Effect of Intensive Chemotherapy on Physical, Cognitive, and Emotional Health of Older Adults with Acute Myeloid Leukemia
J Am Geriatr Soc (IF: 4.18; Q1). 2016 Oct;64(10):1988-1995.
<目的>
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia (AML))で化学療法を行っている高齢者の身体機能、認知機能、感情機能の短期間での変化を検証。
<方法>
前向き観察研究。単施設での研究。
60歳以上で新たにAMLと診断され、化学療法を行った患者(n=49、平均年齢70歳、56%男性)
高齢者機能評価(Geriatric assessment (GA) )を入院中に行い、退院後8週以内に再度評価。
評価項目は、活動制限の評価指標(ADL、IADL、活動の質問表)、SPPB、握力、修正MMSE、抑うつ評価(CESD)、苦痛評価(Distress Thermometer)
GAの変化は、対応のあるt検定で評価。分散モデルで、GA変数と機能的な変化の関係を評価。
<結果>
化学療法後、IADLの自立度が悪化(1.4vs2.1)、SPPBスコアも同様(7.5vs5.9)。握力も低下(男性:38.9 ± 7.7 vs 34.2 ± 10.3 kg, P < .001、女性:24.5 ± 4.8 vs 21.8 ± 4.7 kg, P = .007)。
認知機能は変化なし(84.7 vs 85.1, P = .72)
抑うつ症状は変化なし(14.0 vs. 11.3, P = .11)
苦痛(distress)症状は低下(5.0 vs 3.2, P < .001)
ベースラインとフォロー後に抑うつ症状があると、SPPBスコアが大きく低下していた。
<考察>
化学療法の生存者は、身体機能が有意に低下していた。
これらのデータは、化学療法中・後の身体機能維持の介入が身体機能低下を予防することと関連するかもしれないため、重要であることを支持する。
・ベースラインとフォロー後で、身体機能は低下傾向
各項目の障害されている割合 多くの項目で、フォロー後に悪化している割合が多い ex)SPPB<9点を機能障害と定義している |
抑うつ症状がある、もしくは出現すると フォロー後にSPPBスコアが悪化。 |
・治療中に身体的デコンディショニングのリスクに抑うつ症状が影響しているかもしれない
・短期間の身体機能低下とQOLの悪化は、介助量増大、転倒、がん治療の選択肢の制限など二次的な影響が生じる可能性がある。
・がんと診断されたり、入院後に身体機能の回復がわずかであると死亡率が高いという報告もある( J Am Geriatr Soc. 2008; 56:2171–2179. J Cancer Surviv. 2013; 7:20–31.)