2016/03/29

COPD入院予防に対する身体活動の効果

Benefits of physical activity on COPD hospitalization depend on intensity
ERJ 2015;46;1281-1289

ABSTRACT
本研究の目的は、COPD患者のリスクを軽減させる身体活動の量と強度のそれぞれの効果を明らかにすること。
 177人のCOPDコホート(PAC-COPD)患者にSenseWear pro2アームバンド型加速度計を8日間連続して装着し、活動量のデータ(歩数、活動日数、活動時間)と強度(平均Mets)を収集した。フォローアップ期間中(2.5±0.8)COPD関連入院の情報は、有効なデータセットから確認した。
 フォローアップ中67人の患者(38%)が入院した。COPD関連入院のリスクには身体活動の量と強度の相互の影響があった。Cox回帰モデルにて交絡因子の可能性を調整すると、COPD関連入院のリスクは低強度で11000歩増えるごとに、20%減少した(HR0.79,p=0.005)。高強度かつ多くの歩数はCOPD関連入院に影響していなかった(HR1.01,p=0.919)。同様の結果は身体活動の量の他の評価でも認められた。
 低強度の多くの身体活動はCOPD関連入院のリスクを減少させるが、高強度の身体活動はリスクの軽減には影響していなかった。

対象:177人のCOPD患者(94%男性、平均年齢71±8歳、%FEV1 52±16)
結果:身体活動強度の中央値(2.7METs)以上か以下で分けたとき、身体活動量と入院のリスクは身体活動強度が低い時だけ関係していた。
多変量COXモデルにおいて、交絡因子と活動強度と歩数の交錯している部分を調整し、低活動強度において1000歩ずつ加えていくと、入院リスクは20%減少していた。しかし、活動強度が高くなり歩数が増加しても、入院リスクは減少しなかった。

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全文はまだfreeでとれないので、雑誌から。身体活動は、どれくらいの強度が良いのかという研究。3METs前後の活動で入院リスクは減少。激しくたくさん動けばいいというわけではなく、ゆっくりと活動する時間を作るような努力をしましょうということか。
3METsというと、ゆっくりとした歩行(約3.0㎞/h)、座ってするラジオ体操、ヨガ、ビリヤード、バレーボールなどが相当するそうな。


2016/03/21

在宅呼吸リハの長期効果

Long-term evaluation of home-based pulmonary rehabilitation in patients with COPD

 

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2015; 10: 20372044.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26445534

 

 

背景

国際的にCOPD患者の呼吸リハ(PR)マネジメントは効果的で場所に関わらずこのリハビリテーションは提供されているこの後方視研究の目的は自宅ベースのPRがCOPD患者の運動耐容能とQOLの長期間のアウトカムを検討すること。

 

方法

自宅ベースのPRは211人の患者(平均年齢62.3歳平均%FEV1.0 41.5%)が対象自宅ベースのPRはPRセンターからの距離が遠いという理由と患者の選択によって選択された。それぞれの患者は週1回8週間チームのメンバーによって個別に管理されそのほかの日はアクションプランに従ってアドバイスの無い状態で運動療法を継続した。運動のコンディショニング専門的な患者教育セルフマネジメントはPRプログラムに含まれている自宅での評価は6分間ステップテストTimed Up and Go test(TUG)10回起立テストHADSQOL(Visual Simplified Respiratory Questionnaire, VQ11, Maugeri Respiratory Failure 28)

<自宅管理は週1回8週間内容は1回90分間で評価に基づいた教育、運動とADLの継続心理社会的サポート>

 

結果

 インシデントやアクシデントは無かった。6分間ステップテストはプログラムの終了後、6か月後、12か月後に非常に改善しており、TUGと10回起立テストはPR後と6か月後は改善していたが12か月後に改善は無かったHADSとQOLスコアはPR後に改善しており、この改善は6か月後と12か月後も持続していた

 

考察

自宅ベースのPRは短期間で効果があり、この効果は6か月後12か月後も持続していた自宅ベースのPRは外来管理で行っている運動、教育自己管理に置き換わるものである。

 

ベースライン

 

リハの効果

 

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対象にはHOTやNPPV管理をしている患者が3割程度含まれている。

62歳って日本ならまだ働いている人も多いわけで、それだけ若ければ運動すれば効果も期待できるし、持続できる力がまだ残ってるってことかな。



2016/03/19

間質性肺炎の大腿四頭筋

Quadriceps strength and endurance in fibrotic idiopathic interstitial pneumonia
Respirology. 2014 Jan;19(1)

背景
大腿四頭筋機能異常はCOPDの運動制限に寄与するものとして重要であるが、特発性間質性肺炎(IIP)患者において骨格筋機能と運動耐容能の影響についてはあまり知られていない。この研究の目的はIIP患者と健常者における大腿四頭筋力と運動耐容能を比較することである。

