Ambulatory oxygen for treatment of exertional hypoxaemia in pulmonary fibrosis (PFOX): a multicentre, randomised, sham-controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, 2026; 14, 317-326
【intro】
・線維性間質性肺疾患(ILD)は、動作時の息切れ、身体機能やHRQOLの低下を特徴とする疾患である
・動作時低酸素血症は、ILD患者の50%以上に生じている
・動作時低酸素は、日常生活における息切れの増強と身体活動の低下と関連している
・動作時低酸素は、肺機能と独立して、死亡リスクを4倍にし、肺高血圧の予測因子でもあり、それ自身が強い死亡の予測因子となる
・ATSの在宅酸素ガイドラインにおいて、在宅酸素療法は、低酸素血症のあるILDや肺高血圧症の患者に推奨しているが、この推奨事項の研究では、無作為化されていなかった
・目的は、肺線維症動作時酸素トライアル(PFOX)で評価した動作時酸素療法と空気の使用の効果を6ヶ月間比較すること。
【methods】
・オーストラリアとスウェーデンの病院で行ったランダム化比較試験
・適格基準は、18歳以上の線維性ILDと診断された患者で、高解像度CTにて10%以上の線維性変化を認めた患者
・臨床的に安定(3ヶ月間薬剤の変更がない)している
・低酸素血症の定義:室内気で行なった6MWTにて10秒以上SpO2≦88%
・除外基準:すでに長期酸素療法を使用している、(安静時PaO2≦55mmHgもしくは右心不全があり56−59mmHg)、現喫煙者、妊娠、過去30日以内の急性期病院入院歴、期間内に死亡もしくは移植が見込まれる、歩行不可
○randomisation and masking
・適格基準に該当した参加者を1:1の割合で、酸素供給使用(intervention)と空気使用(sham)に分けられた。
・デバイスは、携帯型濃縮機(Inogen One G3HF)を使用。shamグループには、ガス供給以外の外観や操作などが全て同じものを提供。
・参加者、研究者はどちらのグループなのかはマスクして実施
○procedures
・携帯型濃縮機を追跡期間の6ヶ月の身体活動(歩行、地域活動、運動など)において使用してもらう、flowは5で統一
・座っているときや就寝時は使用しない
・評価のタイミングは、ベースライン、3ヶ月、6ヶ月
・評価項目は、室内気での6WMT、HRQOL(SGRQ、King's Brief Interstitial Lung Disease Questionnaire)、息切れの評価としてDyspnea-12。疲労感はFatigue Severity Scale、不安抑うつはHADs。身体活動は、Step WatchとGENEActivを使用。
・携帯型濃縮機の利用状況を記録
○アウトカム
・プライマリーアウトカムは、3ヶ月後に歩数で計測した身体活動のベースラインからの変化量
・装着8時間未満もしくは200歩以下は解析から除外
・足首に装着し7日間連続で測定。平均歩数を使用
・セカンダリーアウトカムは、HRQOL、疲労感、息切れ、不安抑うつ、中高強度の身体活動、座位時間のベースラインからの変化
○統計解析
・ITT(Intention -to -treat)にて解析
・線形混合モデルで持続エンドポイントを解析
・両グループでベースラインからの身体活動の変化を比較
・調整変数にベースラインの6MWT時の最低SpO2(80%未満か、80%以上か)をモデルに投入
【Results】
・3ヶ月後、6ヶ月後のベースラインからの歩数の変化量は、酸素と空気グループに統計的な差は認めなかった(fig2)
・息切れ症状も統計的な差はなく、空気グループの方がむしろ良好な結果
・FVCの低下は、酸素グループの方が低下が大きい傾向だったが統計的な差は無かった
・IPFとIPF以外のILDで解析しても同様の傾向であった
・ポータブルデバイスを中断した理由:患者からの申し出、メリットが感じられない、長期酸素療法開始、体調がすぐれない、旅行、火への安全性、重たい
【Discussion】
・線維性ILD患者に対して、携帯型濃縮機を使用した結果、空気グループと比較して身体活動の有意な改善は認めなかった。息切れや疲労感、HRQOL、不安・抑うつに対しても酸素の優位性は認めなかった。
・ILDにおける歩数のMCID(プラス570歩)は、3ヶ月と6ヶ月の群間差の95%CIの上限を超えている→酸素投与による身体活動向上への臨床的な効果は乏しいと考えられる
・日常生活におけるSpO2<88%の時間は、酸素使用によって変化はなかった。最大流量にしていたが、対象者には不足していた可能性が考えられる。
・低酸素血症のあるILDに対して、酸素使用は推奨されているが、日常生活での効果についてのエビデンスは乏しい
・酸素使用により2週間程度の短期間での運動耐容能向上は報告されているが、長期間の使用の効果についての報告はない。これはCOPDでも同様の報告がある。
・これらの報告を総括すると、酸素使用は、効果が不確実であり、患者への負担も考えられるため、患者と医療者が共同して意思決定をしていく必要がある。
・酸素供給方法と酸素濃度について:運動時の呼吸数(30回)を想定した肺モデルにおいて、5L/minを使用した際、連続流量の方がFiO2が高い(0.3 vs 0.24)。それにもかかわらず、肺胞酸素量は同様であった。これは解剖学的死腔における酸素滞留が影響していると考えられる。
このメカニズムが、供給されるFiO2がより高いにもかかわらず、運動中のSpO 2低下に対して同様の影響をもたらす一因となっていると考えられる。
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息切れ症状の改善効果は限定的。活動量は増えない。酸素流量が十分でなかったから?5Lでも足りなくて、重たいし活動量減るし。。良いことなさそうにも思える。
酸素療法を提供する意義を再考する時期なのかもしれない。