2023/11/29

時間外リハビリ(夕方や週末)は身体活動量を改善させるが、入院日数へは影響しない

After-hours or weekend rehabilitation improves outcomes and increases physical activity but does not affect length of stay: a systematic review

J Physiother (IF: 7; Q1). 2015 Apr;61(2):61-7.


【背景】
入院リハビリを行っている成人患者にて、時間外のリハビリを追加することは、入院日数減少や機能的アウトカム、ADLパフォーマンス、身体活動の改善に寄与するか?

【方法】
RCTのシステマティックレビューandメタアナリシス。
対象は、成人で入院リハビリプログラムを実施
介入は、時間外(夜間or週末)に入院リハを行った患者
アウトカムは、
 機能評価:motor assessment scale、10m歩行、TUG、BBS
 ADL評価:Barthel Index、FIM
 入院日数
 身体活動レベル:歩数、上体を起こして過ごした時間(離床時間?)
標準平均誤差(SMD)もしくは平均誤差(MD)を用いてこれらのアウトカムを合併

有害事象を相対リスク(Relatibe Risk:RR)で集計。

研究の質は、PEDroスコアで評価。

【結果】
7つの文献が対象
全ての論文の方法の質は良好であり、PEDroスコアで8点であった。
機能評価のうち、バランスのみが著明な効果を示した:時間外リハビリを追加することでMDが14ポイント改善(95%CI:5-23)
時間外リハを追加することによるADLパフォーマンスの改善は、著明な効果の境界線であった(SMD0.10 95%CI:0.00-0.21)。
入院日数は、著明な差は無し。
これらの追加リハビリを行うことで、歩数や離床している時間は著明に増加。
さらに、時間外リハビリによる有害事象は、増加しなかった(RR0.87 95%CI 0.70-1.10)。

【考察】
時間外のリハビリは、身体活動を増加させ、ADLを改善させるかもしれない。
しかし、入院日数への影響は見られなかった。

2023/11/05

60歳以上の入院リハ。追加の活動セッションは、歩行アウトカムを改善させない。

Additional structured physical activity does not improve walking in older people (>60years) undergoing inpatient rehabilitation: a randomised trial

J Physiother (IF: 7; Q1). 2018 Oct;64(4):237-244.


【疑問】
入院してリハビリを行っている高齢患者は、監視下の身体活動介入を加えることで、退院時の快適歩行速度が速くなっているか?
監視下身体活動介入は、退院時と退院6ヶ月後の活動性、身体機能、QOLをより良くするか?

【方法】
多施設、パラレルグル-プ、無作為化比較試験を検査者を盲検化し行い、Intention to treatで解析した。
対象は、2つのオーストラリアの病院で活動改善のためのリハビリを行っている、60歳以上の高齢患者。
介入は、理学療法を含めた多面的なケアを受ける。
入院でのリハビリ中は、介入群(n=99)において、日々の活動に加えて、直立運動のタスクを追加した。
コントロールグループ(n=99)は、社会的な活動と同程度の活動時間で過ごしてもらった。

【アウトカム】
プライマリーアウトカム:退院時の快適歩行速度
セカンダリーアウトカム:退院時と6ヶ月後のTUG、 De Morton Mobility Index、FIM、QOL

【結果】
介入群は、1日20分の直立での活動時間が増加し、日数は中央値で16.5日であった。
退院時の歩行速度は、グループ間で変わりなし。
介入グループは0.51m/s、コントロールグループは、0.56m/s。(effect size -0.06m/s, 95% CI -0.12 to 0.01, p=0.096). 
その他のセカンダリーアウトカムではすべてにおいて有意差を認めなかった。

【考察】
入院リハビリを行った高齢者で活動性は大幅に向上したが、追加の活動セッションは、退院時や退院6ヶ月後のより良い歩行のアウトカムには影響しなかった。

2023/10/20

DVT後の運動の効果 systematic review

Effect of exercise after a deep venous thrombosis: A systematic review

J Eur Acad Dermatol Venereol (IF: 6.17; Q1). 2023 Sep 20. doi: 10.1111/jdv.19523.


