2017/02/25

安定期COPD患者に対して、CPAPは肺過膨張を減少させるか?

CPAP Decreases Lung Hyperinflation in Patients With Stable COPD

 

Respir Care 2011;56(8):1164–1169.

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21496367

 

背景

動的肺過膨張は、呼気流速制限によって引き起こされ、多くのCOPD患者において、安静時呼気終末肺気量(機能的残気量)が著しく増加する。

 

目的

安静時COPD患者において、動的肺過膨張と気道抵抗に対するCPAPの効果と持続時間を検討すること。

 

方法

ケーススタディ。21の患者に8cmH2OのCPAPを15分行い、15分後と30分後にすぐに全身プレチスモグラフィ(plethysmography)を実施

 

結果

平均年齢70±9歳平均%FEV1.0:41%残気量機能的残気量全肺気量残気量/全肺気量気道抵抗が、CPAP後に減少15分後には著明な変化は無かったしかし、30分間行うとベースラインに戻っていた

 

結語

重症から最重症の安定期COPD患者に対して、CPAPは肺気量と気道抵抗を15分減少させるが、30分で肺気量のベースラインに戻る。

 

・これまでの報告では、5-10cmH2OのPEEPが気道抵抗を減少させるのではないかとされている10cmH2O以上のPEEPは動肺過膨張を増強させ呼吸機序や筋活動、血行力学悪化させる。

CPAPは、座位でフェイスマスクを使用。

・プレチスモグラフィはCPAP直後装着15分後30分後に測定

CPAP直後吸気予備量は上昇し全肺気量残気量気道抵抗は減少

CPAPは肺過膨張と気道抵抗を減少させるが重症COPDにおいて、その効果は少なくとも15分維持されたが30分後には消失して

・全肺気量

・吸気予備量

・気道抵抗

CPAPを付加することで呼吸筋を休息させ、中枢の化学受容体と換気ドライブをリセットされたのではないかと推測した。

 

 

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肺過膨張が原因で活動制限がある患者に対して、入院中は呼吸介助などで対処できると思う。

しかし、退院後は独居であったり、サポートが受けられない患者へCPAPが呼吸介助の代用にならないだろうか。

SABAのアシストユースと比べたらどうだろうか?



2017/02/24

CPFE(気腫合併肺線維症)の呼吸リハの効果

Combined pulmonary fibrosis and emphysema: effect of pulmonary rehabilitation in comparison with chronic obstructive pulmonary disease

 

BMJ Open Resp Res 2016

 

http://bmjopenrespres.bmj.com/content/3/1/e000099

 

目的

気腫合併肺線維症(combined pulmonary fibrosis and emphysema:CPFE)患者の入院呼吸リハでの短期間の効果を検討し、COPD患者との効果を比較すること。

 

デザイン

後方視研究

 

方法

3週間の入院呼吸リハを施行。評価項目は、肺機能、6MWTQOLとしてSF-36

 

結果

17CPFE患者と49人のCOPD患者がプログラムを完遂した年齢性別喫煙歴BMIMRCを両グループで比較

CPFEグループは、FEV1.0が改善6MWDに改善は無かったQOLの身体機能のドメイン社会的機能のドメインが著しく改善

COPDグループでは、FEV1.06MWTSF-36の8個中4個のドメインにて改善が得られた。

CPFEとCOPDを比較すると6MWDの変化量に有意差があった(-16.6m vs 30.2m)SF-36の2つのドメインでも有意差があった(Vitality と Social function)

 

結語

短期間の入院呼吸リハによって、COPD患者はCPFE患者よりも大きな効果があった。

 

CPFEの診断基準は、高解像度CT(HRCT)で上部胸郭の25%以上に気腫化があり、下肺野に線維化があること。

(簡単に言えば、上肺野はCOPDで下肺野が間質性肺炎の状態)

・リハプログラムは3週間。内容は、運動療法、呼吸練習、教育。

・運動強度はBorg息切れスコアが5SpO2が89%以上で実施

時間はPT40分OT40分実施

 

