2019/03/29

大腸がん患者の術前後の運動療法の効果

The effects of inpatient exercise therapy on the length of hospital stay in stages I-III colon cancer patients: randomized controlled trial.

Int J Colorectal Dis (IF: 2.533) 2013 May;28(5):643-51.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23417645

<目的>
大腸がん患者における術後の入院運動プログラムの効果について検討すること

<方法>
無作為化試験にて実施。術後運動群 vs 通常ケア。
2011年1月から12月の間に手術を行ったstageⅠ-Ⅲの大腸がんで切除術を行った患者が対象。
運動群は1日2回の運動療法(ストレッチ、体幹、バランス、低強度レジスタンストレーニング)を実施。
通常ケアは決められた運動プログラムは行っていない。
プライマリーエンドポイントは入院日数。
セカンダリーエンドポイントは腸内ガスまでの時間、最初の流動食までの時間、身体計測、身体機能。

<結果>
31人の患者が介入を完了。運動介入のアドヒアランスは84.5%で得られた。
平均入院日数は7.82日vs9.86日(運動群vs通常群:p=0.005)
ガスが出るまでの時間は52.18時間vs71.86時間(運動群vs通常群:p=0.036)

<考察>
大腸がんstageⅠ-Ⅲで切除術を行った患者に対する、低~中等度強度の術後運動介入は入院日数を短縮し、腸の動きを改善させる。

2019/03/24

慢性呼吸器疾患で入院中の患者の活動量

Changes in physical activity during hospital admission for chronic respiratory disease

Respirology. 2019 Mar 7.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/30845363/?i=2&from=greening%20n

<背景>
慢性呼吸器疾患で入院した患者の入院中の身体活動量(PA)についての介入研究が必要である。先行研究では、PAが変化するかどうかについて言及されており、PAがどのくらいの期間で回復するのかについてや、PAによって入院日数の違いがあるのかについての検討が必要である。

<方法>
389人の患者が入院から可及的早期にリクルートされた。患者は、リクルートされてから退院までの間、活動量計を装着した。
歩数を装着基準を満たしている範囲で抽出した。
単日の級内相関係数(ICC)を計算し、ICC≧0.80を採用基準とした。

<結果>
PAデータは259人の患者データが使用可能であった。入院中の歩数は変化が無かった(2日目vs7日目:586歩 vs 652歩)。
全装着時間を満たしたICCは0.80以上であった。
80%以上を装着するという最も厳しい装着基準では、11時間以上もしくは1日以上。
歩数の多くは、夜間や夕方よりも午前中と午後に記録されていた。
MRCや酸素療法の有無で補正しても、入院後2,3日と7-14日後の歩数に違いは無かった。

<結論>
入院中の患者は少ない活動であり、入院中のPAは入院期間中に増大していなかった。
日中11時間以上装着するという基準を満たしたデータでは、最初の割合を保持していた。
患者は、入院期間中にもっと動くように推奨していく必要があるかもしれない。

・平均年齢70歳、COPDが84%。FEV1.0 1.2L(54.7%)

・入院後2-7日間の歩数のICCは、装着時間で分けても0.8以上を保っていた。(装着時間に関わらず、歩数はほぼ一定であった)


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入院中に活動量は増加しにくい?

2019/03/23

COPD増悪後の状態

Rehabilitation in chronic respiratory diseases: In-hospital and post-exacerbation pulmonary rehabilitation.

Respirology 2019 Mar 5.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30835884

入院が必要なCOPDの増悪は、患者にとって重要なイベントである。機能障害や骨格筋機能障害は、肺機能と独立して入院や再入院のリスクを高める。加えて、1回の入院によって、活動制限、全身炎症、栄養障害など複数の要因によってアウトカムが悪化する。

これらの呼吸器以外の要因は、呼吸リハのような運動療法によって改善する可能性がある。
増悪前後の呼吸リハは、COPD増悪管理において重要な役割を果たす。

入院による機能障害とその影響


増悪期の全身状態の推移
身体活動に関しては、退院後に自然に回復する場合もあるが、回復しきれなかったり、その結果更なる増悪を引き起こすという悪循環に陥りやすい。
入院中の教育介入も非常に重要。

2019/03/15

入院時身体機能と入院中の転倒予測(SPPBカットオフ5点)

Functional Performances on Admission Predict In-Hospital Falls, Injurious Falls, and Fractures in Older Patients: A Prospective Study.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29314249

J Bone Miner Res (IF: 6.314) 2018 May;33(5):852-859.

<背景>
転倒は、高齢入院患者で多く、病院にとって大きなチャレンジである。
身体機能障害と転倒に関連があるにも関わらず、パフォーマンス機能が入院での転倒や有害事象を伴う転倒を予測するかは知られていない。
目的は、入院時や入院後すぐにいくつかの機能的な検査を行い、転倒や有害事象を伴う転倒を見つけるための正確性や予測可能であるかを検討すること。

<方法>
スイス、ジュネーブの総合病院に入院した807人の患者。
評価は、入院時から3日以内に実施
評価項目は、SPPB、簡易版Tinettiテスト(バランス評価?)、TUG
入院中の転倒はインシデントレポートやカルテを参照

<結果>
在院日数中央値は23日。189人の患者で329回の転倒があった。
161件が有害事象を伴う転倒で、そのうち24件は重篤なものであった
入院中に転倒した患者は、転倒が無かった患者と比べて、入院時のパフォーマンステストが悪かった。
SPPBのみが、重篤な有害事象を伴う転倒を予測する唯一のものであった

