2017/04/02

IPFの身体活動性


Physical activity in patients with idiopathic pulmonary fibrosis
 
 
Respirology (2015) 20, 640–646
 
背景
身体活動性は、COPDにおいて重要なパラメーターであるが、間質性肺疾患において詳細は研究されていない。
目的は、間質性肺線維症(IPF)患者の身体活動性を評価すること。
 
方法
身体活動性は、31の安定期IPF患者に加速度計を1カ月装着してもらい評価
身体活動性の内容は、歩数、歩行距離、活動強度レベル1-6(MM)の時間身体活動によるエネルギー消費(PAEE)エネルギー消費量
臨床的なパラメーターとして、mMRCKL-6肺機能6MWT高解像度CT(HRCT)
これらのパラメーターと身体活動性を比較。
 
結果
24日間の身体活動のデータを収集。
MMが1未満だったのは1日で10時間以上で、MMが1以上だったのは1日1時間
mMRCKL-66MWDハニカム範囲と網状影は、身体活動性のいくつかの側面と関係していた
特に、KL-6の低い値は、高い身体活動性(歩数や歩行距離MM1から4の生活時間PAEE)と相関していた
 
結論
mMRC6MWDHRCTにおける線維化の範囲KL-6のは身体活動性と強く関連していた
 
・自治医大でIPFと診断された31人の患者が対象
・身体活動性の測定はライフコーダーを使用。活動レベル(the magnitude of movement :MM)はレベル1から9で表現され、2分毎の活動強度を反映している。METsと近い活動表現である。
MM1はゆっくりの歩行(1.3METs相当)MM9は早く走る(9.1METsに相当)
・活動性の測定は、1カ月間。冬や夏、雨の日や雪の日のデータは除外。110時間以上装着した日のみを解析し、1日ごとに解析した
・平均年齢68.3歳BMI24.2mMRC0-2KL-6 922%FVC 88.7%6MWT 436m
・解析日数は24.5日1日の平均歩数 6520歩1日の歩行距離 4488m
 
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IPFの日本人の活動性についての報告。この活動量が多いのか、少ないのか・・・
IPFじゃなくても、これだけの活動性があるって多い方じゃないか?

2017/03/31

CAT、CCQ、HADSのMCIDの推定

Responsiveness and MCID Estimates for CAT, CCQ, and HADS in Patients With COPD Undergoing Pulmonary Rehabilitation: A Prospective Analysis.

 

2017 Jan;18(1):53-58.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27624705

 

背景

呼吸リハは、COPD患者の健康状態と気持ちを向上させる目的はCOPD患者の呼吸リハでのSGRQCATCCQHADSの反応性を検討しCATCCQHADSの臨床的最小有効改善値(MCID)を推定すること。

 

方法

MCIDはSGRQをアンカーにする方法と、分布法にて推定。新たなMCIDをこれまでに言われているものと比較した

新たに推定したMCIDは呼吸リハを行った患者で計算した

 

対象

419COPD患者(男性55.4%)

健康状態の評価(SGRQCATCCQ)は呼吸リハ前後に測定。精神状態はHADSで評価

 

結果

419COPD患者がリハを完了SGRQCATCCQHADSの不安抑うつが著明に改善

新たに推定されたMCIDの範囲は、CAT;-3.8から-1.0CCQ;-0.8から-0.2HADSの不安;-2.0から-1.1HADSの抑うつ;-1.8から-1.4

 

結語

SGRQ、CATCCQHADSは呼吸リハで反応性が得られた。推定したMCIDの範囲はCATが-3から-2点CCQが-0.5から-0.3点HADSの不安が-1.8から-1.3点HADSの抑うつが-1.7から-1.5点

 

・オランダのCOPDコホートを対象

・リハ内容は、教育セッション、心理社会的カウンセリング、監視下運動療法、栄養カウンセリング、作業療法、増悪の管理

・週5回を8週間合計40セッション実施リハ前後で評価を実施

・SGRQ合計点数の変化量と各評価の変化量を比較:最も相関係数が高いのはCCQ、次いでCAT、HADS。

 

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これからすると、HADSが1点改善すれば、臨床的に効果があったとしていいそうな。



2017/03/29

4m歩行速度と6MWD、身体活動性、自己効力感の関係について

Correlations Between Gait Speed, 6-Minute Walk Distance, Physical Activity, and Self-Efficacy in Patients With Severe Chronic Lung Disease

 

Respir Care 2013;58(12):2113–2119

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23696689

 

 

背景

4m歩行速度は高齢患者の機能的耐久性と全体の死亡率と関連しており日々の練習に変換しやすいかもしれない今回4m歩行速度と関連しているアウトカム評価した。

 

方法

70人の患者に4m歩行速度6MWT身体活動性、息切れ、QOL歩行と日常の身体活動に関する自己効力感を測定4m歩行速度は6MWT中の異なる3区間の時間で測定し妥当性を評価

 

結果

対象のうち、COPD患者は51.4%間質性肺炎は38.6%その他呼吸器疾患は10%各評価の平均: 4m歩行速度;0.85±0.21 m/s、6MWD;305±115m身体活動レベル; 1.28±0.17で、重度の身体不活動であった。歩行速度は、測定した3区間に有意差は無かった4m歩行速度は6MWTと著しく相関 (r=0.70, P < .001)。6MWDは4m歩行速度を予測した。4m歩行速度から予測できる指標は、息切れ、自己効力感QOL身体活動性であった。

 

結語

4m歩行速度は、著明にそして独立して6MWDと関連しており慢性呼吸器疾患患者の6MWDの代わりとなり得る妥当簡単なものかもしれない。歩行速度は、6MWT全体を通して著明に安定しおり、4m歩行速度のような省略した歩行テストの妥当性を示した

 