・CPFEの平均FEV1.0は1.7L(%予測で70.6%)COPDの平均FEV1.0は0.8L(%予測で33.8%)

・6MWDの変化量:CPFEはCOPDに比べて改善しにくい。

・QOL(SF-36)点数が高いとQOLが良好であると判定。

 :CPFEはPF以外全体的に低下している。

 

 

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過去に1例だけ経験があるが、低酸素に容易になってしまい、運動療法はいつもSpO2とにらめっこ状態だった。運動機能よりも、低酸素になりやすい状態でどのように生活するか、QOLを保つかが目標になるのかな。



2017/02/21

急性増悪中のリハの効果 -cochrane review-

Pulmonary rehabilitation following exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease.

 

Cochrane Database Syst Rev. 2016 Dec 8;12

 

背景

ガイドラインは、COPD増悪後の呼吸リハを推奨しているが、最近の研究で安定していないCOPD患者には常に効果的ではないかもしれないと示している。

 

目的

COPD増悪で入院した後の呼吸リハの効果とその他患者のアウトカム(死亡率HRQOL、運動耐容能)を評価すること

 

方法

MEDLINEEmbasePEDroの文献を調査

選択基準は、増悪後の呼吸リハと従来のケアを比較した無作為化試験。呼吸リハプログラムに少なくとも運動(持続運動のみか筋力トレーニングのみもしくは両方)が含まれていること。運動セッションの回数は基準に含まないコントロールグループはリハビリテーションが無い従来の地域のケアを受けた。

 

主な結果

11の研究が新たに追加され合計20の研究(1477人の患者)が対象となった

リハプログラムは、トレーニング期間、教育、どのように収集したかなど多様性を示した。8つの研究では、参加者の多くが呼吸リハを完了していた。12の研究では中等度の範囲の患者が呼吸リハを完了した

 

8つの研究の810人の患者は再入院のデータに寄与した。呼吸リハが再入院を減少させるという中等度のエビデンス 示したが、結果は異質であった。リハプログラムの拡張性とバイアスのリスクが異質さを示してるかもしれないが、サブグループ解析では著明な差は無かった

 

6つの研究の670人の患者は死亡率のデータに寄与した。エビデンスの質は低くメタ解析ではリハビリの死亡率への効果は示されなかった

 

再入院と死亡率の研究は今回のレビューで新たに追加されているが、これまでの研究よりも非常に小さい効果であった。

 

高い質のエビデンスを示したのは、増悪後のリハでHRQOLが改善するということ。8つの研究でSGRQがMCIDの4点以上改善していた。特にSGRQのImpactとActivityのドメインでMCID以上の改善があったと記されているSymptomsのドメインは統計的に著明な効果は無かった。

 

6MWDの改善も高い質のエビデンスを示しており平均62mの改善があった。

5つの研究の278の患者は有害事象を示しており、4つの研究でリハ中の有害事象が無かったとしており、1つの研究で重大なイベントを報告している

 

筆者のコメント

COPD増悪患者のリハの効果としてHRQOLと運動耐容能に中程度から大きな効果を示しており高い質のエビデンスがあった。いくつかの最近の研究では再入院や死亡率への効果は無いと示しており、前回のレビューと比べて異質さが含まれている

再入院と死亡率の効果の異質さは、リハプログラムの拡張性と研究

方法によって説明されるだろう。

今後の研究では、どのように運動セッション、自己管理教育、その他アウトカムの内容の期間を広げていくか、どのように再入院や死亡率の効果に関して、これらのプログラムを特異的な健康管理システムに編成していくかを検討していくべきである。

 

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増悪中のリハは、QOLと運動耐容能を改善するが、再入院や死亡リスクへの効果はまだ不明であると。増悪治療中でもできるだけ運動する(肺用予防?)ことが身体的にポジティブな影響をもたらす。