<考察>
SPPBで評価して、機能的パフォーマンスが悪いことは、入院中の転倒を予測する唯一のものである。
この結果は、入院中の転倒を予防する計画をサポートし、病院において機能的な状態をルーチンに評価することを支持する。


・けがを伴う転倒:打撲傷、擦過傷、裂傷、捻挫、疼痛、頭部外傷など
・重篤な有害事象を伴う転倒:骨折、縫合が必要な裂傷、脱臼、頭蓋内出血など

・入院時SPPB:転倒無し群平均4.0点、転倒あり群2.1点
・SPPB5点未満は転倒を予測(感度88.6%、特異度41.5%)





2019/03/10

COPDの活動制限をSPPBで層別化(カットオフ10点)

The Short Physical Performance Battery is a discriminative tool for identifying patients with COPD at risk of disability

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2015; 10: 2619–2626.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4671756/

<背景>
活動制限は、COPDに関連した能力障害のリスクファクターである。COPD患者において、活動制限を評価するためのSPPBの妥当性についてはあまり知られていない。

<目的>
SPPBの合計点数と3つの構成(立位バランス、4m歩行速度、5回起立)がCOPD患者の活動制限を評価できるか検討すること。

<方法>
スペインの病院でCOPD患者137人が対象。筋力とSPPBを評価。患者は、自己報告で活動制限について申告。
SPPBの妥当性については、患者の活動制限に対する感度と特異度をROC曲線を用いて検討。
活動制限の度合いでSPPBスコアの違いを検討した。
SPPBスコアと筋力テストの相関についても検討。

<結果>
SPPB合計点数と5回起立の項目が、能力の違いをよく示していた(ROC曲線で0.7以上)。
制限のある患者は、SPPBスコアが著明に低かった。
SPPBスコアは、握力と中等度の相関を示した。
SPPB合計スコアで活動制限のカットオフ値は10点であった。

<考察>
SPPB合計点数と5回起立の点数がCOPD患者の活動制限を評価するための妥当なものであることが示された。
これらのテストは、活動制限のあるCOPD患者のスクリーニングテストとしての可能性も示した。

・活動制限の評価:Eisnerらによる質問票を使用。10個の動作の難しさについて尋ねている。
”姿勢の変化と調整について”5つ(かがむ、うずくまる、15分以上立位保持するなど)、”物を持ったり運ぶこと”について3つ(軽いものを持ち上げる、10lb以上のものを持ち上げるなど)、”歩行について”2つ(階段を一人で昇降できるか、近所を2,3ブロック歩く)質問。
・筋力は、膝伸展筋力と握力を測定。




2019/03/08

高齢入院患者への理学療法は身体機能を改善する

Effects of inpatient physical therapy on the functional status of elderly individuals

J Phys Ther Sci. 2016 Jan;28(2):426-31.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27065526

<目的>
入院している高齢者に対してのリハビリテーションが機能的状態へ影響するかを検討すること

<方法>
65歳以上の患者100人が対象。年齢、抑うつと認知症が無い患者が対象。
入院時と退院時の2回、対象者全員に評価を実施。
評価項目は、TUG、SPPB、握力、疼痛の程度

<結果>
入院リハ終了時、疼痛の程度や機能的な状態と同様に、TUG短縮(改善)、身体機能、握力は著明に改善した。

<考察>
入院リハは、著明に身体機能を改善した。病院でのリハビリは入院時のみの適応だけでなく身体機能障害のリスクのある患者に対しても行うべきである。


2019/03/05

COPD患者の身体活動のMCID(350-1100歩の減少)

Physical activity in COPD: Minimal clinically important difference for medical events

Chron Respir Dis. 2019 Jan-Dec;16:1479973118816424.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30789017

<背景>
COPD患者の身体活動のMCIDを推定することは求められている。
目的は、1日の歩数のMCIDをアンカーベース法にて推定すること。

<方法>
COPD患者に歩数計を渡して測定。参加者は日中、歩数計を装着し、電話にて毎月の医学的イベントについて確認された。
医学的イベントは、1)呼吸困難感の増強、2)呼吸器の薬剤変更、3)救急受診、4)入院
直線回帰モデルにて研究の終了時の変化量と15日、31日、61日の平均したイベントの発生の有無との相関を検討した。

<結果>
93人が対象。46人にイベントが発生していた。イベントを経験した参加者は、1日の歩数が歩数計+ウェブサイトを利用した患者で1086歩、歩数計のみのグループで887歩減少していた。
イベントが発生した日を中心とすると、イベントを経験した参加者は歩数計+ウェブサイト利用患者で882-983歩減少、歩数計のみの患者は351-495歩減少していた。

<考察>
COPD患者の身体活動のMCIDは350-1100歩の範囲であった。


・歩数計+ウェブサイトを利用する患者と歩数計のみの患者の2グループで検証。
・ウェブサイトは毎週の歩数のフィードバックやモチベーション維持や教育的なコンテンツを含む。

・歩数はベースラインと3ヵ月時点で評価。歩数は1週間のうち5日間最低装着し、覚醒している時間ずっと装着する。(200歩以上もしくは8時間以上の装着で判断)
・歩数は見えないようにしていた。
・患者にはいつも通りの活動をするように指導した。
・1週間終わるごとに、サーバ―にデータを送信。

・MCIDの計算は、1)ベースラインと終了時の歩数の変化、2)イベントを中心として、前後7日間、15日間、30日間の変化で計算。

・ベースラインの歩数はおよそ3100歩程度。肺機能はGOLD stage分類でⅡ(中等症が50%程度を占める)


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測定開始から3か月後に、350-1100歩以上減少していなければ、維持できていると言えるという意味?