2023/06/06

直腸がん患者:体組成、身体活動、エネルギー推奨量との関連

colorectal cancer: associations with body composition, physical activity, and energy recommendations

Am J Clin Nutr (IF: 7.04; Q1). 2019 Aug 1;110(2):367-376.


【背景】
早期がん患者の総エネルギー消費量(TEE)データは、少なく、エネルギー摂取量の理解を妨げている。

【目的】
横断的に直腸がん患者(CRC)のTEEの特徴を調査し、エネルギー推奨量と比較した。
TEEは、体組成、身体活動レベル(PAL)によって異なり、現在のエネルギー推奨量は、個別のレベルによっては不足していると仮設した。

【方法】
新たにCRCと診断され、安静時エネルギー消費量(REE)を間接熱量計で評価し、二重標識水によるTEEと比較した。
※二重標識水:エネルギー消費量を正確に測定できる方法。安定同位体で標識された水を摂取したのちに尿中の安定同位体比の変化を測定し、エネルギー推奨量を算出する。通常の生活条件でのエネルギー消費量を測定できるが、高価で測定分析に技術を要す。

代謝亢進症は、予測値の110%以上のTEEと定義。
体組成はDXAで評価。
身体活動は、TEEとREEの比と残存活動エネルギー量(RAEE)で算出。
TEEは25-30kcal/dayのエネルギー消費と比較して、食事摂取基準(DRIs)をブランドアルトマンプロットで解析。
患者は、中央値BMI、PAL、性別、除脂肪体重との関連で層別化。

【結果】
21人の患者が参加(男性14名、BMI28.3、年齢57歳)。
stage1-2が最も多く(n=20)、stage4が1例。
半分(n=11)は代謝亢進していた:TEEは代謝亢進で違いは無く、対標準予測としてのREEはTEEと関連していなかった。
平均TEEは2473±499kcal/day、もしくは29.7kcal/kg。
平均PALは1.43±0.27。
TEEから推測した総エネルギー摂取推奨量は、25kcal/kg。
総エネルギー推奨量は、同意が得られにくい。
高BMI、FM:FMMはキログラムやkcalを使用した総消費量とは異なっていた。

【考察】
TEE予測値は、総エネルギー推奨量を反映していない。
誤差は、体格、体組成、身体活動と関連している。