Ann Surg Oncol (IF: 5.34; Q2). 2024 Feb;31(2):847-859.
【背景】
術前運動療法は、肺がん術後の離床的アウトカムを改善させるために推奨される。
しかし、術後QOL低下を予防するかについては知られていない。
本研究は、術前ホームエクササイズが術後QOLに及ぼす影響について検討した。
【方法】
待機的肺がん切除術を予定している患者をランダムにホームエクササイズとコントロールに分けた。
ホームエクササイズは、有酸素運動とレジスタンストレーニングを組み合わせて、毎週電話でフォローした。
プライマリーアウトカムは、術前と術後1ヶ月に、EROTC-QLQ-C30(the European Organization for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire C30 )で評価したQOL。
セカンダリーアウトカムは入院日数、身体パフォーマンス
主な解析は、要因反復測定分散分析(factorial repeated-measures analysis of variance)。
加えて、ベースラインと術後評価にて、臨床的な悪化を経験した患者の割合とした。
【結果】
41人の患者がintention to treat 解析の対象(68.1歳)
全体的なQoLに関して、有意なグループ×時間の相互作用が観察された(p=0.004)
術前後のグループ間において、全体的なQOLは統計的、臨床的な有意差を認めた。(術前後ともホームエクササイズを行った方がQOLが良好であった)
全体的なQOLの悪化を経験した患者の割合は、コントロールで71.4%、ホームエクササイズで30%(p=0.003)
ホームエクササイズにおいて、疼痛や食欲低下が少なく、身体的、感情的な機能と同様であった(p<0.05)。
コントロールと比べ、ホームエクササイズは術前の5回起立と術後運動耐容能が改善していた。
その他のセカンダリーアウトカムはグループ間で有意差を認めなかった。
【考察】
ホームエクササイズは、術後QOL低下を予防する効果がある。