2016/03/19

身体活動の短期効果と長期効果 ‐運動耐容能と身体活動は別物‐

Short term and long term effects of pulmonary rehabilitation on physical activity in COPD.

2012 Dec;106(12):1671-9.

http://www.resmedjournal.com/article/S0954-6111(12)00312-5/abstract

 

呼吸リハの主な目的は、運動を通して、機能的容量を向上させることによって死亡率を減少させることである。もし機能的容量が改善したら、長期間持続するのか、身体活動レベルの向上が得られるのかについてはあまり知られていない。この研究の仮説は呼吸リハは標準的なアウトカムと日常身体活動を向上させるだろうということである。

方法

COPD患者47名を対象とした前向き研究で、臨床試験の承認を得ている。プライマリーアウトカムは標準的なアウトカムが向上するか、セカンダリーアウトカムは身体活動量が向上するかコホートのサンプル(n=17)は1年間で3回再評価を行った。

結果

7週間病院にて外来呼吸リハプログラムを実施し、エネルギー消費と呼吸困難感の減少、運動耐容能とPiMAXとQOLの改善を示したしかし、呼吸リハで1日の歩数座っている時間身体活動の消費METsは変わらなかった標準的なものと生活での数値は1年間でベースラインに戻っていた

考察

これらの結果は呼吸リハは運動耐容能を改善するが、身体活動の向上へは変換されなかったことを示した。したがって、行動変容に影響/変更する方法が必要である。

 

・研究プロトコル

 

 

・リハ内容

2回を7週間と中等度強度の活動を30分1日3回以上行うことを推奨

運動内容はバランスとストレッチ、サーキットトレーニング、エルゴ、ダンベル。運動強度は修正Borg3-5を目安に。

教育セッションも実施した。

自宅では呼吸筋(吸気筋)トレーニングを1日10-25分週5日実施吸気:呼気は3:4の割合で呼吸数が89回分になるように。

日常の活動量は活動量計( sence wear pro arm band)を装着。



2016/03/12

安定期と増悪期の身体活動性を比較

Daily activity during stability and exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease.
2014 Jun 2;14:98
背景
多くのCOPD増悪中の患者は地域で生活を続けているが前向きベースラインデータの収集の難しさから増悪中の活動の変化についての情報はわずかしかない
方法
患者は、日々の日記カードで呼吸症状の悪化、ピークフロー(PEF)1日の歩数を記録した増悪は呼吸症状の増加によって推定し過去12か月の歩数を増悪の頻度が多い(年2回以上)もしくは少ないに分けて歩数の記録を比較した
結果
73COPD患者(88%男性)平均年齢71±8歳%FEV1.0 53±16%歩数計の記録期間は中央値198日増悪した時症状は1.9±1.3点の上昇PEFは7±13L/minの低下していた。1日の歩数はベースラインの週から平均4154±2586歩減少し、増悪の1週間前から3673±2258歩減少していた(p=0.045)。低下が大きかった患者は増悪症状よりも歩数の減少が早かった(3.5日)歩数が元に戻るのもまた、増悪治療群に比べて治療していない方が早かった全体を通して歩数が減少していたのは40回の増悪708歩/年の減少対照的に増悪が頻回ではなかった33人は338歩/年であった。
考察
COPD増悪は身体活動を減少させ増悪の頻度を加速させる


ちょっと図も載せてみよう。

A:歩数 B:症状 C:PEF D外出頻度
増悪期間前に分かりそうなのは歩数と外出頻度か。


増悪頻度と歩数の減少。やはり増悪頻度が多いと減少幅も多い。






COPD合併心不全患者の運動の効果

Clinical Characteristics, Response to Exercise Training and Outcomes in Heart Failure Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease: Findings from HF-ACTION

Am Heart J . 2013 February ; 165(2): 193–199.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3762597/

