2024/01/21

IPF診断時の1年後死亡を予測する歩数のカットオフ値:3473歩

Cutoff Points for Step Count to Predict 1-year All-Cause Mortality in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis

Respiration (IF: 3.58; Q2). 2021;100(12):1151-1157.


【背景】
身体活動はIPF患者において死亡と関連するが、最適な身体活動レベルについては明らかになっていない。

【目的】
全死亡原因の歩数のカットオフ値を示し、予後的重要性を調査すること。

【方法】
加速度計を使用してIPF診断時点の身体活動量(歩数)を計測
身体活動と死亡の関係と、死亡を予測する歩数のカットオフ値を解析した。

【結果】
87人の患者(73例男性)が採用
44人(50.1%)がフォロー期間中(中央値54カ月)に死亡。
年齢、性別、重症度、6MWDを補正して解析した結果、歩数は全死亡の独立した予測因子であった(HR0.82)。
1年間の死亡を予測する最適なカットオフ値は、3473歩(感度0.818、特異度0.724)。
死亡率は、歩数が3473歩を超えた患者は、超えなかった患者よりも低かった。

【考察】
歩数は、簡単に解釈できる評価であり、IPF患者の全死亡原因を予測する。
診断時、カットオフ値の3473歩を超えていれば、死亡率は半減した。
今回の結果は、この患者群の身体活動を評価する重要なものである。


2024/01/20

IPF患者の身体活動量のMCID (半年で570-1358歩減少)

Physical activity in idiopathic pulmonary fibrosis: Longitudinal change and minimal clinically important difference

Chron Respir Dis (IF: 2.44; Q4). 2023 Jan-Dec:20:14799731231221818.



【目的】
IPF患者における身体活動の縦断的な変化の参考値は明らかになっていない。
この研究の目的は、IPF患者の身体活動量のMCIDを推定すること。

【方法】
加速度計を用いて、身体活動量(1日の歩数)を測定し、ベースラインと6ヶ月後を比較した。
歩数のMCIDはanchorベースとdistributionベース法で算出した。
FVCと6MWDをアンカーとして採用した。
効果量(effect size)と標準誤差をdistributionベースにおけるMCIDの計算に使用した。

【結果】
105例が本研究に採用(平均年齢68.5歳)
歩数は、ベースラインから6ヶ月後までの間に、著明に低下していた。
anchorとdistributionベースで算出したMCIDは570-1358歩。

【考察】
IPF患者の歩数は、6ヶ月後に著明に低下していた。
MCIDは、570-1358歩と算出された。
今回の結果は、IPF患者の身体活動の変化の解釈を提示し、臨床的、研究的なアウトカムの一助となるであろう。

2024/01/10

肺がん6MWD低下のMID 22-42m

Minimal important difference of the 6-minute walk distance in lung cancer

Chron Respir Dis (IF: 2.44; Q4). 2015 May;12(2):146-54.


【背景】
6MWDは、肺がんの身体機能評価で最もよく用いられる評価の一つ。
しかし、MIDは発表されていない。
この探索研究の目的は、1)6MWDのMIDを推定すること、2)6MWDと社会背景や疾患関連因子の関係について検討すること。

【方法】
56人のstageⅠからⅣの肺がんで、治療開始前と10週後に6MWDを行えた患者。
運動介入は行っていない。
その他の評価として、EORTC-QLQ-C30で身体機能、身体活動、症状を評価。
MIDはアンカーベースとディストリビューションベースで算出。

【結果】
6MWDが低下(deterioration)した群は60m低下、低下しなかった群は16mの低下。
離床的に意味のある変化をROC曲線で推定すると42m(AUC0.66)もしくは9.5%の変化。
ディストリビューションで推定したMIDは、22-32m。
6MWDが高いことは、良好な身体機能、身体活動、少ない息切れと相関していた。

【考察】
6MWD悪化のMIDは22-42m、9.5%の変化と推定された。