2018/02/24

嚢胞性肺線維症の急性増悪に、気道クリアランスとしてNIVを使用。

Non-invasive ventilation used as an adjunct to airway clearance treatments improves lung function during an acute exacerbation of cystic fibrosis: a randomised trial

J Physiother. 2015 Jul;61(3):142-7. 


<背景>
嚢胞性肺線維症の急性増悪時に、気道クリアランス補助としてNIVが有効かを検討。

<方法>
40人の成人中等症から重症の嚢胞性肺線維症で、急性増悪により入院している患者。
従来通りのケア(コントロールグループ)と従来通りのケアに加えて、気道クリアランス中のNIVを追加した
入院2日目から退院まで実施。
肺機能、症状の重症度を毎日記録。疲労感を入院時と退院時に評価(Schwartz Fatigue Scale)。QOLと運動耐容能も同じタイミングで評価。
入院期間と次回入院までの期間を記録。
<結果>
プライマリーアウトカムを検討すると、NIV追加群の方が、1秒量が著明に改善したが、統計的な有意差は無かった。
しかし、NIV追加群において、退院時の1秒量がコントロール群よりも改善していた。疲労感は介入群の方が、より低かった(改善していた)。
コントロール群と比較して、症状の重症度、QOL、運動耐容能、入院期間、次回入院までの期間は有意差が無かった。
<考察>

嚢胞性肺線維症の急性増悪で入院中の患者において、NIVを使用すると、1秒量と疲労感の改善が得られた。

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NIVを使用すると、呼吸筋疲労の軽減しながらの排痰ができる可能性。

2018/02/16

脳卒中と抵抗運動

Resistance Training and Stroke: A Critical Analysis of Different Training Programs.

Stroke Res Treat. 2017;2017:4830265. 


このスタディの目的は、脳卒中後の抵抗運動が有効かについて検討し、運動プログラムの分析を行った(運動間のインターバル、セット数、繰り返す回数、強度、運動期間、頻度)。

運動のポジティブな効果は、不安状態改善、QOL改善、筋肥大、認知機能、筋力。
5つのスタディにおいてのみ、抵抗運動の詳細について述べられていた。対照群がおかれていなかったのがこの結果のネガティブな側面かもしれない。
今回の研究から、更なる健康への情報や脳卒中患者に有益で重要な情報に用いられることを期待する。

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運動療法(有酸素運動)はPTガイドラインでもエビデンスAがついてるくらいだから、効果あるのは当然か。
麻痺の改善に寄与するのかが知りたい。

2018/02/14

IPFにおけるシャトルウォーキングテストのMCID

Validity, responsiveness and minimum clinically important difference of the incremental shuttle walk in idiopathic pulmonary fibrosis: a prospective study.

Thorax. 2017 Sep 7.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28883090

漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT)はCOPDでよく用いられているが、特発性肺線維症(IPF)患者ではデータが限定されている。

Study1:50人の患者にISWTと6MWTを実施
Study2:呼吸リハ前後にISWTを完了した72人の患者

ISWTは6MWTと強く相関していた(r=0.81,p<0.0001)

ISWTの呼吸リハによる平均改善距離は、54m(38-70m)、効果量は0.29。

ディストリビューションベースとアンカーベースでのMCIDは、31-46mと推測された。

ISWTはIPFにおいて妥当性と反応性のある評価である。推定されたMCIDは、COPDと似ていた。

2018/02/09

吸気筋トレーニングを追加しても息切れの軽減には有意差なし

Effects of inspiratory muscle training on dyspnoea in severe COPD patients during pulmonary rehabilitation: controlled randomised trial

European Respiratory Journal 2018 51: 1701107

http://erj.ersjournals.com/content/51/1/1701107?ctkey=shareline

<背景>
吸気筋トレーニングを呼吸リハプログラムに併用した効果は、明らかになっていない。重症から最重症のCOPD患者を対象に、呼吸リハ中に吸気筋トレーニングを行うことが、息切れの改善と関連するかについて検討した。

<方法>
シングルブラインド、無作為化比較対照試験。150人の重症から最重症のCOPD患者が対象。無作為に呼吸リハ+吸気筋トレーニングか呼吸リハのみかに分けられた。
評価は、初期と4週間後。
プライマリーアウトカムは、4週間後の6MWT後の息切れ(多面的息切れ質問表を使用)。セカンダリーアウトカムは、6MWT後の息切れ(borg)の変化とmMRC、最大吸気圧(PImax)、吸気予備量、6MWT、QOL。
統計解析は、intention-to-treat.

<結果>
息切れは両グループで減少していた。しかし、息切れの改善に両グループで統計的に有意な差は無かった。呼吸リハに吸気筋トレーニングを加えたほうが、PImaxが優位に改善していた。

<結論>
重症から最重症のCOPD患者を対象とした今回の研究では、吸気筋トレーニングを行うことで、PImaxの著明な改善を認めたにも関わらず、呼吸リハ+吸気筋トレーニングを行うことによる息切れ改善効果を示すことはできなかった。

2018/02/02

握力と握力持続時間は、COPDの重症度を反映している

Hand grip endurance test relates to clinical state and prognosis in COPD patients better than 6-minute walk test distance

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2017; 12: 3429–3435.


<目的>
COPD患者は、骨格筋異常と低下があり、筋力と持久力が減少する。目的は、握力の持久力と力を疾患重症度ごとに評価すること。死亡率、6MWT、の多面的な予測因子を算出すること。

<対象>
58人に安定期外来COPD患者と25人の呼吸器に問題の無いボランティアが対象。全COPD患者は、COPD重症度、予測スケール、6MWT、体組成、標準的な肺機能、握力と持久力を評価。

<結果>
COPD患者は、対照群と比べて、15%握力が低下し、28%持久力が減少。
握力は疾患の重症度、多因子予測indexと負の相関、6MWTと高い相関を
示した。ほとんどのケースで、性別ごとのグループで6MWTよりAUC(area under the force/time curve)が近い関連があった。

<考察>
握力と持久力はCOPD患者で減少していた。AUCはCOPD患者の6MWTよりも運動耐用能の評価だけでなく、進行の予測としても魅力的なオプションであることを示した。これは、COPDアセスメントとして握力の持久力を独立して示した最初の研究である。

・チェコのCOPD患者を対象としたスタディ


関連画像
測定に使用したと思われる握力計。解析ソフトがついている。









・最大握力の測定:3-5秒できるだけ最大の力で握る。3回測定して最大値を採用。
・持久力の測定:それぞれの患者の最大握力の50%±5%を目標握力として、その握力をできるだけ長く維持して握る。解析ソフト(CAS)が自動的に結果の持続時間を算出してくれる。
COPD患者は健常者と比べて、握力は減少。持続時間(scored time)も短い。
BODE indexで重症になるほど握力は低下

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筋持久力の評価として有用なのか。この機械が使えなくても評価できればいいが。
筋力も筋持久力も低下してるということ?