2018/07/19

頭部外傷患者の体位交換とバイタル(SpO2)の変化

The effect of positional changes on oxygenation in patients with head injury in the intensive care unit

J Family Med Prim Care. 2017 Oct-Dec; 6(4): 853–858.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5848412/

<背景>
頭部損傷でフォローしている患者の心肺機能は障害されており、酸素運搬を邪魔している。心肺理学療法は、治療アウトカムの改善と同様に、酸素運搬システムを拡大する。したがって、今回の目的は、ICUでの体位による頭部損傷患者の酸素化レベルを評価すること。

<方法>
30人の頭部損傷患者で、術後ICUにて血行動態的に安定している患者。年齢は15-50歳。
非侵襲的バイタルパラメーター(SpO2、脈拍、呼吸数、血圧)を異なる体位で測定。
体位は、5-15分のインターバルをはさむ。

<結果>
0分ー15分の間、背臥位、右側臥位、左側臥位、リクライニング座位(30°-70°)のすべての体位において、SpO2 が上昇した。
しかしながら、リクライニング座位は、その他の体位と比べて、統計的に有意な改善を認めた。その他のパラメーター(脈拍、呼吸数、血圧)は、それぞれの姿勢が終わる15分までより低い値で安定していた。

<考察>
上体を起こした姿勢は、その他の姿勢と比べて、SpO2が明らかに上昇していた。
その他のバイタルパラメーターは、15分後もより低い値で安定していた。

・4つの姿勢(背臥位、右側臥位、左側臥位、30°-70°リクライニング座位)を選択。開頭術や骨折などの問題がある患者は、45度側臥位で実施。
・それぞれの体位を15分継続。開始時と5分おきに、バイタル測定を実施。
・アウトカム(バイタルの測定項目)は、SpO2、脈拍、呼吸数、血圧

・上体を起こした姿勢が最も、SpO2の改善が良かった
⇒換気メカニクスの改善と換気血流のマッチが要因だろう。

・脈拍は15分後に統計的に有意な差はなかった。
⇒体位変換後1-2分で、血流の調整機能が作用して、5分ほどで自動的に調整が完了した