方法
大腿四頭筋力と持久力は呼吸筋力と同様に、6分間歩行距離は25人のIIP患者で比較し、%FVC78.7%、%DLCO40.3%、年齢を補正した33人の健常者も無意思で測定した。大腿四頭筋力は大腿神経磁気刺激(大腿四頭筋単収縮力)を使用して測定し、持久力は5分以上の大腿四頭筋への神経刺激を繰り返して筋力低下の反応を使用した。

結果
両グループを生体測定学的、性別、呼吸筋力で比較した。患者はコントロール群と比べて、著しく四頭筋力が低下していた。大腿四頭筋力:10.1kg VS 8.0kg。繰り返しの刺激に対する大腿四頭筋持久力は患者の方が、著しくまた速く低下していた。コントロール群は、PaO2と吸気筋力だけが6分間歩行距離と独立して相関を保持していた。

考察
大腿四頭筋力と持久力は健常者と比べて、IIP患者のほうが低下していた。しかし、運動能力との相関は僅かであった。

筋力↓

持久力↓


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COPDと同様に大腿四頭筋力は良い指標になる。筋力=耐容能ではないが、活動するためのベースとしては必ず必要だと思う。
印象的には、IPの方がCOPDに比べて筋力も持久力も改善しにくい。特に低酸素に容易にさらされるようになってHOTが開始になれば維持していくのも難しい。
HOT開始になる前にどれだけ高いレベルで運動機能が保てるかが勝負か。


身体活動の短期効果と長期効果 ‐運動耐容能と身体活動は別物‐

Short term and long term effects of pulmonary rehabilitation on physical activity in COPD.

2012 Dec;106(12):1671-9.

http://www.resmedjournal.com/article/S0954-6111(12)00312-5/abstract

 

呼吸リハの主な目的は、運動を通して、機能的容量を向上させることによって死亡率を減少させることである。もし機能的容量が改善したら、長期間持続するのか、身体活動レベルの向上が得られるのかについてはあまり知られていない。この研究の仮説は呼吸リハは標準的なアウトカムと日常身体活動を向上させるだろうということである。

方法

COPD患者47名を対象とした前向き研究で、臨床試験の承認を得ている。プライマリーアウトカムは標準的なアウトカムが向上するか、セカンダリーアウトカムは身体活動量が向上するかコホートのサンプル(n=17)は1年間で3回再評価を行った。

結果

7週間病院にて外来呼吸リハプログラムを実施し、エネルギー消費と呼吸困難感の減少、運動耐容能とPiMAXとQOLの改善を示したしかし、呼吸リハで1日の歩数座っている時間身体活動の消費METsは変わらなかった標準的なものと生活での数値は1年間でベースラインに戻っていた

考察

これらの結果は呼吸リハは運動耐容能を改善するが、身体活動の向上へは変換されなかったことを示した。したがって、行動変容に影響/変更する方法が必要である。

 

・研究プロトコル

 

 

・リハ内容

2回を7週間と中等度強度の活動を30分1日3回以上行うことを推奨

運動内容はバランスとストレッチ、サーキットトレーニング、エルゴ、ダンベル。運動強度は修正Borg3-5を目安に。

教育セッションも実施した。

自宅では呼吸筋(吸気筋)トレーニングを1日10-25分週5日実施吸気:呼気は3:4の割合で呼吸数が89回分になるように。

日常の活動量は活動量計( sence wear pro arm band)を装着。



2016/03/12

安定期と増悪期の身体活動性を比較

Daily activity during stability and exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease.
2014 Jun 2;14:98
背景
多くのCOPD増悪中の患者は地域で生活を続けているが前向きベースラインデータの収集の難しさから増悪中の活動の変化についての情報はわずかしかない
方法
患者は、日々の日記カードで呼吸症状の悪化、ピークフロー(PEF)1日の歩数を記録した増悪は呼吸症状の増加によって推定し過去12か月の歩数を増悪の頻度が多い(年2回以上)もしくは少ないに分けて歩数の記録を比較した
結果
73COPD患者(88%男性)平均年齢71±8歳%FEV1.0 53±16%歩数計の記録期間は中央値198日増悪した時症状は1.9±1.3点の上昇PEFは7±13L/minの低下していた。1日の歩数はベースラインの週から平均4154±2586歩減少し、増悪の1週間前から3673±2258歩減少していた(p=0.045)。低下が大きかった患者は増悪症状よりも歩数の減少が早かった(3.5日)歩数が元に戻るのもまた、増悪治療群に比べて治療していない方が早かった全体を通して歩数が減少していたのは40回の増悪708歩/年の減少対照的に増悪が頻回ではなかった33人は338歩/年であった。
考察
COPD増悪は身体活動を減少させ増悪の頻度を加速させる


ちょっと図も載せてみよう。

A:歩数 B:症状 C:PEF D外出頻度
増悪期間前に分かりそうなのは歩数と外出頻度か。


増悪頻度と歩数の減少。やはり増悪頻度が多いと減少幅も多い。