・歩行の自己効力感の評価:6MWT中の歩行の自己効力感をリッカードスケールで評価1-7の項目をそれぞれ1-5点で回答項目はそれぞれ、具体的な距離で質問(フットボールのフィールドや市街地の1ブロックなど)

・身体活動性の自己効力感:最小の身体活動性についてリッカードスケールで評価5項目の質問に1-5点で回答

質問内容は、"どの程度自信をもって毎日の身体活動をしていますか""外に行きたくない時でも活動的にしているか" "疲れていたり疲労感を感じている時でも活動的にしているか" "軽度の痛みや軽度の呼吸器症状があるときでも活動的にしているか" "抑うつ的であったり、心配事があったりストレスがある時でも、活動的にしているか"

→サイトに実際の評価表あり。

 

4m歩行テストの評価方法:4mのコースで行い通常の歩行速度で歩行"3,2,1、GO"の合図で計測をはじめ対象者の片足が完全にゴールラインを超えるまでの時間を計測

 

 

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4m歩行速度は以前から6MWTの代わりになり得ると言われていて、確かに相関係数も高いので、6MWTをできない患者や重症患者にとっては、敷居の低い評価なので、参考にできると思う。

運動時の心肺機能に関しては、比べられないとは思うけど。



2017/03/27

誤嚥性肺炎の既往がある高齢者に発声練習をした

Independent exercise for glottal incompetence to improve vocal problems and prevent aspiration pneumonia in the elderly:  A randomized controlled trial

 

2016 Oct 14

 

http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0269215516673208?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed

 

目的

声門閉鎖不全の高齢者に発声練習を行った効果を検討すること

 

方法

60歳以上誤嚥もしくは嗄声がある、内視鏡で声帯萎縮による声門閉鎖が不十分であるとされた者が対象

無作為に介入グループとコントロールグループに分けた。

介入グループはDVDで発生の方法について説明を受けた。

最大表音時間を声門閉鎖の指標として評価。6か月間の肺炎の発症患者数を2グループ間で比較した。

 

結果

543人の患者が対象259人は介入グループ284人はコントロールグループ

介入グループの60、コントロールグループの75人はトライアルを完了できなかった

介入グループは199人(平均73.9歳)、コントロールグループは209人(平均73.3歳)が6か月間のトライアルを完了

介入グループは最大表音時間が著しく延長。

介入グループのうち2人は肺炎で入院コントロールグループは18人が入院し、有意差がった。

 

結語

発声練習は、声帯の内転運動を引き起こし、声門閉鎖不全を改善した。肺炎による入院数を減少させた。

 

・国立病院機構グループの10施設で行われた研究。

・選択基準は60歳以上、嗄声がある、声門閉鎖不全による誤嚥、声帯萎縮

・除外基準は、外科手術、発生ができない、ポリープや腫瘍、急性感染症など

 

・発声練習の方法

1.椅子に座り、両手でシートの横をつかむ

2.1-10まで大きな声で数える声を出しているシートをしっかりと引上げ、息を吸うときはリラックスする

3.朝晩に2セットずつ1日合計4セット行う。1セットあたり30秒で行う。

・ポイント

発声と椅子を引き上げる動作を同調させること。

発声中は同じ力で引き揚げ続けること。

それぞれの数時はおよそ0.3-0.5秒で発声し、次の数を言うまではリラックスする。

このような短時間の発声で、候咽頭窩の収縮と上肩甲骨の安定が得られる。

 

・発声時間の評価

「あー」と息継ぎなしにどれだけ長く発声できるかで、5グループに分けたA5秒以下、B5-10秒C10-15秒D15-20秒E20秒以上

 

・各グループ6カ月のトライアル後発声時間が有意に延長している。

 

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日本人の高齢者を対象にした報告。

よく話をすることがある人は、もしからしたら、誤嚥しにくいのかも。

 



2017/03/25

ARDS後5年間の身体機能障害

Functional Disability 5 Years after Acute Respiratory  Distress Syndrome

 

N Engl J Med 2011;364:1293-304.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21470008

 

 

背景

急性呼吸促迫症候群(ARDS)から生存した患者の5年間の問診と評価のデータから、いくつかの詳細な結果を得た。

 

方法

109人のARDSの生存者をICU退院から3,6,12か月後と2,3,4,5年後に評価したそれぞれの評価で、問診と評価を行った。

評価項目:肺機能検査6MWT、安静時運動時の酸素化胸部画像QOL健康サービスの利用状況

 

結果

5年後6MWDの中央値は436mSF-36のPCS(身体的満足度)は41点

より若い患者は、高齢患者よりも回復が大きかったが、5年間で身体機能の予測レベルの通常(normal)までに回復したグループは無かった。

肺機能は通常か、通常に近かった。

患者は5年間の医療コストの増加と共存していた。

 

結語

運動制限、身体的・精神的後遺症、QOLの低下コストや健康サービス利用の増加が、重症肺疾患の重要な遺産である。

 

ARDS発症時の年齢中央値は44歳83%は全くないもしくは1つの併存症があり83%はフルタイムで仕事をしている。

・肺炎と敗血症がARDSの共通したリスクファクターであった。

・経過

ICU退室後5年で、中央値6MWDは436mで、年齢性別による予測距離の76%であり、運動能力は継続して低下していた。

SF-36のPCSは6MWDと相関していた

ICU退室後5年で21人が死亡5年後生存していた患者の83%は復職復職した患者の大多数は退院後2年で復職している。

・医療コストは3-5年で50006000ドル3年まで上昇し、4,5年目は維持。併存症が2つ以上になると医療コストが増加

 

 

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ICU在室日数が平均40日ということで、ICU-AWの影響もあるのかも。早期離床や早期介入ができれば、身体機能の低下を最低限に防げるか。