血栓後症候群(Post-thrombotic syndrome (PTS) )は、DVT後に共通した合併症であり、し身体症状、QOL、医療コストへ影響する。
身体的なエクササイズのような単純なライフスタイル介入は、PTS重症度を減少させ、QOLを向上させるかもしれない。
急性期もしくは慢性期DVT症例に対して、身体活動の直接効果や長期効果を評価した。

2007年から2022年の文献を検索。
文献は、評価項目にQOL、症状、PTSの重症度が含まれているものが対象。
論文の質は、GRADEチェックリストとPRISMAステートメントに沿って評価した。

10件の論文が対象。
7件のRCT、3件のコホート研究。
3種類の身体活動の種類とタイミングを同定した
1)DVT急性期の早期離床
2)DVT1年後の短期間運動
3)以前のDVT後のフォロー期間の延長した運動

早期離床は、QOL改善、疼痛軽減を示し、2年後のPTS症状の重症度を軽減させた。
長期間の監視下運動の結果、QOLを改善。加えて、静脈の症状(静脈不全)に対する有効な効果と筋機能の改善を得た。
身体活動によってPTSを悪化させたり、症状を悪化させるという報告はなかった。

DVT後の運動は、安全で、QOLを改善させ、疼痛緩和とPTS重症度の減少をもたらす。
個別運動プログラムの指導のようなライフスタイルへの介入は、DVT後の患者に対する補助療法となりえるかもしれない。
最適な運動プログラムや、成人もしくは小児のDVT後患者報告型アウトカムを改善させるかについては、今後の研究が必要。

2023/10/18

急性期病院で、体力向上や有害事象を避けるために必要な活動量は?

Optimal dose and type of physical activity to improve functional capacity and minimise adverse events in acutely hospitalised older adults: a systematic review with dose- response network meta- analysis of randomised controlled trials

Br J Sports Med 2023;57:1272–1278. 


【背景】
急性期病院に入院した高齢者の耐久性向上と有害事象減少のための、身体活動の最適な量と種類を同定すること。

【方法】
2022年に4つのデータベースを検索。
急性疾患で入院した50歳以上を対象として、少なくとも1つ以上の活動をベースにした介入をした効果を検証したRCTを対象。
効果の推定(耐久性と有害事象の割合等)をランダム治療効果ネットワークメタアナリシスモデルで算出。

【結果】
19件の論文(3842例)が対象。
1日100METsのタスク(1日40分未満の軽度活動もしくは1日25分未満の中等度活動)は、急性期病院へ入院した高齢者の耐久性向上に最低限必要。
最適量は、159METs-min/day(70min/day未満の軽活動or40min/day未満の中等度活動)と推定された。
歩行は、最も有効な介入手段であり、最適量は143METs-min/dayで、高い根拠を示した(87.68%)
最小限必要な歩行量は、74METs-min/day(1日25分未満のスローペースの歩行)。
身体活動介入は、通常ケアと比べて、退院時の有害事象の割合が少なかった。

【考察】
このメタアナリシスは、病院において監視下での身体活動プログラムが中等度のエビデンスを示した。
25min/day未満のゆっくりとした歩行でも、耐久性向上や有害事象を最小限にするには十分な量である。

2023/10/05

急性期入院 HAD発症率30%

Prevalence of Hospital-Associated Disability in Older Adults: A Meta-analysis

J Am Med Dir Assoc (IF: 4.67; Q2). 2020 Apr;21(4):455-461.e5.


【背景】
入院関連機能障害(HAD)は、急性入院中のADL低下と定義され、高齢者に認められる。
目的は、急性期ケアに入院した高齢者のHADの有病率を決めることと、有病率が中等度の場合の研究初年度の影響を評価する事。

【方法】
メタアナリシスデータは、無作為化試験、準実験的、前向きコホート研究を対象とした。
英語でリサーチを行い、2018年2月から2018年5月までの電子データベースから団策。
開始時とくらべ、退院時のADL2点以上低下しており、高齢者のADL低下予防ついて報告する
対象は急性期ケアに入院した65歳以上の高齢者。。本研究に含まれたのは7365例。

【結果】
ADL自立は、Katz indexとBathel Indexで評価。

【結果】
本研究の含まれた参加者をサブ解析行うと、HADは30%で罹患していた。
研究初年度の予防率は最小であった。
研究間には大きな不均一性が認められたが、非標準的なADLの測定や方法論的な違いが生じている可能性がある。

【考察】
急性期ケアに入院すると、高齢者の機能障害のリスクが高まる。
このリスクは、短期間の間には変化しない。