2024/06/20

肺がん術後、患者報告型アウトカムの経過

Long-term patient-reported outcomes after non-small cell lung cancer resection

J Thorac Cardiovasc Surg (IF: 5.21; Q2). 2022 Sep;164(3):615-626.e3.


【目的】
患者報告型アウトカム(PROs)は、肺切除術前後の臨床的評価ツールである。
本研究では、術後1年での疼痛、息切れ、機能的状態について評価した。

【方法】
単施設で2017-2020年に肺切除術を行った患者を包含。
PROsには、National Institutes of Health Patient Reported Outcome Measurement Information System (PROMIS)を使用。
データは、前向きに収集し、胸部外科学会のデータと統合した。
多変量線形混合効果モデルを使用し、術前と各術後評価時のPROMISスコアを比較した。

【結果】
肺切除術を行った334人がPROMISを完了した。
疼痛の干渉、身体機能、息切れの重症度スコアは、術後1カ月後悪化していた(p<.001)。
疼痛の干渉と身体機能スコアは、術後6カ月でベースラインに回復。
息切れスコアは、術後1年後も悪化したままであった。
開胸手術を行った患者は、低侵襲手術の患者と比べ、術後1カ月後の身体機能と疼痛干渉スコアが悪化していた。
しかし、術後6ヶ月後のPROsでは、違いは無くなっていた。

【考察】
PROsは、肺切除術前後で患者評価における重要な測定基準である。
患者は、最長で術後1年後も息切れを報告するかもしれない。
さらに、開胸術を行った患者は、最初は疼痛と身体機能の悪化を訴えるかもしれないが、6ヶ月後にはこれらの障害は改善しているだろう。