであれば、増悪無しと同等の変化をたどっている



2019/02/19

入院時SPPBスコアと離床時間の関係

Physical activity among hospitalized older adults – an observational study

BMC Geriatrics (2017) 17:110

https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-017-0499-z

<背景>
身体活動量の低さは、入院した高齢患者に共通しており、予後の悪さと関連している。
目的は、入院した高齢者をグループ分けし、身体活動のパターンとレベルを検討することと、身体活動に関連した因子を検討すること。

<方法>
入院後3日間、加速度計を用いて、身体活動を計測し、上体を起こしている時間を計測。
評価項目は、身体機能(SPPB)、認知機能(MMSE)、ADL(p-ADL、Bathel Index)、併存疾患の数(CIRS)。
統計解析は、単変量、多変量直線回帰モデルを使用し、従属変数は上体を起こしていた時間とした。

<結果>
38人の身体活動のデータが対象。平均年齢82.9歳
入院後1日の平均して上体を起こしていた時間は117.1分
平均SPPBスコアは4.3点
平均MMSE19.3点、73%が認知機能障害の診断あり
平均Bathel Indexは16.4点
平均CIRSスコアは17.0
SPPBスコアと上体を起していた時間に相関あり。(p=0.048)
SPPBスコアが1点上昇するごとに、起きている時間は11.7分増えていた。
年齢、認知機能障害、p-ADL、CIRS、と起きている時間に関連は無かった。

<考察>
入院後の1日のうち、患者が起きている平均時間は、およそ2時間であった。
これは、同様の研究結果と比べて、高い身体活動をしめしていた。
身体機能は、SPPBで示される身体活動と関連のある唯一の変数であった。SPPBは
有効なスクリーニングツールであり、身体機能の低下した患者に対してルーチンに行うべきモビライゼーションの評価(regimes)である。


・患者の90%は救急入院であり、ほとんどがフレイル、様々な併存症などがある。感染や心疾患をきっかけに、認知機能や活動制限、バランス障害、栄養障害などが出現した患者。
・エビデンスに基づいた治療やケアを実施。
急性期リハは5-7日実施。自宅退院が主な目標。

SPPBスコアと起きていた時間

時間帯と起きていた時間(n=38)
昼間でも、平均40分ほど(しか?)起きている

2019/02/17

入院高齢者のSPPBスコア

Short Physical Performance Battery in hospitalized older adults.

Aging Clin Exp Res (IF: 2.121) 2009 Dec;21(6):445-52.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20154514

<背景>
入院した高齢患者における、SPPBの情報を収集し、SPPBスコアと社会背景、患者特性、臨床評価との関係を検討すること。

<方法>
横断研究。急性期病院に入院した65歳以上の患者90人が対象。
患者情報は入院から24時間以内に収集。
SPPBスコアは、地域高齢者の基準と入院した高齢者をもとに改訂した基準を
用いた。

<結果>
平均年齢75.3歳、61%が女性。SPPBは、入院時に安全かつ正確に実施した。
ケガや新たなイベントは無かった。
病院でのSPPBスコアリング基準は、地域高齢者対象の基準よりもすべてのパフォーマンスをより良い分散を表した。
多変量回帰分析において、高齢、入院日数、併存症、認知機能は、病院基準のSPPBスコアと逆相関を示した。
年齢のみは、地域高齢者基準のスコアリングと関係していた。

<考察>
SPPBは、高齢者において確実に収集できた。入院を基にしたSPPBスコアリング基準が、高齢者とっては、より適切な基準かもしれない。


・平均入院日数4.1日
入院患者用の基準であれば、入院時SPPBはおよそ3点くらいが多い結果。


SPPBスコア基準
8foot=約2.4m

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現行は4m歩行を使っているので、前の基準?
入院時の身体機能で入院期間が予測可能かも。

2019/02/10

入院時のSPPBスコアは入院日数と関連

Performance-Based Functional Assessment in Older Hospitalized Patients: Feasibility and Clinical Correlates

