Review of the Evidence for Pulmonary Rehabilitation in COPD: Clinical Benefits and Cost-Effectiveness
Respir Care. 2024;69(6):686-696. Published 2024 May 28. doi:10.4187/respcare.11541
【Abstract】
COPDは、よく見られる致命的な慢性疾患であり、世界中の主な死亡原因の一つであると認識されている。特に高齢者においては、高い罹患率と活動制限と関連している。
この疾患の経過は、安定期と増悪期があり、呼吸状態の悪化が医療機関の利用や死亡リスクの上昇と高い関連を示している。
治療は、薬物療法が主体であるが、完璧な効果ではない。呼吸リハビリテーション(PR)は、慢性呼吸器疾患における重要な医療介入である。
PRは、個別的であり、漸進的な運動療法、教育、自己管理教育など、包括的で多面的なプログラムである。
PRの効果は、運動耐容能、健康関連QOL、息切れの改善である。
さらに、PRは再入院や1年後の生存率の改善にも影響するとされる。
このような臨床的な効果に加えて、PRは費用対効果に優れた介入であると推定される。
これらの効果があるにも関わらず、PRの参加率は未だ低い。
このレビューでは、安定期COPDと増悪後の回復期COPDにおいて、これらのドメインにPRがどのような効果があるのかを検証した。
【intro】
・COPDはアメリカで2400万人が罹患しており、全世界の40歳以上の10%が罹患しているとされている(GOLD2021)
・薬物療法は、吸入や抗炎症作用のある吸入などが症状改善をもたらすが、完璧ではない
・呼吸リハは、COPDにおいて最も有効な治療の一つである
・呼吸リハは、個別的な運動療法、長期的な行動変容を目標にした身体活動向上自己管理教育など多面的な介入である
・リハの効果は、運動耐容能向上、息切れ、QOLの改善である
・COPD入院後にリハに参加することは、再入院減少や1年以内の生存率向上に寄与する可能性がある
・アメリカでメディケア受給者(65歳以上、特定疾患患者など)のうち、リハを行っているのはわずか3%であり、世界的にも参加率は低い。
【運動耐容能の効果】
・COPD患者の運動制限の要因は、骨格筋機能異常、動的肺過膨張、呼吸負荷増大、ガス交換異常、加齢による機能低下、ディコンディショニング、併存疾患の状態とされる。
・運動療法は、骨格筋の酸化能や換気応答の改善をもたらす
・評価は、6MWTやISWTで行われる
・6MWTのMCIDは30mとされる(ERS and ATS)
・ISWTのMCIDは35m、運動負荷試験では4Wとされる
【QOLと息切れ】
・QOL向上は呼吸リハの目標の一つであり、症状の軽減や参加の向上が寄与する
・SGRQが疾患特異的な評価としてよく用いられ、MCIDは4ポイントとされる
・4週間の呼吸リハは、SGRQを6ポイント改善させた
・増悪後3週間以内に呼吸リハを開始することでもQOLの改善が得られた
【COPD関連入院の呼吸リハの効果】
・疾患の経過において多くの患者が増悪を経験し、年間150万件の救急受診、70万件の入院が生じている
・入院患者のうち、1/5は30日以内の再入院を経験し、65歳以上のうち64%は退院1年以内の再入院を経験していた
・COPD増悪による経済負担は、全米におけるCOPDの年間直接費用500億ドルのうち、132億ドルを占めている。
・呼吸リハは再入院のリスク因子に対する重要な介入である(身体不活動の改善、薬剤の適正使用、服薬アドヒアランス、行動変容支援など)
・増悪後3週間以内に呼吸リハを開始すると、再入院オッズが56%低かった(OR0.44,95%CI 0.21-0.91)
【死亡率への呼吸リハの効果】
・増悪入院は、死亡リスクを上昇させ、退院1年以内の死亡率は26%であった
・増悪後3週間以内に呼吸リハを開始すると、死亡リスクは32%減少したが、統計的な有意差は認めなかった(2016 Cochrane)
・入院48時間以内の早期介入の効果を検証した研究(Greening et al. )では、6週間毎日行った。その結果、1年後の死亡率は、早期介入の方が74%高かった。介入から5ヶ月以上経過した結果であり、リハと死亡率の因果関係は不明としている。また、この研究において、入院期間が中央値5日であり、入院中の介入は、呼吸リハと整合していなかった。
・ERS/ATSは、呼吸リハを退院後3週間以内に開始することを推奨し、入院中は推奨しないことを示した。(おそらく、高強度などの運動や負荷を厳密に設定した運動という意味かと。)
・2016年のcochraneでは、呼吸リハを行うことが死亡率改善に有効である統計結果を示した(OR0.50、95%CI 0.26-0.99)
・最近のRCTでは、COPD増悪入院の期間中もしくは4週間以内にリハを開始すると死亡リスク減少を示している(相対リスク0.58 95%CI 0.35-0.98)
・死亡率に関する結果は、異質性があり、バイアスリスクが認められ、中等度のエビデンスとした。
・退院後、いつ呼吸リハを開始するのが良いか?退院後30日以内(HR0.43)、31−60日(HR0.43)、61−90日(HR0.40)で比較
→PRを行わなかった、もしくは90日以降に開始した場合と比べて、上記いずれの期間に開始しても死亡率減少効果は得られた。
【呼吸リハの費用対効果】
・費用対効果についての効果は十分にわかっていない
・アメリカのヘルスケアシステムにおける呼吸リハの費用対効果分析では、費用対効果の効果は単純ではないが、コスト削減は認める結果だった
・COPD増悪入院後に呼吸リハを開始すると、5721ドルのコスト削減が得られ、QALYsは0.53得られた
・このコスト削減は、入院日数の減少と介護施設の在所日数が関連していた
・この効果は、呼吸リハ後1年後に最大化していた(8226ドル)
・呼吸リハが36セッションと仮定すると、1セッションのコストが171ドルであれば費用削減効果が得られた。この結果では、1セッション111.32ドルで計算している。
・171ドルを超える金額では、費用削減効果は得られない。
・!QALYsが50000ドルであれば、1セッション884ドル、1QALYsが100000ドルであれば1597ドルまで費用対効果が得られる計算(fig1)
→質調整生存年にいくらかけられるかによって、1セッションあたりの値段が変わる。
健康のために多くの投資ができる人にとっては、金額が高くなってもその金額に見合ったメリットを得られやすいということか。
・呼吸リハの費用対効果は、外来、在宅、遠隔でも有効であることが示されている(Liu et al)
・これらの費用削減できた金額を、呼吸リハに参加するための交通費や自己負担金額の補助に活用できるのではないか
・呼吸リハの提供者は、呼吸リハにアクセスできるような経済的に持続可能な戦略を考慮すべきではないか。