ただ、有害事象も起こり得る病態の時期でもあるので、リスク管理も徹底する必要がある。



2017/02/19

急性増悪後のリハ効果を比較:早期リハ vs 安定後リハ

Early versus Late Pulmonary Rehabilitation in Chronic Obstructive Pulmonary Disease Patients with Acute Exacerbations: A Randomized Trial

 

Respiration 2012;83:499–506

 

http://www.karger.com/Article/FullText/329884

 

背景

COPD患者の呼吸リハを増悪後早期から行うか、安定期になってから行うかの違いを比較した研究は無い

 

目的

COPD増悪期の早期リハと安定後リハの効果の効果とQOLを比較すること。

 

方法

無作為にCOPD患者を早期介入(2週間以内)安定後リハ介入(6カ月後)に振り分けたプライマリーアウトカムは18カ月後の増悪率セカンダリーアウトカムはHRQOLと死亡率多変量解析と intention-to-treat解析を実施

 

結果

36の患者を無作為化した。早期リハはステロイドや抗生剤の必要な増悪が平均2.61±2.96、安定後リハは2.77±3.4118カ月後、安定後リハの患者はより息切れを経験していた(CRDQの息切れドメインとMRC)が、どちらもHRQOLドメインで統計的な有意に近かった

 

結語

早期リハと安定後リハの統計的な有意差は認められなかった。しかし、早期リハは増悪後のHRQOLの回復が、安定後リハに比べて早いかもしれない

 

・gold ステージ2から440歳以上で急性増悪の治療中の患者

・増悪の定義は、週のほとんどがいつもより症状が悪化しており、入院もしくは外来にて医療的な治療が必要な患者。

・増悪以外の入院、NIVを長期間使用している喘息など他の呼吸器疾患がある患者は除外

・リハ内容は、12週間入院もしくは外来にて実施。入院が必要な増悪やADO index5-7点の患者は3週間入院し9週間外来で実施

・ADO index 5点未満や軽症の増悪患者は12週間外来リハを実施。

・運動は持久力、筋力トレーニング、体操を実施。患者教育も並行して実施。

・解析対象の人数は、15人vs13人。

・患者背景:肺機能やQOLはほぼ同等

・早期リハの方が、アウトカムは良好。ただし、統計的な有意差までは至らなかった。

 

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早期介入の方が良いことは多いのかもしれない。

個人的には、時期によって運動負荷を変えながら運動をできれば、良い結果になるんじゃないかと思っている。その後の増悪の予防には、疾患知識の理解も重要だと思う。



2017/02/17

喘息患者の運動効果

Exercise is associated with improved asthma control in adults

Eur Respir J 2011; 37: 318–323

 

http://erj.ersjournals.com/content/37/2/318

 

国際的な喘息コントロールレベルは準最適である。喘息に対して通常の運動の影響は明らかでない。

12週間のスーパーバイズされた運動介入と自主的な運動を喘息患者(n=12)コントロール群(n=15)で効果を比較評価はベースラインと12週目に行い、運動グループは24週目に再度実施

運動グループで喘息コントロールの著明な効果(ACQ)があった。臨床的に著明な改善(ACQで0.5点向上)がベースラインと12週目を比べて得られた。運動グループにてベースラインから24週の有酸素運動の効果があった。

まとめると、12週のスーパーバイズされた運動介入は、喘息コントロールと喘息傾向の患者において運動へのモチベーションをもたらすこれらの改善は自己による運動の12週間を加えても喘息コントロールの有酸素運動効果は維持されていた。この結果は、運動介入が喘息コントロールを改善することができると示している

 

・運動内容

週3を12週間継続。その後、さらに12週間自己プログラムでフォロー

運動内容のメインは有酸素運動。週に1は主動作筋をターゲットにした筋トレを実施。運動負荷は、HRmaxで設定3週間毎に5%ずつ上昇し、最低70-80%負荷に設定

自己管理プログラムは85%HRmaxで有酸素運動と筋トレを12週間週5日実施