2024/07/23

中等症、重症COPD患者における運動強度による効果の違い

Benefits of different intensities of pulmonary rehabilitation for patients with moderate-to-severe COPD according to the GOLD stage: a prospective, multicenter, single-blinded, randomized, controlled trial

Int J Chron Obstruct Pulmon Dis (IF: 2.77; Q1). 2019 Oct 8:14:2291-2304.


【目的】
呼吸リハビリテーションはCOPD患者管理の要素である。
目的は、中等症から重症のCOPD患者に対する運動療法の最適な強度について調査すること。

【方法】
2014年から2018年に行った前向き多施設研究
対象者はランダムに、運動負荷試験の結果によって決められた最大酸素摂取量の割合によって、異なる運動強度での呼吸リハを行う3グル―プに分けた。
運動療法の20週間後、低、中、高強度の運動介入による効果を比較し、最も最適な運動処方を決定した。

【結果】
中等症COPD患者において、中、高強度のグループで測定したすべてのパラメーターの著明な改善を認めた。
低強度グループと比べて、急性増悪の頻度や20週間後のmMRCスコアに有差はなかった。
重症COPD患者において、高強度グループにてすべての変数に著明な改善を認めた。
中等症COPDよりも、リハ前後の変化は小さかった。
さらに、the Hamilton Anxiety Scale(不安スコア)とBMIは、低強度グループと比べ有意差を認めなかった。

【考察】
高強度運動療法は、中等症から重症のCOPD患者において、有効であった。
中等症COPD患者は、より強度のあるリハが必要である。呼吸リハ介入による改善度合いは、重症COPDよりも高かった。
重症COPD患者において、高強度の運動は、患者の忍容性があればより有効かもしれない。

〇運動強度のグループ分け
・運動負荷試験の結果で強度を決定
・高強度→VO2max>70%
・中強度→VO2max>50-70%
・低強度→VO2max<50%


〇リハ内容
・20週間の入院による監視下の介入(10回の他職種による教育介入も含む)
・運動の頻度:週5日
・時間:40分(ウォームアップ10分、クールダウン10分含む)
・運動種類:個別に処方されたインターバル持久力トレーニング。歩行や筋力トレーニングなど
・20分の上下肢のサイクリング運動を負荷試験の50%強度から開始
・負荷は、10Wずつ漸増し、心拍数やSpO2が安定したら耐えられた運動と判断
・中止基準:SpO2<85%、血圧>200/100mmHg、心拍数>最大運動負荷時の85%

〇6MWTの結果(m、リハ前→リハ後)
中等症COPD
 低強度 292→303
 中強度 277→303
 高強度 271→326
重症COPD
 低強度 260→275
 中強度 260→283
 高強度 265→297