背景:COPD合併の心不全(HF)患者における運動療法の効果選択的βブロッカーとアウトカムについて臨床的特性を検討すること。

方法:HF-ACTIONの分析を用いて2331人のEF≦35%のHF患者を通常ケアに加えて有酸素運動療法の有無で無作為化した臨床的特性とアウトカム(死亡率/入院死亡率心血管系死亡率/心血管系入院心血管系死亡率/HF入院)を検討し専門家の報告したCOPDの状態をCoxモデルで調整し、運動介入の検討を行った。心血管選択的βブロッカーとアウトカムの相互関係についても検討した。

結果:COPDがある患者は11%(249人)であった。COPD患者は高齢で、多くの併存症を持ちCOPDが無い患者に比べてβブロッカーはあまり使用していなかったベースラインで、COPD患者はpeak VO2と、VE/VCO2 slopeは低かった2.5年のフォロー期間中COPDは死亡率/入院と死亡率心血管系死亡率/HF入院は高かった多変量調整した後、心血管系死亡率/HF入院のリスクは依然として高く、死亡率/入院と死亡率は上昇していなかったCOPDと選択的βブロッカー使用では死亡率/入院において、COPDと運動療法でアウトカムに対して相互作用は無かった

考察:HF合併COPD患者は高齢で、併存症が多く、運動耐容能が低下し心血管系死亡率/HF入院の増加と関係していたが、運動療法の反応は異なっていた選択的βブロッカーはCOPDの有無の患者においてアウトカムとは関係していなかった。


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βブロッカー使用はアウトカムに影響を及ぼさないので、通常通りの運動療法を行って問題ないということか。心不全もCOPDも運動療法は必要ですし。意外とCOPD合併心不全は少なかった。逆の視点ではどうだろうか。



2016/03/02

COPD患者において天候が身体活動に与える影響

Influence of weather and atmospheric pollution on physical activity in patients with COPD

2015 Jun 13;16:71

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26071400


COPD患者において身体活動の気候や大気汚染に関しての情報は欠落しており身体活動への影響についての影響あるかもしれない。

73COPD患者を対象に呼吸器症状のデイリーカードの記録と、ピークフローの測定、屋外活動時間、1日の歩数を記録した加速度計のデータは16478日記録し平均267日間であった。気候のデータとPM10、オゾン(O3)はロンドンの中央情報局のデータベースから収集した天気のデータはイギリス気候データ局から収集した

22.5以下の寒い気候では1下がるにしたがって43.4歩減少して活動は乾燥した日よりも雨の日、晴れた日よりも曇った日のほうが低かった歩数は土曜日よりも日曜日の方が434歩低く金曜日よりも土曜日のほうが353歩低かったこれらの影響を差し引いた後、オゾンが高いと平日および、週末の活動が減少していた。一方で、平日のPM10は活動減少していたが、週末では影響がなかった

COPD患者は寒湿度が高い曇りの日と週末は不活動であった。本研究は気候の独立した影響について高いレベルでエビデンスを示している


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対象はロンドンCOPDコホート。平均%FEV1.0は約56%。

22.5℃で約6000歩。0℃の日や逆に30℃近いでも4000歩は歩いている。温暖化が進んで暑い日が増えるとどうなるんだろうか。



2016/03/01

身体活動量のパターンと量

Physical activity in COPD patients : patterns and bouts

Eur Respir J 2013; 42: 993–1002

http://erj.ersjournals.com/content/42/4/993.long

本研究の目的は、COPD患者における身体活動のパターンと頻度強度について説明し、重症度による違いのパターンを評価一般的な高齢者のガイドラインに適しているかを調べること

177人の患者(94%男性)はSenseWear Pro2 Armband 加速度計を8日間連続して装着した身体活動量は1.5METs10分以上の活動と、中等度以上の強度とした。

患者は1あたり153分と57%の活動時間が得られた。

1の活動強度は全体の3,4割は中等度から高度の強度であった。COPDの重症度が上がると身体活動量や活動時間頻度の割合は減少していた。患者の61%が推奨される身体活動ガイドラインを完了した。

肺機能での重症度と身体活動の強度は関係していた。重症と最重症のCOPD患者は軽症の患者よりも身体活動時間が短く強度も弱かった