Respirology. 2017 Jan;22(1):120-125.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27471142
<背景>
COPDの肺高血圧は、罹患率と死亡率と関連している。これまでの研究では、安静時低酸素と肺高血圧の関係について示されているが、安静時低酸素血症の無いCOPD患者における、運動時低酸素血症と肺高血圧の関係についてはあまり知られていない。
<方法>
安静時低酸素血症のないCOPD患者を後方視的に収集し、運動時低酸素血症と肺血行動態の関係について評価した。
臨床的特性、肺機能、血ガス、6MWD、6MWT終了時のSpO2を収集した。
相関分析とステップワイズ回帰分析で、平均肺動脈圧(mPAP)の予測値を検討した。
<結果>
84人の患者が対象。平均%FEV1.0 47%。
単変量解析において、平均動脈圧は、年齢 (r = -0.27, P < 0.05)、PaO2(r = -0.24, P < 0.05)、%FVC(r = -0.28, P < 0.05)、%FEV1.0 (r = -0.40, P < 0.001)、FEV1.0% (r = -0.33, P < 0.005)、%DLco (r = -0.40, P < 0.001)、6MWD(r = -0.40, P < 0.001)、6MWT終了時のSpO2 (r = -0.74, P < 0.001)と負の相関を示した。
ステップワイズ回帰分析では、6MWT終了時のSpO2と6MWDはmPAPの独立した予測因子であった。
ROC曲線では、6MWT終了時のSpO2は、AUCは0.896、感度86%、特異度84%でSpO2 81%がカットオフ。(=6MWT終了時のSpO2が81%を下回ると、肺高血圧の可能性が高い)
<考察>
6MWDに加えて、安静時に低酸素血症が無いCOPD患者において、肺高血圧症があるとは運動時低酸素血症を引き起こす。
・肺高血圧は、右心カテーテル検査で安静時肺動脈圧が25mmHg以上で診断される
・公立陶生病院にて右心カテーテルを実施したCOPD患者155人が対象。
・参加基準は安静時低酸素が無い、3か月以内に増悪していない、肺動脈楔入圧が15mmHg未満。
・最終的に84人が参加した
・平均年齢69.9歳、BMI20.3、%FEV1.0 46.9%、6MWD 444m、安静時SpO2 94%、6MWT後SpO2 84.5%
肺動脈圧と6MWT後SpO2 |
SpO2<81%がmPAP≧25mmHgとなるカットオフ。 感度86%、特異度84%、AUC0.896 |