2023/12/25

高齢者において、認知機能が良くリハ日数が多いと、歩行速度改善(リハビリresponder)していた。

Factors associated with improved walking in older people during hospital rehabilitation: secondary analysis of a randomized controlled trial

BMC Geriatr (IF: 3.08; Q1). 2021 Jan 31;21(1):90.

https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-021-02016-0

【背景】
高齢者は、歩行改善のためにリハビリを行っているが、全員が改善するわけではない。
この研究の目的は、高齢者で入院中にリハビリを行って改善がある(responder)と関連する要因を決定する事。

【方法】
他施設無作為化比較試験の二次解析データを使用。
歩行改善を目的にリハビリ病棟に入院した高齢者(n=198、年齢中央値80.9歳)を対象。
参加者は、無作為に活動に焦点をおいた理学療法を追加して行うグループ(n=99)と、社会的活動をするグループ(n=99)に分けられた。
快適歩行速度(self-selected gait speed)を入院時と退院時に測定。
4人が脱落。
歩行速度が,0.1m/s以上改善したr場合にresponderとし(n=130)、0.1m/s未満の変化をnon-responder(n=64)とした。
多変量ロジスティック回帰で、6つの患者選択前の要因(年齢、ベースラインの鉾状態、フレイル、併存症、認知機能、抑うつ)と2つの治療要因(日中に状態を起こして活動していた時間、リハビリ日数)とresponseの関連について探索した。

【結果】
リハビリの反応したグループは、リハビリを行った日数とMMSEが良好であることと関連していた。
その他の要因は、リハビリの反応とは関連していなかった。

【考察】
複数の健康問題を抱えている高齢者において、良好な認知機能とリハビリに長期滞在することは、歩行速度の改善と関連していた。
今後、入院で最も良く反応した症例やどの介入がリハビリのアウトカムを改善させるかについての検討が必要である。


・オーストラリアの2つの病院のリハビリ病棟にて実施
・入院する患者は、病状は安定しているが、複合的な管理やリハビリが必要な患者。
・適格基準は60歳以上、歩行や活動の改善が目標。

・介入グループのリハビリ内容
 :立位や歩行などの時間を増やす事。週末も含めた日中に行われ、理学療法士によって行った。
・対照グループのリハビリ内容
 :最小限の活動に加えて、カードやボードゲーム、会話、読書、上肢運動などの社会的な活動を実施。

・評価のタイミング
 初期評価:入院48時間以内。
 最終評価:退院前48時間以内

・評価項目
 歩行速度:6m歩行試験にて算出。歩行補助具の使用やテストを行えない場合は、0m/sとした。

・respondervs non-responder
 :リハ日数16日vs14日
 :MMSE25点vs24点

・多変量ロジスティック回帰
 ベースラインの活動状態、フレイル(Fried frailty status)、MMSE、離床時間、リハ日数

2023/12/05

術前栄養状態、体重と術後アウトカムの関係

The Influence of Preoperative Nutritional and Systemic Inflammatory Status on Perioperative Outcomes following Da Vinci Robot-Assisted Thoracic Lung Cancer Surgery

J Clin Med (IF: 3.3; Q4). 2023 Jan 10;12(2):554.


【背景】
栄養は、多くの疾患経過のアウトカムに重要な因子である。
ロボット支援胸部手術robotic-assisted thoracic surgery (RATS)を行う非小細胞肺がん(NSCLC)患者の栄養状態と炎症状態が術後合併症へ及ぼす影響の関係について調査した。

【方法】
前向きコホート研究
2019-2021年に手術を行った107例のNSCLCが対象
栄養状態と炎症状態は、術前の血液検査とBMIを用いて評価した。

【結果】
BMIは27.5±4.4
BMIを基に29%が正常体重、43%が過体重、28%が肥満
平均の好中球/リンパ球比(NLR)は、2.16±0.85
血小板/リンパ球比(PLR)は、121.59±44.21
リンパ球/単球比(LMR)は、3.52±1.17
術中合併症もしくは出血、術後合併症、平均入院日数、胸腔ドレーン留置期間を増加はなかった。
炎症が高い状態、NLR>1.84は、術後合併症の増加と関連。これは単変量解析でのみであり、多変量解析では、得られなかった。

【考察】
BMIは術後合併症リスクを予測し得なかった。よって、体重が手術の妨げになるわけではない。

2023/11/29

時間外リハビリ(夕方や週末)は身体活動量を改善させるが、入院日数へは影響しない

After-hours or weekend rehabilitation improves outcomes and increases physical activity but does not affect length of stay: a systematic review

J Physiother (IF: 7; Q1). 2015 Apr;61(2):61-7.


【背景】
入院リハビリを行っている成人患者にて、時間外のリハビリを追加することは、入院日数減少や機能的アウトカム、ADLパフォーマンス、身体活動の改善に寄与するか?

