Pulmonary rehabilitation following exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Dec 8;12
背景
ガイドラインは、COPD増悪後の呼吸リハを推奨しているが、最近の研究で安定していないCOPD患者には常に効果的ではないかもしれないと示している。
目的
COPD増悪で入院した後の呼吸リハの効果とその他患者のアウトカム(死亡率、HRQOL、運動耐容能)を評価すること。
方法
MEDLINE、Embase、PEDroの文献を調査。
選択基準は、増悪後の呼吸リハと従来のケアを比較した無作為化試験。呼吸リハプログラムに少なくとも運動(持続運動のみか筋力トレーニングのみ、もしくは両方)が含まれていること。運動セッションの回数は基準に含まない。コントロールグループはリハビリテーションが無い従来の地域のケアを受けた。
主な結果
11の研究が新たに追加され、合計20の研究(1477人の患者)が対象となった。
リハプログラムは、トレーニング期間、教育、どのように収集したかなど多様性を示した。8つの研究では、参加者の多くが呼吸リハを完了していた。12の研究では、中等度の範囲の患者が呼吸リハを完了した。
8つの研究の810人の患者は再入院のデータに寄与した。呼吸リハが再入院を減少させるという中等度のエビデンスを 示したが、結果は異質であった。リハプログラムの拡張性とバイアスのリスクが異質さを示しているかもしれないが、サブグループ解析では著明な差は無かった。
6つの研究の670人の患者は、死亡率のデータに寄与した。エビデンスの質は低く、メタ解析ではリハビリの死亡率への効果は示されなかった。
再入院と死亡率の研究は今回のレビューで新たに追加されているが、これまでの研究よりも非常に小さい効果であった。
高い質のエビデンスを示したのは、増悪後のリハでHRQOLが改善するということ。8つの研究で、SGRQがMCIDの4点以上改善していた。特にSGRQのImpactとActivityのドメインでMCID以上の改善があったと記されている。Symptomsのドメインは統計的に著明な効果は無かった。
6MWDの改善も高い質のエビデンスを示しており、平均62mの改善があった。
5つの研究の278人の患者は有害事象を示しており、4つの研究でリハ中の有害事象が無かったとしており、1つの研究で重大なイベントを報告している。
筆者のコメント
COPD増悪患者のリハの効果としてHRQOLと運動耐容能に中程度から大きな効果を示しており、高い質のエビデンスがあった。いくつかの最近の研究では、再入院や死亡率への効果は無いと示しており、前回のレビューと比べて異質さが含まれている。
再入院と死亡率の効果の異質さは、リハプログラムの拡張性と研究
方法によって説明されるだろう。
今後の研究では、どのように運動セッション、自己管理教育、その他アウトカムの内容の期間を広げていくか、どのように再入院や死亡率の効果に関して、これらのプログラムを特異的な健康管理システムに編成していくかを検討していくべきである。
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増悪中のリハは、QOLと運動耐容能を改善するが、再入院や死亡リスクへの効果はまだ不明であると。増悪治療中でもできるだけ運動する(肺用予防?)ことが身体的にポジティブな影響をもたらす。
ただ、有害事象も起こり得る病態の時期でもあるので、リスク管理も徹底する必要がある。