J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2008 Dec;63(12):1393-8.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6138871/

<背景>
機能評価は多面的な高齢者を評価する重要なものである。
しかし、急性期病院における標準的なパフォーマンスの値は知られていない。
目的は、急性期病院に入院した高齢者におけるSPPBの短期間の予測値と臨床的な相関を検討すること

<方法>
対象は、92人の女性、65人男性。歩行可能、MMSE18点以上
疾患は、うっ血性心不全、肺炎、COPD、微小脳卒中
SPPBは入院時と退院時に評価
ADLと手段的ADL(IADL)を患者の自己報告で評価
スペアマンの順位相関係数、多変量直線回帰分析でAPPBスコアと機能的特性、入院期間との関連を検討

<結果>
平均年齢77.7歳(65-94歳)。49%女性、
うっ血性心不全64.1%、COPD16%、肺炎13.1%、微小脳卒中6.5%
入院時の平均SPPBスコアは6.0 ± 2.7点
SPPBスコアは、年齢、疾患重症度、2週間前のIADLとADL制限と逆相関、MMSEと相関を示した
退院時には、入院時SPPBスコアから平均して1点上昇する
交絡因子を調整した後、ベースラインSPPBスコアは入院期間と強く相関していた

<考察>
高齢で急性期ケア入院をした患者は、SPPBは、機能的状態を示す妥当な指標である
入院時SPPBスコアは、入院期間の独立した予測因子である


・対象基準:65歳以上、数m歩行可能
・ADLは6つのIADL(電話をかける、車や公共機関で外出、買い物、掃除、金銭管理、服薬)を評価。
・それぞれの動作を介助無しに行えるかを尋ね、「いくらか難しい」「とても難しい」「助けなしに出来ない」で回答。評価対象期間は入院前2週間。
・SPPBの評価は、入院後48時間以内に実施

・その他評価として、抑うつ(CES-D)、併存症など

・平均在院日数は9.8日

退院時には約1点増えている

・SPPBスコアが良好(8-12点)の患者は、低スコア(0-4点)の患者よりも入院日数が平均4日短かった
・併存症やADLの状態を調整してもなお、2.5日入院日数が短縮していた
・SPPBスコア1点上昇は0.5日の短縮と関連していた


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リハ介入は無さそうなので、疾患の治療だけでSPPBは1点は改善するということ?

2019/02/02

SPPB4点以下は再入院率が高い

Predictive Value of the Short Physical Performance Battery Following Hospitalization in Older Patients

J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2011 Jan; 66A(1): 89–96.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3011958/

<背景>
繰り返す入院は、ストレスフルであり、高齢者の危険なイベントである可能性がある。
今回、高齢患者を対象に、入院から退院後1年間の機能低下、再入院、死亡をSPPBで予測、評価した。

<方法>
87人の患者、65歳以上、歩行可能、MMSE≧18点
診断は、うっ血性心不全、肺炎、COPD、微小脳梗塞
入院時にSPPBを評価し、退院時と退院1カ月後に再評価。
その後3か月ごとに電話で機能低下や新たな入院、バイタルについてフォローした。

<結果>
ADLや併存症などの交絡因子調整後、退院時のSPPBはADL制限と特に相関していた。
多変量離散型生存分析(multivariable discrete-time survival analysis)において、退院時SPPBスコアが低い(0-4点)患者は、スコア良好(8-12点)の患者と比べて再入院や死亡リスクが高い(OR;5.38)
退院後早期にSPPBスコアが減少した患者も、次の年にADL制限が増加したり、再入院の高いリスクが高くなっていた。

<考察>
入院した高齢急性疾患患者において、SPPBは重要な予後情報を提供する。
パフォーマンス状態が低い患者は、退院後のアウトカム不良であるリスクが高い。


・退院時のSPPBの点数で3群に分け(0-4点、5-7点、8-12点)比較
左)退院時SPPB別の新たなADL制限の出現率
右)退院後1カ月でのSPPB変化
crude incidence rate:罹患率