【方法】
RCTのシステマティックレビューandメタアナリシス。
対象は、成人で入院リハビリプログラムを実施
介入は、時間外(夜間or週末)に入院リハを行った患者
アウトカムは、
 機能評価:motor assessment scale、10m歩行、TUG、BBS
 ADL評価:Barthel Index、FIM
 入院日数
 身体活動レベル:歩数、上体を起こして過ごした時間(離床時間?)
標準平均誤差(SMD)もしくは平均誤差(MD)を用いてこれらのアウトカムを合併

有害事象を相対リスク(Relatibe Risk:RR)で集計。

研究の質は、PEDroスコアで評価。

【結果】
7つの文献が対象
全ての論文の方法の質は良好であり、PEDroスコアで8点であった。
機能評価のうち、バランスのみが著明な効果を示した:時間外リハビリを追加することでMDが14ポイント改善(95%CI:5-23)
時間外リハを追加することによるADLパフォーマンスの改善は、著明な効果の境界線であった(SMD0.10 95%CI:0.00-0.21)。
入院日数は、著明な差は無し。
これらの追加リハビリを行うことで、歩数や離床している時間は著明に増加。
さらに、時間外リハビリによる有害事象は、増加しなかった(RR0.87 95%CI 0.70-1.10)。

【考察】
時間外のリハビリは、身体活動を増加させ、ADLを改善させるかもしれない。
しかし、入院日数への影響は見られなかった。

2023/11/05

60歳以上の入院リハ。追加の活動セッションは、歩行アウトカムを改善させない。

Additional structured physical activity does not improve walking in older people (>60years) undergoing inpatient rehabilitation: a randomised trial

J Physiother (IF: 7; Q1). 2018 Oct;64(4):237-244.


【疑問】
入院してリハビリを行っている高齢患者は、監視下の身体活動介入を加えることで、退院時の快適歩行速度が速くなっているか?
監視下身体活動介入は、退院時と退院6ヶ月後の活動性、身体機能、QOLをより良くするか?

【方法】
多施設、パラレルグル-プ、無作為化比較試験を検査者を盲検化し行い、Intention to treatで解析した。
対象は、2つのオーストラリアの病院で活動改善のためのリハビリを行っている、60歳以上の高齢患者。
介入は、理学療法を含めた多面的なケアを受ける。
入院でのリハビリ中は、介入群(n=99)において、日々の活動に加えて、直立運動のタスクを追加した。
コントロールグループ(n=99)は、社会的な活動と同程度の活動時間で過ごしてもらった。

【アウトカム】
プライマリーアウトカム:退院時の快適歩行速度
セカンダリーアウトカム:退院時と6ヶ月後のTUG、 De Morton Mobility Index、FIM、QOL

【結果】
介入群は、1日20分の直立での活動時間が増加し、日数は中央値で16.5日であった。
退院時の歩行速度は、グループ間で変わりなし。
介入グループは0.51m/s、コントロールグループは、0.56m/s。(effect size -0.06m/s, 95% CI -0.12 to 0.01, p=0.096). 
その他のセカンダリーアウトカムではすべてにおいて有意差を認めなかった。

【考察】
入院リハビリを行った高齢者で活動性は大幅に向上したが、追加の活動セッションは、退院時や退院6ヶ月後のより良い歩行のアウトカムには影響しなかった。

2023/10/20

DVT後の運動の効果 systematic review

Effect of exercise after a deep venous thrombosis: A systematic review

J Eur Acad Dermatol Venereol (IF: 6.17; Q1). 2023 Sep 20. doi: 10.1111/jdv.19523.


血栓後症候群(Post-thrombotic syndrome (PTS) )は、DVT後に共通した合併症であり、し身体症状、QOL、医療コストへ影響する。
身体的なエクササイズのような単純なライフスタイル介入は、PTS重症度を減少させ、QOLを向上させるかもしれない。
急性期もしくは慢性期DVT症例に対して、身体活動の直接効果や長期効果を評価した。

2007年から2022年の文献を検索。
文献は、評価項目にQOL、症状、PTSの重症度が含まれているものが対象。
論文の質は、GRADEチェックリストとPRISMAステートメントに沿って評価した。

10件の論文が対象。
7件のRCT、3件のコホート研究。
3種類の身体活動の種類とタイミングを同定した
1)DVT急性期の早期離床
2)DVT1年後の短期間運動
3)以前のDVT後のフォロー期間の延長した運動

早期離床は、QOL改善、疼痛軽減を示し、2年後のPTS症状の重症度を軽減させた。
長期間の監視下運動の結果、QOLを改善。加えて、静脈の症状(静脈不全)に対する有効な効果と筋機能の改善を得た。
身体活動によってPTSを悪化させたり、症状を悪化させるという報告はなかった。

DVT後の運動は、安全で、QOLを改善させ、疼痛緩和とPTS重症度の減少をもたらす。
個別運動プログラムの指導のようなライフスタイルへの介入は、DVT後の患者に対する補助療法となりえるかもしれない。
最適な運動プログラムや、成人もしくは小児のDVT後患者報告型アウトカムを改善させるかについては、今後の研究が必要。