2019/10/27

COPDで肺移植後の呼吸リハ

Improvements in functional and cognitive status following short-term pulmonary
rehabilitation in COPD lung transplant recipients: a pilot study

ERJ Open Res. 2019 Sep 16;5(3). pii: 00060-2019.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31544112

肺移植を行なったCOPD患者の呼吸リハは、良好な術後アウトカムを得るための治療の一部と考えられている。
移植後の呼吸リハの効果について肺機能、運動機能、認知機能を評価した。

24人のCOPD肺移植患者。3週間の入院呼吸リハプログラムに参加。
呼吸リハ開始時と終了時に肺機能検査、6分間歩行試験、認知機能を評価。変化の程度は効果量で判断。

肺機能(拡散能、安静時肺過膨張)運動耐容能を改善した(ES:0.23−1.00)。
学習能力、記憶能力は最も大きな効果を示した。(ES:0.62、0.31)

肺移植患者の術後呼吸リハは、肺機能、運動機能を向上させ、学習、記憶、精神運動速度を
改善させる。
呼吸リハは、肺移植後の治療コースに推奨されるべきである。



・リハプログラム
週5-6回(最低15回は実施)、1回50分まで。加えて30分のADLトレーニング
運動の種類:エルゴ、トレッドミル、上下肢の軽負荷筋力トレーニング、
運動負荷:最大負荷の70%、息切れと下肢疲労感はmBorg5-6を目標に漸増
運動時間:20分

結果
6MWD:346m→432m



2019/10/22

COPDと心不全の並存は予後不良

Impact of COPD on the mortality and treatment of patients hospitalized with acute decompensated heart failure: the Worcester Heart Failure Study.

Chest (IF: 9.657) 2015 Mar;147(3):637-645.


<背景>
COPDは心不全患者によくある併存症である。急性非代償性心不全(acute decompensated heart failure (ADHF))の影響についてはあまり知られていない。
主な目的は、COPDがあるADHFで入院した患者の死亡率や治療効果について検討すること。

<方法>
11の医療機関でADHFで入院した患者を4年間追跡し、バイタルのデータを収集。

<結果>
9748人の患者がADHFで入院した。35.9%はCOPDをもっていた。
平均年齢76.1歳、43.9%が男性、93.3%が白人。
退院時、COPDがある患者は、βブロッカーやACE阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬などのエビデンスに基づいた心不全治療薬が、処方される傾向が弱かった(less likely to~)。
多変量解析にて、入院中の死亡率はCOPDの有無に関わらず同様であった。
しかし、退院後の生存率は、COPDがある患者の方が1年後と5年後の死亡リスクは高かった( relative risk [RR], 1.10、 RR, 1.40)

<考察>
COPDはADHFで入院した患者に共通した併存症であり、長期予後の不良と関連していた。
今後、これらの疾患の相互作用の理解とADHFでCOPDのある患者の治療を考慮していく必要がある。



2019/10/12

COPD増悪での呼吸リハの効果の推定:入院日数の減少

Estimating the effectiveness of pulmonary rehabilitation for COPD exacerbations: reduction of hospital inpatient days during the following year.

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2017 Sep 22;12:2763-2769.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28989279

<目的>
ヘルシンキの重症COPD増悪のデータを使用し、呼吸リハの短期間と長期間の効果を検討すること。

<方法>
78人の不活動な重症COPD患者が呼吸リハに参加した。(そのうち3人はコースを完了できなかった)
コースは6-8週間、11-16回の監視下での運動セッション。
電子カルテ記録を使用して、2014年にヘルシンキで入院したCOPD患者をすべてピックアップした。

<結果>
75人がコースを完了し、このうち92%の患者が臨床的に著明な改善を示した。
入院日数は、1年前と比較して54%減少(短縮)していた。
コースの1年後、53%の患者が、通常の運動療法を継続していた。
ヘルシンキでは、437人のCOPD患者が2014年にCOPD増悪で病院受診し治療していた。
これらのうち57%は呼吸リハの対象であった。
おおまかな試算によると、もし呼吸リハが有効で、呼吸リハも同様にいい結果が得られたと仮定すると、年間10-20%の入院日数の短縮が可能であった。

<考察>
呼吸リハは、重症COPD患者の在院日数を短縮する。
患者の半分は、彼ら自身で運動を継続するモチベーションを持っていた。

2019/10/11

COPD患者の身体不活動の進行-多施設前向きコホート-

Progression of physical inactivity in COPD patients: the effect of time and climate conditions - a multicenter prospective cohort study.

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Sep 3;14:1979-1992.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31564846

<目的>
COPD患者における身体活動性(PA)の時間や環境による影響についての縦断的なデータは、現在不足しているが、PAの介入研究のデザインにおいては重要な要因である。
COPDコホートを対象に、PA増加に対する気候(気温、日照時間、雨天)や時間の影響について検討した。

<対象>
PROactive研究の一環の、前向き他施設コホート研究。
236人のCOPD患者に2種類の活動量計(Dynaport MiniMod and Actigraph GT3X)を装着。
多変量一般線形モデル解析で、PA測定の説明変数の影響について3回(ベースライン、6ヶ月後、12ヶ月後)解析した。

<結果>
12ヶ月時点で、歩数、中等度から高度の活動強度の時間、加速度(?)、歩行時間、活動強度は全て減少していた。
時間(日照時間?)は、気候要因、研究施設、年齢、予測1秒率、6MWD、その他重症度評価で補正すると、PA測定の多変量解析において特にネガティブな影響を示していた。
雨天は、PAパラメーターに最もネガティブに影響する唯一の気候因子であった。

<考察>
COPD患者は1年間のフォロー期間後、雨天時間などの気候要因の影響を超えて、PAは著しく減少していた。


ーー
天気や気温に関係なく、1年後には活動量が減少していた。
雨天が多い地域は特に減少が大きいのかも。

2019/10/01

術前短期間のリハ介入の効果

Preoperative short-term plus postoperative physical therapy versus postoperative physical therapy alone for patients undergoing lung cancer surgery: retrospective analysis of a nationwide inpatient database.

Eur J Cardiothorac Surg. 2018 Feb 1;53(2):336-341.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28950377

<目的>
肺がん術前3日間の理学療法と術後理学療法の実施が、術後理学療法のみと比較して、術後呼吸器合併症(PPCs)の発生や30日後の死亡率を減少させるかを検討すること。

<方法>
日本のDPCデータベースを用いた後方視コホート研究。
2010-2015年に18歳以上で非小細胞肺がん手術を行い、術後1日もしくは2日目に理学療法を実施した患者が対象。
30日後死亡率とPPCs(肺炎、誤嚥性肺炎、呼吸不全)の発生を、術前3日間理学療法を行った群と術後理学療法のみを行った群を1:1で割り付けして比較した。

<結果>
21259人の患者が対象。
30日後死亡率は術前の理学療法の有無で有意差なし(0.2% vs 0.2%)。
PPCsの発生も有意差無し(2.4% vs 2.0%)

<考察>
術前短期間理学療法は、術後理学療法のみと比較して、30日後死亡率やPPCs発生を減少させなかった。


後方視なので、リハの内容までは精査出来なかった様子。
「日本では20分以上のリハセッションを受ける。評価、教育、運動療法、早期歩行、呼吸練習、排痰などが行われる」としか内容までは記載見当たらず。。